【透析とは】腎不全治療の基礎知識と仕組みをやさしく解説

【透析とは】腎不全治療の基礎知識と仕組みをやさしく解説

医師から「腎臓の機能が低下している」と告げられたり、ご家族が「透析が必要かもしれない」と言われたりすると、大きな不安を感じるかもしれません。

透析という言葉は知っていても、具体的にどのような治療なのか、なぜ必要なのか、ご存じない方も多いでしょう。

この記事では、腎臓の働きが低下する腎不全とはどのような状態か、そして腎臓の機能を補う透析治療の基本的な知識と仕組みについて、解説します。

目次

腎臓の働きと腎不全の基礎

体が正常に機能するためには、腎臓が休むことなく働き続けることが大切で、機能が損なわれると、体全体に深刻な影響が及びます。まずは、腎臓の役割と、腎不全という状態の基本を理解することから始めましょう。

体にとって大切な腎臓の役割

腎臓は、腰のあたりに左右一つずつある、そら豆のような形をした臓器で、最もよく知られた働きは、血液をろ過して尿を作ることです。体の中でできた老廃物や、食事から摂取した余分な塩分・水分を尿として体の外に排出します。

腎臓の仕事はそれだけではなく、体内の水分量やミネラルのバランス(電解質バランス)を一定に保つ調整役も担っています。

さらに、血圧をコントロールするホルモンや、血液を作る(造血)ホルモンを分泌するなど、生命維持に欠かせない多くの重要な役割を持っています。

腎臓が担う主な機能

機能主な内容体への影響
老廃物の排出血液中の不要なもの(尿素窒素など)を尿として捨てる体内に毒素が溜まるのを防ぐ
水分・電解質の調整体液量、ナトリウム、カリウムなどのバランスを保つむくみや高血圧、不整脈などを防ぐ
ホルモンの分泌血圧調整(レニン)、造血(エリスロポエチン)など血圧の安定、貧血の予防

腎不全とはどのような状態か

腎不全とは、何らかの原因によって腎臓の機能が著しく低下し、上記のような大切な役割を十分に果たせなくなった状態です。

腎不全には、急激に機能が悪化する急性腎不全と、数か月から数十年かけてゆっくりと機能が低下していく慢性腎不全があります。慢性腎不全は、初期段階では自覚症状がほとんどないまま進行することが多いため、注意が必要です。

腎臓の機能はある一定のレベル(一般的に30%以下)まで低下すると、自然に回復することは難しくなると言われています。

腎不全が進行するとどうなるか

腎臓の機能が低下し、腎不全が進行すると、体はどのような影響を受けるのでしょうか。まず、老廃物や毒素が体内に蓄積し、尿毒症と呼ばれる状態を起こし、吐き気、食欲不振、だるさ、頭痛などの症状が現れます。

また、水分の排出がうまくいかなくなるため、体に水が溜まってむくみ(浮腫)が出たり、心臓に負担がかかって息切れ(心不全)を起こしたりします。

カリウムが溜まれば命に関わる不整脈の原因にもなり、ホルモンの分泌が減れば高血圧や貧血が進行し、腎不全は全身にわたる様々な合併症を起こすのです。

腎臓の機能低下(eGFR)と状態の目安

ステージeGFR(腎機能の指標)腎臓の状態(目安)
G1-G260以上腎機能は正常か軽度低下(ただし尿異常などがある場合)
G3a-G3b30~59腎機能は中等度低下
G415~29腎機能は高度低下
G515未満末期腎不全(透析などが必要になる段階)

eGFR(推算糸球体ろ過量)は、血液検査のクレアチニン値などから計算される腎機能の指標で、数値が低いほど、腎機能が低下していることを示します。

腎臓の機能が低下する主な原因

慢性腎不全に至る原因は様々ですが、日本では生活習慣病との関連が深い病気が上位を占めています。

  • 糖尿病性腎症(糖尿病の合併症)
  • 慢性糸球体腎炎(腎臓自体の炎症)
  • 腎硬化症(高血圧や動脈硬化によるもの)
  • 多発性のう胞腎(遺伝性の病気)

特に糖尿病性腎症と腎硬化症は、近年の透析導入原因の多くを占めており、日頃の血糖値や血圧の管理がいかに重要であるかを示しています。

透析治療が必要になるタイミング

腎機能が低下しても、すぐに透析が始まるわけではなく、食事療法や薬物療法で進行を遅らせる努力を続け、腎臓の働きが限界に近づいたとき、透析治療の導入が検討されます。

腎機能の低下を示すサイン

腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、機能がかなり低下するまで自覚症状が出にくい特徴がありますが、末期腎不全が近づくと、尿毒症による様々なサインが体に現れ始めます。

