交通事故の衝撃で頭を強く打ち、脳震盪を起こす方は少なくありません。早期の段階で症状を把握し、必要な治療へつなげることが将来のリスクを抑えるうえで重要です。
ここでは整形外科の観点から、脳震盪の特徴や治療プロセス、日常生活における注意点などをわかりやすくまとめます。ご自身やご家族が交通事故に遭われた場合の参考にしていただければ幸いです。
頭部のケガは軽症に見えても、時間が経過してから症状が現れることがあるため、注意が必要です。事故後に少しでも違和感を覚えたら、早めに専門医へご相談ください。
この記事の執筆者

臼井 大記(うすい だいき)
日本整形外科学会認定専門医
医療社団法人豊正会大垣中央病院 整形外科・麻酔科 担当医師
2009年に帝京大学医学部医学科卒業後、厚生中央病院に勤務。東京医大病院麻酔科に入局後、カンボジアSun International Clinicに従事し、ノースウェスタン大学にて学位取得(修士)。帰国後、岐阜大学附属病院、高山赤十字病院、岐阜総合医療センター、岐阜赤十字病院で整形外科医として勤務。2023年4月より大垣中央病院に入職、整形外科・麻酔科の担当医を務める。
交通事故による脳震盪とは
交通事故で頭部を強打した際、脳が衝撃を受けることで一時的に意識レベルが低下したり、思考や感覚に混乱が生じたりする状態を脳震盪と呼びます。
整形外科では、骨や関節の怪我だけでなく、頭部を含む全身の状態を総合的に評価して治療方針を立てることが大切です。この章では脳震盪の基本的な定義や、交通事故と脳震盪の関係性について解説します。
脳震盪の定義と特徴
脳震盪は医学的には「軽度の外傷性脳損傷」の一種とされています。
強い外力が頭部に加わった際、脳内部が一時的に揺さぶられることで様々な症状が出現し、意識障害が数分以内から数時間以内程度で回復するケースが多いです。
画像検査では明らかな異常が見つからないことが多いものの、注意力の低下や頭痛などが長引く場合もあります。
交通事故で脳震盪を起こすメカニズム
交通事故では、前方や側面から衝撃を受けるだけでなく、急停車による急激な加速・減速が加わります。
シートベルトやエアバッグが作動しても完全には衝撃を防ぎきれず、頭が前後左右に強く振られてしまうと脳内部が激しく動き、脳震盪を起こす可能性があります。
軽視されがちな軽度外傷のリスク
交通事故直後は「大丈夫そう」「少し頭が痛いだけ」と判断してしまいがちですが、軽度に見える外傷も時間が経つと頭痛やめまいが強くなる場合があります。
少しでも違和感があれば、専門医の診断を受けることが大切です。
脳震盪に関する初期の留意点
- 頭痛や吐き気、めまいなどが軽度でも放置しない
- 受傷後、意識レベルに変化があればすぐ医療機関へ
- 事故後の記憶があいまいな場合も医師に伝える
- 自覚症状がなくても複数日にわたって様子を見る
ここで急性期の症状を見逃すと、のちの治療計画が遅れたり、不調が長引いたりする恐れがあります。
脳震盪とその他の頭部外傷との違い
頭部外傷には脳挫傷や硬膜下血腫など重篤なものも含まれます。脳震盪は比較的軽度な外傷性脳損傷と考えられますが、交通事故の規模や衝撃によっては、より深刻な頭部外傷を併発している場合もあります。
そのため、慎重な判断と精密検査が必要です。
脳震盪・脳挫傷・硬膜下血腫の区別
外傷名 | 主な原因 | 症状の重さ | 代表的な症状 |
---|---|---|---|
脳震盪 | 頭部を強く打ち、脳が揺さぶられる | 軽~中等度 | 頭痛、めまい、意識低下など |
脳挫傷 | 脳が頭蓋骨内部に強く衝突 | 中等度~重度 | 頭痛、意識障害、嘔吐など |
硬膜下血腫 | 脳表面の血管が切れて硬膜下に出血 | 重度 | 意識レベル低下、麻痺など |
