ガレー硬化性骨髄炎

ガレー硬化性骨髄炎(Garré’s sclerosing osteomyelitis)とは、慢性骨髄炎の中でも非化膿性で慢性的に進行する特殊なタイプです。

1893年にスイスの外科医カール・ガレーによって初めて報告されたこの疾患は、骨髄の炎症に対する反応として骨が異常に硬化し、肥厚する特徴があります。通常の化膿性骨髄炎とは異なり、膿の形成がなく、骨の新生と硬化が主な病態となります。

多くは小児や青年の下顎骨に発生し、軽度から中等度の疼痛や腫脹を伴う例が多く、適切な診断と治療により良好な予後が期待できる疾患です。

この記事の執筆者

臼井 大記(日本整形外科学会認定専門医)

臼井 大記(うすい だいき)

日本整形外科学会認定専門医
医療社団法人豊正会大垣中央病院 整形外科・麻酔科 担当医師

2009年に帝京大学医学部医学科卒業後、厚生中央病院に勤務。東京医大病院麻酔科に入局後、カンボジアSun International Clinicに従事し、ノースウェスタン大学にて学位取得(修士)。帰国後、岐阜大学附属病院、高山赤十字病院、岐阜総合医療センター、岐阜赤十字病院で整形外科医として勤務。2023年4月より大垣中央病院に入職、整形外科・麻酔科の担当医を務める。

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目次

ガレー硬化性骨髄炎の病型

ガレー骨髄炎は慢性骨髄炎の中でも硬化型(増殖型)に分類されます。

慢性骨髄炎には、膿瘍※1や瘻孔※2を形成し膿がみられる「慢性化膿性骨髄炎」と、ガレー骨髄炎のように膿を伴わず骨硬化を来す「慢性硬化性骨髄炎」があり、ガレー骨髄炎は後者に当たります。

※1膿瘍(のうよう):組織が融解、壊死して膿が溜まった状態。強い痛みや熱感、発赤や腫れ、発熱を伴うケースが多い。

※2瘻孔(ろうこう):臓器同士や臓器と対外の間にできる異常な管状の穴(トンネル)。膿や消化液などの内容物が排出される。

ガレー骨髄炎自体の同義語として、骨膜増殖性骨髄炎(periostitis ossificans)や非化膿性骨膜炎などの用語が使われるときもあります。

原因から見た分類では、局所の低毒性菌による持続感染が関与する二次性慢性骨髄炎の一型と捉えられますが、一方で原因不明の特発性(一次性)慢性骨髄炎の範疇にも含まれ、慢性再発性多発性骨髄炎(CRMO)など自己炎症疾患のスペクトラムに位置づける見解もあります。

実際、単発骨病変から多発骨病変まで病像の幅があり、複数箇所に病変が再発を繰り返す場合は慢性再発性多発性骨髄炎と診断されます。

まとめると、ガレー骨髄炎は「慢性」「非化膿性」「骨膜増殖性」という病態的特徴をもち、慢性骨髄炎の中の一分類と考えられています。

ガレー硬化性骨髄炎の症状

ガレー硬化性骨髄炎の症状は、病型や病期により痛みや顔面の腫脹などさまざまですが、共通して見られる特徴的な症状があります。症状を正しく理解すると、早期発見と適切な治療につながります。

初期症状

ガレー硬化性骨髄炎の初期には、患部の軽度の違和感や鈍痛から始まるケースが多いです。これらの症状は常にあるわけではなく、日常生活に大きな支障をきたさないため、見過ごされやすいです。

