透析生活を送る上で、毎日の食事は体調管理の要となりますが、多くの患者さんが、何を食べたら良いのか、何に気をつけるべきなのかという不安を抱えていらっしゃいます。
食事のコツを掴むことで、身体への負担を最小限に抑えながら、食べる喜びを保つことは十分に可能です。カリウムやリン、塩分のコントロールを前向きに捉えましょう。
食材の選び方や調理の工夫を知ることで、日々の献立作成がぐっと楽になります。この記事では、透析治療を支えるための実践的な情報をお届けします。
透析患者に良い食べ物を賢く選んで体力を維持する工夫
透析生活を支える食事の基本は、エネルギーを十分に確保しながら、体内に溜まりやすい老廃物の元を抑えることです。
特におすすめなのは、カリウムが少なめの野菜や、良質なタンパク質を適量含む食品、そしてエネルギー源となる脂質や糖質をバランス良く組み合わせる習慣です。こうした意識を持つだけで、日々の体調は大きく安定していきます。
白米やパンなどの主食をしっかり食べてエネルギー不足を防ぐ
エネルギー不足は、体内の筋肉を分解して毒素を増やす原因になるため、主食をしっかり食べることが大切で、白米や食パン、うどんなどは基本のエネルギー源として大変優秀な食材です。
玄米や全粒粉パンは健康的なイメージがありますが、リンやカリウムが多いため、精製された白いものを選ぶ方が透析中の方は安心できます。消化も良く、身体への負担も抑えられます。
麺類を食べる際は、茹で汁をしっかり捨てることで、微量ながらカリウムを減らす工夫も有効です。物足りなさを感じる時は、マヨネーズや油を少し足してカロリーを補う方法もあります。
エネルギーを十分に摂ることは、疲れにくい体を作るための第一歩となり、食欲がない時でも、一口ずつゆっくり噛んで、必要な活力を補給する習慣を身につけましょう。
主食の種類を工夫すれば、飽きずに食事を楽しめます。朝はパン、昼は麺、夜はご飯といったリズムを作ることで、毎日の献立にメリハリが生まれ、満足感も高まります。
カリウムが少ない野菜を積極的に活用して彩りを楽しむ
野菜を食べる時は、種類選びと調理法が重要です。レタスやキャベツ、もやしなどはカリウムが比較的少なく、毎日の献立に取り入れやすい食材です。
生でそのまま食べるよりも、細かく切ってからゆでこぼしたり、水に長時間さらしたりすることでカリウムをさらにカットでき、この一手間が安心感に繋がります。
炒め物にする際も、一度下ゆでしてから調理することで、余分な成分を除去しつつ美味しく仕上げられます。野菜を完全に断つのではなく、工夫して摂取することが重要です。
食物繊維やビタミンをバランスよく補給することは、便秘予防や免疫維持にも役立ちます。彩りのある食卓は視覚的にも空腹を満たし、心の栄養にもなってくれるでしょう。
季節ごとの淡色野菜を中心に、旬の味覚を少しずつ取り入れてみてください。自分に合った野菜の量を知ることで、制限の中でも豊かな食生活を継続することが可能になります。
卵の白身や白身魚で良質なタンパク質を効率よく補給する
筋肉や血を作るタンパク質は、透析で失われやすいため摂取が必要ですが、リンの過剰摂取には注意が必要です。卵の白身や、鶏ささみ、白身魚などはリンが控えめでおすすめです。
加工肉などは添加物のリンが含まれていることが多いため、できるだけ生の肉や魚を購入して自宅で調理するスタイルが理想的です。
一食あたりの量を決めて、よく噛んで味わうことで、少ない量でも深い満足感を得られます。毎日の小さな積み重ねが、合併症を防ぐための強い身体の土台を作ってくれます。
肉類は脂身の少ない部位を選び、魚は骨を除いた切り身を利用するとリンの摂取を抑えやすくなります。自分の好みに合った調理法を見つけて、美味しく栄養を摂りましょう。
タンパク質源をバランス良くローテーションさせることで、アミノ酸の摂取バランスも整うので、魚、肉、卵を上手に組み合わせて、飽きのこないメインディッシュを楽しみましょう。
身体に優しいタンパク質源の選択基準
| 食品分類 | おすすめの食材 | 選ぶ際のポイント |
|---|---|---|
| 肉類 | 鶏ささみ、豚ヒレ肉 | 脂身が少なくリンも控えめ |
| 魚介類 | タイ、タラ、サケ | 切り身を選び骨は避ける |
| 卵・その他 | 鶏卵の白身 | 黄身を控えることでリンを抑制 |
透析で食べてはいけないものや注意が必要な食材の基準
透析中に避けるべき、あるいは極端に制限すべき食品を知ることは、ご自身の健康を守ることに直結します。
