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顔にできた乾癬の治療法|デリケートな肌への正しいスキンケアと薬の使い方

顔にできた乾癬の治療法|デリケートな肌への正しいスキンケアと薬の使い方

顔に生じる乾癬は、見た目の変化が精神的な負担になりやすく、皮膚も薄いため非常に繊細な対応を要します。

この記事では、顔の乾癬特有の症状や原因を紐解き、ステロイド外用薬や免疫調節薬の正しい塗り方、そして日々の洗顔や保湿といったスキンケアの重要性を詳しく解説します。

正しい知識を身につけ、適切な治療とセルフケアを組み合わせることで、健やかな肌の状態を取り戻す一助としてください。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

顔の乾癬が持つ特徴と治療の基本的な考え方

顔の乾癬を治療する際は、他の部位に比べて皮膚が非常に薄く、薬剤の吸収率が高い特性を理解することが重要です。赤みやカサつきが目立ちやすいため、まずは炎症を素早く抑えつつ、副作用を避けるためのマイルドな薬物療法を優先します。

顔に現れる症状の種類と見分け方

顔にできる乾癬は、眉間や鼻の周り、生え際などに赤い斑点や銀白色のフケのような付着物として現れることが多くありますが、脂漏性皮膚炎と似た外見を呈することがあるため、自己判断せず皮膚科で診断を受けることが大切です。

特有の皮膚の厚みや境界のはっきりした赤みを確認し、それぞれの状態に合わせた対応を検討します。鱗屑(りんせつ)と呼ばれる皮膚の剥がれが、顔の中央部分に集中して現れるのが一般的な特徴です。

こうした症状は、季節の変わり目や体調の変化によって変動しやすく、日によって見え方が異なる場合もあります。鏡を見るたびに不安を感じる方も多いですが、病態を正しく把握すれば対策を講じられます。

顔の乾癬は日光に当たることで一時的に改善するように見えることもありますが、過度な紫外線は逆に炎症を悪化させる原因となります。

自分自身の肌がどのようなタイミングで赤みを増すのか、日々の変化をメモしておくことも有効な対策の一つです。

特に耳の周りや耳の穴の入り口付近にも症状が出やすく、痒みを伴う場合には無意識に擦ってしまうことで、さらなる皮膚の肥厚を招く恐れがあります。

皮膚の薄さと薬剤吸収率の関係

顔の皮膚は体の他の部位、例えば腕や足と比較して格段に薄い構造をしているため、外用薬を塗布した際の成分吸収率が非常に高く、効果が出やすい反面で副作用のリスクも考慮しなければなりません。

皮膚が薄いということは、外部からの刺激に対しても非常に敏感であることを意味します。衣服に隠れない部位だからこそ、薬剤の影響だけでなく空気の乾燥や物理的な接触にも気を配る必要があります。

強すぎる薬を避けて、顔専用の処方計画を立てることが安定した回復への近道です。

吸収率の高さは、特にまぶたや唇の周辺で顕著になります。これらの部位は他の顔の部位よりもさらに皮膚が薄いため、わずかな刺激でも赤みが出やすく、薬剤の選択には細心の注意が必要です。

また、顔は汗腺や皮脂腺が密集しているため、汗による蒸れや皮脂の酸化も炎症を助長する要因となります。

薬剤の選択を支える判断材料

外用療法の選択基準

種類主な特徴期待できる役割
ステロイド外用薬即効性がある強い炎症を早期に鎮静する
ビタミンD3外用薬皮膚の過剰増殖を抑える良い状態を長く維持する
免疫調節薬皮膚が薄くなりにくい長期的な使用にも適している

正しいステロイド外用薬の使い方と注意点

顔の治療におけるステロイド外用薬の使用は、短期間で確実に炎症を抑えるために重要ですが、長期使用による副作用を未然に防ぐ知識も必要です。医師の指示に従い、適切な強さの薬を適切な期間だけ使用することが大切になります。

ランクの選択と顔専用の処方

ステロイド外用薬には強さに応じたランクがありますが、顔には一般的にミディアムからマイルドといった弱めのランクを使用します。

部位ごとに皮膚の厚さが異なるため、額や頬など塗る場所に合わせて医師が細かく薬を使い分けることも珍しくありません。例えば、まぶたの周囲は特に薄いため、さらに慎重な薬剤選びが行われます。