脳震盪と思っていても、実は脳挫傷や硬膜下血腫の早期症状の場合もあります。
痛みの程度や意識の状態だけで自己判断せず、専門医の診察を受けることが重要です。
交通事故の衝撃と脳への影響
交通事故で脳震盪が起こる理由として、急激な外力が頭部に加わることで、脳組織自体に微小な損傷や代謝障害が生じることが挙げられます。
整形外科では骨や筋肉など運動器のダメージ評価が中心に思われがちですが、全身に及ぶ衝撃や頭部に対する影響にも目を配ります。
ここでは交通事故特有の衝撃の特徴や、脳への影響について具体的に説明します。
衝撃が頭部に伝わる仕組み
車同士の衝突や追突事故などでは、車体に伝わったエネルギーがシートを介して人間の体へと急激に伝わります。
シートベルトやエアバッグである程度の衝撃は和らげられますが、急停止の際の前後運動は完全には防げず、頭蓋骨の中で脳が揺さぶられます。
この揺れが脳細胞にストレスを与え、一過性の機能障害を引き起こします。
脳の代謝障害と二次的影響
衝撃によって脳の神経細胞や血管に微細な損傷が生じると、酸素や栄養素の供給が一時的に低下したり、老廃物の排出がうまくいかなくなったりする可能性があります。
その結果、頭痛や集中力低下などの症状がしばらく続く場合があります。
適切な治療と安静によってこれらの代謝障害は多くの場合回復が見込まれますが、放置すると長引く恐れがあります。
シートベルトとエアバッグの役割
シートベルトやエアバッグは、衝撃を和らげ重傷を防ぐ役割を果たします。
ただし、首や肩で留めるシートベルトは胸部や腹部には大きな負荷がかかり、エアバッグは展開の瞬間に顔面へ強い衝撃を与える場合があります。
頭部はむしろブレーキなどの遠心力で大きく振られやすいことも念頭に置いておく必要があります。
交通事故時の衝撃要因
- 衝突時の車速や衝撃角度
- シートベルトの位置や装着具合
- エアバッグの展開タイミング
- 座席の高さやリクライニング角度
こうした要因が複合的にからみ合い、頭部へ大きな衝撃が加わると脳震盪のリスクが高まります。
身体全体への影響も考慮する必要性
交通事故の衝撃は頭部だけではなく、頸椎や腰椎、肩関節や膝関節などあらゆる部位にダメージを与えます。
特に首のむち打ち症(頸椎捻挫)などは頭部の運動軌跡に影響し、脳への衝撃度合いにも関わってきます。
交通事故で生じる主な負傷例
負傷例 | 部位 | 主な症状 | 後遺症の可能性 |
---|---|---|---|
むち打ち症 | 頸椎 | 首や肩の痛み、しびれ、頭痛など | 慢性的な痛み |
腰椎捻挫 | 腰椎 | 腰の痛み、動作時の違和感 | 慢性的な腰痛 |
膝関節損傷 | 膝関節 | 膝の痛み、可動域の制限 | 変形性関節症のリスク |
頭部打撲 | 頭蓋骨・脳 | 脳震盪、頭蓋骨骨折など | 後遺的な頭痛、めまいなど |
脳震盪を疑う場合でも、他の部位の怪我を同時にチェックすることが治療計画を立てるうえで重要です。
脳震盪の代表的な症状
脳震盪は「一時的な意識障害を伴うことが多い軽度の頭部外傷」として認識されますが、具体的な症状の出方や程度は人によって異なります。
特に交通事故による脳震盪では、多方面からの衝撃が加わるため、頭痛だけでなくめまいや耳鳴りなど、さまざまな形で症状が現れます。
ここでは代表的な症状を挙げ、どのような経過をたどることが多いかを説明します。
頭痛やめまい、吐き気
脳震盪の症状として最も多いのが頭痛であり、事故後数時間から数日間続く場合があります。めまいや吐き気、嘔吐といった症状も合わせて起こり、学校や仕事に支障をきたすケースがみられます。
これらは脳の一時的な機能障害や血流の乱れなどが原因と考えられます。
