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エラスチンとは?肌のハリを支える効果と化粧品での役割

エラスチンは、真皮でコラーゲンとともに網目状の構造をつくり、肌の弾力とハリを支える弾性線維タンパクです。ゴムのように伸び縮みする性質を持ち、押した肌がすぐ戻る「もっちり感」の土台になっています。

加齢や紫外線の影響でエラスチンは変性・減少しやすく、たるみや小じわの一因になると考えられています。化粧品では水溶性エラスチンなどの形で配合され、うるおいやハリ感を助ける役割で使われています。

この記事では、エラスチンとは何かという基本から、外用成分として期待できる効果とその限界、化粧品での使い方、コラーゲンやヒアルロン酸との違いまで、皮膚科専門医監修のもとでわかりやすく解説します。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

エラスチンとは肌の弾力を支える弾性線維タンパク

エラスチンは、真皮でコラーゲン線維をつなぎ、肌が伸び縮みしたあとに元へ戻る力を担うタンパク質です。ゴムのような弾性を持つことから、弾性線維の主成分として知られています。

真皮でコラーゲンと網目をつくる弾性線維

真皮には、支柱の役割を果たすコラーゲンと、そのすき間を編むように走るエラスチンがあります。エラスチンはコラーゲン線維どうしを橋渡しし、肌全体をしなやかな網目構造にまとめています。

研究では、弾性線維は真皮の乾燥重量のうちおよそ2〜4%を占めるにすぎないと報告されています。量はわずかでも、肌を引っぱったあとに元の形へ戻す「復元力」を支える大切な線維です。

この弾性線維の中心にあるのがエラスチンで、その材料となるのがトロポエラスチンという前駆体タンパクです。トロポエラスチンが集まって架橋されることで、伸縮性のある成熟したエラスチン線維がつくられます。

加齢と紫外線で変性・減少しやすい

エラスチンは、一度つくられると入れ替わりがとてもゆっくりな線維です。ある総説では、その半減期はヒトの寿命に近いとされ、大人になると新たな産生が減っていくと説明されています。

つまり若いうちに整えられた弾性線維を、長い年月をかけて使い続けているイメージです。加齢に紫外線ダメージが重なると、線維が切れたり変性したりして、肌の戻る力が少しずつ弱まっていきます。

紫外線を浴び続けた肌では、変性したエラスチンが真皮にかたまりとして溜まる日光弾性線維症という状態が知られています。これは深いしわや肌のたるみと関わると考えられており、光老化の代表的な変化のひとつです。

エラスチンの基本情報

項目内容
分類弾性線維を構成するタンパク質
存在部位真皮(皮膚のほか血管や靭帯にも)
前駆体トロポエラスチン
主な役割肌の弾力・ハリ・復元力
減少の要因加齢、紫外線などの光老化
化粧品表示名の例水溶性エラスチン、加水分解エラスチン

化粧品には水溶性エラスチンとして配合される

化粧品に使われるエラスチンの多くは、魚などの動物由来のエラスチンを水に溶けやすく加工したものです。全成分表示では「水溶性エラスチン」「加水分解エラスチン」といった名称で記載されます。

もとのエラスチン線維はそのままでは水に溶けにくいため、うるおい成分として扱いやすいよう分子を細かくしています。医薬部外品の美白有効成分のような位置づけではなく、うるおいやハリ感を助ける化粧品成分として配合されるのが一般的です。

エラスチンに期待できる効果と外用の限界

外用エラスチンに期待できる中心は、肌表面でうるおいを抱えてハリ感やなめらかさを助ける保湿的な働きです。飲んだり塗ったりして真皮の弾性線維そのものを直接増やす効果は、断定できるものではありません。

肌表面でうるおいを抱えハリ感を助ける

水溶性エラスチンは水になじみやすく、肌表面や角質層で水分を抱え込む性質があります。うるおいをとどめることで、乾燥でこわばった肌をやわらげ、キメやハリ感を整える手助けになると考えられています。

乾燥した肌は、水分が不足してしぼんだように見えがちです。エラスチンをはじめとする保湿成分でうるおいを補うと、一時的に肌がふっくらとして、なめらかな見た目につながることが期待されます。

弾性線維の材料としての研究と外用の位置づけ

エラスチンそのものについては、弾性線維がどう組み立てられ、どう老化していくかという研究が積み重ねられています。トロポエラスチンから線維がつくられるしくみや、光老化で変性するようすが報告されてきました。

試験管レベルの研究では、エラスチン由来のペプチドが皮膚の線維芽細胞の増殖を促したという報告もあります。ただしこれは細胞を使った基礎研究であり、化粧品を肌に塗った場合の効果をそのまま示すものではありません。

塗った水溶性エラスチンが真皮まで届いて弾性線維に組み込まれる、と示した確かな証拠は乏しいのが現状です。外用エラスチンは弾力を「作り直す」成分ではなく、うるおいでハリ感を支える保湿成分として捉えるのが誠実な見方でしょう。