症状は個人差がありますが、透析を検討する重要な手がかりです。

  • 全身のむくみ(特に顔や足)
  • 尿量の極端な減少
  • 息切れ、呼吸が苦しい(心不全や肺水腫による)
  • 強いだるさ、疲れやすさ
  • 食欲の低下、吐き気、嘔吐
  • かゆみ(皮膚が乾燥し、老廃物が溜まるため)

透析導入の医学的な目安

医師が透析の開始を判断する際には、患者さんの自覚症状とあわせて、客観的な検査データを用います。

腎機能がどれくらい残っているか(eGFRやクレアチニンクリアランス)、体内に老廃物(尿素窒素など)やカリウムがどれくらい溜まっているか、水分がどれくらい溜まって心臓に負担がかかっているか(胸部レントゲンなど)を評価します。

eGFRが10未満になったあたりから、症状の有無にかかわらず透析の準備が具体的に話し合われることが一般的です。

透析導入を検討する主な目安

評価項目目安となる状態(例)考えられるリスク
臨床症状強いむくみ、息苦しさ、吐き気、食欲不振が続く尿毒症、心不全、栄養障害
腎機能(eGFR)10 mL/分/1.73㎡ 未満(個人差あり)老廃物の蓄積
血液検査血清カリウム値の高値、血液の酸性化(アシドーシス)不整脈、意識障害

医師が総合的に判断する流れ

透析の開始時期は、単一の検査数値だけで決まるものではありません。

症状や検査結果に加えて、患者さんの年齢、他の病気(合併症)の有無、日常生活の状況、ご本人の意思などを総合的に考慮して、医師と患者さん、ご家族が話し合いながら最終的に決定します。

腎機能が低下していると診断された場合、将来的に透析が必要になる可能性も視野に入れ、早い段階から医師と治療の選択肢について相談しておくことが大切です。

透析治療の基本的な仕組み

透析治療は、働かなくなった腎臓の代わりに、人工的な方法で血液をきれいにする治療法です。治療がどのようにして体内のバランスを保っているのか、基本的な仕組みを見ていきましょう。

透析が目指すもの 腎臓の代わり

透析治療の最大の目的は、腎不全によって失われた腎臓の機能の一部を代行することです。

腎臓が担っていた二つの大きな役割、老廃物の除去と余分な水分の除去を行うことで、尿毒症の症状を改善し、体内の水分バランスを整え、生命を維持することが可能になります。

ただし、透析治療は腎臓のすべての機能を代替できるわけではありません。ホルモンを分泌する機能などは補えないため、別途、薬(造血ホルモンの注射やビタミンDなど)で補うことが必要です。

血液から老廃物を取り除く仕組み

透析では、拡散という原理を利用して老廃物を取り除き、これは、濃度の濃い方から薄い方へ物質が移動する性質を使ったものです。

透析治療では、患者さんの血液と透析液というきれいな液体を、半透膜という非常に小さな穴が無数に開いた膜を介して接触させます。

血液中には老廃物(尿素窒素など)が溜まって濃い状態になっていますが、透析液には老廃物が含まれていない(濃度が薄い)ため、老廃物は濃度の高い血液側から、濃度の低い透析液側へと半透膜の穴を通って移動していき、血液が浄化されます。

ただし、体に必要なブドウ糖やミネラルなどは、透析液にも血液中とほぼ同じ濃度で含まれているため、血液から失われることはありません。

体内の余分な水分を調整する仕組み

腎不全になると尿が出にくくなり、体内に水分が溜まりがちになるので、余分な水分を取り除くために、透析では限外ろ過(げんがいろか)という原理を用い、これは、圧力の差を利用して水分を移動させる方法です。

透析中、血液側に圧力をかけるか、透析液側から引く力(陰圧)をかけるか、あるいは透析液の浸透圧(水分を引き寄せる力)を高めることによって、血液中の余分な水分を半透膜を通して透析液側へと絞り出します。

