透析患者の障害者手帳申請|等級と受給できる福祉サービス

透析患者の障害者手帳申請|等級と受給できる福祉サービス

透析は腎機能が低下し、自力で体内の老廃物や余分な水分の排出が難しくなった場合に行う治療です。生活面でさまざまな制限が生じやすく、通院負担や医療費の問題にも直面しやすいといえます。

そのため、一定の基準を満たす方は障害者手帳の交付対象となり、医療費や公共サービスなどの福祉サポートを受けやすくなることがあります。

透析患者が障害者手帳を申請する際の等級や手続きの流れ、そして利用できる支援制度について丁寧に解説します。

目次

透析と障害者手帳の概要

透析が必要になる慢性腎不全の状態は、身体障害者手帳でいう内部障害に該当します。障害者手帳の中には複数の種類がありますが、透析に関しては身体障害者手帳の「腎臓機能障害」で認定を受けることが多いです。

適切な申請によって負担を減らし、安定した透析生活を送れるように準備しておくことが重要です。

透析治療が必要になる腎臓機能の状態

腎臓機能が低下すると、血液中の老廃物や余分な水分を排出できなくなります。特に慢性腎不全が進行し、推算糸球体濾過量(eGFR)が15mL/分/1.73㎡未満程度になると透析を検討しやすくなります。

適切な治療を行わないと、体内の水分・電解質バランスが崩れ、生命に関わる合併症を引き起こすことがあります。

身体障害者手帳の区分

身体障害者手帳は、視覚障害・聴覚障害・肢体不自由など多様な区分があります。腎機能障害は内部障害に分類され、その等級は機能障害の程度によって細かく定められています。透析患者の場合は、ほぼ1級に相当しやすい特徴があります。

内部障害の位置づけ

内部障害は外見からはわかりにくいこともあり、周囲の理解を得にくい面があります。身体障害者手帳を所持していると、必要な配慮や公共施設での減免などが受けやすくなる利点があります。

特に透析治療の場合、通院回数が多い方も多いため、障害者手帳の活用が生活の助けになる可能性があります。

身体障害者手帳における区分整理

区分主な該当例
視覚障害視力や視野の著しい障害
聴覚障害聴力や平衡機能の障害
肢体不自由上肢・下肢または体幹の障害
内部障害腎臓・心臓・呼吸器などの機能障害
言語・そしゃく機能言語機能またはそしゃく機能の障害

透析障害者手帳何級になるのか

透析を受ける人が障害者手帳を申請する場合、最も気になるのは「障害等級が何級になるか」という点だといえます。

障害者手帳の等級は自治体ごとに細かい判定が行われますが、慢性腎不全で透析を実施している場合はほぼ1級相当になるケースが多いです。

原則として1級認定される理由

人工透析を週複数回行う必要があるほど腎機能が低下していると、日常生活を継続するうえで支障が大きいと判断されます。腎臓による排出が十分に行われないため、透析治療をしなければ体内の老廃物が蓄積してしまいます。

こうした医学的事情から、原則1級と判断されやすい現状があります。

例外的に等級が変わるケース

何らかの理由で腎機能の一部回復が見込まれたり、移植後の状態が安定しているなど、特殊な事情がある場合は等級に変動が生じることがあります。とはいえ、透析を続けている限りは1級認定を受けることがほとんどです。

合併症との関係

糖尿病や心不全など、他の病気との合併があると全身状態が悪化しやすくなります。複数の障害が重複する場合は、より高い等級となることもあります。

判定は主治医の意見書や詳細な検査結果によって左右されるため、診断書の内容が精密であるほど、正確な等級判定につながります。

透析障害者手帳何級に関する概要

状況等級の目安
週3回透析が必要ほぼ1級
腎移植後で機能がある程度回復2級や3級の可能性
合併症が重度さらに厳しい等級判定になる場合あり
  • 透析患者の多くは1級となる
  • 状況によっては2級や3級になる可能性もある
  • 合併症の有無や移植後の状態などで個人差が出る

申請時に必要な書類と流れ

障害者手帳を申請するときは、主治医に書いてもらう診断書、自治体が配布する申請書などを準備する必要があります。書類提出先は居住地を管轄する市区町村の福祉担当窓口です。