強すぎるランクを顔に使うと、皮膚が過剰に反応してしまう恐れがありるので、あくまで今の炎症を鎮めるのに必要な最小限の強さを選択し、肌への余計な負担をかけないよう管理するのが基本です。

もし過去に体用の強いステロイドを使用した経験があったとしても、それを自己判断で顔に転用することは絶対に避けてください。

また、炎症の度合いが変化すれば、ランクを下げるタイミングも重要です。医師は皮膚の赤みの引き具合や、鱗屑の減少具合を細かくチェックしながら、徐々に作用を穏やかにしていく調整を行います。

塗布する量と回数の目安

薬を塗る際は、人差し指の第一関節までの量を1つの単位とするフィンガーチップユニットという考え方を活用すると便利です。

この量を、大人の手のひら2枚分の面積に広げるのが目安ですが、顔の場合はさらに少量を薄く伸ばすことが基本となります。指の腹を使って、症状のある部分だけにそっと置くように馴染ませてください。

回数は通常、朝と入浴後の1日2回から開始し、改善とともに回数を減らしていく方針を採ります。指示された回数を守ることで、薬剤が一定の濃度で皮膚に作用し続け、効率よく炎症を抑え込めます。

長期使用を避けるべき理由

ステロイドを長期間、同じ場所に塗り続けると、皮膚が薄くなったり、血管が透けて見えたりすることがあります。これらは皮膚の修復能力が一時的に抑制されるために起こる現象であり、特に顔では目立ちやすい副作用です。

また、ニキビのような湿疹ができたり、皮膚の免疫力が低下して細菌感染を起こしやすくなったりする場合もあります。こうした兆候を見逃さないよう、毎日のスキンケアの中で肌の変化を観察することが大切です。

症状が落ち着いたら、ビタミンD3製剤や保湿剤へ切り替えるプロアクティブ療法を取り入れましょう。段階的にステロイドの使用を減らすことで、副作用のリスクを抑えつつ、リバウンドを防ぐ安定した状態を作ります。

皮膚が薄くなる現象は、コラーゲンの生成が抑制されることに起因し、これが進むと皮膚のハリが失われ、将来的な肌トラブルの引き金になることもあるため、短期決戦で炎症を抑え込む意識が必要です。

ステロイド使用時の部位別ガイド

部位別の注意点

部位皮膚の特徴塗り方のコツ
まぶた周辺極めて薄く吸収が良い目に入らないようごく少量にする
額・生え際皮脂が多く薬剤が残りやすい髪に付かないよう丁寧に馴染ませる
頬・口周り乾燥しやすく刺激に敏感保湿剤を併用して保護を優先する

非ステロイド系外用薬による維持療法の重要性

炎症が引いた後の肌状態を安定させるには、ビタミンD3外用薬などの非ステロイド系薬剤への移行が大切です。ステロイドに見られる副作用が少ないため、長期間の塗布が可能であり、再発を防ぐための維持療法として優れています。

ビタミンD3外用薬の作用と効果

ビタミンD3外用薬は、皮膚の細胞が過剰に作られるのを抑え、角化の異常を整える作用があります。細胞の分化を正常なサイクルへと導くことで、乾癬特有の厚い皮膚やカサつきを根本からケアします。

ステロイドのような即効性はありませんが、数週間かけてじわじわと肌の状態を改善に導きます。長期的に使用することで、皮膚本来の滑らかさを取り戻す助けとなり、安定した寛解状態を支えます。

ビタミンD3は、皮膚の過剰な再生を正常なスピードにブレーキをかける役割を担います。乾癬の皮膚は通常の10倍近いスピードで新しい細胞が作られてしまいますが、このブレーキが効くことで、ガサガサした鱗屑が目立たなくなります。

使用中に、稀に塗布部位に刺激感を感じることがありますが、多くの場合、継続使用することで肌が慣れていきます。不安な場合は、保湿剤と混ぜて塗るなどの工夫も医師の指導のもとで行うことができます。

免疫調節薬の役割と利点

顔の乾癬において、近年はアトピー性皮膚炎などの治療にも使われる免疫調節薬が選択されることがあります。この薬はT細胞という免疫細胞の働きをピンポイントで抑え、過剰な炎症反応を静めます。

大きなメリットは、長期間使用しても皮膚が薄くなる副作用がない点です。ステロイドを使い続けた際のリスクを回避できるため、デリケートな顔面のケアにおいては非常に心強い選択肢となります。

