たるみ毛穴の改善 – 美容皮膚科の治療とスキンケア

真皮の老化により起こるたるみ毛穴は、30代以降に起こりやすい毛穴悩みの一つです。

ここでは、たるみ毛穴の改善方法について、美容皮膚科の治療を紹介します。

美容液や化粧水など、たるみ毛穴の開きに有効なスキンケアについても解説していますので、たるみ毛穴にお悩みの方はぜひ参考にしてください。

たるみ毛穴の原因

たるみ毛穴を改善するために、まずたるみ毛穴が出来てしまう原因を抑えておきましょう。

頬でよく見られるたるみ毛穴の特徴

たるみ毛穴は、とくに頬の毛穴で多く見られます。

30代後半以降になるとたるみ毛穴に悩む方がグッと増え、肌を上に引っ張ると毛穴が目立たなくなるのが特徴です。

たるみ毛穴が進行すると、隣り合った毛穴同士が帯状に連なってしまうケースもあります。

たるみ毛穴の原因は肌弾力の低下

たるみ毛穴の原因は、肌の弾力性の低下です。

毛穴周りの真皮層には肌のハリや弾力を生むコラーゲンがありますが、加齢や紫外線ダメージなどで25歳以降から段々と減少していきます。

その結果、肌の弾力がなくなり、重力の影響を受けやすくなって毛穴が大きく見えやすくなります。

さらに、周りの皮膚も毛穴のほうへ落ち込み、毛穴が開いて見えるのが「たるみ毛穴」です。

皮脂分泌の過剰により目立つ毛穴はトラブルが表面に現れるため早期のお手入れが可能ですが、肌内部のコラーゲン減少で起こるたるみ毛穴は、早期発見が比較的難しいタイプと言えます。

たるみ毛穴の改善方法を皮膚科医が動画（You Tube）で解説

たるみ毛穴の美容医療とは

たるみ毛穴を改善するためには「たるみ」のケアが重要ですが、ホームケアだけではなかなか太刀打ちできないのが正直なところです。

正しいホームケアももちろん有効ですが、それだけでは不十分ですので、加えて適切な美容医療の介入を推奨します。

ケミカルピーリング（マッサージピール・コラーゲンピール）

マッサージピールやコラーゲンピールなどのケミカルピーリングは、肌のハリや弾力をアップさせてたるみの改善を目指す施術です。

クリニックで行うケミカルピーリングの特徴は、ホームケアで行うピーリングよりも濃度が高く、より肌の深くまで浸透する効果がある点です。

真皮の線維芽細胞を活性化させてコラーゲン産生を促す作用があるため、ハリの改善に加えてたるみ毛穴の改善にもつながります。

ピーリングと言えば、肌の角質を剥がして、ターンオーバーを促す剥離型のピーリングをイメージする方が多いかと思います。

ただ、たるみ毛穴の改善目的で行うマッサージピール・コラーゲンピールは浸透型のケミカルピーリングで、刺激やダウンタイムが少ないのが特徴です。

「浸透型」と「剥離型」の違い

	浸透型	剥離型
治療法	マッサージピール コラーゲンピール	サリチル酸ピーリング グリコール酸ピーリング など
適した肌悩み	たるみ毛穴、シワ、たるみ、くすみ など	詰まり毛穴、開き毛穴、ザラつき、ニキビ、ニキビ跡、小ジワ、シミ、色素沈着 など
効果	真皮層（肌の深いレベル）に作用してコラーゲンの産生を促しハリを改善させる	酸が肌の表面に作用して古い角質を取り除きターンオーバーを整える
薬剤の成分	トリクロロ酢酸（TCA）、過酸化水素、コウジ酸	サリチル酸、グリコール酸、乳酸、アミノ酸 など
副作用リスク	低め	やや高め

