透析治療を導入する際、多くの患者さんが直面するのが週3回という通院回数の壁です。
適切な透析回数は残っている腎臓の機能や体調に基づいて医師が厳密に判断するものであり、安易に自己判断で調整することは命に関わる危険を伴います。
一方で、導入初期や尿量が十分に保たれている場合には、週1回や週2回からの緩やかな開始が検討されるケースもあり、これには身体を透析に慣らし、残存腎機能を保護するという医学的な意図が含まれています。
この記事では、回数を減らすための条件や、少ない回数で生活する際のリスク、そして健康を守り抜くための管理方法を詳しく解説します。
透析回数を週2回や週1回に調整するための医学的条件
透析回数を減らすための大前提は、自分の腎臓がまだ働いている残存腎機能の有無です。1日の尿量が1リットル以上保たれており、血液検査で尿毒素の蓄積が緩やかであると確認されれば、週2回からの開始が検討されます。
医師は水分管理の安定性や栄養状態を総合的に分析し、安全に生活できると断定した上でスケジュールを決定します。
自分の腎臓が老廃物を出す力を評価する指標
透析治療において回数を少なく維持できるかどうかは、残存腎機能がどれほど残っているかにかかっていて、この機能は主に1日の尿量と、腎クリアランスという指標で測定されます。
自分の腎臓がまだ老廃物を外に出す力を備えていれば、その分だけ機械に頼る頻度を抑えることが可能です。
24時間の蓄尿検査を行い、尿の中にどれだけの毒素が排泄されているかを詳しく調べ、数値が一定の基準を超えていれば、週2回透析でも体内の環境を一定に保てると判断されます。
ただし、腎機能は時間の経過とともに低下しやすいため、定期的な再評価が欠かせません。また、尿量が多いことは体内の水分バランスを整える上でも大きなアドバンテージとなります。
自力で水分を排出できれば、透析と透析の間の体重増加を抑えられるため、心臓への負担を劇的に軽減できます。
血液検査の数値から読み解く治療頻度の妥当性
透析回数を決定する際、医師は血液中の尿素窒素やクレアチニンの値を極めて重視し、数値は体内にどれだけゴミが溜まっているかを示す鏡のようなものです。
週2回透析を継続するためには、次回の透析直前であっても数値が危険域に達していないことが求められます。特に注意が必要なのが、心停止のリスクに直結するカリウムの値です。
週3回透析であればこまめに除去できますが、週2回では間隔が空くため、カリウムが蓄積しやすくなります。検査の結果、カリウム値が常に安定していることが確認されて初めて、少ない回数での治療が現実味を帯びてきます。
さらに、栄養状態を示すアルブミンの値も重要な判断基準です。厳しい食事制限によって栄養不足に陥っていると、数値は見かけ上良くなりますが、全身の抵抗力は低下してしまいます。
水分管理の安定性が心臓を守るための境界線
透析回数を減らす際に、最も警戒すべきは心不全の発症です。透析をしていない期間が長くなると、飲み水や食事から摂取した水分が体内に停滞し、心臓や肺を圧迫し始めます。
この水分増加を自分自身の排尿や厳格な飲水制限でコントロールできているかが、運命の分かれ道となり、毎日の体重測定において、ドライウェイトからの増加が数パーセント以内に収まっていることが目安になります。
足のむくみが目立ったり、横になった時に呼吸が苦しくなったりするようでは、週2回透析では限界です。水分管理が安定していることは、単なる数字の問題ではなく、心臓の筋肉を疲弊させないための防波堤となります。
医師は胸部レントゲンで心臓の大きさを確認し、水分が過剰になっていないかを慎重にチェックし、心臓への負担が確認されない健全な状態が続いていれば、少ない回数での生活を継続する許可が下ります。
医学的判断に必要な指標の目安
| 評価項目 | 週2回検討の基準 | 理由 |
|---|---|---|
| 1日の尿量 | 1,000ml以上 | 水分管理の自律性を維持するため |
| 残存腎機能(Kt/V) | 2.0以上/週 | 毒素排泄の余力を評価するため |
| 血清カリウム値 | 5.5mEq/L以下 | 急激な心停止リスクを回避するため |
週2回透析を選択することで得られる生活上のメリット
週2回透析の最大の恩恵は、拘束時間が減り、社会生活や仕事、趣味に充てる時間を大幅に確保できることです。通院の負担が軽減することで精神的なストレスが和らぎ、前向きに治療と向き合えるようになります。