初期の段階では、咀嚼時の軽い痛みや、冷たいものがしみるといった症状が現れる場合があります。また、患部の歯肉に軽度の腫脹や発赤を認める方もいます。

これらの症状は、通常の歯周病や歯髄炎と類似しているため、鑑別診断が重要となります。

初期症状のチェックポイント

症状頻度特徴
鈍痛高い間欠的で軽度
違和感高い咀嚼時に増強
歯肉腫脹中程度軽度で限局性

進行期の症状

病変が進行すると、より明確な症状が現れます。最も特徴的なのは、患側の顔面腫脹です。この腫脹は硬く、圧痛を伴うケースが多く、皮膚の発赤や熱感は通常認められません。

進行期には、持続的な鈍痛や咬合時痛が強くなり、鎮痛薬の使用が必要となる場合もあります。

また、患部の歯の動揺や咬合異常が出現し、食事に支障をきたすようになります。顎骨の肥厚により、顔貌の非対称性が目立つようになるのも特徴的な所見です。

全身症状

ガレー硬化性骨髄炎では、化膿性骨髄炎と異なり、高熱や全身倦怠感などの全身症状は通常認められません。

しかし、慢性的な炎症により、微熱やリンパ節の軽度腫脹などの症状が現れるときがあります。微熱(37℃台)が持続する方もいて、特に夕方から夜間にかけて体温が上昇する傾向があります。

また、患側の顎下リンパ節や頸部リンパ節の軽度腫脹を認める場合もあります。食欲不振や体重減少は、主に咀嚼困難による二次的な症状として現れます。

特徴的な臨床所見

ガレー硬化性骨髄炎には、他の顎骨疾患と鑑別する上で重要な特徴的な臨床所見があります。

顔面腫脹の特徴
  • 硬い腫脹で、圧痛を伴う
  • 皮膚の発赤や熱感は通常なし
  • 徐々に増大し、顔貌の非対称を生じる
  • 波動は触知しない(膿瘍形成なし)

最も重要な所見は、Vincent症状(下歯槽神経の圧迫による下唇・オトガイ部の知覚異常)の欠如です。これは、急性化膿性骨髄炎との鑑別点となります。

また、開口障害は病変が下顎枝に及んだ場合に出現しますが、その程度は軽度から中等度にとどまるケースが多いです。

ガレー硬化性骨髄炎の原因

ガレー硬化性骨髄炎の発症には、感染症や自己炎症など複数の要因が関与していると考えられています。適切な治療方針の決定と再発予防において、病因への理解が大切です。

慢性感染説

古典的には、歯の根尖病巣や抜歯後の感染など低毒性の細菌感染の持続が誘因とされています。実際、歯の根の周囲に慢性化した炎症がある一部の症例でガレー骨髄炎が発症し、特にアクチノマイセス属菌の関与が知られています。

アクチノマイセスは通常の根管治療では除去しにくく慢性化しやすい細菌であり、この持続感染が骨膜を刺激して新生骨を形成すると考えられます。

非感染(自己炎症)説

一方、明確な細菌が検出されない無菌性の炎症として生じる例もあります。このタイプは慢性非細菌性骨髄炎(CNO)とも呼ばれ、自己免疫・自己炎症的な機序が示唆されています。

遺伝的素因や免疫調節異常が原因と考えられ、実際にインターロイキン(IL)-1やIL-10といったサイトカインの異常が報告されています。

CNO型では細菌培養やPCR検査でも病原微生物は証明されず、掌蹠膿疱症※3や乾癬※4、炎症性腸疾患など他の自己炎症疾患を合併する場合もあります。

※3掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう):手のひらや脚の裏に小さな水ぶくれ(膿疱)が繰り返しできる病気。

※4乾癬(かんせん):皮膚細胞が異常に増殖して赤みや盛り上がり、鱗屑(フケ上の皮)が現れる慢性的な病気。

ガレー硬化性骨髄炎の検査・チェック方法

ガレー硬化性骨髄炎の診断には、臨床症状の評価に加えて、各種検査による客観的な評価が必要です。適切な検査を組み合わせると、正確な診断と病態の把握が可能となります。

画像検査

画像検査は、ガレー硬化性骨髄炎の診断において最も重要な検査です。各種画像検査にはそれぞれ特徴があり、病期や目的に応じて使い分ける必要があります。

単純X線検査は、最も基本的な検査で、初診時のスクリーニングに有用です。ガレー硬化性骨髄炎では、患部の骨硬化像、骨膜反応による層状の新生骨形成(タマネギの皮のような外観)、骨梁の肥厚などが特徴的所見として認められます。