主治医の診断書の入手

透析を担当している医師に「身体障害者手帳用の診断書」を作成してもらいましょう。診断書には、腎臓機能障害の程度や透析の開始時期・回数などが詳しく記載されます。

作成にあたって検査が必要になる場合がありますので、早めに相談すると円滑に進みます。

役所の申請書提出

自治体の窓口やウェブサイトなどで手に入る申請書に、必要事項を記入します。添付書類として、マイナンバーカードや健康保険証などの身分証明書類が必要です。

記載漏れや押印漏れがあると受理されない場合があるので、最終確認を忘れないようにしましょう。

判定と交付までの期間

提出書類が受理されたあとは、審査機関で判定が行われます。この審査期間には数週間から数か月かかることがあります。障害等級が決定すると、結果が書面で通知され、後日、障害者手帳を受け取る流れです。

なお、自治体によって手帳の交付日は申請日ではなく判定日になることがあります。

手続きの流れまとめ

手順概要
1主治医に診断書を依頼
2自治体の申請書に必要事項を記入
3身分証明書などの添付書類を準備
4市区町村窓口に提出
5審査結果の通知を待つ
6障害者手帳を受け取る

障害者手帳を取得するメリット

障害者手帳を取得すると、医療費や公共料金の優遇措置を受けられる可能性があります。日常生活に直結するサービスが多いため、安定した通院生活を確保するためにも大切といえます。

医療費の負担軽減

高額療養費制度と合わせて、障害者手帳を活用すると、医療費の自己負担限度額が下がる場合があります。医療費の控除や減免が適用されることで、頻繁に通院する透析患者の経済的な負担を和らげやすくなります。

制度の申請は複雑な印象があるかもしれませんが、医療ソーシャルワーカーや窓口で相談できることが多いです。

公共交通機関やタクシーの割引

障害者手帳の提示で鉄道やバスが割引対象になる地域があります。また、タクシーチケットを発行している自治体も存在し、通院に伴う交通費の負担を軽減できます。遠距離通院や歩行困難な方には、有効なサポート手段となります。

税金面での優遇措置

所得税の障害者控除が適用されたり、自動車税の減免が受けられる場合があります。車で通院する方には大きなメリットとなるでしょう。

ただし、減免は車種や排気量などの条件を満たす必要があります。

主要な優遇措置の一覧

分野内容
医療費自己負担限度額の軽減、医療費控除
交通公共交通機関運賃の割引、タクシーチケット
税金所得税・住民税の障害者控除、自動車税の減免
公共施設各種公的施設の利用料減免
  • 医療費軽減は高額になりがちな透析治療には大きな助け
  • 交通関連のサポートは通院負担を減らしやすい
  • 税金面での優遇措置は年末調整や確定申告で申告が必要

受給できる福祉サービスの具体例

障害者手帳を取得すると、役所や医療機関以外でも多様なサービスを利用できる可能性があります。高額医療費の負担軽減以外に、生活上の支援や就労支援なども存在します。

ホームヘルプサービスの利用

日常生活動作が難しい方や、高齢の家族と同居している場合などは、支援スタッフによる買い物援助や食事準備、清掃などを利用できます。透析後の疲労が強いときには身体を休める時間を確保しつつ、必要な家事サポートを得られます。

住宅改修費の助成

段差の解消や手すりの取り付けなど、住宅のバリアフリー化に関する費用を補助してくれる制度があります。透析を受ける期間は長期に及ぶことが多く、安全で生活しやすい住環境を整備していくことが重要です。

就労支援や職業訓練

障害者雇用枠での就職先を紹介してもらえたり、職業訓練を受ける費用の補助が得られることがあります。体調と相談しながら働く体制を整えることで、生活リズムや収入の安定を図りやすくなります。

主な支援内容と利用方法

サービス具体的な支援例利用窓口
ホームヘルプ掃除・洗濯・買い物市区町村福祉課
住宅改修手すり設置・段差解消自治体住宅部門
就労支援障害者雇用情報の提供ハローワーク等
職業訓練技能習得の研修専門施設や自治体
  • 体力面を考慮した在宅サービスは療養生活に役立つ
  • 住宅環境を改善して転倒リスクを減らす意義が大きい
  • 就労や職業訓練で社会参加を続ける機会を得やすい

