仮面高血圧

仮面高血圧

仮面高血圧とは、病院やクリニックで測る血圧が正常値に見えても、家庭や職場での測定では高い値を示す状態を指します。

外来血圧が正常範囲なので高血圧と診断されず、治療の開始が遅れやすい特徴があります。

この状態を見過ごすと、実は血圧の高い時間帯が長いにもかかわらず放置され、心血管疾患のリスクにさらされる危険性が高まります。

体調不良の原因がつかめず悩む方にとって、仮面高血圧が見落とされている場合もありますので、対策を知ることが重要です。

目次

病型

仮面高血圧は一般的な高血圧とは異なる特徴を持ち、周囲や医療従事者から見落とされる危険があります。ここでは代表的な病型や、病型によってどのような違いがあるのかを紹介します。自己管理のヒントをつかむことが大切です。

ホワイトコート高血圧との違い

ホワイトコート高血圧は病院などで緊張し、血圧が高く出る状態です。一方で仮面高血圧は、病院では正常値でも自宅や日常生活環境では高値になるという点で正反対の特徴を持ちます。

ホワイトコート高血圧とは混同しやすいですが、対策や治療方針はまったく異なります。

昼間高血圧型と夜間高血圧型

仮面高血圧には大まかに分けて、日中に高くなるタイプと夜間に高くなるタイプがあります。昼間高血圧型は仕事中や家事の最中など、気づかないうちにストレスや活動量の増加などで血圧が上がることが多いです。

夜間高血圧型は、日中は普通でも就寝時から早朝にかけて血圧が上昇する特徴があります。

持続型と変動型

仮面高血圧の中でも、終始血圧が高い状態の「持続型」と、ある時間帯だけ高血圧になる「変動型」があります。持続型は常に血圧が高い状態なので発見が遅れると危険度が増す傾向があります。

変動型は特定の時間帯のみ血圧が上がるため、自分で測定しない限り気づきにくいです。

病型別の特徴を把握することの意義

自分がどのタイプに当てはまるかを知ると、日常生活の注意点や治療方針を考えやすくなります。どのタイプでも放置すると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まる可能性があります。

血圧測定や受診の際に、病型について自覚的に伝えるとスムーズな対応につながります。

ここで、それぞれの病型をわかりやすく整理した表を示します。

病型特徴発見の難易度リスクの高さ
昼間高血圧型日中に血圧が高くなる高い心負担が大きくなりやすい
夜間高血圧型夜間~早朝に血圧が上昇する高い動脈硬化リスクが高まる
持続型一日を通して血圧が高い非常に高い心血管イベントの危険が増す
変動型(特定時間)特定の時間帯だけ血圧が高くなる非常に高い見落としがちで合併症を招きやすい

このように病型ごとに特徴が異なるため、日々の測定が鍵となります。

■ 病型把握の参考になるリスト

  • 血圧手帳に起床から就寝までの測定結果を記録する
  • 職場と自宅で複数回、時間帯を変えて測定する
  • 夜間や早朝に頭痛、動悸などの症状があるか確認する
  • 家族が同じような症状を経験していないか振り返る

いずれも自分の状態を知るために役立ちます。可能な範囲で情報を集め、医師に相談しましょう。

仮面高血圧の症状

仮面高血圧は「仮面」という言葉が示すとおり、表面的には正常な血圧値に見えるため、自覚症状をとらえにくい場合が多いです。

しかし、日常生活のなかで、体が発するサインを細かく観察すると、いくつかの症状に気づく可能性があります。早期に気づいて対策を講じることで、将来的な合併症から身を守ることが期待できます。

見逃しがちな軽度の頭痛や倦怠感

日常的に頭痛や倦怠感を抱える方も多いですが、血圧の乱れによって起こる症状がまぎれているケースもあります。

特に夕方頃に理由のはっきりしない頭痛を感じやすい方や、起床時に寝足りない、頭が重いなどの感覚が続く方は注意が必要です。

動悸や息切れ

身体を激しく動かしたわけでもないのに胸がドキドキしたり、ほんの少しの動作で息切れが起こる場合、血圧に関する異常が隠れている可能性があります。

仮面高血圧による日中や夜間の血圧上昇が心臓に負担をかけ、動悸や息切れとして現れることがあります。

ふらつきやめまい

職場や家庭で座ったまま長時間過ごし、急に立ち上がったときにふらつきを感じることは誰にでもありますが、仮面高血圧では血圧コントロールが不安定なため、症状が頻繁に起こることがあります。

