052-228-1280 WEB予約 LINE予約

頭にできた痛い「しこり」は粉瘤かも?原因と皮膚科での手術・治療法

頭にできた痛い「しこり」は粉瘤かも?原因と皮膚科での手術・治療法

頭皮に突然現れた痛いしこりは、多くの人が経験する悩みです。その正体の多くは粉瘤と呼ばれる良性の腫瘍であり、放置すると炎症を起こして激しい痛みを起こす場合があります。

この記事では、頭のしこりが粉瘤である可能性や、発症の原因、皮膚科で行う安全な手術法や治療の流れを詳しく解説します。

セルフケアの限界を知り、専門医の診察を受けることで、健やかな頭皮環境を取り戻すヒントを提供します。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

運営ソーシャルメディア(SNSでは「こばとも」と名乗ることもあります)

XYouTubeInstagramLinkedin

著書一覧
経歴・プロフィールページ

こばとも皮膚科関連医療機関

医療法人社団豊正会大垣中央病院

目次

頭にできるしこりの正体と粉瘤の基本知識

頭皮に触れた時に感じるボコッとしたしこりは、粉瘤やアテローマと呼ばれる皮膚腫瘍であるケースが目立ちます。粉瘤は皮膚の袋の中に本来剥がれ落ちるべき垢や皮脂が溜まったもので、自然に消えることはありません。

粉瘤と他のしこりを見分ける特徴

頭皮には粉瘤以外にも脂肪腫や外毛根鞘性嚢腫といった、多種多様な種類のしこりが形成されますが、粉瘤の大きな特徴は、しこりの中央に黒点のような開口部が見える場合がある点です。

黒点は、皮膚の表面と袋が繋がっている出口であり、酸化した皮脂が詰まっていることで黒く見えます。

指で押すと独特の臭いを持つドロドロとした物質が出てくることもありますが、無理に押し出すと細菌感染を招くため控えなければなりません。自己判断で潰すと炎症を悪化させるリスクが高いため、安易に触らないでください。

この臭いは、袋の中に長期間蓄積された角質や皮脂が、細菌によって分解されることで発生する特有のものです。

頭皮の粉瘤は、他の部位に比べて周囲の組織と癒着しやすい性質を持っていて、初期段階では米粒ほどの大きさであっても、数年かけてゆっくりと数センチ単位まで成長することがあります。

また、頭皮特有の疾患として、髪の毛の根元にある細胞から発生する外毛根鞘性嚢腫もあり、これは粉瘤と極めて似た経過を辿ります。

なぜ頭皮にしこりができるのか

頭皮は全身の中でも非常に代謝が盛んな部位であり、常に新しい皮膚が作られていますが、何らかの理由で毛穴の出口が塞がると、本来外に排出されるべき老廃物が内側へ潜り込み、皮膚の袋が形成されてしまいます。

袋の中に中身が蓄積し続けることで、しこりとして認識されるようになります。

頭皮は髪の毛に厚く覆われているため、初期段階では視覚的に気づきにくく、ある程度の大きさになってから指に触れて発覚するパターンが多く見受けられます。

日常のブラッシングで違和感を覚えたり、整髪料をつける際に手に当たったりすることで、初めて存在を認識するケースが一般的です。

毛穴が詰まる原因は、皮脂の過剰分泌やターンオーバーの乱れ、外傷など多岐にわたります。頭皮を不潔にしているからできるというわけではなく、体質的にできやすい方も少なくありません。

頭部は皮脂の分泌量が身体の他の部位に比べて多いため、角栓ができやすく、粉瘤の発生頻度も高い傾向にあります。

放置することのリスク

小さなうちは無症状のことも多いですが、粉瘤をそのままにしておくと内部で細菌が増殖し、炎症性粉瘤という状態に移行し、こうなると患部が赤く腫れ上がり、眠れないほどの激痛を伴うようになります。

免疫力が低下している時や、患部を不衛生にしている時に、この炎症は起こりやすくなります。

炎症がひどくなると皮膚が破れて膿が噴出することもあり、周囲の毛根にダメージを与えて一時的な脱毛を招く恐れも否定できません。

頭皮は血流が豊富なため、感染が広がると周辺組織まで熱を持ち、顔や首筋のリンパ節が腫れることもあり、こうなると、単なる皮膚のしこりでは済まされない全身的な不快感に繋がります。

