腰痛に効くストレッチ7選|寝ながら・座りながらでOK

つらい腰痛を何とかしたいけれど、ハードな運動は続かない。そんな方にこそ試してほしいのが、寝ながら・座りながらできるストレッチです。特別な道具は必要なく、布団の上やオフィスの椅子で今日から始められます。

この記事では整形外科の知見にもとづき、腰痛をやわらげる7つのストレッチを姿勢別にわかりやすく紹介します。正しいフォームや注意点、続けるためのコツもあわせて解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

この記事の執筆者

臼井 大記(日本整形外科学会認定専門医)

臼井 大記(うすい だいき)

日本整形外科学会認定専門医
医療社団法人豊正会大垣中央病院 整形外科・麻酔科 担当医師

2009年に帝京大学医学部医学科卒業後、厚生中央病院に勤務。東京医大病院麻酔科に入局後、カンボジアSun International Clinicに従事し、ノースウェスタン大学にて学位取得(修士)。帰国後、岐阜大学附属病院、高山赤十字病院、岐阜総合医療センター、岐阜赤十字病院で整形外科医として勤務。2023年4月より大垣中央病院に入職、整形外科・麻酔科の担当医を務める。

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目次

腰痛はなぜ繰り返す?ストレッチが効く身体のしくみ

腰痛が繰り返される原因の多くは、腰まわりの筋肉の柔軟性低下と血行不良にあります。ストレッチで硬くなった筋肉をほぐし、血液の循環を改善することで痛みの軽減が期待できます。

デスクワークや運動不足が腰まわりの筋肉を固くする

長時間同じ姿勢で座り続けると、腰を支える脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)や腸腰筋(ちょうようきん)が緊張した状態のまま固まってしまいます。筋肉が硬くなると血流が滞り、痛みの原因物質が蓄積しやすくなるのです。

とくにデスクワーク中心の生活を送る方や、運動習慣のない方は注意が必要です。1日のうち座っている時間が8時間を超えると、腰痛のリスクが大幅に高まるという報告もあります。

硬くなった筋肉をほぐすと痛みがやわらぐ理由

ストレッチで筋肉を伸ばすと、筋繊維がゆるんで血管が広がります。その結果、酸素や栄養素が行き渡りやすくなり、痛みを引き起こすブラジキニンなどの発痛物質が洗い流されやすくなるでしょう。

加えて、ストレッチには自律神経のバランスを整える働きがあるとされています。副交感神経が優位になることでリラックス効果が生まれ、筋肉のこわばりがさらにほぐれるという好循環が生まれます。

腰痛の原因と対処法の整理

腰痛の原因主な症状対処の方向性
筋肉の緊張・疲労鈍い痛み、張り感ストレッチ・温熱療法
椎間板の変性前かがみで悪化姿勢改善・医師への相談
脊柱管狭窄歩行時のしびれ整形外科での診察
筋力低下長時間座位で悪化体幹トレーニング

腰痛ストレッチは「治す」ではなく「ケアする」が正しい考え方

ストレッチは腰痛を根本的に治す治療行為ではありません。あくまでも日常のセルフケアとして、痛みの緩和や予防を目的に行うものです。とくに3か月以上痛みが続く慢性腰痛(腰痛症)の場合は、ストレッチを日々の習慣として根気よく取り組むことが重要になります。

「治す」ではなく「ケアする」という意識を持つだけで、無理をして身体を痛めるリスクが大きく下がります。毎日少しずつ身体をいたわる習慣として取り入れるのがよいでしょう。

寝ながらできる腰痛ストレッチ3選|布団の上でそのまま実践

寝た姿勢で行うストレッチは、腰への負荷が少なく初心者や痛みが強い方にも取り組みやすい方法です。朝起きたとき・夜寝る前の習慣にすると、腰の調子が整いやすくなります。

両膝かかえストレッチで腰全体の緊張をゆるめる

仰向けに寝た状態で両膝を胸に引き寄せ、両手で膝を抱えます。腰全体がじんわり伸びるのを感じながら、20秒から30秒ほどキープしてください。呼吸は止めず、ゆっくり吐きながら行うのがポイントです。

このストレッチは脊柱起立筋と腰方形筋(ようほうけいきん)をまんべんなく伸ばせるため、腰全体の緊張を一度にゆるめたいときに向いています。反動をつけず、じわじわと引き寄せる意識で行いましょう。

梨状筋ストレッチで腰からお尻の張りを取る

仰向けで片方の足首をもう片方の膝の上に乗せ、下側の太ももを両手で引き寄せます。お尻の奥にある梨状筋(りじょうきん)が伸びると、腰だけでなくお尻から太ももにかけての張りも同時にやわらぎます。