睡眠不足や疲労とも関連するため、総合的に判断することが大切です。

朝方の不調や睡眠の質の低下

夜間高血圧型では、睡眠中や明け方に血圧が上昇し、睡眠の質が低下する場合があります。起き抜けに強いだるさや倦怠感を感じることや、熟睡したはずなのに疲れが取れていないことは、夜間に血圧が上がっているサインかもしれません。

ここで、仮面高血圧でよく見られる症状の頻度をまとめます。

症状仮面高血圧での頻度背景要因
頭痛・倦怠感高い血圧変動による脳血流の乱れ
動悸・息切れ中程度血圧上昇による心負担
めまい・ふらつき中程度血圧コントロール不安定
睡眠の質の低下高い夜間血圧上昇と交感神経刺激

日常の「なんとなく調子が悪い」という感覚にも注意することが、早期発見につながります。

■ 症状を見落とさないためのリスト

  • 朝起きたときの頭痛や倦怠感を記録する
  • 体調管理アプリや手帳に定期的に症状をメモする
  • 軽い動悸や息切れを感じたときの状況を振り返る
  • 就寝前の血圧や起床時の血圧を把握する

症状の原因が不明なまま長引く場合は、早めに医師へ相談したほうが安心です。

仮面高血圧の原因

仮面高血圧を引き起こす要因はさまざまですが、生活習慣や身体の特性、環境要因が複雑に絡み合って血圧の上昇を導きます。自分がどのようなリスク要因を持っているかを知ることは、適切な治療や予防策を考えるうえで有用です。

ストレスや精神的負担

現代社会では仕事や家庭の事情、経済的な不安など多くのストレス要因を抱える方が増えています。ストレスを受けると交感神経が優位になりやすく、血管収縮と心拍数増加によって血圧が上がります。

病院では落ち着いていて血圧が正常でも、職場や家庭の忙しさのなかで頻繁に高血圧状態に陥るケースが仮面高血圧です。

生活習慣の乱れ

食事面で塩分や脂質を過剰に摂取している、または運動不足などの生活習慣の乱れも原因として大きく関わります。

外来での検査時に食事制限など一時的に気をつけていても、平常時に乱れた生活リズムを続けることで、家庭血圧が高くなることがあります。

隠れた基礎疾患

糖尿病や慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群などの疾患が隠れていると、仮面高血圧を引き起こしやすいです。

特に慢性腎臓病や睡眠時無呼吸症候群は、夜間に血圧が上昇する要因となり、病院で測定した場合には正常値だとしても、家庭や就寝時の血圧が想像以上に高値を示していることがあります。

薬剤の影響

一部の薬剤、たとえばステロイドや一部の抗うつ薬、ホルモン剤などは血圧上昇を招くことがあります。

病院で血圧測定する際は、測定前の服薬状況によって値が安定して見えたとしても、生活シーンでの血圧が高くなる可能性を考慮する必要があります。

下の表で、仮面高血圧の主な原因と背景要因を示します。

主な原因背景・代表例
ストレス・精神的負担職場環境のストレス、家庭内の悩みなど
生活習慣の乱れ塩分の多い食事、飲酒、運動不足、喫煙
基礎疾患糖尿病、慢性腎臓病、睡眠時無呼吸症候群など
薬剤の影響ステロイド、ホルモン剤、抗うつ薬など

原因を突き止めるために、医師との十分な対話が大切です。

■ 原因を解消するためのポイント

  • 食生活の見直し(減塩、適度な栄養バランス)
  • 有酸素運動の習慣化
  • ストレスケア(カウンセリングやリラックス法)
  • 既往症や併存疾患のチェック

