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乾癬のつらいかゆみを抑える方法|掻きむしりを防ぐための効果的な対処法

乾癬のつらいかゆみを抑える方法|掻きむしりを防ぐための効果的な対処法

乾癬による我慢できないかゆみは、皮膚の炎症とバリア機能の低下が重なり合って起こります。

この記事では、スキンケアや外用薬の活用法、そして無意識の掻きむしりを防ぐための物理的なガード方法を詳しく解説します。

炎症を抑える生活習慣を取り入れることで、かゆみの悪循環を断ち切り、健やかな日常を取り戻すための道筋を示します。正しい知識を身につけ、今日からできる対策を一つずつ実践していきましょう。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

乾癬の激しいかゆみを物理的に鎮めて掻きむしりを防ぐ工夫

乾癬の症状が悪化すると、炎症に伴い神経が過敏になり、猛烈なかゆみが発生します。この衝動を抑えるには、脳に伝わるかゆみの信号を別の刺激で上書きしたり、物理的に知覚を鈍らせたりすることが有効です。

患部を優しく冷却して神経の昂ぶりを鎮静させる

かゆみを強く感じたときは、保冷剤や濡れタオルを使って患部を冷やすことが最も手軽な対策で、冷たさが神経の伝達を遅らせるため、一時的にかゆみの感覚を麻痺させることができます。

保冷剤を使用する際は、皮膚への刺激が強すぎないよう必ず清潔なタオルで包んでください。1回あたり10分程度を目安に冷やすと、炎症による熱が取れて肌が落ち着きます。

冷やしすぎると逆に血行不良を招く恐れがあるため、肌の色を観察しながら調整しましょう。この方法は、就寝前など特にかゆみが強まる時間帯に非常に役立ちます。

外出先であれば、冷たいペットボトルを布越しに当てるだけでも、急激なかゆみのピークをやり過ごせます。肌の熱感を取り除くことは、炎症の広がりを最小限に食い止めるための最も即効性のある応急処置です。

たっぷりの保湿剤で肌のバリアを補強して外部刺激を遮断する

乾癬の肌は水分を保持する力が弱く、乾燥そのものが強いかゆみを引き起こす要因となります。保湿剤を厚めに塗ることで、衣類の摩擦や空気の乾燥といった刺激から神経末端を守れます。

ヘパリン類似物質や白色ワセリンなど、添加物の少ない低刺激なものを選んでください。入浴後だけでなく、日中もかゆみを感じる前にこまめに塗り直すことが大切です。

肌がしっとりと潤うことで、乾癬特有の鱗屑が剥がれにくくなり、粉を吹くような不快感も軽減し、バリア機能が安定すれば、外からのアレルゲンや刺激物質が入り込む隙を与えません。

一度に大量に塗るよりも、少量を何度も重ねるほうが皮膚の馴染みが良くなり、持続性も高まります。特に膝や肘など動きが多い部位は、関節を曲げた状態で隙間なく塗り込むのがコツです。

手のひらで圧迫してかゆみの感覚を上書きする

どうしても我慢できないときは、爪を立てるのではなく、手のひらで患部をぎゅっと押さえてください。触覚や圧覚という別の刺激を脳に送ることで、かゆみの信号を一時的にブロックできます。

圧迫法は皮膚の角質層を傷つけるリスクを最小限に抑えながら、不快感を紛らわせます。数秒間じっと押し当てるだけで、反射的に掻いてしまう動作を食い止められるはずです。

強く叩いたり擦ったりすると、ケブネル現象によって新しい皮疹ができる原因になるため注意してください。優しい力で面として捉える刺激を意識することが、肌を守ることに繋がります。

服の上からでも行えるため、会議中や移動中など、すぐにスキンケアができない場面で重宝します。掻く代わりに押さえるという新しいルールを自分の中に定着させ、肌の防衛力を高めましょう。

物理的なかゆみ対策まとめ

対策内容主なメリット実践のコツ
保冷剤で冷却神経を鎮めるタオルで包み10分
ワセリン保湿刺激をブロックこまめに重ね塗り
手のひら圧迫感覚の上書き爪を立てず押さえる

皮膚科での適切な治療を受けて炎症の元をコントロールする

かゆみの根本的な解決には、皮膚の内部で起きている過剰な免疫反応を鎮める医療的ケアが大切です。医師と相談しながら、自分に合った薬剤や治療法を組み合わせることで、かゆみのない期間を延ばせます。

