閉塞性血栓血管炎(TAO)(バージャー病)

閉塞性血栓血管炎(TAO)(バージャー病)

本疾患は、中小動脈や静脈が慢性的な炎症や血栓形成によって狭窄・閉塞を起こし、主に四肢(特に下肢)の血流障害を引き起こすものです。患者は比較的若年層の男性に多く、喫煙との関連も指摘されています。

血流障害が進行すれば潰瘍や壊疽(えそ)を引き起こすリスクがあり、日常生活への支障が大きくなるのが特徴です。

本記事では、病型から症状・原因、検査や治療方法、そして治療期間や保険適用の面まで、幅広く解説していきます。

目次

病型

本疾患は「バージャー病」としても知られていますが、実際には患者ごとに症状の進行速度や部位が異なります。

ここでは、代表的な病型や分類方法を見ながら、どのように進行していくのかを把握していきましょう。病型を理解することは治療の方向性や予後の判断に大きく関わります。

病型の概要

閉塞性血栓血管炎(TAO)(バージャー病)は、炎症性の血管病変を伴うため、潰瘍や疼痛、さらには四肢切断のリスクまで進行が及ぶことがあります。一般的に、四肢末梢の動脈炎が生じる「末梢型」が代表的ですが、静脈炎や表在血栓性静脈炎を合併するケースも見られます。

  • 炎症による血管内径の狭小化
  • 進行すると潰瘍や壊疽に至る可能性がある
  • 喫煙歴が症状の進行度に影響を与える

進行度による分類

  1. 早期病型
    軽度の冷感やしびれなど、血流障害が軽度な段階。多くの場合、症状が日常生活を著しく制限することは少ないが、喫煙を続けると急激に悪化する可能性があるため要注意です。
  2. 中期病型
    安静時の痛みや潰瘍の形成が始まる。歩行時に強い痛みが出現し、生活の質(QOL)が低下しはじめます。
  3. 後期病型
    血管の閉塞が重度となり、壊疽(えそ)につながるリスクが高まる。場合によっては四肢の切断を余儀なくされることもあります。

病型と主な特徴

病型主な症状・特徴治療方針
早期冷感・しびれ・軽度の疼痛禁煙、血流改善薬などの内科治療
中期潰瘍形成、歩行困難血管バイパス、交感神経遮断術など
後期壊疽の発生、強い疼痛切断術(不可避の場合)、積極的疼痛管理

病型に応じたリハビリの必要性

血流障害にともなう筋力低下や関節の可動域制限を防ぐため、早期からリハビリテーション介入を行うことが推奨されます。特に下肢のトレーニングや皮膚ケアが重要になります。

病型とリハビリのポイント

病型リハビリ内容目的
早期歩行訓練、ストレッチ血流を促進し、筋力低下を防ぐ
中期痛みを軽減する姿勢指導、筋力強化潰瘍部への負担軽減、歩行能力の維持
後期介助歩行、創傷ケア合併症の予防、痛みの管理

病型における注意点

  • 早期発見・早期治療が、重症化や四肢切断の回避に大きく寄与します。
  • 強い痛みがあってもリハビリテーションは継続することが望ましいですが、状況に応じて主治医と相談しながら進める必要があります。
  • ポイント:
    • 患部の観察を日常的に行い、色調や温度変化に注意する
    • 症状悪化を感じたらすぐに医療機関を受診する

閉塞性血栓血管炎(TAO)(バージャー病)の症状

この病気は血管の狭窄や閉塞によって血流が低下し、さまざまな症状を引き起こします。初期段階では冷感や軽度のしびれ程度ですが、進行すると歩行障害や激しい痛み、潰瘍の形成など、生活の質(QOL)を大きく損なう症状が現れます。

代表的な症状の特徴

  1. 冷感・しびれ
    動脈の狭窄により末梢への血液供給が不足し、手足の先が冷たく感じたり、しびれたりします。特に冬場や温度変化の大きい環境で顕著です。
  2. 間欠性跛行(かんけつせいはこう)
    歩行中にふくらはぎや足に痛みを感じ、休憩をとると痛みが軽減する現象です。血管が詰まりがちな下肢に多く見られます。
  3. 安静時痛
    病気が進行してくると、安静にしていても痛みが起こるようになります。睡眠を妨げるほど痛むケースもあり、患者のQOLを著しく低下させます。
  4. 皮膚潰瘍や壊疽(えそ)
    血流が著しく低下すると、皮膚に栄養や酸素が行き届かず、潰瘍が生じます。進行すれば壊疽を引き起こし、切断に至ることもあるため早急な対策が必要です。