再発を繰り返す場所や、皮膚がすでに薄くなってしまっている部位に対して、有効に機能します。

この薬剤は分子量が大きいため、正常な厚みの皮膚からは吸収されにくく、炎症を起こしてバリア機能が低下した部分に集中的に作用するという特性を持っているため、ピンポイントな治療が可能です。

使い始めの数日間は、火照りやヒリヒリ感を感じることがありますが、皮膚の状態が改善するにつれて軽減していく一時的な反応です。夜に塗布してそのまま就寝することで、日中の不快感を避けられます。

継続的なケアを支える成分

  • 活性型ビタミンD3:皮膚のターンオーバーを正常化し、鱗屑の発生を抑制します。
  • タクロリムス水和物:過剰な免疫反応を抑え、赤みや痒みを鎮めます。
  • 保湿剤(ヘパリン類似物質など):肌のバリア機能を高め、外部刺激から守ります。

塗り分けと併用療法の進め方

症状が強い初期段階ではステロイドを使い、改善してきたら少しずつ非ステロイド系へシフトしていく方法が一般的です。

朝はベタつきの少ない非ステロイド薬、夜はしっかり抑えるステロイド薬といった使い分けをすることで、生活リズムに合わせた無理のない治療を継続できます。

また、これらを最初から配合した混合剤を使用する場合もあります。一つの薬剤で複数の作用を同時に得られるため、塗る手間が省けるだけでなく、塗り忘れの防止にもつながり、治療の成功率を高めます。

併用療法を進める際は、肌のコンディションに合わせて「今日は赤みが強いからステロイド」「今日は安定しているからビタミンD3」といった微調整を、医師との共通理解のもとで行えるようになるのが理想です。

デリケートな顔の肌を守る正しい洗顔方法

治療の効果を高めるためには、薬を塗る前の肌を清潔に保つ洗顔が欠かせませんが、洗いすぎは禁物です。顔の皮膚は刺激に弱いため、汚れだけを優しく落とし、必要な潤いを残す技術が重要となります。

洗顔料の選び方と泡立ての重要性

洗顔料は、肌のpHに近い弱酸性や、低刺激なものを選んでください。アルカリ性の強いものは、乾癬で脆弱になったバリア機能をさらに壊してしまう恐れがあるため、慎重な選択が必要です。

固形石鹸でもフォームタイプでも、大切なのはしっかりと泡立てることです。手のひらで逆さにしても落ちないくらいの濃密な泡を作ることで、洗顔時の摩擦を劇的に軽減し、肌を物理的なダメージから守ります。

きめ細かな泡は、毛穴の奥の汚れや不要な皮脂を吸着してくれるため、力を入れる必要はありません。泡を顔の上で転がすだけで、十分に清潔な状態を保つことができ、治療薬の浸透もスムーズになります。

また、香料や保存料ができるだけ少ないシンプルな成分構成のものを選ぶことも大切です。乾癬の肌は化学物質に対しても過敏になりやすいため、無添加や低刺激という表示を参考に選ぶましょう。

ぬるま湯でのすすぎと摩擦の回避

熱すぎるお湯は、肌に必要な皮脂まで奪ってしまい乾燥を加速させます。32度前後の、少しぬるいと感じる程度の温度が適切です。体温より少し低い温度で洗うことで、血管の拡張を抑え、赤みの悪化を防ぎます。

すすぐ際も、シャワーを直接顔に当てるのではなく、手に溜めた水で優しくパシャパシャと洗ってください。シャワーの強い水圧は、顔のデリケートな組織にとって過度な衝撃となり、炎症を誘発する原因となります。

ゴシゴシ擦ることは乾癬の症状を悪化させる誘因となるため、絶対に避けるべき行為です。手のひらが肌に直接触れないよう、水と泡を媒介にして丁寧に流していく意識を持つことが、肌を労わることにつながります。

すすぎ残しは、特に髪の生え際や耳の付け根、顎のラインなどで起こりやすいトラブルです。ここが不十分だと、残った洗顔成分が刺激となり、乾癬が悪化してしまうこともあるため、20回程度は丁寧に流しましょう。

清潔な洗浄ステップ

  • 手を清潔に洗う:雑菌が顔に移らないようにします。
  • 予洗い:ぬるま湯だけで表面の汚れを軽く流します。
  • 泡で包む:皮脂の多い額や鼻から順に泡を乗せていきます。
  • 丁寧にすすぐ:髪の生え際や顎の下に残らないようにします。