痛みが一時的に引いたとしても、皮膚の下に袋が残っている限り、何度でも再発を繰り返します。放置が長引くほど袋は周囲の組織と強固に癒着し、最終的な摘出手術の際に切り取る範囲が広がり、傷跡が大きくなる傾向にあります。

そのため、痛みがない時期に相談することが、最も負担の少ない解決策です。

粉瘤の状態と変化の比較

状態の種類主な症状痛みの程度
通常時弾力のあるしこりほぼ無し
炎症時赤みと熱感強い痛み
破裂時膿や出血激痛と不快な臭い

頭の粉瘤が痛む原因と炎症の仕組み

粉瘤が痛みを持つ最大の理由は、袋の内部で細菌感染が起きるか、袋自体が破裂して中身が周囲の組織に漏れ出すためで、これを炎症性粉瘤と呼び、急速にサイズが大きくなることが特徴です。

頭皮は皮膚が薄く、すぐ下に頭蓋骨があるため、腫れによる圧迫が神経を刺激しやすく、他の部位よりも強い痛みを感じる場合が多く見られます。

細菌感染による急激な悪化

日常生活の中で、無意識に頭のしこりを触ったり、シャンプーの時に爪を立てたりすることで、微細な傷から細菌が侵入します。袋の中は栄養が豊富で細菌が繁殖しやすいため、一晩で大きく腫れ上がることも珍しくありません。

細菌にとっては、袋の中に溜まった老廃物は絶好の餌場となってしまうのです。

体調不良や免疫力の低下が重なると、炎症のスピードはさらに加速し、周囲の組織まで赤みが広がっていきます。黄色ブドウ球菌などの常在菌が原因となることが多く、適切な殺菌が行われない限り悪化の一途を辿ります。

自己流で消毒を行っても、袋の内部まで薬剤が届かないため、根本的な解決には至りません。

痛みを感じる頃には内部で膿が充満していることが多く、皮膚が薄くなって今にも破けそうな状態になり、この段階では、衣服の着脱や寝返りといった些細な動作でも耐え難い痛みを感じます。

また、頭皮の緊張感が増すことで、頭痛のような鈍い痛みとして感じる患者さんも少なくありません。

袋の破裂が起こす激痛

粉瘤が大きくなって内圧が高まると、皮膚の下で袋が破れてしまうことがあり、袋の中に溜まっていた角質や皮脂が周囲の生体組織に直接触れると、身体は異物と判断して強力な拒絶反応を示します。

この反応が激しい炎症を呼び、ズキズキとした拍動性の痛みや、患部周辺の広範囲な腫れを起こす直接的な要因となります。破裂した直後は一瞬圧力が逃げて楽になるように感じますが、その後にさらなる激痛が襲います。

これは、漏れ出した内容物が周囲の組織に浸透し、広範囲で炎症が連鎖するためです。

組織の中に内容物が散らばると、後日行う摘出手術の難易度が上がります。袋の境界が不明瞭になり、取り残しが生じやすくなるため、再発のリスクを下げることが難しくなるのです。

破裂する前の、袋の壁がしっかりしている時期に受診することが、医療の観点からも強く推奨されます。

日常の刺激が与える影響

頭皮は枕との摩擦や帽子による圧迫など、外部からの物理的な刺激を頻繁に受ける場所です。就寝中にしこりが枕に当たると、持続的な負荷がかかって痛みが誘発される原因になります。

特定の方向を向いて寝ることができなくなるなど、生活の質に直結するストレスを抱えることになります。

美容院でのカットやカラーリング時の薬剤刺激も、静かだった粉瘤を刺激して炎症を呼び起こすきっかけになり得ます。美容師がしこりに気づかず強くブラッシングすることで、皮膚に傷がつき、そこから炎症が始まるケースも少なくありません。

もし頭にしこりがある場合は、施術前に伝えておく配慮が必要です。

冬場のニット帽やヘルメットの常用も、通気性を損ない蒸れを発生させることで、細菌の増殖を助長し、温度と湿度が上がることで、粉瘤の開口部から細菌が侵入しやすい環境が整ってしまいます。