注意が必要なのは、血中濃度が急上昇しやすい高カリウム食品や、加工食品に含まれる無機リン、そして喉の渇きを誘発する過剰な塩分です。これらを避けるだけで、透析間の体重管理や体調維持が驚くほどスムーズになります。
ドライフルーツや生野菜の食べ過ぎを控えて数値を守る
果物や野菜は健康的なイメージが強いですが、透析中の方は慎重になる必要があり、特にドライフルーツは、水分が抜けてカリウムが凝縮されているため、少量でも危険です。
生野菜のサラダも、ボウル一杯といった大量摂取はカリウム過多を招きます。どうしても果物を食べたい時は、缶詰の果肉を少量選び、シロップは完全に捨ててください。
旬の果物を一口だけ楽しむといった、量と頻度を厳密に管理する意識が大切です。ご自身の検査データを確認しながら、許容量を正しく把握する習慣を身につけましょう。
バナナやメロンなど、特にカリウムが高い果物は避けるのが無難ですが、リンゴや梨などの比較的低いものを薄くスライスして、味を堪能する工夫も一つの方法です。
ハムや練り物などの加工食品に含まれる添加物リンを避ける
ハムやソーセージ、インスタント食品には、保存料や結着剤としてリンが含まれています。この無機リンは体内への吸収率が非常に高く、血管の石灰化を早める原因です。
成分表示を確認し、添加物の記載が多いものはできるだけ避けてください。自炊を中心とした生活に切り替えることで、目に見えない健康リスクを排除できます。
だしも市販の顆粒タイプには塩分やリンが含まれるため、昆布やかつお節からとった天然だしを活用しましょう。自然な風味は、慣れてくると素材の甘みを引き立ててくれます。
練り物などの加工品も、たまに楽しむ程度に留め、どうしても使用する場合は、熱湯で茹でてから使うことで、表面の添加物や塩分を少しでも減らすことが大切です。
喉の渇きが止まらなくなる濃い味付けを根本から見直す
塩分の摂りすぎは血圧を上げるだけでなく、激しい喉の渇きを引き起こし、水分の過剰摂取に繋がり、心臓に大きな負担をかけてしまうことになります。
漬物や梅干し、汁物の完食は、透析患者さんにとっては避けるべき行為です。味付けを薄くする代わりに、レモンやスダチの酸味、スパイスの香りを活用して満足度を上げましょう。
素材そのものの味を楽しむ味覚を育てることが、減塩生活を長続きさせる最大の秘訣で、一口目のインパクトを抑え、ゆっくり時間をかけて食べる工夫を心がけてください。
卓上醤油などは使わず、小皿に出して少量つけるスタイルに変えるだけでも塩分量は変わります。
特に警戒すべき高リスクな食品リスト
- 干しブドウや干し柿などの乾燥果物
- インスタント麺のスープやカップスープ
- ちくわやハムなどの塩分が多い加工品
カリウム管理を徹底して心停止のリスクから身を守る
カリウムは心臓の動きを調節する重要なミネラルですが、腎機能が低下していると体外へ排出できず、血中濃度が上がると突然死を招く恐れがあります。
食事から摂取するカリウム量を1日2000mg以下に抑えることが、安全な生活を送るための鉄則です。野菜の調理法や食材選びに細心の注意を払い、数値をコントロールしていきましょう。
野菜のゆでこぼし処理でカリウムを水に溶かし出す
カリウムは水に溶け出しやすい性質を持っているので、調理の際には、食材を小さめに切ってからたっぷりの湯でゆでこぼす方法が、最も効果的に数値を下げる手段です。
この一手間で、食材に含まれるカリウムを半分程度まで減らすことが可能です。煮物を作る際も、下ゆでした後に新しい水で煮込み直す工夫を欠かさないようにしましょう。
電子レンジ調理は手軽ですが、カリウムが食材内部に残ってしまうため、できるだけお湯を使った調理を優先します。日々の地道な努力が、大切な命を守ります。
茹でた後の野菜は、しっかりと水気を切ることも大切で、絞ることでさらに成分が抜けやすくなります。こうした家庭での工夫を習慣化し、安全な食卓を整えていきましょう。
イモ類や豆製品などの高カリウム食材は量を加減する
さつまいもや里芋などのイモ類、そして納豆や豆腐もカリウムが豊富です。健康に良いからと多食すると、血液検査の結果がすぐに危険域に達してしまいます。
食べる際は、量を半分にしたり、他の食材とのバランスを考えたりする調整が必要で、特に納豆は、1パックでも相当量のカリウムを摂取することになるため注意してください。