タオルでの拭き取り方

洗顔後は、清潔で柔らかいタオルを顔に押し当てるようにして、水分を吸収させます。ここでも横に滑らせて拭くのではなく、タオルの繊維に水を吸い込ませるようなイメージを持つことが重要です。

水分が残ったまま放置すると、蒸発する際に肌内部の水分まで一緒に連れて行ってしまいます。乾燥は乾癬の症状を強めるため、洗顔後すぐに優しく水気を取り除く習慣を身につけましょう。

タオルの素材にも気を配り、可能であれば使い古した硬いものではなく、吸水性の高い無撚糸などの柔らかいものを使用してください。

潤いを維持する保湿ケアの基本と応用

乾癬の肌はバリア機能が低下しており、水分が逃げやすい状態にあります。洗顔後、間髪入れずに保湿を行うことで、外用薬の浸透を助れ、外部刺激から皮膚を保護することができます。

保湿剤の種類と特徴

保湿剤には、サラッとしたローションタイプ、伸びの良い乳液タイプ、しっかり保護するクリームなど、さまざまな形状があります。それぞれの特性を理解し、その日の肌の状態に合わせて選ぶことが効果を最大化させます。

顔のテカリが気になる場合は日中に軽いタイプを使い、乾燥が厳しい夜間には保護力の高いクリームを使うなど、使い分けるのが継続のコツです。季節の湿度変化に応じて、適切なテクスチャーを選択しましょう。

ワセリンなどの油分主体のものは保護力が高い一方で、使用感に重さを感じることもあります。自分の好みと肌の要求する潤いレベルを照らし合わせ、ストレスなく使い続けられるものを見つけてください。

ヒアルロン酸やセラミドが含まれた保湿剤は、角層内部で水分を保持する能力が高いため、乾癬の肌には特におすすめです。肌の隙間を埋めるように作用し、外部のホコリや花粉などの刺激が侵入するのを防いでくれます。

また、尿素が含まれたものは硬くなった角質を柔らかくする作用がありますが、炎症が強い部分にはしみてしまうこともあるため、自分の今の肌の状態と相談しながら慎重に使用を開始しましょう。

保湿剤の活用シーン

日常生活での使い分け

場面おすすめの形状活用のポイント
朝のメイク前ローション・乳液ベタつきを抑え化粧崩れを防ぐ
日中の乾燥時ミスト・バームメイクの上からでも使えるものを選ぶ
就寝前クリーム・軟膏厚めに塗って一晩中潤いをキープする

塗布のタイミングと馴染ませ方

理想的なタイミングは、洗顔後5分以内で、肌に水分が残っているうちに保湿剤を塗ることで、潤いを閉じ込める効果が高まります。お風呂上がりも同様に、できるだけ早くケアを開始することが肝心です。

手で温めてから顔全体に広げ、ハンドプレスをするように優しく馴染ませてください。手のぬくもりによって成分が肌に浸透しやすくなり、角層のすみずみまで潤いが行き渡ることで、バリア機能を補強できます。

馴染ませる際は、顔の中心から外側に向かって、リンパの流れに沿うように優しく手を動かすと、肌の血行も良くなり、栄養が行き渡りやすくなるという副次的な効果も期待できます。

また、目元や口元など、よく動かす部分は乾燥しやすいため、重ね塗りをすることをお勧めします。保湿の層を厚くすることで、表情の変化による皮膚の細かな亀裂を防ぎ、乾癬の悪化を未然に防ぎます。

外用薬との順番と注意点

保湿剤と治療薬を併用する場合、一般的にはまず広範囲に保湿剤を塗り、その後に症状のある部位へ治療薬を重ねるのが良いとされています。薬の伸びが良くなり、健康な皮膚への余計な刺激を減らせます。

ただし、薬の種類によっては、有効成分をしっかり届けるために治療薬を先に塗るよう指示される場合もあります。処方時に確認し、指示された通りの順番を守ることが治療の成功には欠かせません。

また、どちらを先に塗る場合でも、一度塗った後には数分間の間隔を空けると、成分が混ざりすぎずにそれぞれの役割を果たしやすくなります。

最近では、保湿成分と治療成分があらかじめ一つになった配合剤も増えていて、塗る回数や手順をシンプルにでき、継続する負担を大きく減らすことができます。

紫外線対策と日常生活で気をつけるポイント

紫外線は適量であれば乾癬の治療に有効な場合もありますが、顔では日焼けによるダメージの方が大きくなるリスクがあります。また、食事や睡眠、ストレス管理といった生活習慣が皮膚の状態に直結するため、多角的なケアが必要です。