頭皮に違和感がある間は、こうした外部刺激を極力避ける工夫を行うことが、症状を長引かせないために重要です。

炎症を悪化させる要因

  • 指で無理に潰そうとする行為
  • 不衛生な手で頻繁に触る
  • 強い力でのブラッシング

皮膚科で行う粉瘤の診断と検査方法

皮膚科を受診すると、まずは視診と触診によってしこりの状態を丁寧に確認します。専門医はしこりの硬さ、可動性、中心窩と呼ばれる黒点の有無を慎重に診察し、粉瘤であるかどうかの判断を下します。

視診と触診による初期評価

医師はしこりの外見だけでなく、周囲の皮膚との癒着がないか、熱を持っていないかを細かく確認します。

粉瘤であれば、皮膚のすぐ下に境界がはっきりした塊を感じることが一般的で、動かすと皮膚と一緒に移動し、これは、袋が皮膚の一部として形成されている粉瘤特有の触感です。

炎症の有無も同時に判断し、即座に膿を出す処置が必要か、あるいは後日の手術を計画するかの方針を決定し、この段階で、外毛根鞘性嚢腫や石灰化上皮腫などの類似疾患との鑑別も行われます。

それぞれの疾患によって治療の緊急度や手術の難易度が異なるため、見極めは非常に重要な意味を持ちます。

もし他の部位にも同様のしこりがある場合は、多発性の粉瘤である可能性も考慮して診察が進められ、遺伝的な要因や、体質的に袋ができやすい状況がないかを把握することで、将来的な再発への備えも行います。

超音波検査による内部構造の確認

エコー検査は、皮膚を切ることなく内部の様子をリアルタイムで観察できる優れた手法です。しこりの深さや大きさ、周囲の血管との位置関係を正確に把握することで、手術時の安全性を飛躍的に高めます。

特に頭皮には細かな血管が張り巡らされているため、事前情報の取得は安全な処置のために欠かせません。

粉瘤の中に膿が溜まっているか、あるいは袋がすでに破れているかといった詳細な情報も得られ、情報は、治療計画を立てる上で非常に重要であり、再発を防ぐための指針となります。

袋の状態が明瞭でない場合は、炎症が周囲に波及している可能性を考慮し、より慎重なアプローチが必要です。

検査時間は数分程度で、痛みも全くありません。頭蓋骨のすぐ近くにあるしこりの場合、深さを事前に知ることは、医師が慎重にアプローチを決めるために必要不可欠なステップとなります。

画像によってしこりの輪郭がはっきりすることで、患者さん自身も自分の身体の中で何が起きているのかを視覚的に理解することができます。

確定診断のための病理組織検査

手術で摘出したしこりは、顕微鏡を用いた病理組織検査に回すことが一般的で、摘出した組織が本当に良性の粉瘤であったかを最終的に確認するための厳格なプロセスです。

稀に良性腫瘍と酷似した外見を持つ悪性腫瘍が隠れている可能性を完全に排除し、患者さんが心から安心して治療を終えられるようにします。

検査結果が出るまでには通常、一週間から二週間程度の時間を要し、この期間を経て、正式な診断名が確定することになります。

頭皮の場合、外毛根鞘性嚢腫という粉瘤の親戚のような病気であることが多く、性質の違いを知ることで今後の再発予防に役立てます。

外毛根鞘性嚢腫は内容物が硬く、袋も厚いため、粉瘤よりも摘出しやすいといった特徴を後から確認できることもあります。

検査の目的と内容

検査名称主な目的方法
視診・触診基本的な種類の判別目視と指での確認
超音波検査深さや構造の把握専用機器の照射
病理検査確定診断と悪性除外細胞の顕微鏡観察

皮膚科で選択される粉瘤の手術治療法

粉瘤を根本的に治す唯一の方法は、外科的な手術によって皮膚の袋を丸ごと取り出すことです。塗り薬や飲み薬で一時的に炎症を抑えることは可能ですが、袋が残っている限り再発の可能性が常に付きまといます。

くり抜き法による低侵襲な処置

くり抜き法は、へそ抜き法とも呼ばれ、特殊なパンチ状の器具を使って皮膚に数ミリの小さな穴を開ける手法です。

袋の中身を排出した後に、萎んだ袋自体を小さな穴から引き抜き、大きな切開を必要とせずに内容物と原因である袋を同時に除去することが可能になります。

従来の切開法に比べて傷跡が非常に小さく、縫合を必要としない場合も多いため、頭皮のように目立つ場所に適しています。手術時間も短く、身体への負担が少ない点が現代の治療における大きなメリットです。