梨状筋が硬くなると坐骨神経(ざこつしんけい)を圧迫し、お尻や太ももの裏にしびれが出ることもあります。デスクワークの多い方はとくにこの部分が硬くなりがちなので、左右それぞれ20秒ずつ丁寧に伸ばしてみてください。

寝たまま腰ひねりストレッチで背骨まわりをリセット

仰向けの状態から両膝を立て、そろえたまま左右どちらかにゆっくり倒します。倒した側と反対の肩が床から浮かないように注意しながら、20秒キープしたら反対側も同様に行ってください。

腰椎(ようつい)のそばにある多裂筋(たれつきん)や回旋筋が伸ばされ、背骨まわりの動きがなめらかになります。朝の目覚めの一発目に行うと、寝ている間にこわばった腰がすっきりほぐれるでしょう。

寝ながらストレッチの比較

ストレッチ名伸びる部位保持時間の目安
両膝かかえ腰全体(脊柱起立筋)20〜30秒
梨状筋ストレッチお尻の深部(梨状筋)左右各20秒
腰ひねり背骨まわり(多裂筋)左右各20秒

座りながらできる腰痛ストレッチ4選|椅子に座ったままでOK

オフィスや自宅の椅子に座ったまま行えるストレッチは、仕事の合間やテレビを見ながらでも実践できる手軽さが魅力です。デスクワーク中にこまめに取り入れれば、腰への負担を大きく減らせます。

座ったまま前屈で腰の奥まで伸ばす

椅子に浅く座り、足を肩幅に開いたら、息を吐きながらゆっくりと上半身を前に倒していきます。両手は足首のあたりに添え、背中が丸まった状態で15秒から20秒キープしましょう。

この前屈で腰椎の後方にある靱帯(じんたい)や筋膜がじんわりと伸ばされます。痛気持ちいい程度にとどめ、呼吸を止めないようにするのが大切です。

背中丸め・反らしで腰椎の動きを取り戻す

椅子に座ったまま両手を膝に置き、息を吐きながら背中を丸めてへそをのぞき込みます。次に息を吸いながら胸を張り、背中を軽く反らせます。この動きを10回ほど繰り返しましょう。

いわゆる「キャット&カウ」と呼ばれる動きの座位バージョンです。腰椎を前後に動かすことで椎間板への栄養供給がうながされ、長時間の座り仕事で固まった腰の動きが改善されます。

座りながらストレッチ4種の特徴

ストレッチ名動きのタイプ回数・時間
座位前屈前屈(静的)15〜20秒キープ
背中丸め・反らし屈曲・伸展(動的)10回繰り返す
片膝クロス回旋(静的)左右各20秒
体側伸ばし側屈(静的)左右各15秒

片膝クロスストレッチでお尻と腰を同時にほぐす

椅子に座った状態で片方の足首をもう片方の膝に乗せ、背筋を伸ばしたまま上半身を前へ傾けます。お尻の外側から腰にかけてしっかりと伸びを感じられるはずです。左右各20秒ずつ行ってみてください。

中殿筋(ちゅうでんきん)と梨状筋を同時にストレッチできるため、座り仕事でお尻が痛くなりやすい方にもおすすめです。上半身を傾ける角度を深くするほど伸び感が強まりますが、無理は禁物でしょう。

体側伸ばしで腰まわりの側面をゆるめる

椅子に座り片手を頭の上に伸ばしたら、反対側にゆっくりと体を倒します。腰から脇腹にかけての腰方形筋が伸びるのを意識しながら、左右それぞれ15秒ずつキープしましょう。

デスクワーク中は前後方向の動きばかりになりがちですが、体側を伸ばす動きを加えると腰の可動域がぐっと広がります。電話の待ち時間やメールの送受信の合間に、片側ずつさっと行えるのも大きな利点です。

朝・昼・夜いつやる?腰痛ストレッチの効果を引き出すタイミング

腰痛ストレッチは「いつ行うか」によって得られる効果が変わります。生活リズムに合わせてタイミングを使い分けると、痛みの予防とケアを効率よく両立できるでしょう。

朝のストレッチは寝起きの腰のこわばりをほどく

就寝中は数時間にわたり同じ体勢が続くため、朝は筋肉がもっとも硬い時間帯です。布団の中で寝ながらストレッチを行えば、こわばった腰をやさしく起こしてあげられます。

起き上がる前に両膝かかえや腰ひねりを1種目ずつ行うだけでも、腰がスムーズに動き始めるのを実感できるはずです。忙しい朝でも2分あれば十分なので、目覚ましを2分早くセットしてみてください。