また、過度な透析を避けることで腎臓の血流を保ち、自力での排尿を長く維持できる可能性が高まる点も大きな魅力です。
仕事や趣味を諦めないライフスタイルの確立
透析を週3回行う場合、どうしても生活の中心が病院になってしまいがちですが、週2回への調整が叶えば、週の後半や中間にまとまった自由時間が生まれます。
例えば、火曜日と金曜日に透析を設定すれば、月・水・木・土・日がフリーになります。このスケジュール感であれば、出張や会議の調整もしやすく、周囲に過度な負担をかけずに仕事を完結させることが可能です。
また、趣味に没頭する時間は、精神的な健康を維持する上で欠かせない要素で、絵画や散歩、地域活動など、透析による疲労に邪魔されずに楽しめる時間が増えることで、生きがいを再発見できます。
通院に伴う身体的疲労と移動コストの軽減
透析治療は、4時間という治療時間そのものだけでなく、病院への移動や準備、そして治療後の疲労回復に膨大なエネルギーを消費し、週に3回行うことは、特に高齢者や遠方に住む方にとって、過酷な肉体労働に匹敵する負担です。
通院が週2回になれば、病院へ行かない日が増えるため、自宅でゆっくりと身体を休める余裕が生まれ、移動にかかるタクシー代やガソリン代といった経済的なコストも3分の1カットできるため、家計への負担も軽くなります。
さらに、冬場の寒い時期や悪天候時の通院は、血圧の変動や転倒のリスクを伴います。外出の機会を絞ることは、予期せぬ事故や感染症から身を守る防衛策としても機能します。
自分の腎臓を守り尿量を長く維持する効果
透析回数をあえて抑えることには、残存腎機能を保護するという積極的な意味があり、強力な透析を頻繁に行うと、一時的に体内の水分が急減し、腎臓への血流が途絶えてしまうことがあります。
これが繰り返されると、腎臓は完全に働くのをやめてしまい、尿が出なくなる時期を早めてしまいます。
週2回から緩やかに透析を続けることで、腎臓にほどよい刺激を与えつつ、自力で尿を作る力を温存できます。尿が出続けている間は、水分制限の厳しさが緩和されるため、夏の暑い時期の喉の渇きにも柔軟に対応しやすいです。
また、自力での排尿は、体内の中分子物質と呼ばれる毒素の排出にも役立ち、透析機では取り除きにくい種類の老廃物を、自分の腎臓が密かに処理し続けてくれます。
少ない透析回数で生活を続ける際に直面するデメリット
透析回数が少ない生活には、治療の間隔が空くことで毒素や水分が溜まりやすくなるという深刻なリスクが潜んでいます。
週3回透析よりも厳格な食事制限が課せられ、一食の油断が体調悪化に直結するため、常に緊張感を持った自己管理が求められます。万が一、管理が不十分になると、心不全や不整脈といった命に関わる合併症を招く危険が高まります。
治療間隔の長期化による体内環境の悪化
週2回の透析では、どうしても治療と治療の間が3日間空いてしまう週末の過ごし方が課題となり、長い期間に、体の中には着実にゴミが蓄積し、血液が酸性に傾くアシドーシスなどの状態を引き起こしやすくなります。
毒素の濃度が上がると、全身の倦怠感や吐き気、ひどい痒みに悩まされることがあります。
また、一度に大量の毒素を取り除かなければならないため、透析中の血圧低下や筋肉の攣り(こむら返り)が起きやすくなるという現象も発生します。
短時間で急激に血液を浄化することは、身体にとって大きなストレスとなるので、回数が少ないからといって、身体が楽になるわけではないという側面を理解しなければなりません。
さらに、免疫力の低下も懸念材料の一つです。体内に老廃物が長く留まることで、白血球の働きが鈍くなり、風邪や感染症にかかりやすくなるリスクを孕んでいます。
食事と水分の摂取制限がさらに厳しくなる現実
透析回数を減らす代償として、食卓に並ぶ料理への制限は一段と厳しさを増し、特にカリウムや塩分の過剰摂取は、次の透析までの時間が長い週2回透析では致命傷になりかねません。
大好きな果物や生野菜を自由に食べられないストレスは、想像以上に精神を摩耗させる原因となり、水分管理についても同様です。尿が出ているとはいえ、排出能力を上回る水分を摂れば、すぐに心臓への負担として現れます。