ステロイド外用薬とビタミンD3製剤を併用して症状を抑える

乾癬の治療では、炎症を急いで抑えるステロイド薬と、皮膚の異常な増殖を整えるビタミンD3製剤がよく使われます。適切に塗ることで、かゆみの原因となる細胞の暴走をストップさせることができます。

最近では二つの成分が一つになった配合剤も登場しており、塗る手間を減らしながら効率よく治療できます。指示された量を守り、皮疹が平らになるまで根気よく続けることが、ぶり返しを防ぐ秘訣です。

皮膚の状態が良くなれば、それだけでかゆみを感じる頻度は劇的に低下します。自己判断で薬を中断せず、医師の指導に従って徐々に塗る回数を調整していきましょう。

塗り薬の効果を最大化するには、人差し指の第一関節分(1FTU)で両方の手のひら分を塗る量を目安にしてください。薄く伸ばしすぎるのではなく、患部がしっとり光る程度にしっかりと置くように塗ることが重要です。

症状が改善してきたら、ステロイドのランクを下げたり回数を減らしたりして、副作用のリスクを管理します。

光線療法を活用して皮膚の免疫細胞を安定させる

ナローバンドUVBなどの紫外線療法は、特定の波長の光を当てることで、過剰な免疫反応を鎮める効果があります。週に数回、定期的に照射を受けることで、塗り薬だけでは難しい広範囲なかゆみも改善しやすくなります。

副作用が少なく、長期間にわたって効果が持続しやすい点が、この治療の大きなメリットです。光の刺激によって皮膚の免疫バランスが整い、かゆみを引き起こす物質の放出が抑えられます。

通院の負担はありますが、薬の使用量を減らすことができるため、肌への負担も軽くなります。頑固なかゆみに悩んでいる場合は、主治医に光線療法の導入を相談してみるのが良いでしょう。

光を当てた直後は一時的に肌がほてることがあるため、当日の入浴はいつもよりさらにぬるめを意識してください。回数を重ねるごとに皮膚が丈夫になり、かゆみの閾値が上がっていくのを実感できます。

最新の全身療法で体の中から炎症反応を遮断する

外用薬や光線療法で十分な効果が得られない場合、飲み薬や注射による治療が検討され、特定の炎症物質をピンポイントで狙い撃ちし、かゆみの根源を絶つことを目指します。

免疫調整薬やレチノイド、さらに進んだ生物学的製剤など、治療の選択肢は近年で非常に豊富になりました。これらを用いると、驚くほど短期間で肌がきれいになり、かゆみを忘れて過ごせるようになる患者さんも多いです。

全身に作用するため、皮膚だけでなく関節の痛みなど他の症状にも良い影響を与えることがあります。症状が重い場合は、我慢せずに最新の選択肢について医師に詳しく聞いてみましょう。

生物学的製剤は注射が中心ですが、最近では自己注射が可能なタイプも増え、通院頻度を抑える工夫がなされています。高額療養費制度を利用すれば経済的な負担も軽減できます。

夜間の無意識な掻きむしりを防ぐための寝室環境と習慣

睡眠中のかゆみは理性が働かないため、最も肌を傷つけやすい危険な時間帯です。物理的に掻けない工夫と、かゆみを誘発しない環境作りを徹底することで、朝の絶望感を防ぐことができます。

爪を常に短く整えて保護手袋を着用する習慣

爪が長いと、一瞬の掻破行動でも皮膚を深く切り裂いてしまいます。週に二回は爪を切り、やすりを使って角を滑らかにしておくことが、最大の防御です。

就寝時には綿100%の手袋をはめることで、指先が直接肌に触れるのを防ぎましょう。手袋をすることで、無意識に手が動いても皮膚へのダメージを大幅に軽減できます。

最初は煩わしく感じるかもしれませんが、数日で慣れ、肌の回復速度が上がることが実感できるはずです。手袋を外してしまう場合は、手首の部分を包帯やテープで軽く固定する方法もあります。

手袋の中が蒸れるとかえってかゆくなることもあるため、通気性の良いガーゼ素材のものを選ぶのがおすすめです。洗い替えを数組用意し、常に清潔な状態で使用することで、二次的な細菌感染も予防できます。

また、爪の間に皮膚の破片が溜まると炎症を悪化させるため、手洗いの徹底も同時に行いましょう。

適切な温度と湿度で過敏な肌を優しく守る

寝室が乾燥していると皮膚の水分が奪われ、かゆみの閾値が下がってしまいます。加湿器を使い、湿度は常に50%から60%をキープするように意識してください。

また、体温が上がりすぎると血流が良くなりすぎて、かゆみが爆発的に強まります。暖房の設定温度は低めにし、通気性の良いパジャマを選ぶことで、体の熱を逃がしやすくしましょう。