この手法は、炎症が起きていない時期に行うのが理想的で、傷口が小さいため術後の回復が早く、当日の夜から制限はあるものの普段に近い生活を送れることが多いため、多忙な方にも選ばれています。

ただし、粉瘤が巨大な場合や中身が硬すぎる場合には、他の手法を検討することもあります。

切開摘出法による確実な除去

しこりが非常に大きい場合や、過去に何度も炎症を繰り返して周囲と癒着している場合には、切開摘出法を選択し、しこりの直上の皮膚を木の葉状に切開し、袋を慎重に剥離して取り出します。

医師の視界が広く確保されるため、複雑な癒着があっても確実に取り除くことができます。

袋を破らずに一塊として摘出できるため、取り残しによる再発率を極めて低く抑えることが可能です。摘出後は内部を丁寧に洗浄し、皮膚のズレがないように精密に縫合を行い、傷跡が目立たないように配慮します。

頭皮は厚みがあるため、縫合には熟練した技術を要し、形成外科的な手法を併用することで、将来的に髪の毛が生えてきたときに傷がほとんど分からないレベルまで仕上げることを目指します。

また、傷のラインを髪の毛の流れに沿わせるなどの工夫が施されます。

炎症時の緊急処置としての切開排膿

炎症が激しく、痛みで日常生活に支障が出ている場合は、まず切開して内部の膿を出す切開排膿を行います。根本的な解決ではありませんが、内圧を下げることで痛みを劇的に和らげる効果があります。

溜まった膿を外に逃がすことで、ズキズキとした痛みは急速に引いていきます。

膿を出し切った後は、しばらく洗浄のために通院が必要で、炎症が落ち着いた数週間から数ヶ月後に、改めて残った袋を摘出する本手術を行うという二段階のプロセスを踏むことが標準的です。

最初から袋を摘出しようとすると、炎症によって組織が脆くなっているため、成功率が下がってしまい、炎症が強い状態で無理に袋を摘出しようとすると、出血が増えたり傷跡が汚くなったりするリスクもあります。

手術方法の選択基準

手法名適応するケース傷跡の目安
くり抜き法小〜中サイズの粉瘤3ミリから5ミリの点
切開摘出法大型や癒着がある場合線状の傷跡
切開排膿激しい炎症がある時最小限の切開口

頭の手術における術後の経過とケア

頭皮の手術を受けた後は、適切なアフターケアが傷跡の治りや再発防止に直結します。頭部は血流が豊富なため傷の治りが早い部位ですが、一方で髪の毛があるために不衛生になりやすい側面も持っています。

術直後の過ごし方と注意点

手術当日は患部を濡らさないように細心の注意を払い、激しい運動や飲酒、長風呂は避ける必要があります。これらは全身の血流を促進し、術後の出血や腫れを助長する恐れがあるため、安静が推奨されます。

脈拍が上がるような行為は、止まっていたはずの血管から再出血を招くきっかけになり得ます。

処方された抗生剤や痛み止めを医師の指示通り正しく服用し、麻酔が切れた後の違和感を最小限に抑えます。多くの場合は翌日からシャワーが可能になり、日常生活の制限もほとんどなくなります。

就寝時は、患部を圧迫しないような姿勢を心がけ、頭部の手術後は少し枕を高くして寝ることで、顔や頭のむくみを防ぐ効果が期待できます。

これは重力の力を借りて、手術部位周辺の余分な水分を効率よく流すためで、万が一、夜間に出血が見られた場合は、慌てずに清潔なガーゼで軽く圧迫してください。

洗髪時の工夫と清潔保持

手術の翌日以降、医師から許可が出れば洗髪が可能になりますが、傷口を強くこすらないよう、指の腹で優しく丁寧に洗うことが基本です。

石鹸成分が残らないよう十分にすすぎ、清潔を保つ努力を継続します。古い血液や分泌物が傷口に残ると、細菌の温床になってしまうため、洗い流すことが重要です。

洗髪後は清潔なタオルで水分を優しく吸い取った後、ドライヤーの温風を直接当てすぎないように注意して乾かします。濡れたまま放置すると細菌が繁殖しやすいため、素早く乾燥させることが大切です。