夏場の猛暑であっても、コップ一杯の水を飲むかどうかに悩み、氷を口に含んで耐えるような工夫が日々求められます。この徹底した節制を、完遂する意志の強さが不可欠です。
異変の発見が遅れることによる急変の恐怖
週2回しか通院しないということは、プロの医療スタッフによるチェックを受ける機会が少ないことを意味します。
自宅で過ごす3日の間に、もし心不全の予兆や感染症の兆候が出ていても、自分で気づいて連絡しない限り、適切な処置が受けられず、空白期間が、時に取り返しのつかない事態を招きます。
「明日が透析日だからそれまで我慢しよう」という妥協が、夜間の救急搬送につながる例は少なくありません。肺に水が溜まっていく苦しさは、経験した者にしかわからない絶望感を伴います。
また、孤独な管理は不安を増大させ、数値が少し悪化しただけで、自分を責めてしまったり、いつ体調が崩れるかわからない恐怖に怯えたりすることもあります。
医療機関との物理的な距離が空く分、心理的な連携をいかに密に保つかが、少ない回数で安全に過ごすための最大の課題です。
少ない回数で生活する際の自己管理における鉄則
- 毎朝の体重測定を欠かさず、ドライウェイトとの差を常に把握する
- 塩分は1日5gを死守し、味付けは出汁や酸味を有効活用して工夫する
- カリウムの多い食材は茹でこぼしや水晒しを徹底して毒素を抜く
- 血圧の急激な上昇や脈の乱れを感じたら迷わずクリニックへ電話する
週1回透析が検討される特殊なケースと限界
週1回の透析は、末期腎不全の維持療法としては極めて稀で、腎臓が大部分の仕事をこなせている場合にのみ限定されます。多くは透析を始めるかどうかの境界線上にいる患者さんや、導入直後の慣らし期間に行われる暫定的な措置です。
標準的な治療としては不十分なことが多いため、将来的な回数増加を前提とした調整期間であることを認識しなければなりません。
導入直後の身体へのショックを和らげるステップ
透析治療を初めて受ける際、身体は未知の装置による急激な環境変化にさらされ、緩和するために、あえて週1回の短時間透析からスタートし、数週間かけて身体を慣らしていく手法が取られることがあります。
これは、脳への影響や血圧の乱高下を防ぐための安全策としての意味合いが強いものです。
この段階では、まだ腎臓にある程度の機能が残っていることが多く、週1回のサポートでも体内のバランスを辛うじて保つことが可能です。
患者さん自身も、いきなり週3回の拘束を受けるより、心理的にスムーズに治療を受け入れられるというメリットがあります。しかし、あくまでトンネルの入り口に過ぎないことを忘れてはいけません。
数回の実施を経て体調の安定が確認されれば、速やかに週2回、そして週3回へと移行するのが一般的です。週1回の期間は、医療チームが患者さんの体質や透析効率を見極めるための観察期間でもあります。
保存期と導入期の隙間を埋める緩やかな移行措置
薬や食事で粘ってきた保存期療法の限界が見えてきた時、すぐに週3回の生活に切り替えるのは大きな苦痛を伴います。そこで、身体の毒素がそれほど溜まっていないうちに、補助的に週1回の透析を取り入れる考え方があります。
尿毒症によるだるさや食欲不振を解消しつつ、現在の生活を大きく変えずに過ごせ、患者さんの社会生活を守りながら、徐々に透析を生活の一部として組み込んでいく効果があります。
まだ尿がしっかりと出ているため、水分制限もそれほど厳しくなく、体力を維持したまま治療に順応できるのが特徴です。いわば、本格的な透析生活に入る前のソフトランディングのような役割を果たします。
ただし、この期間中も腎臓の消耗は進んでいき、週1回でいつまでも粘ろうとすると、知らない間に体内のリンや副甲状腺ホルモンのバランスが崩れ、骨や血管にダメージが蓄積する恐れがあります。
あくまで、より良い状態を維持するためのバッファーとして、この特殊な期間を捉えるべきでしょう。
週1回透析では防ぎきれない長期的合併症のリスク
週1回の透析には、医学的な限界が明確に存在します。最大の懸念は、リンの排出不足で、食事から摂ったリンを週に1回の除去でコントロールすることは、どれほど強力な薬を使っても不可能です。
リンが体内に居座り続けると、全身の血管がカチカチに固まる石灰化が進み、将来の心筋梗塞や脳卒中の原因を作ってしまいます。
また、貧血の管理も非常に難しくなります。腎臓から出る血液を作るホルモンが不足している中で、週1回の治療では適切な造血剤の投与設計が立てにくく、慢性的な貧血は心臓を疲れさせ、活動量を低下させます。