集中力低下や記憶障害
脳震盪を起こした後に、集中力や注意力が低下し、仕事や学業にスムーズに戻れない場合があります。また、事故当時の記憶が曖昧になったり、直後の出来事を思い出しにくくなったりすることもあります。
多くは時間の経過とともに改善しますが、長引く場合は医師の診察を継続的に受けることが大切です。
脳震盪後にみられる神経学的症状
症状 | 内容 | 改善傾向 |
---|---|---|
頭痛 | 衝撃後の痛みや締め付けられる感覚 | 数日~数週間で緩和 |
めまい・バランス障害 | 立ち上がった時にふらつき、歩行時に不安定になる | 安静とリハビリで回復 |
記憶障害 | 事故直後の記憶喪失や集中力の低下 | 徐々に回復することが多い |
視覚・聴覚異常 | 光がまぶしい、耳鳴りなど | 時間経過とともに改善 |
症状が改善に向かわず悪化していく場合は、より深刻な頭部外傷の可能性も視野に入れる必要があります。
感情の不安定や睡眠障害
交通事故を経験したストレスや脳の機能変化によって、情緒が不安定になったり、寝つきが悪くなったりするケースもみられます。
短期間であれば自然に治まることが多いものの、事故による心理的トラウマが影響している場合もあるため、症状が長引くなら専門家に相談したほうが良いでしょう。
脳震盪後の対応で押さえたいポイント
- 強い頭痛や嘔吐が持続する場合は速やかに再受診
- 自宅での安静時も急激な症状変化に注意
- スマートフォンやパソコンの画面を見すぎない工夫
- 睡眠リズムを整え、規則正しい生活を心がける
ごく軽い症状に思えても、時間がたつにつれ強まることがあるため、適切な対応を続けることが重要です。
受診のタイミングと整形外科での診断方法
交通事故後に頭部を打った、もしくは少しでも違和感がある場合には、できるだけ早めに医療機関を受診することが望ましいです。
整形外科では脳神経外科とも連携を図りながら、頭部の画像検査や神経学的な評価を行い、脳震盪の有無や重症度を判断します。受診のタイミングと、整形外科で行われる主な診断方法について説明します。
受診が必要な目安
交通事故後、頭痛やめまいなどの症状が軽度でも、以下の状況に当てはまる場合はなるべく早めに受診したほうが安心です。
特に高齢者や基礎疾患のある方は症状が出にくく、重症化しやすい傾向があるため注意が必要です。
受診を検討したい症状と状況
- 頭痛や吐き気が数日以上続く
- 意識がもうろうとして、日常生活に支障がある
- 記憶が途切れたり混乱したりする
- 事故前と比べて明らかに性格が変わったように感じる
事故直後はアドレナリンが分泌され痛みを感じにくいこともあり、後から症状が出ることも珍しくありません。
整形外科で行う検査内容
整形外科での検査では、まず身体所見や受傷状況のヒアリングを通じて、外傷の程度や部位を特定します。問診と視診、触診を行い、必要に応じてレントゲン撮影やMRI、CTなどの画像検査を実施します。
また、整形外科では脳神経外科とも連携して総合的に検査・診断を進めることが多いです。
整形外科で実施される主な検査
検査名 | 特徴 | 目的 |
---|---|---|
レントゲン | 骨折の有無や骨の配列を短時間で確認可能 | 頭蓋骨骨折や頸椎・腰椎の骨折のチェック |
MRI | 軟部組織や脳の状態を詳細に把握 | 脳組織の微小損傷や軟部組織の損傷評価 |
CT | 骨や出血などの確認が短時間でできる | 出血の有無や骨折、重度の損傷チェック |
神経学的検査 | 反射や感覚、運動機能を評価 | 脳神経の障害程度や定位診断の参考 |
症状や受傷状況に応じて、複数の検査を組み合わせて行う場合があります。