日焼け止めの選び方と塗り方

顔の乾癬がある場合、日焼け止めは紫外線吸収剤を含まないノンケミカルタイプを選んでください。アルコールフリーで低刺激な製品であれば、敏感になっている肌にも優しく、炎症の再燃を防ぎやすくなります。

SPF値が高すぎると肌の負担になることがあるため、日常使いならSPF30程度で十分です。強力な洗浄料を使わないと落ちないような製品は避け、石鹸で落とせるタイプを選ぶと、洗顔時の刺激を抑えられます。

塗る際は擦らず、指先で置くように馴染ませることが大切です。数時間おきに塗り直すことで、均一な防御膜を維持でき、紫外線のストレスから皮膚を一日中守り抜くことが可能となります。

紫外線対策は、一年中通して行う必要があります。冬場や曇りの日でも紫外線は肌に到達しており、乾癬のバリア機能が低下した肌にとっては、わずかな刺激も炎症のきっかけになり得るからです。

また、帽子や日傘を併用することで、日焼け止めだけに頼らない物理的な防御も強化しましょう。特につばの広い帽子は、顔全体を影にしてくれるだけでなく、頭皮の乾癬の保護にも役立つ優れたアイテムです。

ストレス管理と睡眠の影響

ストレスは乾癬の症状を急激に悪化させる大きな要因の一つです。深呼吸を取り入れたり、好きな音楽を聴いたりして、心を休ませる時間を作ってください。精神的な緊張を解くことで、過剰な免疫反応を落ち着かせる助けとなります。

また、夜更かしは肌の修復を妨げるため、質の高い睡眠を確保することが大切です。午後10時から午前2時までの時間帯を含む十分な睡眠は、肌の新陳代謝を整え、健康な細胞の生成を促してくれます。

心身の安定が、皮膚のバリア機能を高めることにつながります。完璧を求めすぎず、リラックスして過ごすことを自分に許してあげてください。その穏やかな気持ちが、肌の回復力を内側から引き出します。

睡眠環境を整えるために、寝具の清潔さや寝室の湿度管理にも注目してみましょう。特に顔の皮膚が枕に触れる際、摩擦や乾燥が起きないよう、シルクや柔らかな綿の枕カバーを使用するのも一案です。

日常の注意ポイント

  • 髪の毛の接触:顔にかかる髪をまとめ、物理的な擦れを防ぎます。
  • マスクの摩擦:綿素材などの肌当たりの良いものを選びます。
  • 過度な暖房:加湿器を併用し、空気の乾燥から肌を守ります。

食生活におけるバランスの重要性

特定の食品を完全に避ける必要はありませんが、脂っこい食事や刺激物、多量のアルコールは体内の炎症反応を助長する可能性があります。過度な摂取を控え、内側から穏やかな環境を整えることが推奨されます。

野菜や果物に含まれる抗酸化物質、魚に含まれる良質な油などをバランスよく摂取し、肌をサポートする栄養を届けましょう。食事を楽しみながらも、極端な偏りを避ける姿勢が健康な皮膚への礎となります。

規則正しい食事の時間は、自律神経を整え、肌のターンオーバーを安定させる助けとなります。体調が良いと感じる食習慣を継続することで、乾癬の症状も安定しやすくなり、再発しにくい体質へと近づいていきます。

特にオメガ3脂肪酸を含む青魚やえごま油などは、体内の慢性炎症を抑える働きがあるとされています。日々の献立に少しずつ取り入れることで、薬だけに頼らない体質改善の土台を築けます。

また、腸内環境を整えるための発酵食品(納豆やヨーグルトなど)も、免疫バランスを正常化する上で重要です。

化粧品選びとメイクアップのコツ

乾癬があっても、適切な化粧品を選べばメイクを楽しむことは十分に可能です。症状を隠したいという気持ちに寄り添いながらも、肌に負担をかけない賢い選択肢を知ることが自信につながります。

敏感肌用コスメの活用

化粧品を選ぶ際は、パッチテスト済みのものや、成分表示がシンプルなものを選んでください。香料や保存料、着色料が少ないものほど、乾癬のデリケートな肌には適しており、突然のトラブルを防ぐことができます。

最近では、炎症を抑える有効成分が含まれた薬用ファンデーションも多く市販されています。

新しい製品を試す際は、まず腕の内側などで数日間テストを行い、反応がないことを確認してから顔に使用してください。慎重なステップを踏むことで、自分にぴったりのコスメを安全に見つけ出せます。