目先の通院回数の少なさに気を取られ、将来的な健康を犠牲にしてしまうリスクを直視しなければなりません。さらに、尿毒素によって引き起こされる透析アミロイドーシスなどの合併症も、透析効率が低いほど早く現れる傾向があります。
週1回透析は、短期的には楽かもしれませんが、長期的な生存率や合併症なき生活という観点からは、推奨されるものではありません。医師との相談を通じて、安全な時期を見極める冷静な視点が求められます。
週1回透析が適応となるかどうかの判断要素
| チェック項目 | 適応の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| クレアチニンクリアランス | 10ml/min以上 | 腎臓の浄化能力が一定以上あること |
| 血清リン値 | 5.0mg/dL以下 | 血管の石灰化を防ぐ最低限の基準 |
| 自覚症状の有無 | むくみ・息切れなし | 心不全の兆候がないことを確認 |
透析回数を減らしても健康を守るための具体的な生活習慣
透析回数を抑えながら健康を維持するためには、食事・運動・休息の3本柱を高いレベルで管理することが必要です。特に、たんぱく質の摂取制限と適度な有酸素運動は、筋肉量を維持しつつ腎臓への負担を軽くするために欠かせません。
日々の数値データを可視化し、医師やスタッフと密に共有する姿勢が、安全な治療継続の鍵を握ります。
低たんぱく食事療法を成功させるための知恵
透析回数が少ない生活で最も神経を使うのが、たんぱく質の摂取制限です。たんぱく質を摂りすぎれば尿毒素が増えますが、減らしすぎると身体がスカスカになり、動く気力さえ失ってしまいます。
この難しいパズルを解くには、質の良いたんぱく質を賢く選び、足りないカロリーを脂質や糖質でしっかりと補う技術が必要です。
エネルギー不足になると、身体は自らの筋肉を壊してエネルギーに変えようとし、この時、大量の老廃物が発生し、透析を回数を増やさざるを得ない状況に追い込まれます。
市販の低たんぱく米や高カロリーゼリーを上手に活用し、お腹はいっぱい、でも毒素は出さない、という理想的な食習慣を身につけることが、自由な時間を守るための唯一の武器となります。
また、食事の記録をつけることも非常に効果的です。自分が何を食べた時に数値が悪化したかを把握できれば、次回の対策が立てやすくなります。
自分の腎機能を延命させる水分と塩分の黄金バランス
「まだ尿が出ているから」という安心感は、時に命取りになります。残存腎機能を一日でも長く持たせるためには、腎臓に余計な仕事をさせないことが重要で、塩分を極限まで控えることが欠かせません。
塩分を控えると、自然と喉の渇きも収まり、水分管理の難易度が劇的に下がります。
調理の際は、出汁の旨味やレモンの酸味、ハーブの香りを活用して、舌を満足させ塩分を削ぎ落とす工夫を凝らしてください。水分摂取は、喉が渇いてから飲むのではなく、小さなコップで少しずつ、口の中を湿らせる程度にするのがコツです。
こうした地道な努力が、腎臓への血流を安定させ、透析回数を増やさずに済む期間を延ばしてくれます。
体重の推移は正直で、週末に大きく増えないように、日々の増分を均等にする計画性を持ってください。自分の限界量を知ることは、不測の事態を防ぐ最強の予防策となります。
筋肉量を落とさないための軽い運動の重要性
透析患者さんにとって、安静は必ずしも正解ではありません。特に透析回数を減らしている場合、適度な運動による代謝の維持が、数値の安定に大きく貢献します。
ウォーキングや椅子に座っての足上げなどの軽い運動は、血流を良くし、残された腎臓の働きをサポートする効果が期待されています。
運動は、便秘の解消にも役立ちます。カリウムの約1割は便から排出されるため、腸の動きを良くしておくことは、高カリウム血症を防ぐ隠れた重要ポイントです。
また、適度な疲労感は質の高い睡眠をもたらし、全身の修復を早めます。身体がだるい時こそ、無理のない範囲で一歩踏み出すことが、健康への近道となります。
ただし、激しい運動は逆効果で、心拍数が上がりすぎない程度、笑顔で話せるくらいの強度が最適です。運動の前後で体重を測り、どれくらい汗で水分が出たかを知ることも、管理の精度を高める良い材料になります。
