ストレートネック壁チェック法|1分で自分で確認する方法

ストレートネック壁チェック法|1分で自分で確認する方法

ストレートネックの壁チェックは、かかと・お尻・背中を壁につけ、後頭部が自然に壁に触れるかを約1分で確かめる方法です。分かるのは頭が前に出た姿勢の傾向であり、首の骨のカーブや病気の有無までは診断できません。

頭が壁に届かなくても、手で押しつけたりせず、その位置のまま確認を終えます。すき間があるかどうかに加えて、あごが上がったり腰が反ったりしていないかも見ておきます。

すき間が何センチなら異常という共通の基準値はなく、受診するかどうかは結果より症状で判断します。首や肩のつらさが続く、腕や手にしびれが新たに出たといったときは、壁の結果に関係なく整形外科へ相談するタイミングです。

この記事の執筆者

臼井 大記(日本整形外科学会認定専門医)

臼井 大記(うすい だいき)

日本整形外科学会認定専門医
医療社団法人豊正会大垣中央病院 整形外科・麻酔科 担当医師

2009年に帝京大学医学部医学科卒業後、厚生中央病院に勤務。東京医大病院麻酔科に入局後、カンボジアSun International Clinicに従事し、ノースウェスタン大学にて学位取得(修士)。帰国後、岐阜大学附属病院、高山赤十字病院、岐阜総合医療センター、岐阜赤十字病院で整形外科医として勤務。2023年4月より大垣中央病院に入職、整形外科・麻酔科の担当医を務める。

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ストレートネックの壁チェックは約1分でできる

壁の前で姿勢を整え、後頭部が自然に触れるかを見るだけなら、確認は約1分で終わります。頭を壁まで動かす運動ではなく、力を入れずに立ったときの位置を観察します。

平らな壁を選び、足元の滑りを防ぐ

準備する場所は、かかとから頭までを無理なく近づけられる平らな壁です。壁の下に出っ張りがあると足の位置が変わるため、家具や段差のない面が向いています。足元は滑りにくい場所を選び、靴を脱いで立ってください。

厚い上着やフードは、背中と後頭部が壁に触れる感覚を分かりにくくします。後頭部の髪留めや結んだ髪も、壁に当たると頭そのものが触れたのか区別しにくいため、外してから確かめます。

首を動かすだけで痛む、立つとふらつくといった場合は、壁チェックはやめておきます。

かかと・お尻・背中を軽く壁につける

立つ位置が決まったら、かかと・お尻・背中を壁に軽くつけてください。足幅は無理なく立てる幅にし、腕は体の横に下ろしておきます。背中をつけるために胸を強く張ると、普段と違う頭の位置になります。

  • かかとを壁へ寄せ、足裏を床につける
  • お尻と背中は、壁に軽く触れる程度でよい
  • 顔は正面へ向け、目線は水平に
  • 後頭部は動かさず、自然に壁へ触れるかを見る

腰には、体の曲線に沿ったすき間が残ることがあります。そのすき間を消そうと腰を壁へ押しつけると、背中や頭の位置まで変わるため、軽く接した状態が基本です。

かかと・お尻・背中を同時につけること自体がつらい場合は、その状態を記録して確認を終えます。

後頭部を押さず、自然に触れるかを見る

観察するのは、顔が正面を向いたまま後頭部が壁に触れるかどうかです。あごを引き込んだり、上へ持ち上げたりして頭を近づけると、自然に立ったときの結果ではなくなります。

頭が届かない場合も、その位置で確認は終了です。手で後頭部を押す、壁へ体を強く押しつけるといった動作は避けてください。途中で首の痛みやしびれが出た場合も、チェックを中止します。

壁に触れた感覚が分かりにくければ、家族などに横から見てもらうと位置が分かります。そのときも、頭を押したりせず、横から見るだけにしてもらうのが安全です。

すき間だけでなく、あごと腰の動きも結果を左右する

頭が壁についていても、あごが上がっていれば、それは首を反らせてつけた結果です。頭を近づけようとして、あごや腰など体のほかの部分が動いていないかも確かめます。

自然についた結果と、力を入れた結果を分ける

後頭部が自然に壁につくなら、その立ち方では頭が壁に近い位置にあります。一方、首を反らせて初めてつく場合は、自然に立った状態での結果とは区別します。接触したかどうかに加えて、触れるまでの動きも記録に残してください。

壁の前での状態結果の受け止め方
顔が正面のまま、後頭部が自然につくその立ち方では頭が壁に近い位置にある
後頭部と壁にすき間が残る頭が前に出ている傾向がうかがえる
あごを上げると後頭部がつく首を反らせてつけた状態で、自然に立った結果とは別
痛みがあり、立っているのがつらいその場で終了し、受診は症状で判断

この表は異常かどうかを決めるものではなく、自分がどう立っていたかを書き留めるときの言葉として使います。

何センチなら異常と決められる?