夏場であればエアコンを適切に使い、汗による刺激を避けることも重要です。肌が「適度に涼しく、しっかり潤っている」状態を保つことが、安眠への近道です。

冬場の電気毛布は肌を乾燥させる天敵となるため、湯たんぽなどで足元だけを温める工夫が有効です。温度計と湿度計を目に付く場所に置き、数値に基づいた環境調整を行うことで、感覚的なズレを防ぎます。

低刺激な天然素材の寝具を選んで摩擦を最小限にする

化学繊維や起毛素材のシーツは、寝返りのたびに患部を刺激し、かゆみを誘発します。肌に直接触れる寝具は、オーガニックコットンやシルクなどの滑らかな天然素材に変えてください。

縫い目が肌に当たらないようなデザインのパジャマを選ぶことも、細かなストレスを排除するために有効です。タグが肌に触れる場合は、あらかじめ切り取っておくなどの工夫をしましょう。

摩擦が減ることで、皮膚の炎症が落ち着きやすくなり、新しい皮疹の発生を抑えられます。リラックスできる素材に包まれることは、心の安定にも繋がり、かゆみへの過敏反応を和らげます。

また、洗濯用洗剤はすすぎ残しがないよう、無添加のものや液体タイプを選ぶと刺激を最小限に抑えられます。枕カバーも毎日交換するなど、接触面の衛生管理を徹底することで、肌は確実に応えてくれるはずです。

寝室のチェックリスト

  • 加湿器の水は満たされているか
  • 室温が20度前後に保たれているか
  • シーツは綿100%のものか
  • 爪はやすりで丸められているか

日常生活の注意点を守り体の中から炎症を抑える知恵

乾癬のかゆみは、食べたものや飲み方、お風呂の入り方といった日々の何気ない行動に左右されます。刺激を避ける生活を習慣化することで、炎症のピークを抑え、薬の効果を最大限に引き出すことができます。

ぬるめのお湯で短時間の入浴を心がける

42度を超えるような熱いお湯は、皮膚の脂分を奪い去り、入浴後のかゆみを激化させます。38度から40度のぬるめのお湯に設定し、10分以内の入浴で済ませるのが理想的です。

体を洗うときは、たっぷりの泡を手のひらに乗せ、撫でるように洗ってください。タオルでこすり洗いをすると、皮膚の保護膜が壊れ、乾癬の症状が広がる原因になります。

お風呂から出たら、肌の水分が蒸発する前に、素早く保湿剤を塗布しましょう。このルーティンを徹底することで、乾燥によるピリピリ感を防ぐことができます。

入浴剤を使用する場合は、保湿効果が高く香料の少ない、薬用のものを選ぶのが安心です。長湯をして肌がふやけると、鱗屑が剥がれやすくなって出血を招くことがあるため、時計を見て時間を管理してください。

アルコールや刺激物を控えて血管の拡張を抑える

お酒を飲むと体が火照り、血管が広がって、かゆみが急激に増してしまいます。特にかゆみが強い時期は、禁酒をするか、量を極端に控えることが皮膚の安定に直結します。

唐辛子などの香辛料やカフェインも、交感神経を刺激してかゆみを引き起こす可能性があります。刺激の強い食事を避けることで、自律神経の乱れを防ぎ、皮膚の興奮を鎮めることができます。

代わりに、抗炎症作用のある青魚などを取り入れた、バランスの良い食事を意識しましょう。内面からのケアを積み重ねることで、肌の赤みやかゆみの強さが少しずつ落ち着いていきます。

どうしても飲みたいときは、ノンアルコール飲料を活用するなど、雰囲気を変えずにアルコールを避ける工夫をすることが大切です。外食時も「薄味」や「素材を活かした調理法」を選ぶことで、無意識の過剰刺激を防ぐことができます。

禁煙に取り組んで末梢血流と免疫バランスを整える

喫煙は乾癬の発症や悪化に深く関わっており、かゆみを長引かせる大きな要因の一つです。タバコに含まれる成分は免疫システムを狂わせ、炎症を慢性化させてしまいます。

禁煙をすることで皮膚への血流が改善し、必要な栄養や酸素が行き渡ることで皮膚の修復能力が高まり、薬の効果も現れやすくなるという好循環が生まれます。

禁煙を始めると、早ければ数週間で肌のトーンが明るくなり、乾燥感が和らぐのを感じることができます。

生活習慣改善の優先順位

項目改善の重要度得られるメリット
入浴温度の管理★★★★★入浴後の激しいかゆみ防止
節酒・禁酒★★★★☆血管拡張によるかゆみ抑制
禁煙★★★★☆免疫バランスの正常化