週3回への切り替えを検討すべき体調変化のサイン
週2回や週1回で維持できていても、いずれは週3回の標準的な透析へ移行する時期が訪れます。尿量が1日500mlを下回ったり、食欲が落ちて体重が減り始めたりした場合は、腎機能が限界に近づいているサインです。
無理に回数にこだわって体調を崩すよりも、早めに回数を増やして十分な透析を受けることが、結果として長生きと元気な生活につながります。
尿量の激減と浮腫の広がりが教える身体の悲鳴
これまでの回数で生活が成り立っていたのは、自分の腎臓が頑張っていたからですが、ある日を境に尿の量ががくんと減り、500mlを切るようになると、事態は急変します。
排出しきれなくなった水分は、まず足の甲や脛に溜まり、さらに進むと顔や手にまで及びます。これは腎臓からの引退届だと受け止めてください。
浮腫を放置すると、肺に水が回る肺水腫という恐ろしい状態を招きます。夜、平らに寝ると苦しくて起き上がってしまうようなら、即座に処置が必要です。
このような状態になってから週3回に増やすのでは、身体へのダメージが大きすぎます。予兆を感じた段階で、早めにスケジュールを変更する勇気が、命を救います。
自分の身体を客観的に観察する習慣を持ちましょう。靴がきつくなった、靴下の跡がなかなか消えない、といった小さな変化を見逃さないでください。
数値のコントロール不能と蓄積する倦怠感の正体
食事管理をどんなに徹底しても、血液検査の結果が改善せず、常にBUN(尿素窒素)が高い状態が続くことがあります。これは、現在の透析頻度では体内の浄化が追いついていない証拠です。
同時に、常に何かが身体にのしかかっているような、抜けないだるさを感じ始めることもあり、毒素が溜まると脳への影響も出始め、集中力がなくなったり、怒りっぽくなったりします。
また、貧血が進行して顔色が悪くなり、少しの動作で動悸がするようになるのも、透析不足の典型的な症状です。これらのサインは、今の治療回数が活動量に見合っていないことを示唆しています。
「まだ頑張れる」と無理をするのは、心臓や他の臓器に借金をしているようなもので、早めに週3回に切り替えることで、毒素がすっきりと抜け、以前よりも活力を取り戻せる患者さんは非常に多いのです。
QOL(生活の質)を高めるために、あえて回数を増やすという選択肢が、最もポジティブな解決策になることがあります。
心臓の拡大と血圧の制御不能に見る最終警告
医師はレントゲン写真を見て、心臓のシルエットが大きくなっていないかを注視しています。これを心胸比と呼びますが、数値が上がり続けるのは、水分過剰によって心臓が引き伸ばされている深刻な兆候です。
また、これまでは安定していた血圧が、急激に上がり始めたり、逆に透析中に激しく下がるようになったりするのも警告です。心臓は一度肥大して傷ついてしまうと、元の元気な姿に戻すのは極めて困難になります。
将来の心不全のリスクを最小限に抑えるためには、心臓が悲鳴を上げる前に、十分な回数の透析で身体をクリーンに保たなければなりません。回数を増やすことは、心臓という一生もののエンジンを守るための、最も効果的な投資なのです。
医療スタッフから回数増加の打診があった際は、それを「自由の喪失」ではなく「健康の維持」と捉え直してください。
回数変更を真剣に考えるべき3つのポイント
| チェック項目 | 危険なサイン | 医学的な意味 |
|---|---|---|
| 日々の尿量 | 500ml以下に減少 | 水分排泄能力の破綻 |
| ドライウェイト | 食事制限しても増える | 体内水分バランスの崩壊 |
| 呼吸の状態 | 夜間に息苦しくて目が覚める | 初期の心不全・肺水腫の疑い |
透析センター(人工透析) | 大垣中央病院(医療法人社団豊正会 )
Q&A
- 透析 回数を週2回から週3回に増やした場合、生活の自由度はどの程度変化しますか?
-
週3回に増えると通院日は増えますが、1回あたりの水分除去や毒素除去の負担が分散されるため、透析後の疲労感が軽減し、通院日以外をより元気に過ごせるようになります。
また、食事や水分の制限が週2回時よりも少し緩和されるため、精神的なゆとりが生まれるケースも多いです。結果として、トータルの生活の質が向上することも珍しくありません。
- 透析 週2回を希望する場合、どのような食事管理を徹底すべきですか?