効果なしと感じる背景と期待できる範囲

エラスチンについて「効果なし」と感じる声の背景には、たるみや深いしわが元に戻ることを期待しすぎた面があるかもしれません。化粧品でできるのは、あくまで肌表面のうるおいやハリ感を整える範囲です。

加齢や光老化で変性した真皮の弾性線維を、外用の化粧品だけで元どおりにするのは難しいと考えられています。過度な期待をせず、乾燥ケアやハリ感のサポートという役割で取り入れると、満足度のずれが起きにくいでしょう。

エラスチンに期待できる働きの整理

働き期待できる範囲捉え方
保湿角質層で水分を抱える化粧品として期待しやすい
ハリ感・キメうるおいで一時的に整える見た目のサポートとして
弾性線維の再生外用での確実な証拠は乏しい過度な期待はしない

エラスチンの使い方とスキンケアへの取り入れ方

エラスチンは化粧水や美容液、クリームなどに配合され、うるおいとハリ感を補う目的で使われます。取り入れ方のコツは、保湿を重ねる流れの中に自然に組み込み、あわせて紫外線対策で弾性線維を守ることです。

化粧水や美容液など配合されるアイテム

水溶性エラスチンは水になじみやすいため、化粧水や美容液、乳液、クリームなど幅広いアイテムに配合されます。「ハリ」「弾力」「エイジングケア」をうたう保湿製品で見かけることが多いでしょう。

配合量や組み合わせは製品ごとに異なります。エラスチン単独ではなく、コラーゲンやヒアルロン酸などの保湿成分とともに配合されているケースが目立ちます。使用感や好みで選ぶとよいでしょう。

保湿の流れに組み込む使い方のコツ

エラスチン配合の化粧水や美容液は、洗顔後の肌にうるおいを届ける基本のケアとして使います。手のひらややさしいなじませ方で肌に広げ、そのあと乳液やクリームでうるおいのふたをすると、水分をとどめやすくなります。

朝でも夜でも使えますが、日中は紫外線対策との組み合わせが大切です。エラスチンの変性は紫外線と深く関わるため、日焼け止めで肌を守ることが、今ある弾性線維を大切にするうえで役立ちます。

たっぷり塗れば効果が高まるわけではありません。製品に書かれた使用量を目安に、肌の様子を見ながら続けることが、乾燥ケアやハリ感のサポートにつながると考えられます。

エラスチンを取り入れるときの目安

場面取り入れ方ワンポイント
保湿後に日焼け止めを重ねる紫外線から弾性線維を守る
化粧水・美容液で保湿を重ねる乾燥しやすい日はクリームでふた
量の目安製品の使用量に従う塗りすぎより継続を重視

相性のよい成分と組み合わせの考え方

エラスチンは、コラーゲンやヒアルロン酸といった保湿成分と組み合わせると、うるおいを多面的に補いやすくなります。真皮のハリを連想させる成分をまとめて配合した製品も多く、使い心地の面でも相性がよいといえます。

ハリ感を意識するなら、線維芽細胞への働きかけが研究されているレチノールや、うるおいと肌あれケアで知られるナイアシンアミドと役割を分けて使う考え方もあります。刺激を感じやすい成分は少量から試すと安心です。

エラスチンを使う際の注意点

エラスチンは比較的おだやかな化粧品成分ですが、まれなアレルギーや効果の過信、化粧品と医療の役割の違いには注意が必要です。特徴と限界を知って取り入れることが、無理のないケアにつながります。

副作用やアレルギーのリスク

水溶性エラスチンは動物由来のタンパク質を加工した成分のため、まれに肌に合わない場合があります。赤み・かゆみ・ヒリつきなどが出たときは、使用を中止して肌を休ませましょう。

初めて使う製品は、腕の内側などに少量を塗って24〜48時間ほど様子をみるパッチテストが安心です。とくに敏感肌の方や、これまで化粧品でトラブルが出たことのある方は、慎重に試すとよいでしょう。

効果を過信しすぎないことが大切

エラスチン配合の化粧品は、あくまで肌のうるおいやハリ感を整えるものです。深いしわやたるみを完全に改善する、弾力を作り直すといった効果を期待しすぎないことが、後悔のない使い方につながります。

肌のハリを守るうえでは、化粧品だけに頼らず、紫外線対策や睡眠、バランスのよい食事といった土台の習慣も大切です。今ある弾性線維をいたわる意識が、遠回りのようで確かなケアになります。

化粧品と医療で役割が異なる

化粧品のエラスチンは、肌をととのえ乾燥を防ぐことを目的とした成分です。たるみやしわなどの変化に医療的にアプローチする治療とは、目的も位置づけも異なります。

たるみや深いしわが気になる、肌の変化が急に進んだと感じるといった場合は、化粧品でのケアに頼りきらず、医療機関で相談することが大切です。自己判断せず、専門家の診察を受けましょう。

  • 動物由来タンパクのため初回はパッチテストで反応を確認する
  • たるみや弾力の再生を過度に期待せず保湿とハリ感のサポートとして使う
  • 紫外線対策で今ある弾性線維を守ることを意識する
  • 気になる肌の変化が続く場合は自己判断せず皮膚科を受診する