ただし、初期の病変では変化が軽微で、診断が困難な場合があります。

CT検査は、骨変化の詳細な評価に優れています。骨硬化の程度や範囲、骨膜反応の詳細、髄腔の狭小化などを三次元的に評価できます。特に、手術計画の立案には必須の検査となります。

画像検査の特徴と適応

検査方法利点適応
単純X線簡便・低コスト初期スクリーニング
CT骨変化の詳細評価確定診断・術前評価
MRI軟部組織・骨髄評価活動性評価・鑑別診断

MRI検査は、骨髄の炎症や浮腫の評価に優れており、病変の活動性を評価する上で有用です。T1強調画像では骨髄の信号低下、T2強調画像では信号上昇を認め、造影により炎症の範囲と程度を評価できます。

血液検査

血液検査は全身的な炎症反応の評価と、他疾患との鑑別に重要です。ガレー硬化性骨髄炎では、急性化膿性骨髄炎と比較して、炎症反応は軽度であるのが特徴です。

白血球数は正常または軽度上昇(10,000/μL以下)にとどまり、CRP(C反応性蛋白)も軽度上昇(5mg/dL以下)を示すケースが多いです。

赤血球沈降速度(ESR)は中等度の亢進を示しますが、これも急性炎症と比較すると軽度です。血清アルカリフォスファターゼ(ALP)は、骨形成の亢進を反映して上昇する場合があります。

細菌学的検査

原因菌の同定は適切な抗菌薬選択のために重要ですが、ガレー硬化性骨髄炎では培養陽性率が低い点が問題となります。

検体採取は可能な限り抗菌薬投与前に行います。歯性感染が疑われる場合は、根管内容物や歯周ポケットからの採取を行います。

骨生検による培養も考慮されますが、侵襲的であるため適応は慎重に判断します。嫌気性菌の関与も考慮し、嫌気培養も併せて行うことが重要です。

病理組織学的検査

確定診断が困難な場合や、悪性腫瘍との鑑別が必要な場合には、病理組織学的検査が行われます。

生検により得られた組織では、慢性炎症細胞浸潤や線維化、新生骨形成や既存骨の硬化などの所見が認められます。急性炎症所見や膿瘍形成がないことが、化膿性骨髄炎との鑑別点となります。

また、腫瘍性病変との鑑別では、異型細胞の有無の確認が重要です。

ガレー硬化性骨髄炎の治療方法と治療薬、リハビリテーション、治療期間

ガレー硬化性骨髄炎の治療は、病型、病期、症状の程度により個別に計画されます。保存的治療から外科的治療まで、段階的な働きかけが基本となり、患者さんの状態に応じて適切な治療法を選択します。

保存的治療

保存的治療は、初期のガレー硬化性骨髄炎や症状が軽度な症例に対する第一選択となります。主な治療法として、抗菌薬療法、対症療法、原因除去療法があります。

抗菌薬療法では、原因菌に感受性のある抗菌薬を長期間投与します。経験的治療として、ペニシリン系抗菌薬(アモキシシリン500mg、1日3回)やセフェム系抗菌薬(セファレキシン500mg、1日3回)が選択されるケースが多いです。

投与期間は通常4~8週間とし、症状と検査所見の改善を確認しながら調整します。

対症療法として、疼痛に対しては非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用します。ロキソプロフェン60mg(1日3回)やジクロフェナク25mg(1日3回)などが処方されます。

また、局所の安静を保つため、硬いものの摂取を避け、軟食とする取り組みも大切です。

保存的治療の薬剤選択

薬剤分類薬剤名(用量)投与期間
ペニシリン系アモキシシリン(500mg×3回/日)4~8週間
セフェム系セファレキシン(500mg×3回/日)4~8週間
NSAIDsロキソプロフェン(60mg×3回/日)症状に応じて