透析と生活費のサポート

透析を受けながら安定した生活を送るためには、医療費の負担だけでなく、日常的な生活費の確保も大切です。障害年金や生活保護などの制度を組み合わせることで、生活水準の維持を目指すこともできます。

生活保護との併用

無収入または低収入で生活が困難な方は、生活保護を受給しながら透析治療に通うことが可能です。生活保護を利用すると医療扶助によって治療費が公費負担となるため、経済的負担が軽減されます。

しかし、資産状況などの要件が定められているため、事前の相談が必要です。

自立支援医療制度の活用

一定の障害等級を持つ人に対して、医療費自己負担額の軽減を行う制度があります。透析障害者手帳を所持している方は、自立支援医療制度の対象になり、負担限度額の設定が受けられる場合があります。

医療費が高額になりやすい透析治療では、こうした制度の利用が家計を支える大きな力になります。

傷病手当金との違い

傷病手当金は会社員などが病気やケガで働けなくなった場合、一定期間、給与の一部相当額を補償する制度です。公的医療保険の被保険者が対象となります。

透析が長期にわたる場合、傷病手当金の支給期限(最長1年6か月)を超えるケースが多いため、その後は障害年金や生活保護など他の制度を検討する流れになります。

生活費確保に役立つ制度の比較

制度対象者特徴
生活保護資産や収入が一定以下最低限の生活を保障
自立支援医療障害者手帳所持など条件あり医療費の自己負担額軽減
傷病手当金健康保険加入者で就労不可状態時間的制限(最長1年6か月)
障害年金一定の障害基準を満たす人長期的な金銭支援が得やすい
  • 収入が不足しがちな透析患者にとって公的支援の活用は重要
  • 各制度には対象要件や期限があるため重複利用も検討が必要
  • 主治医や社会福祉士などに早めに相談して手続きを円滑に進めるとよい

申請後の注意点や更新手続き

障害者手帳は取得したあとも、定期的な確認や更新の手続きを要する場合があります。生活環境の変化や転居などに応じて手帳の扱いが変わることもあるため、留意が必要です。

定期的な検査と手帳の更新

透析障害者手帳は、医療機関の検査結果に基づき交付が継続される性質があります。腎移植後に機能回復が認められた場合、障害等級が変わることもあります。

更新時期が来たら役所の通知を確認し、主治医の診断書など必要書類を準備して手続きを行いましょう。

他の自治体への転居

転居先が変わると住所も変わるため、新しい自治体で手帳の切り替え手続きが必要です。受けられるサービス内容や優遇措置は自治体によって微妙に異なります。

転居を予定している場合は、新居の市区町村で必要な手続きを早めに確認しておくと安心です。

紛失時の対応

障害者手帳を紛失した場合、再交付を申請できます。手帳番号や交付日がわからないと手続きが複雑になるため、普段から手帳のコピーを保管したり、交付日をメモしておくとよいでしょう。

再交付でも医師の診断書が必要になるケースがあるため、まずは役所へ相談してください。

更新・再交付時のチェック項目

チェック項目ポイント
更新通知の確認郵便で届くことが多い
主治医の診断書再度の検査が必要な場合あり
転居先での手続き住民票異動後に早めに行う
紛失時の手続き届出から交付までの期間を把握
  • 更新には期限がある場合があるので注意
  • 転居先でのサービス内容を事前に調べると安心
  • 紛失に備えた情報メモを用意すると手続きがスムーズ

透析に関する当院のサポート体制

透析が必要になったとき、継続的に通いやすい医療機関を見つけることが大切です。当院では腎臓内科を中心に透析治療を行い、社会保障や障害者手帳の申請などの相談にも力を入れています。

専門スタッフとの連携

腎臓内科医や看護師だけでなく、医療ソーシャルワーカーや栄養士など、専門知識をもったスタッフが連携します。患者の生活背景や経済状況も踏まえながら、適切な制度利用ができるようにお手伝いします。