IPL（光）治療

たるみ毛穴の改善には熱を与える施術も有効で、具体的にはIPL（光）治療もその一つです。

IPLはコラーゲンをつくり出している「線維芽細胞」が存在する真皮に働きかけ、コラーゲン産生を促す効果があります。

真皮のコラーゲンが増えて肌にハリや弾力が生まれると、毛穴が小さくなって目立ちにくくなります。

ダウンタイムが少ないのもメリットで、比較的気軽に受けられる施術です。

ジェネシス（ロングパルスヤグレーザー）

IPLと同じく、たるみ毛穴に効果的な熱を与える施術として、ジェネシス（ロングパルスヤグレーザー）があります。

レーザーと聞くと痛いイメージのある方も多いかと思いますが、ジェネシスは照射時に少し熱感があるくらいで、痛みを感じにくい特徴があります。

ジェネシスの効果

ポテンツァ（ニードルRF）

ポテンツァは、極細のニードルを肌に刺して高周波（RF）を真皮に照射する治療機器です。

ポテンツァの特徴は、「ニードルで肌に小さな穴をあける」「高周波で真皮に熱エネルギーを与える」の2つ。コラーゲン産生を促して、肌弾力アップが期待できます。

さらに、ポテンツァの「ドラッグデリバリー」（肌悩みに合わせた薬剤を注入できる仕組み）により、効率良く美肌成分を真皮層に届けられます。

ニードル、高周波、薬剤の3つのアプローチで、たるみ毛穴を改善できるのがポテンツァのメリットです。

たるみ毛穴を改善するポテンツァの薬剤：マックーム、エクソソーム、ベネヴ、スネコス など

ダイヤモンドチップはニードルを使わず高周波を照射する施術です。痛みやダウンタイムが心配な方におすすめです。

ヒアルロン酸注入

顔のボリューム低下が原因で、たるみ毛穴が起きてしまっている方に推奨される治療が「ヒアルロン酸の注入」です。

顔がこけてきた方はヒアルロン酸の注入で上手く肌を持ち上げると、たるみ毛穴の改善につながります。

ヒアルロン酸は1gで2～6Ⅼの水分を抱え込める、代表的な保湿成分です。

ヒアルロン酸は人の肌にも元々存在していて、真皮のコラーゲンやエラスチンといった線維の間を満たしている「基質」の中に含まれています。

ヒアルロン酸も、コラーゲンと同じように年齢とともに減少していきます。

美容施術でヒアルロン酸を注入すると、肌の潤いやハリアップ、顔のボリュームアップに繋がり、たるみ毛穴の改善効果が期待できます。

たるみ毛穴の開きに有効なスキンケア

たるみ毛穴の開きには、ハリや弾力アップにつながるようなスキンケアが有効です。

クレンジングで汚れを落とす

たるみ毛穴へのスキンケアでは、摩擦にならず、かつ適切に皮脂を落とすのがポイントです。

汚れを落とすために洗顔に重点を置く方がよくいますが、クレンジング剤も使用して汚れを落としていきましょう。

皮脂やメイク汚れは油です。油は油を使用して落とすのが最も効率的ですので、オイルタイプのクレンジング剤をおすすめしています。

使用量が少なすぎると肌への摩擦が増えるので、少し多いかと思う程度を手に取って、優しくクルクルと馴染ませるようにクレンジングします。

クレンジングで大体の汚れを取ったあとは、しっかりと泡立てた洗顔料で、優しく素早く洗顔しましょう。

洗顔料は界面活性剤で汚れを取るアイテムです。界面活性剤は、肌に長く留まるとそのぶん保湿成分の流出につながるため、素早く行うのがベターです。

化粧水で水分補給とｐH調節

クレンジング・洗顔後は、化粧水を使い肌に水分を補給していきます。

化粧水はほとんどが精製水や水溶性成分で構成されていますが、最近では美白、抗酸化、抗シワなどの訴求成分を配合したものも増え、目的も種類も豊富です。

毛穴の周りの皮膚がくぼんでいて毛穴が目立っているたるみ毛穴には、コラーゲン産生を促す成分が含まれた化粧水を選ぶのがポイント。

コラーゲンの産生を促す成分：ビタミンA、ビタミンC、ナイアシンアミド など

また、化粧水はたくさん使えばそれだけ浸透するものではありません。角質に入る水分の量は決まっていますので、化粧水だけで保湿しようとせず、乳液やクリームなども活用して保湿しましょう。