診断までの流れと注意点
整形外科では事故当日の様子や症状の変化を詳しくヒアリングするため、受診前に以下の点を整理しておくとスムーズです。
- 事故の日時や状況(車の速度、衝突の向きなど)
- 頭を強く打ったときの感覚や痛みの程度
- 意識を失ったかどうか、失った場合はどのくらいの時間か
- その後の頭痛や吐き気、めまい、痺れなどの有無
受診時は保険会社とのやり取りや、警察による事故証明書なども関わってくるため、書類の準備も忘れずに行いましょう。
受診時にまとめておきたい情報
- 事故発生時刻、場所、相手の車種と自車の状況
- 事故後すぐの体調(意識の有無、痛みの度合いなど)
- 目撃者や証言者の連絡先がある場合はメモ
- 症状の経過(いつから症状が強まったか、頻度など)
早期の診断と治療が回復を早めるだけでなく、将来的な後遺症のリスク軽減にもつながります。
治療の流れと回復までの段階
脳震盪の治療では、まず急性期の症状を抑え、頭部を安静に保つことが重要となります。
交通事故によるダメージが全身に及んでいる可能性があるため、整形外科や他診療科の医師と連携しながら段階的に治療を進めることが大切です。ここでは、治療開始から回復までの一般的な流れを示します。
急性期の対応
脳震盪が疑われる場合、まずは頭部への負荷を極力避け、絶対安静に近い状態を保ちます。急性期には症状の悪化を防ぐため、脳や首にかかる負担を減らすことが優先されます。
急性期に推奨されるケア
- 安静:できるだけ頭部や首に負担をかけないように横になって過ごす
- 水分補給:吐き気がある場合でも少量ずつこまめに摂取する
- 暗い部屋で過ごす:光刺激を避けて頭痛やめまいを緩和
- 無理に仕事や勉強をしない:脳に過剰な負荷をかけない
これらの対応を行うことで、症状の改善が早まることが期待されます。
整形外科での治療方針
整形外科では頭部以外の関節や筋肉の損傷にも同時にアプローチします。軽度の脳震盪であっても首や背中に大きなダメージを負っている場合、そちらの治療が優先されることもあります。
必要に応じて消炎鎮痛剤の処方やリハビリテーションを並行して行い、全身の回復を目指します。
治療のステップと目的
ステップ | 主な目的 | 治療内容 |
---|---|---|
急性期(~1週間程度) | 症状の悪化防止と炎症の軽減 | 安静、投薬、経過観察 |
回復期(1~3週間) | 症状の改善と身体機能のリハビリ | 物理療法、軽い運動、リハビリ |
慣らし期(1~3か月) | 日常生活や仕事・運動への復帰 | 徐々に活動量を増やす、再評価 |
個人差がありますが、このように段階的に治療とリハビリを進めることが一般的です。
回復期とリハビリテーション
脳震盪の症状がやや落ち着いてきたら、身体を慣らしながら日常生活に復帰するリハビリが始まります。首や肩、腰などに痛みが残っている場合は、整形外科で専門的なリハビリ指導を受けるとスムーズです。
過度な負荷を避けつつ、ストレッチや軽度の筋力トレーニングを行うことで、心身の回復を促します。
後遺症のリスクと予防策
脳震盪自体は多くの場合、一過性の症状で済むとされています。しかし、繰り返し脳震盪を起こすと脳へのダメージが蓄積し、将来的にさまざまな後遺症が生じるリスクが高まると報告されています。
ここでは後遺症のリスクと、その予防策について取り上げます。
後遺症として考えられる症状
脳震盪の後遺症は、頭痛やめまい、集中力低下など比較的軽度のものから、うつや不安障害、認知機能の低下など精神的な症状に至るまで多岐にわたります。
交通事故では全身を負傷している可能性も高いため、ケガの痛みやストレスが合わさって症状が慢性化する場合があります。
主な後遺症の例