後頭部と壁のすき間には、ストレートネックを自己診断できる共通の基準値はありません。指が何本入るかを調べても、指の太さや当て方が違えば結果は変わります。距離だけで病名を決める使い方は避けてください。

耳珠と呼ばれる耳の穴の前の小さな出っ張りから、壁までの距離を測る方法もあります。ただ、後頭部のすき間を見る壁チェックとは、測っているものが違います。

耳から壁までの距離にも、年齢ごとの基準は十分に整っておらず、測定値からストレートネックの診断へ結びつけることは困難です。

あごが上がる・腰が反る動きを見逃さない

壁に触れようとすると、目線が上へ動き、あごが持ち上がることがあります。また、胸を張って腰を反らせる動きでも、頭と壁の位置関係は変化します。こうした動きが入ると、頭が前に出ているかどうかを正しく見られなくなります。

見る場所は、後頭部だけに絞らず、顔の向きと腰の反りも含めた体の横側です。頭がついたという結果に、あごが上がったか、腰を強く反らせたかを書き添えておくと、あとで見返したときにどう立っていたかが分かります。

普段より大きく胸を張っていたと気づいたら、一度壁から離れ、楽に立てる姿勢からやり直します。ただし、同じ動作で痛みが出る場合は、その場で終了してください。

ストレートネックは壁チェックで診断できる?

壁チェックだけでストレートネックの診断はできません。分かるのは外から見える頭の位置までで、首の中にある骨の並び方は別の方法で確かめます。

頭の位置から首のカーブまでは分からない

ストレートネックは、首の骨がつくる前向きのカーブが小さくなった状態を指す言葉です。このカーブは前弯と呼ばれ、横から撮るX線写真で確認します。一方、胴体に対して頭が前へ出ている姿勢は頭部前方位と呼ばれ、壁チェックで見ているのはこちらです。

確かめたいこと確認する方法受け止める範囲
壁に対する頭の位置壁チェックその立ち方での傾向
耳と肩の位置関係横からの写真撮影したときの姿勢
首の骨のカーブ診療でのX線写真症状や診察と合わせて判断

頭の位置と首の骨のカーブを同じものと考えると、見た目だけで首の骨の状態まで分かった気になりやすいので注意が必要です。壁チェックで残るのは、その日の頭の位置の記録です。

背中の丸みや体格でも結果は変わる

頭と壁のすき間には、首だけでなく背中の丸みや体格も関係します。たとえば背中が丸い人は、背中が先に壁に当たるため、首の骨の形とは別の理由で頭と壁の間にすき間ができることがあります。

首の前向きのカーブは、症状のない人の間でも大きさに幅があります。また、韓国の成人のX線写真を2006〜2018年にわたって調べた研究では、カーブが失われる傾向が年々強まっていました1)。

体の形にも観察の条件にも幅があるため、家族や友人とすき間を比べるだけでは、自分の首の状態を判断するのは難しいです。

見た目と首の痛みは必ずしも一致しない

首に痛みのある大人は、痛みのない大人より頭が前に出る傾向があり、姿勢と痛みの程度との関連も報告されています。ただ、姿勢が痛みの原因になっているかどうかは、まだ分かっていません。

壁に頭がついていても、首や肩のつらさがあれば、それだけで受診を考える理由として十分です。反対に、すき間があるという結果だけで、今あるこりをストレートネックのせいと決めるのは早すぎます。見た目の記録と、痛みの記録は分けて残してください。

たとえば「壁にはつくが、仕事の後半に首が痛む」と書いておけば、姿勢と症状の両方が一度に伝わります。すき間を小さくすることに気を取られるより、困っている動作を言葉にしておくほうが、診察で状態を伝えやすくなります。