昼のストレッチはデスクワーク疲れの予防に直結

仕事中に1時間おきに座りながらストレッチを挟むと、腰の筋肉が長時間固まるのを防げます。背中丸め・反らしや体側伸ばしなら、周囲の目を気にせずデスクで行えるでしょう。

ランチの直後はとくにおすすめのタイミングです。食後は副交感神経が活発になり、筋肉がゆるみやすい状態になっています。わずか1分の座位ストレッチでも、午後の腰痛予防に大きく貢献してくれます。

夜のストレッチで1日の腰の疲れをリセット

入浴後の温まった身体はもっとも筋肉が伸びやすい状態です。寝ながらストレッチを3種目すべて行っても5分程度で終わるので、寝る前のルーティンに組み込みやすいでしょう。

夜のストレッチにはリラクゼーション効果もあり、睡眠の質を高める助けにもなります。腰痛が気になって寝つけないという方にこそ、ぜひ試してほしい時間帯です。

時間帯別おすすめストレッチ

  • 朝:両膝かかえ、寝たまま腰ひねり
  • 昼:座位前屈、背中丸め・反らし、体側伸ばし
  • 夜:寝ながらストレッチ3種目すべて

「ストレッチで逆に痛くなった」を防ぐ3つの鉄則

せっかく腰痛を楽にしようとストレッチをしたのに、翌日かえって痛みが増してしまった。そんな失敗を避けるために、守ってほしい3つの鉄則を紹介します。

痛みを我慢して無理に伸ばすのは絶対NG

「もっと伸ばせば早く良くなる」と思いがちですが、痛みを我慢しながらのストレッチは筋繊維を傷つけ、炎症を悪化させるおそれがあります。伸ばす強さは「痛気持ちいい」と感じる手前が正解です。

とくに腰に鋭い痛みや電気が走るような感覚がある場合は、すぐに中断してください。「効いている痛み」と「危険な痛み」の見分けがつかないときは、無理せず整形外科に相談するのが安心です。

反動をつけるストレッチは腰への負担が大きい

体をバウンドさせるように勢いをつけて伸ばす「バリスティックストレッチ」は、筋肉が防御反応で余計に硬くなる伸張反射を引き起こします。腰痛がある状態でこれを行うと、症状を悪化させる可能性が高いので避けるべきです。

静的ストレッチと動的ストレッチの違い

種類特徴腰痛への適性
静的ストレッチゆっくり伸ばして保持適している
動的ストレッチ関節を動かしながら伸ばす軽度なら可
バリスティック反動をつけて伸ばす腰痛時はNG

急性期の腰痛(ぎっくり腰)にストレッチは禁物

ぎっくり腰のような急性腰痛は、発症から48時間から72時間は炎症がピークを迎える時期です。この急性期に無理にストレッチを行うと、損傷した組織をさらに刺激し、回復を遅らせてしまいかねません。

急性期はまず安静を優先し、痛みが落ち着いてきた段階でごく軽い動きから再開するのが基本です。「動かさないと固まる」と焦る気持ちもわかりますが、急がば回れの精神で乗り越えましょう。

ストレッチだけでは治らない腰痛は整形外科へ相談を

セルフケアとしてのストレッチを2週間以上続けても改善が見られない場合や、しびれ・発熱などの症状をともなう場合は、整形外科での精密検査を受けるべきです。放置すると悪化する疾患が隠れているかもしれません。

しびれや発熱をともなう腰痛は早めの受診が必要

足先のしびれ、排尿のしにくさ、安静にしていても激しい痛みが続くといった症状は、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)などの可能性を示す警告サインです。

発熱をともなう腰痛は、感染性脊椎炎(かんせんせいせきついえん)など緊急性の高い疾患の場合もあります。「たかが腰痛」と自己判断せず、早めに整形外科を受診してください。

整形外科で受けられる腰痛の検査と治療法

整形外科ではレントゲンやMRIによる画像検査に加え、神経学的な検査を行い、痛みの原因を多角的に調べます。原因が特定されれば、薬物療法、リハビリテーション、物理療法などから適した治療が選択されます。

近年では運動療法を組み合わせたリハビリが重視されており、理学療法士の指導のもとで個別にプログラムを組むケースが増えてきました。自己流のストレッチでは届かない部分を専門家がフォローしてくれるのは大きなメリットです。

ストレッチと医師の治療を組み合わせると回復が早まる

整形外科での治療と日常のストレッチは相反するものではなく、両輪で取り組むことで回復が早まるケースが多く報告されています。通院中であっても、担当医に確認のうえでセルフストレッチを並行して行うとよいでしょう。

医師や理学療法士から「このストレッチは今はやめておいて」と指示を受けたときは、必ずその指示に従ってください。自己判断での過度なストレッチが治療の妨げになることもあるからです。