後遺症 | 主な特徴 | 影響範囲 |
---|---|---|
慢性的な頭痛やめまい | 頭を振ると痛みやめまいが増す | 日常生活や仕事、運動全般 |
認知機能の低下 | 集中力や記憶力の低下、判断力の鈍化 | 学業や仕事、家事など幅広い場面 |
情緒不安定・うつ症状 | 気分の落ち込みやイライラが続く | 対人関係や社会生活 |
睡眠障害 | 入眠困難や中途覚醒など | 生活リズム全般 |
一度後遺症が固定化すると、治療に時間がかかる場合があります。早めの対処が大切です。
予防策と再発防止のポイント
交通事故による衝撃は完全に防ぎきることは難しいですが、シートベルトを適切に着用することや、運転時に安全運転を心がけるなど、リスクを下げる工夫は可能です。
再び脳震盪を起こさないためにも、以下のような点に留意すると良いでしょう。
脳震盪再発防止のために留意したい項目
- 安全運転の徹底(速度を出しすぎない、車間距離を保つ)
- ヘルメットやシートベルトなど保護具の正しい使用
- 怪我の回復期間中は無理な運動や過度な労働を避ける
- 体調が良くないときは運転や外出を控える
脳震盪の後は特に症状のぶり返しを防ぐため、無理をせず過ごすことが重要です。
定期的なフォローアップの必要性
脳震盪後、症状が改善したように見えても、何かのきっかけで痛みやめまいがぶり返すことがあります。
整形外科や脳神経外科のフォローアップを受けながら、必要に応じて検査や治療を継続することで、後遺症のリスクを低減できます。いったん症状が落ち着いても、油断せずに定期的な診察を受けることをおすすめします。
日常生活で気をつけたいこと
脳震盪からの回復期や後遺症を予防するためには、日常生活での過ごし方にも工夫が必要です。
交通事故後、整形外科での治療とあわせて生活習慣の改善に取り組むと、症状の早期回復や再発防止につながります。
運動と休息のバランス
脳震盪後は安静が求められますが、症状が落ち着けば軽い運動はリハビリとして効果的です。ウォーキングやストレッチなど、体への負担が少ないメニューから始めると、筋力や体力の低下を防ぎ、精神的なリフレッシュにもつながります。
ただし、激しい運動や長時間のトレーニングは逆効果になることがあります。
推奨される運動と注意点
運動種類 | 特徴 | 注意点 |
---|---|---|
ウォーキング | 全身を程よく動かし血流を促進 | 最初は短時間から開始し、徐々に距離を延ばす |
ストレッチ | 筋肉の柔軟性を高め、ケガを予防 | 首や肩のストレッチは無理せず、痛みがあれば中止 |
ヨガ・ピラティス | 呼吸を意識しながら身体をほぐす | バランスを崩さないように、補助具を使用する |
無理のない範囲で運動を取り入れ、痛みやめまいが強いときはすぐ休むことが大切です。
スマートフォンやパソコンの使用時間
脳震盪で脳がダメージを受けている状態では、長時間の画面操作や強い光刺激が頭痛やめまいを悪化させる可能性があります。
仕事や学業でどうしても使用が必要な場合は、定期的に休憩を取りながら目と脳を休めるようにしてください。
画面操作時の注意点
- 明るさを抑えた画面設定にする
- 1時間に1回は目を閉じて休憩する
- 文字を大きく表示し、目を酷使しない工夫
- 長時間の使用を避け、こまめに休息を入れる
眼精疲労も頭痛や肩こりを助長するため、積極的に対策することが望ましいです。
食事と水分補給
頭部のケガでも、全身の回復力を高めるためにバランスの良い食事と十分な水分補給が重要です。脱水気味になると血液循環が悪くなり、回復が遅れる要因になる場合があります。
タンパク質やビタミン、ミネラルを含む食品を摂取し、体力の低下を防ぎましょう。