外科的治療

保存的治療に抵抗性を示す症例や、病変が進行した症例では外科的治療が必要となります。外科的治療の目的は、感染巣の除去、炎症性肉芽組織の掻爬※5、硬化骨の削除による血流改善です。

※5掻爬(そうは):専用の器具で病変組織をかき出す手術。

最も一般的な手術法は、皮質骨除去術(デコルチケーション)です。肥厚した皮質骨を削除して骨髄腔への血流を改善し、抗菌薬の移行を促進します。同時に、炎症性肉芽組織の掻爬と原因歯の抜歯を行います。

より広範囲の病変に対しては、区域切除術や辺縁切除術が選択される場合もあります。

切除後の骨欠損に対しては、自家骨移植や人工骨による再建を考慮します。手術は全身麻酔下で行われるケースが多く、術後は入院管理が必要となります。

補助療法

ガレー硬化性骨髄炎の治療効果を高めるため、高気圧酸素療法や局所線情報などの補助療法が併用されます。

高気圧酸素療法(HBO)は組織の酸素分圧を上昇させ、白血球の殺菌能を増強し、骨形成を促進する効果があります。1回60~90分、2.0~2.5気圧下で100%酸素を吸入し、週3~5回、計20~30回の治療を行います。

局所洗浄療法では、抗菌薬含有洗浄液(ポビドンヨード希釈液など)による持続洗浄を行います。これにより、局所の細菌数を減少させ、炎症の軽減を図ります。

補助療法の種類と効果
  • 高気圧酸素療法:組織酸素化の改善、骨形成促進
  • 局所洗浄療法:細菌数減少、炎症軽減
  • 理学療法:開口訓練、筋機能回復
  • 栄養療法:免疫力向上、創傷治癒促進

リハビリテーション

ガレー硬化性骨髄炎の治療後は、顎機能の回復と再発予防のためのリハビリテーションが欠かせません。

開口訓練は、手術後の瘢痕拘縮※6による開口障害を予防するために行います。段階的に開口度を増加させ、正常な開口量(40mm以上)の獲得を目指します。

※6瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく):傷跡が引きつれ、思うように動かせなくなる状態。

1日3回、各10分程度の訓練を継続的に行う取り組みが重要です。咀嚼筋のマッサージとストレッチングにより、筋の柔軟性を回復させ、疼痛の軽減を図ります。

また、適切な咬合(こうごう:噛み合わせ)の回復のため、必要に応じて歯科補綴治療を行います。

口腔衛生指導も重要なリハビリテーションの一環です。適切なブラッシング法の指導、フッ素洗口液の使用、定期的な歯科受診により再発リスクを低減させます。

治療期間と経過観察

ガレー硬化性骨髄炎の治療期間は、病型や重症度により大きく異なりますが、一般的に長期間を要します。

保存的治療の場合、抗菌薬投与期間は4~8週間が標準ですが、症状の改善が不十分な場合は12週間まで延長するときもあります。治療開始後2~4週間で症状の改善傾向が見られる方が多く、この時点で治療効果を評価します。

外科的治療後は創部の治癒に4~6週間を要し、その後も抗菌薬投与を継続します。完全な骨のリモデリング(構造の再構築)には6か月~1年を要するため、長期的な経過観察が必要です。

治療期間の目安

治療法急性期治療維持期間経過観察
保存的治療4~8週間4~12週間6か月~1年
外科的治療2~4週間(入院)8~12週間1~2年
補助療法4~6週間症状に応じて6か月

定期的な画像検査により、骨変化の改善を確認します。単純X線検査は3か月ごと、CT検査は6か月ごとの実施が推奨されます。血液検査による炎症反応の推移も重要な指標です。

薬の副作用や治療のデメリット

ガレー硬化性骨髄炎の治療では、長期間の薬物療法や侵襲的な外科治療が必要となる場合があり、それぞれに特有の副作用やデメリットが存在します。これらを十分に理解した上で、治療を受けましょう。