水分除去の量は、患者さんの体重増加(=溜まった水分量)に応じて、治療ごとに調整します。

透析治療の主な種類

透析治療には、大きく分けて血液透析と腹膜透析の二つの方法があり、どちらも腎臓の機能を代行するという目的は同じですが、治療を行う場所や時間、仕組みが異なります。

それぞれの特徴を理解し、どちらがご自身の生活に適しているかを考える材料にしてください。

血液透析(HD)とは

血液透析(Hemodialysis: HD)は、体の外で血液を浄化する方法です。

まず、腕の血管から血液を体外に取り出し、ダイアライザー(人工腎臓)と呼ばれる透析器に通します。ダイアライザーの中には、半透膜が詰まっており、そこで血液が透析液に触れることで老廃物や余分な水分が除去されます。

きれいになった血液は、再び体内に戻されます。この治療は、一般的に週に3回、病院やクリニックなどの医療機関に通院して行い、1回の治療には通常4時間から5時間程度です。

腹膜透析(PD)とは

腹膜透析(Peritoneal Dialysis: PD)は、自分自身のお腹の中にある腹膜を半透膜として利用する方法です。

腹膜は、胃や腸などの内臓を覆っている薄い膜で、毛細血管が豊富にあり、お腹に細いカテーテルという管を埋め込む手術を事前に行います。

カテーテルを通して、お腹の中(腹腔)に透析液を入れ、一定時間溜めておくと、腹膜を介して血液中の老廃物や余分な水分が、拡散と浸透圧(透析液のブドウ糖濃度で水分を引き寄せる)によって透析液側に移動します。

時間が経ったら、老廃物を含んだ透析液をカテーテルから排出し、新しい透析液と交換し、交換作業(バッグ交換)は、主に自宅や職場で患者さんご自身(またはご家族)が行います。

それぞれの治療法の違い

血液透析と腹膜透析は、どちらも確立された腎不全の治療法ですが、生活への影響が大きく異なります。どちらか一方が優れているというわけではなく、患者さんの医学的な状態や、生活スタイル、ご本人の希望に基づいて選択します。

血液透析(HD)と腹膜透析(PD)の主な違い

項目血液透析(HD)腹膜透析(PD)
治療の場所医療機関(病院・クリニック)主に自宅(または職場など)
治療の頻度・時間週3回、1回4~5時間程度毎日(1日数回の交換、または夜間睡眠中)
仕組みダイアライザー(人工腎臓)で血液を浄化自分自身の腹膜を利用して浄化

血液透析(HD)の詳しい流れ

血液透析は、日本で最も多くの患者さんが受けている透析治療で、医療機関に通院し、専門のスタッフのもとで治療を受けます。ここでは、血液透析を開始するために必要な準備と、実際の治療の流れについて解説します。

治療のために必要な準備(シャント)

血液透析では、1分間に約200mlという大量の血液を体外に取り出し、ダイアライザーへ送る必要がありますが、通常の静脈は血流が弱く、毎回太い針を刺すのにも適していません。

そこで、透析を始める前に、腕の血管に内(ない)シャント、またはバスキュラーアクセスと呼ばれる血液の出入り口を作る手術(通常は局所麻酔による日帰り手術)を行います。

最も一般的な内シャントは、手首近くの動脈と静脈をつなぎ合わせるもので、手術により血流の豊富な動脈血が静脈に流れ込むようになり、静脈が太く発達して、透析治療に必要な血流量を確保できるようになります。

シャントは透析患者さんにとって命綱とも言える大切なもので、日頃から詰まったり感染したりしないよう管理することが重要です。

シャント(バスキュラーアクセス)の主な種類

  • 自己血管内シャント(AVF):ご自身の動脈と静脈をつなぐ最も一般的な方法
  • 人工血管内シャント(AVG):自己血管が適さない場合に人工の管を使ってつなぐ方法
  • 動脈表在化:動脈を皮膚のすぐ下に移動させる方法

通院してからの治療ステップ

医療機関に到着したら、まずは体重測定を行います。前回の透析終了時からの体重増加をチェックし、今回除去する水分量(除水量)を決定し、その後、血圧や体温を測定し、体調を確認します。

ベッドに移動したら、看護師や臨床工学技士がシャントの状態を確認し、消毒した後、2本の針を刺します。1本は血液を体外に取り出す脱血用、もう1本はきれいになった血液を体内に戻す返血用です。

針が正しく刺さっていることを確認したら、血液ポンプをゆっくりと回し始め、血液透析装置(コンソール)とダイアライザーを通して血液の循環を開始し、治療中は、血圧や体調に変化がないかスタッフが常に監視します。