横からの写真で耳と肩の位置も確かめられる

横向きの写真が1枚あれば、耳が肩に対してどのあたりにあるかを見返せます。写真で分かるのも外から見た姿勢までで、首の骨のカーブが分からない点は壁チェックと同じです。

カメラを真横に置き、普段の立ち方を撮る

写真では、壁から離れて楽に立ち、普段に近い状態を記録します。撮影は家族などに頼むか、スマートフォンを安定した台に置いてタイマーを使います。撮影時はカメラへ顔を向けず、正面を見るようにしてください。

画面には耳と肩だけでなく、胸から腰のあたりまで入れておくと、頭だけを後ろへ引いていないかも確かめられます。カメラを斜め前に置いたり、極端に上や下から撮ったりすると、耳と肩の位置関係が違って見えるため、真横からの撮影が基本です。

自分でスマートフォンを持って撮る方法は、腕を上げる動きや画面をのぞく動きが入り、普段の姿勢と比べにくくなります。

耳が肩より前にあるかを大まかに見る

写真で見るのは、耳の穴のあたりと肩の外側のあたりの位置関係です。耳が肩より前に見えれば、撮影したときに頭が前へ出ていたと考えられます。ただし、服で肩が隠れる場合や体が少し回っている場合は、位置の読み取りも変わります。

写真で見るところ見返すときの注意
耳と肩の前後関係体が真横を向いた写真で見る
顔とあごの向き撮影のために上を向くと、あごの位置も変わる
背中から腰までの形胸を強く張った写真は、自然に立った写真と分けて見る

写真から角度を測る方法は、医療者や研究者が測った場合、測り直しても結果が比較的そろいます。ただ、その角度が姿勢の状態を正しく表しているかはまだはっきりしておらず、自宅で撮った写真で診断ができるわけではありません。

アプリの角度は病名を決める数字ではない

姿勢を測るアプリでは、写真の耳付近と首の付け根を結ぶ線などから、頭の前への出方を角度にするものがあります。この角度は頭蓋脊椎角と呼ばれ、外から見える頭と首の位置関係を表す数値です。

アプリで測った頭蓋脊椎角は、研究では測り直しても結果が安定していました。数字が何度でも同じように出るからといって、その数字でストレートネックかどうかを見分けられるとは限りません。

画面に角度や評価が表示されても、それは撮影条件や目印の置き方に左右される値です。アプリの表示だけで治療を決めず、困っている症状があれば、その内容と合わせて相談してください。

結果を比べるときの記録は何を残す?

残すのは、チェックしたときの条件と、その日の症状です。短いメモで十分ですが、条件も書いておけば、次に見返したときに姿勢が変わったのか、測り方が違っただけなのかを見分けられます。

壁や目線が違う結果をそのまま比べない

前回は厚い服を着て、今回は薄着で測った場合、頭や背中と壁の位置関係は変わります。足の位置や顔の向きが違うだけでも結果には差が出るので、それを体の変化と取り違えないようにします。比べるときは、同じ壁で、服装や立ち方をできる範囲でそろえてください。

横向き写真も、カメラの高さや向きで印象が変わるため、前回の撮影場所とカメラを置いた位置を控えておくと、同じ条件で撮り直せます。

撮るのは、姿勢をよく見せようと胸を張った姿ではなく、無理なく立ったいつもの姿です。

接触の様子と、その日のつらさを残す

記録には、後頭部がついたかだけでなく、あごや腰を動かしたか、どんな症状があったかを添えます。一言ずつでも書いておくと、後からその日の様子を思い出せます。

記録する内容書き残す形の例
確認した条件仕事が終わった後、薄着で同じ壁に立ちました。
頭と体の動き後頭部にはすき間があり、あごは正面のままでした。
症状と困った動作首がこり、振り向くときにつらさがありました。

文章が長くなりそうなら、「いつ」「どこが」「何をするとつらいか」が分かる程度で十分です。左右のどちらに症状があるかも書けると、相談時に伝えやすくなります。自分で見返すためのメモなので、文章の整い方は気にせず、実際に感じたつらさをそのまま書きます。

1回ごとの様子を写真やメモで残す

壁チェックに、毎日何回行うべきという決まった回数はありません。短時間に繰り返すと、頭をつけようとする動作が増え、最初に自然に立ったときとの違いが分かりにくくなります。