脳震盪回復期に推奨される栄養素
栄養素 | 主な働き | 多く含む食品 |
---|---|---|
タンパク質 | 組織修復や免疫機能を支える | 肉、魚、豆類、卵、乳製品 |
ビタミンB群 | エネルギー代謝や神経機能を補助 | 豚肉、レバー、納豆、緑黄色野菜など |
ビタミンC | 抗酸化作用やコラーゲン合成を促す | 柑橘類、いちご、ブロッコリーなど |
カルシウム | 骨や歯の形成、神経伝達を補助 | 牛乳、小魚、チーズ、ヨーグルトなど |
適切な栄養補給は体力面だけでなく、脳の回復にも影響を与えます。
整形外科クリニックでのサポート体制
交通事故による脳震盪では、骨折など目に見える外傷がなくても、身体の内部にダメージが蓄積している可能性があります。
整形外科クリニックでは、患者一人ひとりの状態に合わせた治療とリハビリ指導を行い、症状の改善だけでなく、後遺症の予防にも注力しています。
専門スタッフとの連携
当院の整形外科では医師だけでなく、理学療法士や作業療法士、看護師など、多職種の専門スタッフが在籍しています。
頭部外傷を負った患者の場合、脳神経外科や心療内科など他の診療科との連携を行うケースもあり、包括的なケアを行っています。
クリニックでの多職種連携例
スタッフ | 主な役割 | 連携のメリット |
---|---|---|
整形外科医 | 外傷や骨格の不調の診断・治療を担当 | 状態を総合的に把握して治療方針を決定 |
理学療法士 | リハビリプログラムの作成と実施 | 運動機能の回復と再発防止 |
作業療法士 | 日常生活動作のサポートと社会復帰支援 | 生活の質向上や具体的な適応指導 |
看護師 | 投薬やケア全般のサポート | きめ細やかなフォローと相談窓口 |
他診療科の医師(連携) | 脳神経外科、心療内科など専門領域 | 頭部外傷や精神面のフォローを強化 |
症状や生活背景に合わせて、チームで最適な治療計画を検討していきます。
リハビリテーション施設の活用
当院の整形外科では、温熱療法や電気治療、超音波治療など物理療法が行える設備が整っております。脳震盪に伴う首や肩の痛み、腰痛などの緩和を目的に、状態を見極めながら組み合わせて使用します。
また、体幹トレーニング用の器具や、関節の可動域を広げるための器具などを活用して、回復を手助けします。
整形外科クリニックで行われる主な物理療法
- ホットパック:温熱効果で血流を促進し、痛みやこわばりを軽減
- 電気刺激療法:低周波などで筋肉を刺激し、痛みやむくみを緩和
- 超音波治療:深部組織の温度を上げ、新陳代謝を促進
- 牽引療法:首や腰を引っ張り、骨格や筋肉の負荷を軽減
これらを組み合わせて、症状や回復度合いに合わせたオーダーメイドのプログラムを作ります。
保険対応と補償面でのサポート
交通事故による治療の場合、自賠責保険や任意保険などが適用されるケースが多いです。当院では保険会社とのやり取りのサポートや、治療費の負担を軽減できるようにアドバイスを行います。
通院日数や治療内容など、事故後の経過を正確に記録しておくことで、適切な補償や後遺障害認定の際に役立ちます。
整形外科クリニックでの保険対応の流れ
項目 | 内容 |
---|---|
受付時の確認事項 | 事故証明書、保険会社の情報、受傷状況の記録 |
診断書の作成 | 症状や治療内容を医師がまとめる |
保険会社との連絡 | 治療費用や通院期間に関する相談や承認手続き |
後遺障害の評価 | 症状固定後、医師が後遺障害の診断書を作成 |
わからない点があれば、遠慮なくスタッフや医師にご質問ください。
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