美容液やパックで栄養補給

美容液やパックを選ぶ際は、たるみに有効な訴求成分が含まれているものを選ぶと良いでしょう。

ビタミンA、ビタミンC、ナイアシンアミドはたるみ毛穴に有効です。

たるみ毛穴に有効な訴求成分

レチノール（ビタミンA）	ターンオーバーの促進、コラーゲン産生の促進
ビタミンＣ誘導体	抗酸化、美白、コラーゲン産生の促進、消炎
ナイアシンアミド（ニコチン酸アミド）	ターンオーバーの促進、コラーゲン産生の促進、美白、消炎

化粧水や美容液を含んだシートタイプのパックは、長時間やればやるほど効果が高まるものではありません。

水は少ないほうに移動する性質があり、10～15分以上置くと逆に肌が乾燥してしまいます。シートタイプのパックをする場合は規定の時間を守りましょう。

乾燥させてはがすタイプのピールオフパックは、成分を毛穴に押し入れて剥がすため毛穴の目立ちが悪化してしまいます。さらに、剥がす際に周りの皮膚への負担も大きくなりますので、推奨できません。

ファンデーションはきちんと落とす

たるみ毛穴の悩みがある方は、「たるみ毛穴をファンデーションで隠したい」と、ついつい高カバー・高密着のファンデーションを選びがちです。

ところが、カバー力・密着力の高いファンデーションは毛穴に入り込みやすい特徴があります。

毛穴に入り込んだファンデーションの汚れが落としきれないと肌トラブルにつながり、余計に毛穴が目立つようになってしまう可能性があります。

カバー力の高いファンデーションを使用されている場合は、摩擦を避けるために多めのオイルタイプのクレンジング剤を使用し、たっぷり泡立てた洗顔料で汚れを落とすようにしましょう。

たるみ毛穴に美顔器は有効？

クリニックに行かなくても美肌ケアができる！と、自宅で手軽に使える美顔器はさまざまなメーカーから販売されています。

この美顔器は継続すればたるみ毛穴に効果がある？と質問がよくありますが、もちろん、美顔器はたるみ毛穴に全く効果がない訳ではありません。

ただ、家庭用の美顔器は誰でも使用できるように美容医療よりもパワーが弱くなっているため、そのぶん効果もマイルドになります。

また、間違った使い方をすると摩擦を与えてしまったり、頻繁に使って肌の刺激や負担になってしまったりする可能性もあります。

もし美顔器を使うのであれば、正しい方法で使用し、摩擦に注意しましょう。そして、やはり美容医療のほうが効果を実感しやすいです。

まとめ

たるみ毛穴の治療は「これだけやればいい」というものではなく、その方に合った施術を組み合わせて改善を目指していきます。

すぐに改善するものではないので、美容医療だけでなく、正しいスキンケアの継続もポイントです。

たるみ毛穴だけでなく、詰まり毛穴や開き毛穴と混合しているタイプの方も多いため、ホームケアからクリニックの施術まで選択肢を広げていただくのがおすすめです。

毛穴悩みは奥が深く、一筋縄ではいかない面もありますが、コツコツと地道に継続していただくと改善していきます。

たるみ毛穴改善のための美容皮膚科の治療・スキンケアでよくある質問Q&A

参考文献

LEE, Sang Ju, et al. Facial pores: definition, causes, and treatment options. Dermatologic Surgery, 2016, 42.3: 277-285.