まずは1回の様子が分かる記録で十分です。撮影が斜めだった、服のフードが挟まっていたなどに気づいたら、そこを直してもう一度確かめます。ただし、痛みを我慢してまでやり直すのは避けてください。

前回より頭が壁に近づいていても、それだけで首のカーブが変わったとは判断できず、分かるのはその日の立ち方までです。

ストレートネックのチェック後は症状から受診を判断

首や肩のつらさが続く場合は、壁につくかどうかにかかわらず整形外科で相談してください。受診の判断では、すき間の大きさより、症状の変化や生活で困っていることを優先します。

痛みが続くなら、壁につく場合も相談を

仕事に集中しづらい、寝つきにくいなど、首の痛みが生活に影響しているなら、壁チェックの結果に関係なく受診を考えてください。また、腕や手のしびれが新たに出た場合や強まっている場合は、自己チェックを繰り返すより早めの相談が必要です。

診察では、まず重い病気のサインがないかを確かめ、そのうえで痛みの出方や動かしにくさに合わせて対応を決めます。壁チェックの記録がそろうまで待たず、今ある症状だけで相談して大丈夫です。今の症状がどの程度かは、ストレートネックの重症度チェックと放置した場合の注意点で確かめられます。

診察には症状のメモを持っていく

受診時は、いつから痛むか、どんな動作でつらくなるかが伝わると、相談が具体的になります。壁チェックや写真は、症状を伝える際の補助です。

  • 症状が始まった時期と、その後の変化
  • つらくなる動作と、仕事や睡眠への影響
  • 腕や手のしびれがあるかどうか

首の骨の並びはX線写真で確かめますが、症状のない人がみな撮る必要はなく、撮るかどうかは診察で決まります。年齢に伴う変化が写っていても、症状と一致しないことがあります。しびれが新たに出たり強まったりしたときは、磁気を使って神経などを調べるMRIが検討されます。

確認後は壁につける練習を繰り返さない

壁チェックの目的は、そのときの頭の位置を確かめることです。頭を壁へ押しつけ続けて、首の形を戻す練習の代わりにするのはやめてください。チェックを終えたら、普段の楽な姿勢に戻ります。

頭が前に出た姿勢や首の痛みは、症状に合った運動で改善が期待できます。ただ、研究で良くなったのは頭の位置と痛みで、首の骨のカーブが戻るかまでは分かっていません。どんな運動から始めるかは、1日5分で取り組むストレートネック改善ストレッチ5選で紹介しています。

確認後に残しておきたいのは、ついたかどうかの判定だけでなく、無理なく立てたか、症状があったかという記録です。

よくある質問

ストレートネックの壁チェックで頭がつけば、首は正常ですか?

頭がつく結果だけでは、首が正常かどうかは判断できません。確認できるのは、その立ち方で後頭部が壁に触れたということです。あごを上げたり腰を強く反らせたりしてつけた場合は、自然に立ったときの結果とは分けて考えます。

また、頭がついても首の痛みや腕のしびれがある場合は、症状をもとに受診を判断してください。

ストレートネックの壁チェックで指が2本入るすき間は異常ですか?

指が2本入るという測り方だけで、異常とは決められません。指の太さや背中の丸み、立ち方でも結果が変わるためです。すき間の大きさを気にするより、無理なく立ったときの様子と症状を書き残しておけば、次に確かめるときにも、受診したときにも使えます。

ストレートネックの壁チェックは1人でもできますか?

安定して立てて、首に痛みが出ない範囲なら、1人で後頭部の接触を確かめられます。ただし、あごや腰の動きまで見たいときは、横から写真を撮っておくと自分でも見返せます。

背後を見ようと振り向くと姿勢が変わるため、鏡をのぞき込みながらの判定は避けてください。誰かに見てもらう場合も、頭を壁へ押す手助けは不要です。

ストレートネックの壁チェックと横向き写真で印象が違う場合はどうすればよいですか?

どちらが正しいかを決めようとせず、両方をそれぞれの条件と一緒に記録しておきます。壁チェックは体を壁へ寄せた状態、横向き写真は壁から離れた状態を見るため、姿勢の印象が変わることがあります。痛みやしびれがあるときは、両方の記録を持って診察で相談してください。

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