主な症状と血流障害の段階

症状血流障害の程度日常生活への影響
冷感・軽度のしびれ軽度防寒対策で軽減可能
間欠性跛行中程度歩行距離が制限される
安静時痛中〜重度夜間の睡眠を阻害
皮膚潰瘍・壊疽重度医療的介入が必須

生活の質(QOL)への影響

  • 日常生活での移動が困難になる
  • 夜間痛や潰瘍による不眠
  • 痛みのために仕事や家事が困難になる

症状別・QOL低下の原因と対策

症状QOL低下の主な要因主な対策
間欠性跛行外出や通勤が困難になる血行改善薬、リハビリなど
安静時痛慢性的な睡眠不足を招く鎮痛薬、夜間保温
皮膚潰瘍や壊疽感染リスク、強い痛み創傷ケア、専門医受診

症状への対処法

症状の進行を抑え、痛みを軽減するためには以下のような対処法が挙げられます。

  • 禁煙: 喫煙を継続すると血管がさらなるダメージを受け、症状が急速に悪化します。
  • 適度な運動: ウォーキングなどの軽い運動を継続すると、血流が改善し症状の進行を遅らせる可能性があります。
  • 保温対策: 血行が悪い部位を冷やさないことはとても重要です。
  • ポイント:
    • 無理のない運動計画を立てる
    • 痛みのコントロールを適切に行う

重症化を防ぐために

重症化を防ぐには定期的な検査が欠かせません。早期に血流障害を発見し、必要な治療を施すことで、痛みや潰瘍の予防につながります。また、医師の指示に従い、ライフスタイル改善を継続することが大切です。

原因

閉塞性血栓血管炎(TAO)(バージャー病)は、免疫や遺伝、生活習慣など複数の要因が絡み合って発症すると考えられています。中でも喫煙習慣が非常に大きな影響を及ぼすとされ、禁煙の重要性が繰り返し指摘されています。

発症のメカニズム

  1. 慢性的な血管炎症
    動脈や静脈の内膜に炎症が生じることで血管が狭窄し、血液の流れが妨げられます。
  2. 血小板や血栓形成
    炎症が生じた血管内では血小板が凝集しやすくなり、血栓が形成されやすい状態になります。
  3. 免疫学的要因
    自己免疫反応が関与している可能性が示唆されており、特定の遺伝的素因を持つ人が発症しやすいとも言われています。

主なリスク因子

  • 喫煙習慣: 発症率や再発率に強く関連するリスクファクター。
  • 若年男性: 特に20〜40代の男性が多く発症する傾向。
  • 遺伝的要因: HLA-B5との関連が報告されている。
  • 免疫学的異常: 自己免疫疾患との類似点がいくつか指摘されている。

リスク因子の影響度合い

リスク因子影響度合い備考
喫煙極めて高い禁煙で進行を抑制可能
若年男性高い発症ピークは20〜40代
遺伝要因中程度HLA-B5との関連、家族内発症例
免疫学的要因研究段階自己抗体・免疫調節異常が関与の可能性

発症のメカニズムと主な研究報告

研究領域内容参考例
免疫学的メカニズム自己抗体やサイトカインの異常な産生免疫抑制療法の効果検討
血管炎症モデル動物モデルを用いた血管内皮障害の研究動物実験での血栓形成抑制薬の試験
喫煙関連研究ニコチンや一酸化炭素が血管に与える影響喫煙者の血管内皮機能低下、酸素欠乏状態の解析

生活習慣における注意点

  • 禁煙が最優先: 原因究明が進められるなかでも、喫煙が最大のリスクファクターであることはほぼ consensus(コンセンサス)となっています。
  • ストレス管理: ストレスが免疫バランスを崩し、血管炎症のリスクを高める可能性があります。
  • 適度な運動と食事: 血行促進や血管の健康維持に欠かせない要素として、バランスの良い食事と適度な運動は重要です。
  • ポイント:
    • 喫煙をやめるだけで大幅にリスクを減少できる
    • 自己判断だけでなく医療機関のサポートを受ける

今後の研究展望

閉塞性血栓血管炎(TAO)(バージャー病)の原因は多面的で、完全には解明されていません。今後、免疫学や遺伝子領域のさらなる研究が進むことで、新しい治療法や予防法の開発が期待されています。

閉塞性血栓血管炎(TAO)(バージャー病)の検査・チェック方法

本疾患は、早期発見・早期治療が予後に大きく影響します。そのため、的確な診断と定期的なチェックが欠かせません。ここでは、一般的に行われる検査方法や、自己チェックで留意すべき点を具体的に解説します。