-
週2回の透析を安全に続けるためには、まず塩分を1日5グラム未満に徹底して抑え、喉の渇きを予防することが最優先です。さらに、透析間隔が空くため、カリウムの摂取には細心の注意を払い、野菜は加熱調理や水晒しを徹底してください。
たんぱく質を制限しつつも、エネルギー不足にならないよう、低たんぱく高カロリーの食品を上手に取り入れることが重要です。
- 透析 週1回のみで身体の状態を長期間安定させることは可能ですか?
-
週1回の透析だけで長期的に安定を保つのは、医学的に見て非常に困難です。ほとんどの場合、週1回は導入初期の調整段階や、残存腎機能が非常に高い時期の一時的な措置に過ぎません。
腎機能は緩やかに低下し続けるため、毒素の蓄積や合併症のリスクを避けるためには、適切なタイミングで週2回、そして週3回へと移行することが、健康を守るために必要です。
- 透析 回数を自己判断で減らしたり休んだりするとどのような危険がありますか?
-
透析回数を勝手に減らす行為は、体内のカリウム値が急上昇し、突然の心停止を招く恐れがある極めて危険な行為です。また、余分な水分が排出されずに心臓や肺に溜まり、激しい息苦しさを伴う心不全や肺水腫を引き起こす可能性も高いです。
回数に関する希望がある場合は、必ず主治医に相談し、検査結果に基づいた安全なスケジュールを組むようにしてください。
参考文献
Locatelli F, Buoncristiani U, Canaud B, Köhler H, Petitclerc T, Zucchelli P. Dialysis dose and frequency. Nephrology Dialysis Transplantation. 2005 Feb 1;20(2):285-96.
Zhang H, Schaubel DE, Kalbfleisch JD, Bragg-Gresham JL, Robinson BM, Pisoni RL, Canaud B, Jadoul M, Akiba T, Saito A, Port FK. Dialysis outcomes and analysis of practice patterns suggests the dialysis schedule affects day-of-week mortality. Kidney international. 2012 Jun 1;81(11):1108-15.
Mathew A, McLeggon JA, Mehta N, Leung S, Barta V, McGinn T, Nesrallah G. Mortality and hospitalizations in intensive dialysis: a systematic review and meta-analysis. Canadian journal of kidney health and disease. 2018 Jan 9;5:2054358117749531.
Chertow GM, Levin NW, Beck GJ, Daugirdas JT, Eggers PW, Kliger AS, Larive B, Rocco MV, Greene T. Long-term effects of frequent in–center hemodialysis. Journal of the American Society of Nephrology. 2016 Jun 1;27(6):1830-6.
Faulhaber-Walter R, Hafer C, Jahr N, Vahlbruch J, Hoy L, Haller H, Fliser D, Kielstein JT. The Hannover Dialysis Outcome study: comparison of standard versus intensified extended dialysis for treatment of patients with acute kidney injury in the intensive care unit. Nephrology Dialysis Transplantation. 2009 Jul 1;24(7):2179-86.
Slinin Y, Greer N, Ishani A, MacDonald R, Olson C, Rutks I, Wilt TJ. Timing of dialysis initiation, duration and frequency of hemodialysis sessions, and membrane flux: a systematic review for a KDOQI clinical practice guideline. American Journal of Kidney Diseases. 2015 Nov 1;66(5):823-36.
Lindsay RM, Leitch R, Heidenheim AP, Kortas C. The London Daily/Nocturnal Hemodialysis Study—study design, morbidity, and mortality results. American journal of kidney diseases. 2003 Jul 1;42:5-12.
Foley RN, Gilbertson DT, Murray T, Collins AJ. Long interdialytic interval and mortality among patients receiving hemodialysis. New England Journal of Medicine. 2011 Sep 22;365(12):1099-107.
Garg AX, Suri RS, Eggers P, Finkelstein FO, Greene T, Kimmel PL, Kliger AS, Larive B, Lindsay RM, Pierratos A, Unruh M. Patients receiving frequent hemodialysis have better health-related quality of life compared to patients receiving conventional hemodialysis. Kidney international. 2017 Mar 1;91(3):746-54.
Garofalo C, Borrelli S, De Stefano T, Provenzano M, Andreucci M, Cabiddu G, La Milia V, Vizzardi V, Sandrini M, Cancarini G, Cupisti A. Incremental dialysis in ESRD: systematic review and meta-analysis. Journal of Nephrology. 2019 Oct;32(5):823-36.