特に、油分が酸化しにくいタイプの化粧品や、防腐剤が抑えられた個包装タイプの製品などは、敏感な時期に重宝します。肌が過敏な時は、一時的にミネラルコスメに切り替えるなどの柔軟な対応も有効です。

メイクとケアのバランス

成分の見極め

注目成分期待できる役割注意が必要な成分
セラミド肌のバリア機能を補うエタノール(アルコール)
グリチルリチン酸炎症を穏やかに抑える強い合成香料
スクワラン皮脂膜の代わりとなり守る合成界面活性剤(多量なもの)

負担を抑えるベースメイクの技法

赤みを隠そうとして厚塗りをすると、後で落とす際の負担が大きくなってしまいます。まずはコントロールカラーを使用して肌の色味を補正し、その上に薄くファンデーションを重ねるとよいでしょう。

スポンジで強く叩き込むのではなく、筆でふんわり乗せるか、指の腹を使って優しく置くように仕上げてください。肌の凸凹に逆らわず、滑らせるようなタッチを心がけることで、皮膚への摩擦ダメージを回避できます。

パウダータイプは乾燥を招くことがあるため、リキッドやクリームタイプを薄く伸ばした後に、少量の粉で仕上げるのがおすすめです。潤いを保ちつつ、自然な仕上がりを目指すことが、肌を健やかに見せる秘訣となります。

鱗屑が目立つ部分には、メイク前にしっかりと保湿バームなどを馴染ませておくと、粉浮きを防いで滑らかに見せることができます。無理に剥がさず、上から潤いで落ち着かせるのが美しく見せるコツです。

クレンジングの選び方と後ケア

メイクを落とす際は、洗浄力の強すぎるオイルタイプを避け、摩擦の少ないジェルやミルクタイプを選んでください。汚れを包み込んで浮かせる力があれば、力を入れずとも十分にメイクをオフすることが可能です。

ポイントメイクなどは専用のリムーバーで先に取り除き、顔全体のクレンジング時間を短縮することが重要です。長時間クレンジング剤を肌に乗せていると、必要な潤いまで失われてしまうため、手際よく行いましょう。

洗い流した後は、即座に前述の保湿ケアを行い、肌をリセットさせてください。メイクを楽しんだ後は、それ以上に丁寧な労わりを肌に提供することで、翌日もまた心地よく過ごせる状態を維持できます。

拭き取りタイプのクレンジングシートは摩擦が強くなりやすいため、自宅では洗い流すタイプを推奨します。

メイクオフの時間は、一日の疲れと共に肌の汚れもリセットする大切なリラックスタイムです。ぬるま湯で優しく流し、清潔な肌に戻った後は、たっぷりの潤いを与えて眠りにつきましょう。

よくある質問

顔に乾癬ができる原因は何でしょうか?

乾癬は遺伝的な要素に、ストレス、肥満、感染症、薬剤などの外部環境要因が重なり、免疫システムが過剰に働くことで発症します。

顔の場合、もともと皮膚のターンオーバーが早い場所であることに加え、紫外線の影響や皮脂分泌のバランス、洗顔による摩擦などが重なって症状が出やすくなると考えられています。

家族にうつることはありませんか?

乾癬は細菌やウイルスによって起こる病気ではないため、家族や周囲の人にうつることはありません。タオルを共有したり、一緒に浴槽に入ったりしても問題はありませんので安心してください。

ただし、遺伝的な体質が受け継がれる可能性はありますが、必ずしも発症するわけではなく、生活習慣などの環境要因も大きく関わっています。

メイクで隠しても大丈夫でしょうか?

適切な化粧品を選び、正しい方法で行うのであれば、メイクをすること自体は問題ありません。症状を隠すことで外出への意欲が湧き、精神的に安定することは治療にとってもプラスに働きます。

ただし、炎症がひどく痛みや汁が出ているような時期は、一時的にメイクを控えて肌を休ませることが必要です。

症状が良くなったら薬はやめてもいいですか?

自己判断で急に薬をやめると、リバウンド現象によって症状が以前より悪化してしまうことがあります。一見綺麗になったように見えても、皮膚の深いところではまだ炎症が残っている場合が多いからです。

医師の指示に従い、徐々に塗る回数を減らしたり、マイルドな薬に切り替えたりするステップを踏むことが、長期的な安定には重要です。

以上

参考文献

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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