検査の目的と重要性

  1. 病変部位の特定
    血管がどの程度狭窄・閉塞しているかを把握することで、治療方針を立てやすくします。
  2. 合併症の早期発見
    血流障害に伴う潰瘍や壊疽などを早期に見つけ、対処するためにも検査は重要です。
  3. 経過観察
    進行度合いや治療効果を定期的にモニタリングすることで、治療計画の修正が可能となります。

主な検査方法

1. 血管造影検査

カテーテルを血管内に挿入し、造影剤を流すことで血管の状態をX線撮影します。病巣の部位や狭窄度を直接視覚化でき、診断の確定には欠かせない検査です。

2. ドップラー超音波検査

超音波を使って血流の速度や血管の状態を調べます。非侵襲的で比較的簡便に実施できるため、定期的なフォローアップにも利用されます。

3. ABI(足関節上腕血圧比)測定

上腕と足首の血圧を比較して血管の詰まり具合を推定する方法です。低下が認められる場合、末梢動脈疾患を疑います。

4. MRI/MRA

磁気共鳴画像によって血管や軟部組織を評価します。カテーテル造影よりは詳細さに欠ける場合がありますが、非侵襲的で反復検査が行いやすいという利点があります。

主な検査方法とメリット・デメリット

検査方法メリットデメリット
血管造影検査正確に血管狭窄部位を把握できる侵襲的、造影剤アレルギーのリスク
ドップラー超音波非侵襲的、簡便でコストが低い詳細な病変把握がやや困難
ABI測定簡単かつスクリーニングに有用血管部位や程度によっては不正確
MRI/MRA放射線被曝がなく、反復検査が可能金属インプラントがある場合は注意

日常でできる自己チェック

  • 皮膚の色調: 蒼白や紫色がかっていないか
  • 温度差: 片足だけ極端に冷たい、または温かい
  • 痛み・しびれ: 休んでも痛みが残る、間欠性跛行がある
  • ポイント:
    • 日常的な観察が早期発見に直結する
    • いずれかの異常を感じたら医療機関で検査を受ける

自己チェック項目リスト

項目チェック方法異常が疑われる場合の対応
皮膚の色指先や足先の色を毎日確認医師の受診を検討
温度触ったときの左右差血流障害を疑い検査を受ける
間欠性跛行の有無歩行時の痛みと休憩時の回復を確認ABI測定やドップラー検査を提案

検査結果の活かし方

検査結果をもとに、治療の優先順位やアプローチ方法が変わります。例えば、造影検査で重度の狭窄が確認された場合は血行再建術など外科的処置を検討することがあります。

一方、初期段階ならば禁煙指導や薬物療法を中心に行い、経過観察で十分対応できるケースもあります。

治療方法と治療薬

本疾患の治療は大きく分けて内科的治療と外科的治療があります。症状の進行度や患者の全身状態、合併症の有無に応じて柔軟に選択・併用されます。ここでは代表的な治療法と使用される薬剤について詳しく見ていきましょう。

治療の基本方針

  1. 禁煙: 最も重要かつ効果が高い予防策・治療策です。
  2. 血行改善: 血管拡張薬や血栓溶解薬などを使用し、血流を確保する。
  3. 外科的介入: バイパス手術や交感神経遮断術などの手術的処置を検討。
  4. 創傷ケア: 潰瘍や壊疽の予防・治療においては専門的なケアが必要。

主な内科的治療

1. 血管拡張薬

プロスタグランディン製剤(PGI2)やカルシウム拮抗薬などが用いられ、末梢血管を拡張し血流を改善します。

2. 抗血小板薬

アスピリンやクロピドグレルなどは血小板の凝集を抑制し、血栓形成を防ぎます。長期投与で再発リスクを低下させます。

3. 抗凝固薬

ヘパリンやワルファリンなど、血液を固まりにくくする薬剤を使用する場合があります。ただし、出血リスクもあるため管理が必要です。

主な使用薬剤と特徴

薬剤名作用機序注意点
プロスタグランディン製剤血管拡張・血小板凝集抑制血圧低下や顔面紅潮に注意
アスピリン血小板のアラキドン酸代謝を阻害胃腸障害、出血傾向に留意
ワルファリンビタミンK依存性凝固因子の合成抑制定期的なPT-INR測定が必須