日常生活や既往症の情報を整理して伝えると、より的確な治療につながりやすくなります。

仮面高血圧の検査・チェック方法

仮面高血圧は外来の測定だけでは判断できません。家庭や職場など、さまざまなシーンでの測定が重要です。どういった方法で検査を行い、どのようにチェックすればよいかを理解すると、早期発見につながります。

家庭血圧の測定

家庭血圧の測定は、仮面高血圧の発見に大きく役立ちます。起床時・就寝前などの決まった時間に測定すると、日々の変動が確認しやすくなります。

また、可能であれば日中の異なる時間帯にも測定することで、昼間高血圧型や夜間高血圧型を含む変動パターンをつかみやすくなります。

職場や外出先での測定

最近ではコンビニエンスストアやドラッグストアなどに血圧計が設置されていることもあり、外出先で気軽に測定する機会が増えています。

職場に血圧計がある場合は、業務の合間などに測定すると、ストレスによる血圧変動を把握しやすいです。

24時間血圧測定(ABPM)

より詳細に血圧変動を把握したい場合、24時間血圧測定(ABPM)の実施が考えられます。小型の血圧計を身につけて1日過ごし、日中から夜間まで定期的に自動測定する方法です。

夜間の血圧変動や早朝高血圧の有無なども明確になり、仮面高血圧の診断に有用です。

スクリーニング検査と詳細検査

医師が仮面高血圧を疑った場合、まずは家庭血圧測定や簡易な血圧日誌の作成を提案します。そのうえで、必要に応じて24時間血圧測定や心電図、血液検査などの詳細検査を組み合わせ、総合的に判断します。

下記の表では、自宅やクリニックで行われる主な検査方法をまとめています。

検査方法特徴メリット
家庭血圧測定自宅で手軽に行える日常の血圧変動を追跡できる
職場・外出先測定外部環境での実測値を把握できるストレスや活動量の影響を知りやすい
24時間血圧測定(ABPM)日中から夜間まで連続測定を行う夜間高血圧や早朝高血圧も診断可能
血液検査・心電図他の合併症や原因疾患の有無をチェック総合的に健康状態を評価できる

ここで、検査を活用するときの注意点をいくつか挙げます。

■ 検査活用のリスト

  • 家庭血圧計の精度や正しい測定姿勢を確認する
  • 1回のみの測定ではなく、時間や日を変えて繰り返す
  • ストレスの多い時間帯を狙って測定する
  • 医師に結果を見せる際は測定時間と測定値をきちんと記録する

検査から得られたデータをもとに、医師が総合的に判断します。

治療方法と治療薬について

仮面高血圧の治療は、生活習慣の改善と薬物療法を組み合わせる形をとることが多いです。放置すると動脈硬化や心血管疾患のリスクが高まる恐れがあるため、早期の治療方針確立が大切です。

生活習慣改善の重要性

仮面高血圧をコントロールするうえで、まずは生活習慣の見直しが必要です。食事では塩分摂取量を少なくし、カリウムを多く含む野菜・果物を摂るなどの工夫が求められます。

有酸素運動や適度なレジスタンス運動などを日常に取り入れることによって、血圧コントロールやストレス軽減が期待できます。

薬物療法の選択肢

生活習慣を見直しても血圧が十分に下がらない場合、医師は降圧薬の処方を検討します。一般的にはカルシウム拮抗薬、ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)、ACE阻害薬、利尿薬、β遮断薬などが候補となります。

医師が患者の症状や基礎疾患、生活状況などを総合的に判断し、治療薬を選ぶのが基本です。

朝方高血圧への対応

夜間から早朝にかけて血圧が上昇しやすい方には、夜に服用するタイプの降圧薬の処方が検討されることがあります。朝方の急激な血圧上昇を抑える狙いがあります。ただし、睡眠中の副作用などにも注意が必要です。

薬物治療のモニタリング

薬を飲み始めたら、日々の血圧測定を継続することが大切です。必要に応じて薬の種類や用量を調整し、適切な血圧コントロールをめざします。血圧が安定してきても定期的な受診と測定を続けることで、再発や悪化を防ぎやすくなります。