エラスチンとコラーゲン・ヒアルロン酸の違い

エラスチンは、コラーゲンやヒアルロン酸と混同されがちですが、真皮での役割分担が異なります。コラーゲンが支柱、エラスチンが弾力、ヒアルロン酸がうるおいの貯水と、それぞれ得意分野を持っています。

コラーゲンとの違いは支柱と弾力の役割分担

コラーゲンは真皮の大部分を占める線維で、肌のハリと厚みを支える柱のような存在です。エラスチンはその柱どうしをつなぎ、伸びたあとに戻す弾力を担います。両者は対になって肌の弾力を生み出しています。

どちらか一方ではなく、コラーゲンとエラスチンがバランスよく働くことで、押しても戻るしなやかな肌が保たれます。化粧品では、両方を配合してハリ感をうたう製品も多く見られます。

ヒアルロン酸との違いはうるおいの担い方

ヒアルロン酸は、線維ではなく水分を抱え込むゼリー状の保湿成分で、真皮のすき間を満たしてうるおいをたくわえます。エラスチンが弾力の線維であるのに対し、ヒアルロン酸は水分保持を得意とします。

エラスチン・コラーゲン・ヒアルロン酸は、いずれも真皮を構成する成分として一緒に語られることが多い組み合わせです。役割の違いを知っておくと、化粧品を選ぶときに何を補いたいのか整理しやすくなります。

エラスチンと似た成分の比較

成分名真皮での役割特徴
エラスチン弾力・復元力伸びて戻る弾性線維の主成分
コラーゲンハリ・厚みの支柱真皮の大部分を占める線維
ヒアルロン酸うるおいの貯水水分を抱えるゼリー状成分

プロテオグリカンなど真皮を支える成分との関係

真皮には、これらのほかにプロテオグリカンやコラーゲンペプチドといった成分も関わっています。プロテオグリカンは水分を保ちながらコラーゲンやエラスチンの働きを支える存在として知られています。

コラーゲンペプチドは、コラーゲンを細かく分解して吸収しやすくした成分で、うるおいケアの目的で化粧品や食品に使われます。名前の似た成分ほど、全成分表示で役割を確認すると選びやすくなります。

まとめ

エラスチンは、真皮でコラーゲンと網目をつくり、肌の弾力とハリを支える弾性線維タンパクです。化粧品では水溶性エラスチンなどとして、うるおいとハリ感を助ける目的で使われています。

  • エラスチンは真皮の弾性線維の主成分で、コラーゲンをつなぎ肌の復元力を担う
  • 加齢や紫外線で変性・減少しやすく、日光弾性線維症など光老化と関わる
  • 外用エラスチンは保湿でハリ感を助ける成分で、弾力の再生を断定できるものではない
  • コラーゲンは支柱、ヒアルロン酸はうるおいの貯水と役割が異なる
  • たるみやしわなど気になる変化が続く場合は自己判断せず皮膚科を受診してください

よくある質問

エラスチンとはどんな成分ですか?

エラスチンは、真皮でコラーゲン線維をつなぎ、肌が伸びたあとに元へ戻る弾力を支える弾性線維タンパクです。ゴムのように伸縮する性質を持ち、肌のハリやもっちり感の土台になっています。

加齢や紫外線で変性・減少しやすく、化粧品では水溶性エラスチンなどとしてうるおいとハリ感を助ける目的で配合されます。

エラスチンを化粧品で塗ると肌の弾力は戻りますか?

エラスチン配合の化粧品は、肌表面でうるおいを抱えてハリ感やキメを整える保湿的な働きが中心です。塗ったエラスチンが真皮の弾性線維に組み込まれて弾力を作り直すという確かな証拠は乏しいのが現状です。

たるみや深いしわが元どおりになることを期待しすぎず、乾燥ケアとハリ感のサポートとして取り入れるのが現実的でしょう。

エラスチンに副作用やアレルギーの心配はありますか?

エラスチンは動物由来のタンパク質を加工した成分のため、まれに肌に合わず赤みやかゆみが出ることがあります。初めて使う製品は腕の内側などでパッチテストを行うと安心です。

刺激を感じた場合は使用を中止し、症状が続くときは皮膚科に相談してください。

エラスチンとコラーゲンは何が違いますか?

エラスチンとコラーゲンは、どちらも真皮を支える成分ですが役割が異なります。コラーゲンが肌のハリと厚みを支える柱なら、エラスチンはその柱をつなぎ、伸びたあとに戻す弾力を担います。

両者がバランスよく働くことで、押しても戻るしなやかな肌が保たれると考えられています。

エラスチンは朝と夜どちらに使うのがよいですか?

エラスチン配合の化粧水や美容液は、朝と夜のどちらでも保湿ケアとして使えます。日中は紫外線がエラスチンの変性と関わるため、日焼け止めを重ねて今ある弾性線維を守ることが大切です。

量を多くするより、製品の使用量を目安に続けることが、うるおいとハリ感のサポートにつながります。

参考文献

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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