大豆製品はリンも多いため、摂取頻度を主治医や栄養士と相談するのも良い方法です。適切な知識を持つことが、制限の中でも自由な食生活を楽しむための近道となります。
どうしてもイモ類を食べたい時は、薄く切ってから長時間水にさらす、あるいは何度もゆでこぼすといった処理を徹底し、摂取する頻度自体も週に1、2回程度に留めましょう。
飲み物に含まれる隠れたカリウムの存在を忘れない
喉が渇いた時に飲むお茶の種類にも注意が必要で、抹茶や濃い煎茶にはカリウムが多く含まれています。代わりに、麦茶や玄米茶など、カリウムの少ない種類を選びましょう。
水分制限がある中で、何を飲むかは非常に重要な選択となります。野菜ジュースや果汁100%ジュースは、カリウムの塊であるため、透析中の方は原則として避けるべきです。
一口のジュースが体調を崩す引き金になることもあるため、常に成分を意識する姿勢を忘れないでください。お水や白湯を基本に、香りの良いお茶を適量楽しむのが安全です。
スポーツ飲料なども、カリウムや塩分、糖分が含まれているため注意が必要です。喉を潤す際は、氷を口に含んで溶かしながら飲むなど、水分量を抑える工夫も取り入れてみてください。
食材別カリウム削減の期待効果
| 対象食材 | 推奨される調理法 | カリウム減少率の目安 |
|---|---|---|
| ほうれん草 | 3分間ゆでて水にさらす | 約45%減少 |
| じゃがいも | 薄切りにしてゆでこぼす | 約30〜50%減少 |
| 人参 | 千切りにして水にさらす | 約20%減少 |
リンとタンパク質のバランスを保ち骨の健康を維持する
リンが体内に溜まりすぎると、カルシウムとのバランスが崩れ、骨がもろくなったり血管が石灰化したりします。リンはタンパク質とセットで含まれていることが多いため、タンパク質を確保しつつリンを抑える食事術を身につけることが必要です。
良質な食材を選び、添加物を避けることで、効率の良い栄養摂取を目指しましょう。
肉や魚の部位と鮮度にこだわってリンをコントロールする
新鮮な肉や魚は、加工されたものに比べて余分な成分の心配がなく、リンの管理がしやすくなります。魚の場合は、骨ごと食べる小魚よりも、身だけを食べる切り身が安心です。
肉類もレバーなどの内臓系はリンが多いため、避け、調理の際は、蒸す、焼くなどのシンプルな方法で、余分な調味料を使わずに素材の味を引き出しましょう。
タンパク質は体に必要不可欠ですが、摂りすぎは腎臓や透析の負担になるため、指定された量を守る意識を持ってください。質の高い食事は、心身の健康を維持するために大切です。
魚の干物などは塩分もリンも濃縮されているため、できるだけ生の状態で売られている魚を選び、自宅で焼き上げる方が健康的です。鮮度の良い食材選びから健康管理は始まっています。
乳製品の摂取回数を減らして数値を安定させる
牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品は、非常にリンが多い食材として知られています。血液検査で数値が高いと指摘された場合は、控えることが解決の近道です。
牛乳を飲む習慣がある方は、1日100ml以下に抑えるか、低リンの代替品を検討してください。お菓子作りや料理に使う場合も、チーズの使用量を減らし、香りで満足感を補いましょう。
嗜好品としての楽しみに留め、日常的に大量摂取する習慣を改善することが重要です。少しの配慮が、数年後も自分の足でしっかり歩ける体を維持することに繋がっていきます。
最近では低リン・低カリウムのミルクも販売されているため、どうしても牛乳の味が恋しい時は、そうした専用の製品を賢く活用するのも、ストレスを溜めない秘訣です。
卵料理を工夫してリンを大幅にカットするテクニック
卵は安価で栄養豊富な優れた食材ですが、黄身にはリンが集中している一方で、白身は純粋なタンパク質源として非常に優秀であり、透析患者さんの強い味方になってくれます。
卵料理を作る際は、全卵1個に対して白身のみをさらにもう1個分追加するなど、黄身の割合を減らす工夫がおすすめです。オムレツを作る時に白身を多めに使えばボリュームも出せます。
こうした小さな工夫の積み重ねが、血液検査の結果を改善させ、透析の効率を高める結果を生みます。食事を楽しむための知恵を、ぜひ今日からご自身の台所に取り入れてみてください。
ゆで卵を食べる際も、黄身を半分残すといった選択を習慣にしましょう。少しずつでもリンの摂取を意識することが、合併症から身を守るための確かな一歩となります。