抗菌薬の副作用

長期間の抗菌薬投与は、ガレー硬化性骨髄炎治療の基本ですが、嘔吐や腹痛、アレルギー反応などの副作用リスクがあります。

消化器系の副作用として、悪心や嘔吐、下痢や腹痛などが20~30%の患者さんに見られます。

アモキシシリンやセファレキシンなどの経口抗菌薬では、腸内細菌叢の乱れによる下痢が問題となる場合がありますが、プロバイオティクスの併用により、これらの症状を軽減できるケースがあります。

アレルギー反応も重要な副作用です。皮疹や蕁麻疹、そう痒感などの軽度なものから、まれにアナフィラキシーショックなどの重篤な反応を起こす方もいます。

ペニシリン系抗菌薬では約10%の患者にアレルギー反応が見られるため、投与前の問診が重要です。

主な抗菌薬の副作用

副作用頻度対処法
消化器症状20~30%プロバイオティクス併用
アレルギー反応5~10%薬剤変更
肝機能障害1~5%定期的な血液検査

長期投与による耐性菌の出現も懸念されます。不適切な投与量や投与期間の短縮は、耐性菌を生み出すリスクを高めるため、医師の指示に従った服薬が重要です。

NSAIDsの副作用

疼痛管理に使用されるNSAIDsにも、注意すべき副作用があります。

最も頻度の高い副作用は胃腸障害で、胃痛、胸やけ、消化性潰瘍などが生じる場合があります。高齢者や胃潰瘍の既往がある患者さんでは、特にリスクが高いです。プロトンポンプ阻害薬の併用により、これらのリスクを軽減できます。

腎機能障害も重要な副作用です。長期使用により、腎血流量の低下から腎機能が悪化するときがあります。定期的な腎機能検査が必要で、クレアチニン値の上昇が見られた場合は、薬剤の減量や中止を検討します。

外科治療のリスクとデメリット

外科的治療は効果的ですが、手術に伴うリスクとデメリットも考慮する必要があります。

手術に伴う一般的なリスクとして、術中・術後出血、感染、神経損傷などがあります。

特に下顎骨の手術では、下歯槽神経損傷による下唇・オトガイ部の知覚異常が5~10%の症例で生じる可能性があります。多くは一過性ですが、永続的な知覚障害が残るケースもあります。

術後の機能障害も重要な問題です。顎骨の切除範囲によっては、咀嚼機能の低下、審美的な問題、発音障害などが生じるときがあります。これらの機能回復には、長期のリハビリテーションが必要となります。

外科治療のリスク
  • 術中・術後出血(輸血が必要となる場合もある)
  • 創部感染(5~10%の発生率)
  • 神経損傷による知覚異常
  • 顎機能障害(開口障害、咀嚼困難)
  • 審美的問題(顔貌の変形)
  • 全身麻酔に伴うリスク

治療期間の長期化によるデメリット

ガレー硬化性骨髄炎の治療は長期間に及ぶため、患者さんの日常生活にも影響を与えます。

経済的負担は大きな問題です。長期の通院や薬剤費、手術費用などにより相当な医療費が発生します。また、就労制限による収入減少も考慮する必要があります。

心理的ストレスも無視できません。長期治療による不安、顔貌の変化による自信喪失、社会生活の制限などにより、うつ状態に陥る患者さんもいます。家族や医療スタッフによる精神的サポートが必要です。

生活の質(QOL)の低下も問題で、食事制限や定期的な通院、薬の服用などにより、日常生活が大きく制約されます。特に若年者では、学業や就職活動への影響も考慮する必要があります。

保険適用と治療費

お読みください

以下に記載している治療費(医療費)は目安であり、実際の費用は症状や治療内容、保険適用否により大幅に上回ることがございます。当院では料金に関する以下説明の不備や相違について、一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。

ガレー硬化性骨髄炎の治療には相当な費用がかかりますが、日本の健康保険制度により、患者さんの経済的負担は軽減されています。治療内容により保険適用の範囲が異なるため、事前に確認しましょう。