治療にかかる時間と頻度

血液透析の治療時間や頻度は、患者さんの体格や残っている腎機能、食事の摂取量などによって異なりますが、標準的には週3回(月・水・金または火・木・土)、1回4時間が基本です。

治療時間が短いと、老廃物や水分の除去が不十分になり、体に負担がかかり合併症の原因となることがあるので、定められた時間をしっかりと透析することが、長期的に健康を保つためにとても大事です。

治療中はベッドの上で安静にしている必要がありますが、多くの場合、読書をしたり、テレビを見たり、睡眠をとったりして過ごします。

血液透析の一般的なスケジュール例

曜日時間帯(例)内容
月・水・金午前(例 9:00-13:00)医療機関で血液透析(4時間)
火・木・土・日終日透析のない日(食事・水分管理は継続)

腹膜透析(PD)の詳しい流れ

腹膜透析は、主に自宅で患者さんご自身が主体となって行う治療法で、通院の頻度が少なく、時間の制約が比較的少ないため、社会生活や日常生活の自由度が高いです。

治療のために必要な準備(カテーテル)

腹膜透析を始める前には、透析液の出入り口となるPDカテーテルをお腹に埋め込むための手術が必要で、全身麻酔または局所麻酔で行われ、数日間の入院が必要となることが一般的です。

カテーテルは、直径数ミリの柔らかいチューブで、お腹の皮膚の下を通して先端が腹腔(内臓がおさまっている空間)に留置され、皮膚から出ている部分は、感染を防ぐために清潔に管理します。

手術後、カテーテルが体になじみ、傷が癒えるまで(通常数週間)、透析液の出し入れの方法や清潔操作について、医療スタッフによる十分な教育と訓練を受けます。

自宅での透析液交換の方法

腹膜透析には、日中に数回、透析液をご自身で交換するCAPD(連続携行式腹膜透析)と、夜間寝ている間に機械が自動で交換を行うAPD(自動腹膜透析)の二つの方法があります。

CAPDの場合、1回の交換作業(バッグ交換)にかかる時間は約30分程度です。

まず、清潔な手洗いとうがいを行い、マスクを着用します。カテーテルに接続されている古い透析液バッグ(排液バッグ)を低い位置に置き、お腹に溜まっていた透析液(老廃物を含んだ液)を排出します。

排液が終わったら、カテーテルを外し、新しい透析液バッグを接続し、バッグを高い位置に吊るし、新しい透析液(約1.5〜2リットル)をお腹の中へ注入します。注入が終わったらカテーテルをバッグから切り離し、キャップをして交換は終了です。

透析液は、次の交換までの数時間、お腹に溜めておき、その間に血液が浄化されます。

生活スタイルに合わせた治療

腹膜透析の大きな利点は、生活リズムに合わせて治療法を選択できることで、CAPDは、1日に3回から5回程度のバッグ交換が必要ですが、場所を選ばず(清潔な環境は必要)、日中の活動の合間にご自身のタイミングで行えます。

APDは、夜寝る前にカテーテルを専用の機械(サイクラー)に接続するだけで、睡眠中に自動で透析液の注入と排出を繰り返してくれます。朝起きたら機械からカテーテルを外すだけで、日中は透析液の交換から解放されます。

仕事や学校などで日中の時間を確保したい方に適していて、通院は、血液透析が週3回なのに対し、腹膜透析は月に1回から2回程度が一般的です。

腹膜透析(CAPD)の1日の交換スケジュール例

時間帯(例)行うこと場所
7:00頃1回目のバッグ交換自宅
12:00頃2回目のバッグ交換職場・学校・自宅
17:00頃3回目のバッグ交換自宅・外出先
22:00頃4回目のバッグ交換(就寝前)自宅

透析治療と日常生活のポイント

透析治療が始まると、それまでの生活が大きく変わると感じるかもしれませんが、いくつかの重要なポイントを守ることで、治療を受けながらも、仕事や趣味を含めたその人らしい生活を送ることが可能です。

食事管理の重要性

透析治療が腎臓の機能をすべて代行できるわけではないため、食事管理は治療と同じくらい重要です。

慢性腎不全では、腎臓に負担をかけるたんぱく質の摂取を制限することがありますが、透析が始まると、今度は治療によってたんぱく質(アミノ酸)が失われるため、逆に体力を維持するために十分なたんぱく質を摂る必要があります。