ストレスを上手に逃がしてかゆみの感受性を下げるメンタルケア

精神的な緊張は、脳がかゆみを感じる感度を驚くほど高めてしまいます。リラックスできる時間を持つことは、単なる気分転換ではなく、かゆみの回路を遮断するための有効な治療です。

深呼吸や軽い運動で自律神経を安定させる

ストレスを感じると交感神経が優位になり、かゆみを伝える物質が出やすくなります。1日に数回、鼻から深く吸って口からゆっくり吐き出す腹式呼吸を行い、意識的に体を緩めましょう。

また、散歩などの軽い運動は、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌を促します。セロトニンには痛みを和らげる作用やかゆみを鎮める効果が期待されており、心の平穏を取り戻す助けになります。

頑張りすぎず、心地よいと感じる程度の活動を生活に組み込んでください。身体を動かすことで溜まったストレスを放出し、かゆみに対する過敏な反応をリセットをすることが大切になります。

太陽の光を適度に浴びることは、体内時計を整え、ビタミンDの生成を助けるため乾癬には非常に好影響です。ただし、運動の際は吸汗速乾性に優れた服を着て、汗が肌に残らないようこまめに拭き取る配慮も忘れずに行いましょう。

趣味や没頭できる時間を作り意識をかゆみから逸らす

何もしない時間は、どうしても意識が肌の不快感に向き、かゆみを強く感じてしまいます。読書、映画、ゲームなど、自分が夢中になれる活動を見つけ、脳を忙しくさせてください。

他のことに集中している間は、脳がかゆみの信号を後回しにするという性質があります。これをゲートコントロール理論と呼び、意識を逸らすことが実際にかゆみを和らげることに繋がります。

手先を使う作業は、物理的に「掻く手」を塞ぐことができるため、特におすすめです。また、アロマを焚いて嗅覚からリラックスを取り入れるなど、五感を使ったアプローチも効果を発揮します。

十分な睡眠で皮膚の再生を助け精神的なレジリエンスを高める

睡眠不足は情緒を不安定にし、些細なかゆみに対しても強いイライラを感じるようになります。規則正しい生活を送り、質の高い睡眠を確保することは、乾癬という病気と戦う活力を養います。

寝る前はリラックスできる音楽を聴いたり、温かいノンカフェインの飲み物を飲んだりして、入眠の儀式を作ることが大事です。しっかり眠ることで成長ホルモンが分泌され、荒れた皮膚のターンオーバーが正常化されます。

寝室のスマホ使用を控えブルーライトを遮断することで、眠りの深さが驚くほど改善します。万が一、夜中にかゆみで目が覚めてしまったときは、無理に眠ろうとせず一度冷やして落ち着くのを待ちましょう。

睡眠の質が上がると肌のバリア機能が強化され、日中のかゆみも連動して和らいでいきます。

乾癬の専門医と信頼関係を築き最適な治療を継続する姿勢

乾癬は一朝一夕で治る病気ではありませんが、根気強く向き合うことで必ずコントロールできる状態になります。一人で苦しまず、医療チームの力を借りて、一歩ずつ前進していくことが改善への確実なルートです。

主治医にかゆみの現状や不安を正直に伝える

診察の際は、かゆみで眠れないことや、薬を塗るのが大変なことなど、生活上の不便を包み隠さず話しましょう。医師はあなたの話を聞いて、より使いやすい薬や、より強力な治療へのステップアップを検討してくれます。

「このくらいなら我慢すべき」と自分を追い込まず、今の辛さを数字(10段階評価など)で伝えると伝わりやすいです。

日々の症状の変化をスマホで写真に撮って見せることで、言葉では伝えにくいニュアンスを共有できます。「薬のベタつきが原因で塗るのをサボってしまう」といった本音も、治療方針を調整するための重要なヒントです。

小さな改善を喜び治療へのモチベーションを維持する

乾癬の治療は長丁場になるため、劇的な変化を求めず、「フケが減った」「赤みが薄くなった」という、日々の微かな変化に目を向けましょう。

肌の様子をカレンダーにメモしたり、定期的に写真を撮っておくと、後で見返したときに改善の軌跡が分かります。停滞期があっても、それは体が次のステップへ向けて準備している期間だと捉えて、淡々とケアを続けてください。