代表的な食材のリン含有量と対策
- プロセスチーズよりもナチュラルチーズを少量選ぶ
- 内臓肉を避け、赤身肉をメインに活用する
- 魚は骨まで食べず、必ず身の部分だけを摂取する
塩分制限を無理なく続けて合併症の不安を解消する
透析患者さんの塩分摂取目標は1日6g未満とされています。これを守ることは、喉の渇きを防ぎ、血圧を安定させ、心臓への負担を劇的に減らすために非常に大切です。
単に味を薄くするだけでは食事が楽しくないので、だしや酸味、香辛料を上手に使いこなし、満足度の高いメニューを構築していくことが、長続きの秘訣になります。
酸味や香りを味方につけて食卓に刺激と彩りを加える
塩分を減らしても、レモンやゆず、お酢などの酸味を効かせることで、味の輪郭がはっきりして美味しく感じられ、また、ショウガ、ニンニク、シソなどの香味野菜も効果的です。
七味唐辛子やカレー粉といったスパイスを活用すれば、香りで脳を満足させることが可能になります。特にお酢は、塩味を引き立てる効果があるため、仕上げに少量加えてみてください。
こうしたテクニックを駆使して、塩に頼りすぎない味付けを楽しめるようになりましょう。新しい味の発見は、毎日の食事をポジティブで楽しい時間へと変えてくれるはずです。
ワサビやカラシの辛味も、塩分控えめな料理のアクセントとして重宝し、調味料を減らす代わりに、刺激や香りのバリエーションを増やすことで、無理なく食生活を豊かにできます。
表面だけに味をつける調理法で満足感を最大限に引き出す
食材の中まで味を染み込ませようとすると、どうしても多くの調味料が必要になります。おすすめなのは、食べる直前にタレを絡めたり、表面にだけサッと味をつけたりする方法です。
舌に最初に当たる部分がしっかりとした味であれば、脳は満足感を得やすくなります。刺身を食べる時も、醤油を直接かけるのではなく、小皿の醤油に少しだけつけるようにします。
煮物も、煮汁を最後に煮詰めて表面に絡めるように仕上げることで、使う塩分量を抑えられます。工夫一つで、お気に入りのメニューをあきらめずに継続することが可能になります。
焼き魚も塩を振るのではなく、焼き上がった後にレモンを絞ったり、大根おろしに少量のポン酢をかけたりする方が、舌で感じる美味しさを損なわず、安全に食べられます。
外食時や市販品選びのコツを掴んで賢く対応する
外食は基本的に塩分が高いため、注意が必要です。注文する際は、ソースを別添えにしてもらったり、麺類の汁を必ず残したりといった具体的な対策が欠かせないものとなります。
丼ものよりも、おかずを選べる定食スタイルの方が、全体のバランスを調整しやすくおすすめです。お惣菜を買う際も、付属のドレッシングを半分にするだけで大きな減塩になります。
一日のトータルで調整する考え方を持ち、昼に外食をしたら夜は極力控えるといった柔軟性が大切です。完璧を求めすぎず、持続可能な管理を自分なりのペースで続けていきましょう。
レストランでは、減塩対応をしてくれるお店も増えています。遠慮せずに注文時に相談してみるのも、安心して食事を楽しむための大切なステップと言えるでしょう。
外食で失敗しないための選択術
| 料理ジャンル | 注意すべき点 | おすすめの食べ方 |
|---|---|---|
| 和食 | 味噌汁や漬物の塩分 | 汁物は具だけを食べる |
| 洋食 | ソースやドレッシング | ソースは別皿でもらう |
| 中華 | とろみのある餡の塩分 | タレをしっかり切って食べる |
エネルギー不足を解消して元気な毎日を取り戻す方法
食事制限を気にするあまり、摂取エネルギーが不足してしまうと、体は自分の筋肉を壊してエネルギーを作り出そうとし、それが尿毒素を増やし、体力を奪ってしまいます。
脂質や糖質を賢く利用して、必要なカロリーをしっかりと補給しましょう。制限することと同じくらい、必要な分を食べることも大切です。
良質な油を日々の料理にプラスして手軽にカロリーアップする
油は少量で高いエネルギーを補給できる、透析患者さんの強い味方です。オリーブオイルやごま油を料理に適量加えるだけで、リンやカリウムを増やさずにエネルギーを稼げます。
炒め物はもちろん、お浸しや和え物に少し油を足すだけでもコクが出て美味しくなり、無味無臭のMCTオイルを活用すれば、飲み物や料理に混ぜるだけで手軽に補給可能です。
痩せてきた、力が出ないと感じる時は、油分を少し意識して増やしてみてください。しっかり食べることは、明日への活力に直結し、透析による疲労の回復を早めることにも繋がります。