治療の選択肢をわかりやすく整理した表を示します。

治療法主な内容期待できる効果
生活習慣改善塩分制限、有酸素運動、禁煙など血圧コントロール、合併症リスク軽減
薬物療法カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬など持続的な血圧低下、臓器保護効果
精神的ストレスケアカウンセリング、リラクゼーション法など交感神経亢進の抑制、症状緩和
定期モニタリング家庭血圧測定、24時間血圧測定など治療効果の検証と薬剤調整

■ 治療法の選択ポイント

  • 基礎疾患の有無をしっかり確認する
  • 日常生活のリズムに合った服薬タイミングを検討する
  • 副作用に対する不安や疑問を医師や薬剤師に相談する
  • 定期的な測定データを医師に提出する

以上を踏まえ、最善の治療方針を探すことが大切です。

仮面高血圧の治療期間

仮面高血圧は、他の高血圧症と同様に一過性ではなく、長期にわたる管理が求められます。治療期間は患者の状態や原因、合併症の有無などによって大きく変わります。

しかし、「早く終わらせたいから服薬を自己判断でやめる」という行動は危険です。血圧は体調や生活環境の影響を受けやすいため、継続的な管理が必要となります。

初期治療期間

初期段階では、まず生活習慣の改善や試行的な薬物療法を数週間から数か月続け、血圧の傾向を観察します。特に仮面高血圧は外来での測定では正常値を示すため、家庭血圧の数値が安定してくるまで時間がかかることが多いです。

継続的なモニタリング期間

血圧がある程度安定してきた後でも、定期的な受診と家庭血圧のモニタリングが求められます。仮面高血圧の場合、以前は正常値だった外来血圧も、加齢や生活環境の変化などで再び上昇する可能性があります。

モニタリング期間は年単位で考えることが多いです。

再発予防の重要性

治療がうまく進み、家庭血圧や外来血圧が良好な水準に落ち着いたとしても、再び仮面高血圧が表面化することがあります。食生活が乱れたり、ストレスが増大したりすると、血圧が変動しやすくなります。

治療期間を通じて得た知識を活かし、日々の生活管理を続けることが大切です。

長期治療への心がまえ

高血圧治療は「完治」という概念よりも「コントロール」を重視します。生活習慣の改善と薬物療法によって、血圧を良好な状態に保ちながら日常生活を送ることを目標とします。仮面高血圧ではとくに長い視野でのケアが求められます。

下の表に、仮面高血圧の治療期間の目安を示します。

治療段階期間の目安主な目的・留意点
初期治療期数週間~数か月生活習慣の見直し、薬物療法の導入・調整
継続モニタリング期半年~数年定期的な血圧測定、薬剤効果の検証
安定期(維持管理期)数年~長期間外来血圧と家庭血圧の両方を観察しながら維持
再発リスク管理終生にわたり継続加齢や環境変化に合わせた柔軟な対応

■ 治療期間を乗り切るためのリスト

  • 無理のない範囲で生活改善を計画する
  • 自己判断で服薬を中断せず、医師に相談する
  • 血圧手帳の記録習慣を途切れさせない
  • 長期的な目線で検査や受診を続ける

これらのポイントを意識して取り組むことが、治療効果の安定につながります。

仮面高血圧薬の副作用や治療のデメリットについて

どの薬にも副作用があるように、仮面高血圧の治療に使われる降圧薬にも副作用リスクがあります。

また、治療全般において生じるデメリットにも目を向け、正しく理解することが大切です。マイナス面に配慮しつつも、体へのメリットを上回るために治療を続けるというスタンスが求められます。

主な降圧薬と副作用

カルシウム拮抗薬では顔のほてりや動悸、下肢のむくみなど、ARBやACE阻害薬では空咳やめまいなど、β遮断薬では脈拍が遅くなる、疲れやすくなるなどの副作用報告があります。

利尿薬ではトイレが近くなることや電解質バランスの乱れが見られるケースもあります。

ここで、代表的な降圧薬の副作用をまとめます。

薬剤分類主な副作用
カルシウム拮抗薬顔面紅潮、動悸、下肢のむくみ
ARBめまい、低血圧症状、まれに腎機能悪化
ACE阻害薬空咳、めまい、まれに重篤なアレルギー反応
β遮断薬徐脈、疲労感、呼吸苦
利尿薬頻尿、電解質異常(低カリウム血症など)