ただし、熱すぎる風は皮膚の再生を妨げる可能性があるため、弱めの風や冷風を使い分けるのが理想的です。

頭皮は他の部位に比べて皮脂汚れが溜まりやすいため、傷口周辺も恐る恐るではなく、清潔な流水でしっかり洗い流すことが、化膿を防ぐための重要なポイントとなります。

洗髪に使うシャンプー剤も、刺激の少ない低刺激性のものを選ぶと、術後の敏感な肌を優しく守ることができます。

抜糸と通院のスケジュール

切開摘出手術で縫合を行った場合は、通常一週間から十日ほど経過したタイミングで抜糸を行います。くり抜き法の場合は縫合しないことも多く、その場合は傷口が自然に盛り上がって塞がるのを待ちます。

抜糸までの期間は、糸が皮膚を支えてくれているため、無理に引っ張らないように過ごします。

抜糸が終われば、プールや温泉、サウナなどの利用制限も完全に解除されます。定期的な通院で傷跡の状態を確認し、赤みや盛り上がりが残っていないか専門医のチェックを受けることが大切です。

傷跡が少し硬く感じることがありますが、これは修復の過程であり、時間の経過とともに和らいでいきます。

傷跡が完全に白く平らになるまでには数ヶ月の時間を要しますが、頭髪の中であればほとんど目立ちません。長期的な経過の中で、もし再発を疑うようなしこりが現れた場合は、すぐに再診を受けるようにしてください。

術後の禁止事項

  • 自分で患部のカサブタを剥がす
  • 整髪料を傷口に直接塗布する
  • 不衛生な帽子を長時間被る

粉瘤の再発防止と頭皮の健康管理

粉瘤は手術で袋を完全に取り切れば同じ場所からの再発はありませんが、体質によっては別の場所に粉瘤ができることがあります。頭皮の健康状態を良好に保ち、毛穴の詰まりを防ぐ生活習慣を整えると、新たなトラブルのリスクを低減できます。

正しいシャンプー習慣の確立

頭皮の毛穴を清潔に保つためには、自分の肌質に合ったシャンプーを選び、適切な方法で洗うことが基本です。皮脂を落としすぎると乾燥によるバリア機能低下を招き、逆に不十分だと汚れが溜まって毛穴を塞ぎます。

ぬるま湯で一分ほど予洗いをしっかり行い、手のひらで泡立てたシャンプーで頭皮をマッサージするように洗うことで、健やかな環境を維持でき、すすぎは洗う時間の二倍かけるつもりで入念に行うのがコツです。

予洗いを丁寧に行うだけで、頭皮の汚れの七割から八割は落ちるとも言われており、シャンプーの負担を減らすことができます。

トリートメントやコンディショナーは髪の毛の中間から毛先にのみ使用し、頭皮に直接付着させないようにします。油分が毛穴に残ると、それが酸化して粉瘤のきっかけとなる角栓を作る原因になるためです。

もし頭皮についてしまった場合は、ヌルつきが完全になくなるまで徹底的に洗い流してください。

ストレス管理と規則正しい生活

皮膚の代謝サイクルは、睡眠不足や精神的なストレス、食生活の乱れによって大きく影響を受けます。不規則な生活はホルモンバランスを崩し、皮脂の過剰分泌や角質層の肥厚を招く要因です。

十分な睡眠時間を確保し、ビタミン類を豊富に含むバランスの良い食事を心がけることは、皮膚全体の健康を底上げし、しこりができにくい身体作りへと繋がります。

特に皮脂代謝に関わるビタミンB群や、皮膚の再生を助けるビタミンA、Cなどの摂取は効果的です。ただし、サプリメントに頼るだけでなく、旬の食材から栄養を摂取しましょう。

また、過度な喫煙やアルコールの摂取は末梢の血流を悪化させ、皮膚の修復能力を低下させます。頭皮を守るためには、こうした嗜好品を控えめにするなど、内面からのケアも大切です。

適度な運動を取り入れ、全身の血流を良くすることも、頭皮の代謝を正常に保つための助けになります。

早期発見のためのセルフチェック

入浴時などに、指の腹を使って頭皮全体を優しく触る習慣をつけることが大切で、小さな違和感や、以前はなかった盛り上がりをいち早く見逃さないことで、炎症が起きる前の段階で皮膚科を受診できます。

粉瘤が小さいうちに処置を行えば、手術の傷跡もより小さく済み、身体的、精神的な負担を大幅に軽減することが可能になります。家族に確認してもらうのも、自分では見えない部分の状態を把握する良い手段です。

後頭部や頭頂部は死角になりやすいため、第三者の目は非常に有効なセンサーとなります。

頭皮のトラブルは放置しても解決することは稀です。何かおかしいと感じたら、専門家の目で見てもらうことで、それが粉瘤なのか、あるいは単なるニキビなのかをはっきりさせられます。

頭皮環境を整える習慣

  • 1日1回の丁寧な洗髪
  • バランスの取れた栄養摂取
  • 定期的なセルフ触診

Q&A

頭の粉瘤は放っておけばいつか消えることはありますか?