揚げ物も、衣が吸収する油分で効率よくカロリーを摂れますが、その際は塩分を控えるように気をつけましょう。
低タンパクな和菓子やゼリーを間食に取り入れて補給する
3食の食事だけでは不十分な場合、間食でエネルギーを補うのが有効ですが、リンやカリウムの少ないものを選ばなければなりません。わらび餅や葛餅は理想的な選択肢です。
これらはデンプンや砂糖が主成分で、タンパク質やカリウムをほとんど含みません。一方で、チョコレートやナッツ類はリンとカリウムが非常に多いため、避けるのが鉄則です。
市販の低タンパク・高エネルギーな特殊食品を活用するのも賢い選択です。楽しみながら栄養を補給し、理想的な体重を維持する努力を前向きに続けていってください。
甘いものが苦手な方は、おにぎりやサンドイッチを軽食として摂るのも良いですが、その分主菜とのバランスを考慮しましょう。
調理法の組み合わせで栄養を逃さずしっかり摂取する
野菜のゆでこぼしはカリウムを減らしますが、一部のビタミンも失われるので、これを補うためにも、油で炒める調理法を組み合わせるのが、エネルギー確保の観点からも理想的です。
衣をつけて揚げるフライや天ぷらも、エネルギー補給には適した調理法です。もちろん、ソースや醤油は控えめにすることが前提ですが、食事の見た目の満足度は非常に高まります。
制限の中にも華やかさを持たせ、食事を苦痛ではなく楽しみに変えていきましょう。前向きに美味しく食べる姿勢が、結果として治療の質を高め、元気に過ごせる時間を増やします。
毎日の食事記録をつけてみると、どこでエネルギーが不足しているかが見えてきます。自分なりに工夫できるポイントを探しながら、快適な透析ライフを築き上げていきましょう。
おすすめのエネルギー補給食材
- マヨネーズ(塩分控えめで高カロリー)
- 春雨やくずきり(カリウム・リンがほぼゼロ)
- あめやガム(口寂しさを解消しつつ糖質補給)
透析センター(人工透析) | 大垣中央病院(医療法人社団豊正会 )
よくある質問
- 透析患者さんの食事管理において白米はおすすめの食べ物ですか?
-
白米は、透析中の方にとって最も安全で効率的なエネルギー源の一つです。
玄米や雑穀米は健康に良いイメージがありますが、リンやカリウムが精白米よりも格段に多いため、透析治療を受けている場合は白米を選ぶ方が身体への負担を大幅に減らせます。
毎食しっかりと白米を食べることで、エネルギー不足による筋肉の分解を防ぎ、日々の体調を安定させることが可能になります。
- 透析患者さんが控えるべき食べ物の代表であるバナナを食べる際の工夫はありますか?
-
バナナはカリウムが非常に多いため、原則として控えるべき食品ですが、どうしても食べたい場合は量を極端に少なくする工夫が必要です。
例えば、1本の半分や3分の1程度に留め、その分他の食事でのカリウム摂取を厳密に制限するようにしましょう。
また、生のまま食べるのではなく、薄くスライスしてヨーグルトに少量混ぜるなどして満足感を高め、血液検査の数値を常に確認しながら、嗜好品としてたまに楽しむ程度にしてください。
- 透析患者さんの食事制限がある中で外食を楽しむためのコツを教えてください。
-
工夫次第で外食を楽しむことは十分に可能であり、気分転換のためにも大切です。
注文の際に、ソースやドレッシングを別皿でもらう、漬物や汁物を残す、カリウムの多い生野菜サラダを避けるといった具体的な対策を徹底しましょう。
また、麺類よりもおかずとご飯が分かれている定食を選ぶことで、自分で摂取量をコントロールしやすくなります。外食をした日は前後の食事で調整を行い、一日の合計摂取量を守るように心がけてください。
- 透析患者さんが控えるべき食べ物であるハムなどの加工肉を食べる際の注意点は?
-
ハムやソーセージなどの加工肉には、吸収率の高い無機リンが含まれているため、極力控えるのが基本です。
どうしても食べる場合は、一度お湯でさっと茹でる「湯通し」をすることで、表面の塩分や添加物を少しでも洗い流す工夫をしてください。
食べる頻度を週に1回程度に抑え、代わりに生の鶏肉や豚肉を自宅で調理して食べる習慣をつけることが、長期的な骨の健康や血管の保護に繋がります。一回の量もスライス1枚程度に留めましょう。
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