ただし、たんぱく質の代謝産物であるリンや、野菜・果物に含まれるカリウムは、透析で除去しきれずに体内に溜まりやすいため、摂取を制限することが求められます。

食事療法で注意したい主な栄養素

  • カリウム:摂りすぎると高カリウム血症(不整脈の原因)になるため、生野菜や果物、イモ類などに注意。
  • リン:摂りすぎると骨がもろくなったり、血管の石灰化を進めたりするため、乳製品や加工食品、魚卵などに注意。
  • たんぱく質:体力を維持するために良質なものを適量摂る。
  • エネルギー(カロリー):食事制限で不足しがちなため、炭水化物や脂質で補う。

水分と塩分のコントロール

腎臓の機能が低下すると、尿量が減り、体に入った水分や塩分をうまく排出できなくなります。透析治療で除去できる水分量には限界があるため、日頃から水分と塩分の摂取量を厳しく管理することがとても大事です。

塩分を多く摂ると喉が渇き、水分を多く摂ってしまい、体内に水分が溜まり(体重増加)、むくみ、高血圧、心不全や肺水腫(呼吸困難)を起こす原因となります。

透析と透析の間の体重増加(中1日なら体重の3%、中2日なら5%以内が目安)を抑えることが、心臓への負担を減らし、安全な透析治療を続けるための鍵です。

水分・塩分管理の目安

項目管理のポイント(目安)摂りすぎた場合のリスク
塩分1日6g未満(厳格な管理が必要)喉の渇き、高血圧、水分の蓄積
水分前日の尿量 + 500~800mL程度(体重増加で調整)むくみ、体重増加、心不全、高血圧

(注:これらの数値はあくまで一般的な目安であり、個々の患者さんの状態によって異なります。)

日常生活で心がけたいこと

透析治療を続けながら元気に過ごすためには、食事や水分管理以外にも日常生活で気をつける点がいくつかあり、まず、処方された薬を正しく服用することです。

透析患者さんは、血圧の薬、リンを下げる薬、貧血を改善する薬など、多くの薬を服用する必要があり、 次に、適度な運動です。体調に合わせて散歩などの軽い運動を続けることは、筋力の維持、ストレス解消、血圧の安定にもつながります。

また、シャントやカテーテルの管理も欠かせません。感染や閉塞を防ぐため、毎日清潔に保ち、異常がないか観察する習慣が大切です。

そして何より、体調の変化に気を配り、無理をせず、不安なことがあればすぐに医師や医療スタッフに相談することが重要になります。

  • 処方された薬の確実な服用
  • シャントやカテーテル出口部の清潔保持と観察
  • 体重と血圧の自己管理(毎日の測定)
  • 禁煙と感染予防(手洗い、うがい)
  • 体調に合わせた適度な運動

【透析とは】に関するよくある質問

透析治療について、多くの方が抱く疑問や不安にお答えします。

透析を始めたら一生続けないといけないのですか

多くの場合、生涯にわたって治療を続ける必要があります。慢性腎不全によって失われた腎機能は、現在の医学では回復させることが難しく、透析治療は、失われた腎臓の働きを代行し続けることで生命を維持する治療法です。

治療を中断してしまうと、数日から数週間で老廃物や水分が体内に溜まり、命に関わる状態になります。ただし、腎臓移植を受け、腎臓がうまく機能すれば、透析治療から離脱することは可能です。

透析治療中に痛みはありますか

治療自体に痛みはありませんが、血液透析では針を刺す痛みがあります。

血液透析では、治療のたびにシャントへ2本の針を刺す必要があり、穿刺(せんし)による痛みはありますが、痛みを和らげるための麻酔テープやクリームを使うこともできます。

透析治療中(血液が体内を循環している間)や、腹膜透析の透析液を交換する際に、痛みを感じることは通常ありません。もし治療中に不快感や体調の変化があれば、すぐにスタッフに知らせることが大切です。

透析をしていても仕事や学校は続けられますか

多くの方が治療と両立して社会生活を送っています。ただし、透析治療のスケジュールに合わせて、生活リズムを調整することは必要です。

血液透析の場合、夜間透析(夕方から夜にかけて行う透析)を実施している施設を利用すれば、日中の仕事を続けることができます。

また、腹膜透析(特にAPD)は、日中の時間を比較的自由に使えるため、仕事や学業との両立がしやすい治療法と言えます。体力的な負担も考慮しながら、職場や学校と相談し、無理のない範囲で続けることが重要です。