外科的治療

1. 交感神経遮断術

交感神経を遮断することで血管拡張を促し、痛みを軽減する手術です。間欠性跛行や安静時痛が顕著な中期以上の患者に適用されることがあります。

2. 血管バイパス手術

閉塞や高度狭窄がある部分をバイパス(迂回)して血流を確保します。ただし、バイパスに適した血管が確保できない場合や病変が遠位に及ぶ場合は困難なケースもあります。

代表的な外科的治療の比較

治療法メリットデメリット
交感神経遮断術痛みの軽減、血流改善神経損傷リスク、効果に個人差
血管バイパス手術血流を確保できれば症状が劇的に改善術後感染リスク、適応の限定

補助療法・リハビリ

  • 温熱療法: 血管を拡張し循環を改善。
  • 運動療法: 筋ポンプ作用を高め、末梢循環を支援。
  • 創傷ケア: 潰瘍の発生を最小限に抑えるため、定期的な消毒や圧迫管理が必要。
  • ポイント:
    • 薬物療法とリハビリは併用することで相乗効果が期待できる
    • 外科的治療後も禁煙を徹底しないと再発リスクが高まる

治療薬選択のコツ

患者個々の病態やリスク因子(例えば胃腸障害、出血傾向など)に合わせて薬物を選択し、必要に応じて投与量を調節します。特に抗血小板薬や抗凝固薬は相互作用や出血リスクに注意を払いつつ、効果と副作用のバランスを検討することが重要です。

閉塞性血栓血管炎(TAO)(バージャー病)の治療期間

治療期間は、病期や重症度、患者のライフスタイル改善の徹底度によって大きく左右されます。

軽症の段階で禁煙や薬物療法を適切に行えば、比較的短期間で症状の進行を抑えることができる場合もありますが、重症化すると長期的な管理が必要になります。本節では治療に要する期間の目安やフォローアップの必要性を説明します。

治療期間の目安

  1. 軽症例(早期病型)
    数ヶ月の禁煙・薬物療法の継続で症状が落ち着くケースが多いです。痛みが改善されるまでの期間は個人差がありますが、定期的な受診が必要となります。
  2. 中等症例(中期病型)
    リハビリや創傷ケアも合わせると半年から1年以上かかることが少なくありません。血行再建術を受けた場合は術後のケアや追加治療を要するため、1年単位でのフォローが必要となることもあります。
  3. 重症例(後期病型)
    壊疽に至った場合は切断術や長期入院が避けられない場合があり、リハビリを含め2年以上の長期治療が視野に入ります。

治療期間の大まかな指標

病期治療期間の目安主な治療
早期数ヶ月~半年程度禁煙指導、内科的治療
中期半年~1年程度血行再建術、リハビリテーション
後期1年以上~長期手術、長期入院、創傷管理

フォローアップの頻度

  • 最初の半年間は月1回程度の受診: 症状の変化や治療の効果、副作用の有無を確認するため。
  • 安定期に入った後は2〜3ヶ月に1回程度: 血管造影検査やドップラー超音波検査を行い、再狭窄の有無をチェックします。
  • 症状再燃時は即受診: 痛みや潰瘍が再発した際には、速やかに医師の診断を受けましょう。

フォローアップ時の主なチェック項目

チェック項目チェック内容チェック頻度
症状の変化冷感、痛み、歩行困難の程度など毎受診時
血流の評価ドップラー超音波、ABI測定、造影など定期検査時
副作用の有無薬物療法による出血傾向や胃腸障害毎受診時

治療期間を短縮するポイント

  • 禁煙の徹底: これを守るか否かで治療期間と再発率が大きく変わります。
  • 継続的なリハビリ: 血行改善や筋力維持に役立ち、再狭窄リスクを低減させます。
  • 医師との密なコミュニケーション: 痛みや副作用、日常生活上の問題などを早めに共有することで適切な対応が可能になります。
  • ポイント:
    • 早期介入ほど治療期間が短縮されやすい
    • 自己判断の中断はリスクが高い

生活の質を保ちながらの治療

長期間にわたり治療を続ける場合でも、生活の質をできるだけ保つ工夫が重要です。

痛みの管理やリハビリの継続、そして日常生活での工夫(適度な運動やストレスの軽減)により、閉塞性血栓血管炎(TAO)(バージャー病)と向き合いながらも、なるべく快適な生活を維持することが可能です。