前向きな気持ちが免疫系にも良い影響を与え、さらなる回復を引き寄せるきっかけになります。焦らず、腐らず、自分の肌を慈しむ気持ちを持って、治療の道のりを歩んでいきましょう。

完璧主義を捨て、「今日は保湿が1回できた」という小さな達成感を積み重ねることが継続の秘訣です。変化は螺旋階段のようにゆっくり現れるものだと理解し、過去の自分と比較して成長を実感してください。

ポジティブな自己対話は、体内のストレスホルモンを減少させ、かゆみを和らげる助力となります。

正しい知識に基づいた情報収集を行い迷いを断ち切る

インターネットにはさまざまな情報が溢れていますが、学会や専門病院が出している信頼できる情報を頼りにしてください。最新の治療ガイドラインを知ることで、自分が受けている治療が分かり、安心感に繋がります。

患者会などで同じ悩みを持つ仲間と繋がることも、精神的な孤独感を解消するために非常に役立ちます。「自分だけではない」という実感は、かゆみという辛い症状に立ち向かう勇気を与えてくれます。

定期的に開催される市民公開講座などに参加して、最新の知見に触れることも大きな励みになります。正しい情報源を持つことは、不安という最大のかゆみの増幅装置を停止させるための最良の方法です。

よくある質問

乾癬のかゆみを抑えるために市販の抗ヒスタミン薬を服用しても効果はありますか?

乾癬によって引き起こされるかゆみは、一般的なじんましんなどで見られるヒスタミンという物質だけでなく、T細胞などの免疫細胞から放出される様々な炎症性物質が複雑に関与しています。

そのため、市販の抗ヒスタミン薬だけでは、期待しているような十分な鎮痒効果が得られない場合が多いのが現状です。

ただし、薬に含まれる成分によっては眠気を誘発し、夜間の安眠を助けるなどの補助的な目的で処方されることもあります。

自己判断で市販薬を服用する前に、まずは主治医に現在の皮膚の状態に最も適した薬剤を相談することが、副作用を防ぎ効率的にかゆみを抑えるために大切です。

乾癬の皮疹部分を掻きむしって出血してしまった場合、どのような処置が適切ですか?

誤って掻きむしって出血してしまったときは、まず清潔なガーゼやティッシュを患部に当て、軽く押さえて止血を行ってください。

出血が止まったら、患部を流水で優しく洗い流して清潔にし、医師から処方されている軟膏があれば、それをたっぷりと塗布して皮膚を保護することが必要です。

乾癬には、健康な皮膚に傷がつくことで新しい皮疹が発生してしまうケブネル現象という性質があるため、傷口を放置すると症状が広がる恐れがあります。

もし出血が止まらなかったり、周囲が赤く腫れて痛みが出てきたりした場合は、感染症の疑いもあるため、早めに皮膚科を受診して適切な手当てを受けてください。

乾癬の鱗屑が気になって剥がしてしまいますが、これがさらなるかゆみを誘発する原因になりますか?

表面に付着している銀白色の鱗屑を無理に剥がそうとすると、その下にある非常に薄くデリケートな皮膚まで一緒に剥がれてしまい、点状の出血や激しいかゆみを引き起こす大きな原因となります。

これをアウスピッツ現象と呼び、皮膚への強い刺激となるため、炎症をさらに慢性化させてしまうリスクが高いです。

鱗屑がボロボロと落ちるのが気になるときは、保湿剤を多めに塗って皮膚を柔らかく保つことで、自然に剥がれ落ちるのを待ちましょう。

正しいスキンケアを継続して炎症そのものが落ち着いてくれば、鱗屑の発生量も自然と減っていきますので、決して爪で引っ掛けて剥がさないように気をつけてください。

乾癬のかゆみを抑えるために自宅でできる食事療法で、特に注意すべきことは何ですか?

乾癬のかゆみを食事の面から管理する上で最も注意すべきことは、血管を拡張させ体温を上昇させるアルコールの摂取を控えることです。

お酒を飲むと炎症反応が活発になり、飲酒後にかゆみが爆発的に強まることが多いため、症状が辛い時期は禁酒を強くお勧めします。

また、動物性脂肪の多い食事や高糖質なメニューも体内の炎症を助長する可能性があるため、腹八分目を心がけ、標準体重を維持することがかゆみの軽減に役立ちます。

特定のサプリメントに頼るよりも、抗炎症作用を持つオメガ3系脂肪酸を含む魚や野菜を多く取り入れるなど、全体的な食生活の質を高めることが、皮膚を健やかに保つための近道です。

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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