受診の目安チェック

症状緊急度対応
2週間以上痛みが続く早めに受診
足にしびれがある速やかに受診
発熱をともなうすぐに受診
安静時も激しい痛みすぐに受診

腰痛ストレッチを三日坊主で終わらせない|毎日続けるコツ

どんなに効果的なストレッチも、続けなければ意味がありません。無理なく毎日の生活に溶け込ませる工夫さえあれば、三日坊主の壁は意外とあっさり越えられます。

1日5分だけで十分な理由

「30分しっかりやらなきゃ」と意気込むほど、かえって長続きしないものです。腰痛予防のストレッチは1日5分でも十分に効果が見込めるとする研究報告があります。短い時間でよいとわかれば、心理的なハードルがぐっと下がるのではないでしょうか。

まずは寝ながらストレッチ1種目だけでかまいません。「今日は両膝かかえだけやろう」くらいのゆるさで始めるのが、長く続ける秘訣です。

継続のための工夫

  • スマホのリマインダーで毎日決まった時間に通知
  • 入浴後のルーティンに組み込む
  • ストレッチカレンダーで達成感を可視化
  • 家族やパートナーを誘って一緒に取り組む

スマホのリマインダーや入浴後のルーティン化

習慣化のコツは、既存の行動にストレッチを「くっつける」ことです。たとえば「お風呂から上がったら梨状筋ストレッチ」「歯を磨いたら腰ひねり」のように、すでに毎日行っている行動の直後にセットすると忘れにくくなります。

スマホのアラームやリマインダーアプリを使うのも効果的です。通知が来たら「とりあえず1種目だけ」を合言葉にしてみてください。やり始めてしまえば、もう1種目追加しようかなという気持ちが自然と芽生えます。

家族やパートナーと一緒に取り組むと続けやすい

1人で黙々とストレッチを続けるのは孤独な戦いになりがちです。家族やパートナーに声をかけ、一緒にストレッチの時間を設けると、お互いの励ましが継続のモチベーションになります。

「今日はやった?」「腰の調子どう?」といった何気ない会話が生まれるだけで、サボりにくくなるから不思議です。同じ悩みを共有できる存在がいると、ストレッチの時間そのものが楽しみに変わるでしょう。

よくある質問

腰痛ストレッチは1日に何回やれば効果がある?

腰痛ストレッチは1日1回から2回で十分に効果が期待できます。朝と夜の2回行うのが理想的ですが、まずは夜の1回だけでもかまいません。

大切なのは回数よりも継続です。週に1回30分まとめてやるよりも、毎日5分ずつ続けるほうが筋肉の柔軟性は保たれやすいとされています。

腰痛ストレッチは痛みがあるときでも続けてよい?

慢性的な鈍い痛みであれば、痛気持ちいい範囲でストレッチを続けてかまいません。ただし、鋭い痛みや足のしびれがある場合は中断し、整形外科を受診してください。

ぎっくり腰のような急性の痛みが出ている間はストレッチを控え、炎症がおさまってから再開するのが安全です。判断に迷ったら自己判断せず、医師に相談しましょう。

腰痛ストレッチとヨガやピラティスはどこが違う?

腰痛ストレッチは特定の筋肉を伸ばして柔軟性を回復させることに特化しています。一方、ヨガは呼吸法や精神面の安定を含む総合的なアプローチであり、ピラティスは体幹の筋力強化に重点を置いたエクササイズです。

腰痛の緩和だけを目的にするなら、まずはストレッチから始めるのが取り組みやすいでしょう。余裕が出てきたらヨガやピラティスを加えることで、腰痛予防の効果がさらに高まります。

腰痛ストレッチの効果を実感できるまでどれくらいかかる?

個人差はありますが、毎日続けた場合、早い方で1週間ほどで腰の張りや重さの軽減を感じるケースがあります。目に見える変化を実感するには、2週間から4週間ほど継続するのが一般的な目安です。

すぐに効果が出なくても焦らないでください。筋肉の柔軟性は少しずつ改善されていくものなので、まずは4週間を目標にコツコツ取り組んでみましょう。

腰痛ストレッチと筋トレはどちらを優先すべき?

痛みがある段階では、まずストレッチで筋肉の柔軟性を回復させることを優先してください。硬い筋肉のまま筋トレを行うと、フォームが崩れて腰に余計な負担がかかるおそれがあります。

ストレッチで痛みが落ち着いてきたら、体幹を鍛える軽めの筋トレを加えると腰痛の再発予防に効果的です。どちらか一方だけではなく、段階的に組み合わせるのが理想といえます。

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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