旅行や運動はできますか

どちらも可能ですが、事前の準備と体調管理が重要です。旅行については、血液透析の方は、旅行先の近くで透析を受けられる施設を事前に予約する必要があります(臨時透析)。

腹膜透析の方は、透析液や関連物品を旅行先に送る手配をすれば、国内外問わず旅行が可能です。運動については、体調が安定していれば、医師と相談の上で、ウォーキングや水泳などの軽い運動は推奨されます。

ただし、シャントやカテーテルを傷つけないよう注意が必要です。

以上

参考文献

Watanabe Y, Yamagata K, Nishi S, Hirakata H, Hanafusa N, Saito C, Hattori M, Itami N, Komatsu Y, Kawaguchi Y, Tsuruya K. Japanese society for dialysis therapy clinical guideline for “hemodialysis initiation for maintenance hemodialysis”. Therapeutic Apheresis and Dialysis. 2015 Mar;19:93-107.

Ryuzakid M. New Japanese society of dialysis therapy guidelines for peritoneal dialysis. CKD-Associated Complications: Progress in the Last Half Century. 2019 Apr 16;198:52-61.

Fukagawa M, Yokoyama K, Koiwa F, Taniguchi M, Shoji T, Kazama JJ, Komaba H, Ando R, Kakuta T, Fujii H, Nakayama M. Clinical practice guideline for the management of chronic kidney disease‐mineral and bone disorder. Therapeutic Apheresis and Dialysis. 2013 Jun;17(3):247-88.

Sato T, Sakurai H, Okubo K, Kusuta R, Onogi T, Tsuboi M. Current state of dialysis treatment and vascular access management in Japan. The journal of vascular access. 2019 May;20(1_suppl):10-4.

Akizawa T. Current status of dialysis therapy and related clinical guidelines in Japan. JMAJ. 2010;53(3):185-7.

Nitta K, Masakane I, Tomo T, Tsuchida K, Ikeda K, Ogawa T, Kanda E, Kanno Y, Komatsu Y, Taniguchi M, Taki F. Policy for developing clinical practice guidelines of Japanese Society for Dialysis Therapy. Renal Replacement Therapy. 2017 May 11;3(1):34.

Yamagata K, Hoshino J, Sugiyama H, Hanafusa N, Shibagaki Y, Komatsu Y, Konta T, Fujii N, Kanda E, Sofue T, Ishizuka K. Clinical practice guideline for renal rehabilitation: systematic reviews and recommendations of exercise therapies in patients with kidney diseases. Renal Replacement Therapy. 2019 Dec;5(1):1-9.

Kazama JJ. Japanese Society of Dialysis Therapy treatment guidelines for secondary hyperparathyroidism. Therapeutic Apheresis and Dialysis. 2007 Oct;11:S44-7.

Okada K, Tsuchiya K, Sakai K, Kuragano T, Uchida A, Tsuruya K, Tomo T, Hamada C, Fukagawa M, Kawaguchi Y, Watanabe Y. Shared decision making for the initiation and continuation of dialysis: A proposal from the Japanese Society for Dialysis Therapy. Renal Replacement Therapy. 2021 Oct 14;7(1):56.

Kawasaki T, Uchino J, Shinoda T, Kawanishi H. Guidance of technical management of dialysis water and dialysis fluid for the Japan Association for Clinical Engineering Technologists. Blood purification. 2009 Jun 26;27(1):41.

免責事項

当院の医療情報について

当記事は、医療に関する知見を提供することを目的としており、当院への診療の勧誘を意図したものではございません。治療についての最終的な決定は、患者様ご自身の責任で慎重になさるようお願いいたします。

掲載情報の信頼性

当記事の内容は、信頼性の高い医学文献やガイドラインを参考にしていますが、医療情報には変動や不確実性が伴うことをご理解ください。また、情報の正確性には万全を期しておりますが、掲載情報の誤りや第三者による改ざん、通信トラブルなどが生じた場合には、当院は一切責任を負いません。

情報の時限性

掲載されている情報は、記載された日付の時点でのものであり、常に最新の状態を保証するものではありません。情報が更新された場合でも、当院がそれを即座に反映させる保証はございません。

ご利用にあたっての注意

医療情報は日々進化しており、専門的な判断が求められることが多いため、当記事はあくまで一つの参考としてご活用いただき、具体的な治療方針については、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

大垣中央病院・こばとも皮膚科

  • URLをコピーしました!
目次