薬の副作用や治療のデメリット

治療薬の多くは血管拡張や血栓防止を目的としていますが、服用に伴い副作用が生じる場合があります。また、外科的治療にも一定のリスクやデメリットがあります。

ここでは、代表的な副作用や治療のデメリットと、その対策について解説します。

代表的な副作用

  1. 出血傾向
    抗血小板薬や抗凝固薬の使用時には、歯肉出血や皮下出血などの軽度な出血症状が起こりやすくなります。重篤な出血を防ぐために、PT-INRなどの定期的なモニタリングが重要です。
  2. 消化器症状
    アスピリンなどは胃粘膜を刺激するため、胃痛や胸焼けなどの症状が出ることがあります。予防薬の併用や食後服用で軽減可能です。
  3. アレルギー反応
    まれに薬剤に対するアレルギーが起こる場合があります。発疹やかゆみなどの症状が出たら、ただちに医師に相談しましょう。

主な薬剤と副作用の一覧

薬剤名主な副作用対策
アスピリン胃痛、消化性潰瘍胃保護薬の併用、食後服用
クロピドグレル出血傾向、皮下出血定期的な血液検査
プロスタグランディン製剤ほてり、血圧低下低血圧に注意

外科的治療のデメリット

  1. 手術リスク
    麻酔や術後感染など、一般的な外科手術に伴うリスクが存在します。
  2. 再狭窄の可能性
    血管バイパス手術や血管形成術後も、時間が経つと再び狭窄が起こる可能性があります。
  3. 神経損傷リスク
    交感神経遮断術では、神経周囲組織の損傷リスクが考えられます。

外科的治療のメリット・デメリット比較

治療法メリットデメリット
交感神経遮断術血行改善、痛みの軽減神経損傷、合併症リスク
血管バイパス手術血流劇的改善の可能性術後感染、再狭窄の可能性

デメリットを最小限に抑える方法

  • 主治医との緊密な連携: 服用薬の種類や手術のタイミングを総合的に判断。
  • 定期的な検査: 血液検査や画像検査により副作用や再狭窄の兆候を早期発見。
  • 生活習慣の改善: 禁煙・適度な運動・食事療法などを守ることで、薬や手術への依存度を下げられる可能性がある。
  • ポイント:
    • 薬の副作用は自己判断での中断は危険
    • 術後のケアやフォローアップを怠らない

副作用との付き合い方

副作用が生じた場合でも、それが必ずしも治療の中止を意味するわけではありません。症状の程度に応じて薬の種類や用量を調整したり、サポート薬を追加したりすることで、治療を継続しながら副作用を和らげることが可能です。

主治医や専門医との相談をこまめに行うことが大切です。

閉塞性血栓血管炎(TAO)(バージャー病)の保険適用と治療費

本疾患の治療は、内科的治療から外科的治療まで多岐にわたります。日本では一定の条件を満たせば公的保険の適用が認められ、自己負担額を軽減することが可能です。

保険適用の範囲

  • 診察費・検査費: 血管造影検査やドップラー超音波検査、MRI/MRAなど、必要な検査は概ね保険適用されます。
  • 薬剤費: 抗血小板薬、血管拡張薬、プロスタグランディン製剤など、医師が必要と判断した処方薬は保険適用となります。
  • 手術費: 交感神経遮断術や血管バイパス手術、切断術などの外科的治療も保険適用。ただし、入院中の部屋代(差額ベッド代)や一部の先進医療は自己負担となる場合があります。

治療費の目安

治療費は病期や治療内容、入院期間に左右されます。以下はあくまで一例です。

治療費の一例

治療内容保険適用後の自己負担目安(3割負担の場合)
外来診察・検査(MRIなど)数千円〜1万円程度
血行再建術(入院1週間程度)10万〜30万円程度(個室使用は別途負担)
交感神経遮断術(短期入院)5万〜15万円程度

医療費助成制度

  • 高額療養費制度: 月ごとの医療費が自己負担限度額を超えた場合、超過分が払い戻されます。所得や年齢によって限度額が変動します。
  • 障害者手帳の取得: 重症化して日常生活に支障がある場合、障害者手帳の申請で医療費や生活の補助が受けられる可能性があります。
  • 自治体独自の助成: 一部自治体では特定の難病に対して助成制度がありますので、居住地の役所に確認してみましょう。

主な公的支援制度

制度名内容申請先
高額療養費制度医療費が一定額を超えた場合の払い戻し健康保険組合等
障害者手帳障害認定により医療費控除や福祉サービス市区町村の福祉課
自治体独自助成地域限定の医療費補助や交通費助成各自治体の担当窓口

まとめ

閉塞性血栓血管炎(TAO)(バージャー病)の治療は長期化しやすいため、経済的負担も無視できません。しかし、日本の公的保険や各種助成制度を適切に活用することで、大幅に自己負担を軽減できます。

まずは主治医や病院スタッフに相談し、最適なサポートを受けながら治療を続けていきましょう。

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