症状が強いときは我慢せず医師に相談し、薬の変更や量の調整を検討します。

ライフスタイルへの制約

治療には定期的な通院や家庭での血圧測定、投薬管理などの手間がかかります。さらに、塩分制限や適度な運動など、日常生活上の制限も増えます。これらがストレスとなり、継続が難しくなる場合もあります。

しかし、個々の状況に合わせたアドバイスを受けると、負担を軽減しやすいです。

経済的負担

仮面高血圧は長期管理が基本なので、医療費や薬代がかさむケースもあります。通院や検査にかかる費用、降圧薬の薬代などが気になる方も多いです。この点については、医療保険の適用や各種制度の活用方法を把握することが大切です。

■ 治療デメリットを軽減するリスト

  • 副作用を感じたら早めに医師へ相談して対処法を考える
  • 食生活の制限を一気に変えるのではなく、段階的に取り入れる
  • かかりつけ医や専門医を決め、通院スケジュールを安定させる
  • 保険制度や公的支援策を調べ、費用負担を見直す

デメリットはゼロにできなくても、工夫次第で不安や負担を減らしながら治療を継続できます。

保険適用と治療費

お読みください

以下に記載している治療費(医療費)は目安であり、実際の費用は症状や治療内容、保険適用否により大幅に上回ることがございます。当院では料金に関する以下説明の不備や相違について、一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。

仮面高血圧は通常の高血圧治療と同様に、健康保険の適用対象となります。

しかし、一部の検査費用や治療にかかる費用、薬代などがどのように保険適用されるかは受診する医療機関や個々の状況によって異なります。気になることがあれば、医療従事者や保険組合に問い合わせてみるとよいでしょう。

通常の受診・診療と保険

病院での血圧測定や基本的な診察、血液検査などは一般的に健康保険の適用範囲になります。仮面高血圧という診断名であっても、医師が必要と判断する検査や治療行為であれば、基本的には保険が使えます。

24時間血圧測定(ABPM)の費用

24時間血圧測定は仮面高血圧の診断に役立ちますが、保険適用のルールがある程度決まっています。

医師が必要と判断した場合には保険が適用される場合が多いものの、診断目的か治療効果判定目的かなど、目的に応じて自己負担が発生する可能性もあります。

薬代とジェネリック医薬品

降圧薬の費用は薬の種類によって異なりますが、ジェネリック医薬品を選択するとコストを抑えられることがあります。医師や薬剤師に相談し、ジェネリック医薬品への切り替えの可否を確認してみることも一つの方法です。

長期管理を支える公的制度

高血圧は長期間の治療が前提となるため、医療費の自己負担が高額になりやすいです。公的制度として、高額療養費制度や医療費控除などが存在します。これらを上手に利用すると、経済的負担を軽減できます。

どの制度が使えるかは収入や保険の種類によって変わるので、事前に情報を集めることが大切です。

以下に、治療費の主な項目と保険適用の目安をまとめます。

治療・検査項目保険適用自己負担の目安
通常の外来診療・血圧測定対象1~3割負担
血液検査・心電図対象1~3割負担
24時間血圧測定(ABPM)条件付きで対象になることが多い状況に応じて変動
降圧薬(先発品)対象薬の種類と保険次第
降圧薬(ジェネリック)対象先発品より低めになる傾向
高額療養費制度・医療費控除など医療保険制度や税制の仕組みを利用制度の範囲内で費用軽減

■ 保険適用と費用を意識するためのリスト

  • 自分が加入している保険の補償内容を確認する
  • 24時間血圧測定の費用負担について事前に医師に尋ねる
  • ジェネリック医薬品への切り替えを検討する
  • 高額療養費制度や医療費控除など、公的支援策の情報を集める

経済的な理由で治療が中断されると、症状の悪化リスクが高まるので、積極的に情報収集することが望ましいです。

以上

参考文献

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