外来透析と通院のしやすさ

当院では予約制の外来透析を設けています。待ち時間を短縮し、患者の負担が少しでも軽くなるよう努めています。通いやすさを重視し、送迎サービスや駐車場の利用料などについても相談のうえで配慮できる体制を整えています。

健康管理プログラム

透析中は体液バランスやカリウム、リンなどのミネラル管理が重要です。当院の栄養士やリハビリスタッフが協力し、患者一人ひとりの体調を支えるための管理を行っています。

適度な運動や食事指導、そして血圧・体重・検査数値のモニタリングを行いながら、透析生活を続けやすい環境を整えています。

当院でのサポート概要

サポート内容具体例
専門スタッフ連携腎臓内科医、ソーシャルワーカー、栄養士
外来透析体制予約制透析、送迎相談
生活面のサポート食事・運動指導、受給制度の助言
各種相談窓口手帳申請の書類準備など
  • 多職種連携により総合的なサポートを提供
  • 通いやすい環境づくりで負担軽減を目指す
  • 食事指導や運動プログラムで健康維持をサポート

以上が、透析患者の障害者手帳申請と等級、福祉サービスに関する主な情報です。障害者手帳の取得や支援制度の活用は、透析患者の暮らしを支える大切な手段となります。

医療費負担の軽減や、移動のサポート、就労支援などを活かして、より安定した透析生活を送るための一歩につなげてください。当院でも、障害者手帳取得の相談をはじめ、透析を受けるうえでのさまざまなお悩みに対応いたします。

以上

参考文献

PLANTINGA, Laura C., et al. Association of CKD with disability in the United States. American Journal of Kidney Diseases, 2011, 57.2: 212-227.

TAPPE, CHARLES TURKELSON, DAVID DOGGETT, VIVIAN COATES, Karyn. Disability under Social Security for patients with ESRD: an evidence-based review. Disability and rehabilitation, 2001, 23.5: 177-185.

CHIANG, Hsin-Hung, et al. Effects of acceptance of disability on death or dialysis in chronic kidney disease patients: a 3-year prospective cohort study. BMC nephrology, 2015, 16: 1-7.

ALMA, Manna A., et al. Sustained employment, work disability and work functioning in CKD patients: a cross-sectional survey study. Journal of nephrology, 2023, 36.3: 731-743.

REESE, Peter P., et al. Physical performance and frailty in chronic kidney disease. American journal of nephrology, 2013, 38.4: 307-315.

KOUFAKI, Pelagia; KOUIDI, Evangelia. Current best evidence recommendations on measurement and interpretation of physical function in patients with chronic kidney disease. Sports medicine, 2010, 40: 1055-1074.

COOK, Wendy L. The intersection of geriatrics and chronic kidney disease: frailty and disability among older adults with kidney disease. Advances in chronic kidney disease, 2009, 16.6: 420-429.

SPINOWITZ, Bruce, et al. Economic and quality of life burden of anemia on patients with CKD on dialysis: a systematic review. Journal of medical economics, 2019, 22.6: 593-604.

免責事項

当院の医療情報について

当記事は、医療に関する知見を提供することを目的としており、当院への診療の勧誘を意図したものではございません。治療についての最終的な決定は、患者様ご自身の責任で慎重になさるようお願いいたします。

掲載情報の信頼性

当記事の内容は、信頼性の高い医学文献やガイドラインを参考にしていますが、医療情報には変動や不確実性が伴うことをご理解ください。また、情報の正確性には万全を期しておりますが、掲載情報の誤りや第三者による改ざん、通信トラブルなどが生じた場合には、当院は一切責任を負いません。

情報の時限性

掲載されている情報は、記載された日付の時点でのものであり、常に最新の状態を保証するものではありません。情報が更新された場合でも、当院がそれを即座に反映させる保証はございません。

ご利用にあたっての注意

医療情報は日々進化しており、専門的な判断が求められることが多いため、当記事はあくまで一つの参考としてご活用いただき、具体的な治療方針については、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

大垣中央病院・こばとも皮膚科

  • URLをコピーしました!
目次