保険診療の範囲

ガレー硬化性骨髄炎の標準的な治療は、ほとんどが健康保険の適用対象となります。

画像検査(単純X線、CT、MRI)も保険適用で、3割負担の場合、単純X線検査は約600~1,000円、CT検査は約5,000~10,000円、MRI検査は約5,000~15,000円程度の自己負担となります。

抗菌薬や鎮痛薬などの薬剤費も保険適用です。例えば、アモキシシリン(500mg)を1日3回、4週間処方された場合の薬剤費は、3割負担で約2,000~3,000円程度となります。

主な検査・治療の自己負担額(3割負担の場合)

項目自己負担額備考
初診料約850円紹介状なしの場合は別途特定療養費
再診料約220円医療機関により異なる
パノラマX線約1,200円顎全体の撮影
CT検査約8,000円造影剤使用時は追加
血液検査約2,000円検査項目により変動

手術費用

外科的治療を行う場合、手術の規模により費用は大きく異なります。

皮質骨除去術(デコルチケーション)の場合、手術料は保険点数で約20,000~40,000点となり、3割負担では約60,000~120,000円の自己負担となります。これに入院費用が加わります。

一般病室での入院費用は、1日あたり約10,000~15,000円(3割負担)で、2週間の入院では約140,000~210,000円です。

より大規模な顎骨切除術では、手術料だけで3割負担でも200,000~300,000円に達する場合があります。さらに、骨移植や再建手術を要するときは、追加費用が発生します。

高額療養費制度

医療費が高額になった場合は、高額療養費制度を利用できます。この制度により、1か月の医療費自己負担額が一定額を超えた場合、超過分が払い戻されます。

所得に応じて自己負担限度額が設定されており、一般的な所得層(年収約370~770万円)では、月額約80,000円+(医療費-267,000円)×1%が上限となります。

事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えられます。入院が決まった時点で、加入している健康保険組合に申請すると良いでしょう。

ただし、マイナ保険証を利用している方は申請が不要です。

医療費控除

年間の医療費が一定額を超えた場合、確定申告により所得税の医療費控除を受けられます。

医療費控除の対象となるのは、本人および生計を一にする家族の医療費の合計が年間10万円(所得が200万円未満の場合は所得の5%)を超えた部分です。控除額は最高200万円までで、所得税率に応じて税金が還付されます。

控除対象には、診療費や薬代、通院のための交通費(公共交通機関)なども含まれます。領収書は必ず保管し、確定申告時に提出できるよう準備しておきましょう。

自由診療と混合診療

ガレー硬化性骨髄炎の治療において、一部の先進的な治療法は保険適用外となる場合があります。

高気圧酸素療法は、施設により保険適用の可否が異なります。保険適用の場合は1回約3,000円(3割負担)ですが、自由診療では1回10,000~20,000円程度かかるケースがあります。

保険適用外となる可能性がある治療
  • 一部の高気圧酸素療法
  • 特殊な骨補填材料
  • 審美的な要素を含む補綴治療
  • セカンドオピニオン(医療機関による)

混合診療(保険診療と自由診療の併用)は原則として認められていないため、自由診療を選択した場合は、関連するすべての治療が自費となる点に注意が必要です。

事前に医療機関とよく相談し、治療費の見積もりを取ると良いでしょう。

治療費の目安と支払い計画

ガレー硬化性骨髄炎の治療費は、治療内容により大きく異なります。

保存的治療のみの場合、月額の医療費は約10,000~20,000円(3割負担)程度です。これには、定期的な診察料、薬剤費、検査費用が含まれます。治療期間を6か月とすると、総額60,000~120,000円程度となります。

外科的治療を要するときは、手術費用と入院費用を合わせて200,000~500,000円(3割負担)程度が必要となる方が多いです。ただし、高額療養費制度を利用すれば、実質的な負担はこれより少なくなります。

医療機関によっては、分割払いやクレジットカード払いに対応している場合もあります。経済的に不安があるときは、医療ソーシャルワーカーに相談すると、利用可能な支援制度の情報を得られます。

以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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