粉瘤は皮膚の下にできた袋の中に角質が溜まっていく病気ですので、残念ながら自然に消滅することはありません。一時的に中身が出て小さくなったように見えても、袋が残っている限り再び溜まり始めます。

放置すると大きくなったり炎症を起こしたりするリスクが高まるため、気付いた段階で早めに専門医へ相談しましょう。

特に頭部は気づきにくい部位であるため、ある程度の大きさになってからの発見が多く、その分袋も成長していることが一般的です。

手術の際に髪の毛を剃る必要はありますか?

多くの場合、髪の毛を広範囲に剃る必要はありません。最近の手術手法では、髪の毛を分けるなどして患部を露出し、最小限の範囲で処置を行うことが可能です。

術後の傷跡も髪の毛で隠れることが多いため、外見上の変化を心配される方も安心して手術を受けていただけます。

髪の毛を剃ることに抵抗があるという方も、皮膚科医はその心理的ハードルを十分に理解していますので、事前に相談することで最適な対応を提案してもらえます。

手術にかかる時間はどのくらいでしょうか?

粉瘤の大きさや部位、手術方法にもよりますが、多くの場合は20分から30分程度の短時間で終了します。局所麻酔を使用して行う日帰り手術が一般的であり、入院の必要はありません。

診察当日にすぐ手術ができる場合もあれば、予約制で行う場合もありますので、受診されるクリニックの体制を確認しておくとスムーズです。

手術そのものよりも、術前の準備や麻酔が効くのを待つ時間、術後の説明などを含めて、一時間程度の余裕を見ておいてください。

痛くないしこりでも受診したほうがよいですか?

痛みがない場合でも、それが粉瘤であれば将来的に炎症を起こす可能性があります。また、一見粉瘤に見えても他の疾患である可能性も否定できません。

しこりが徐々に大きくなっている場合や、形がいびつな場合は特に注意が必要です。早めに診断を受けることで、適切な時期に最小限の処置で済ませることができるため、受診をお勧めします。

早期であれば傷跡も小さく、治療費や通院の負担も抑えられるため、メリットは非常に大きいです。

以上

参考文献

Kawaguchi M, Kato H, Matsuo M. CT and MRI features of scalp lesions. La radiologia medica. 2019 Oct;124(10):1049-61.

Nakamura T. Comparative immunohistochemical analyses on the modes of cell death/keratinization in epidermal cyst, trichilemmal cyst, and pilomatricoma. The American journal of dermatopathology. 2011 Feb 1;33(1):78-83.

Tsuruta D, Hayashi A, Kobayashi H, Nakagawa K, Furukawa M, Ishii M. Pseudocyst of the scalp. Dermatology. 2005 May 1;210(4):333-5.

Naomi TA, Yamada N, Anzawa K, Mochizuki T, Yamamoto O. Majocchi’s Granuloma with Epidermal Cysts due to Trichophyton rubrum: Ultrastructural Observations. Acta Dermato-Venereologica. 2024 Sep 15;104:40148.

Sau P, Graham JH, Helwig EB. Proliferating epithelial cysts: clinicopathological analysis of 96 cases. Journal of cutaneous pathology. 1995 Oct;22(5):394-406.

Mori O, Hachisuka H, Sasai Y. Proliferating trichilemmal cyst with spindle cell carcinoma. The American journal of dermatopathology. 1990 Oct 1;12(5):479-84.

Suyama T, Yokoyama M, Matsuki Y, Katagiri K. Subcutaneous scalp nodule with posterior echo enhancement. Iranian Journal of Dermatology. 2025 Jun 1;28(2):129-31.

Kuniyuki S, Yoshida Y, Maekawa N, Yamanaka K. Bacteriological study of epidermal cysts. Acta dermato-venereologica. 2008;88(1):23-5.

Yasumoto M, Shibuya H, Gomi N, Kasuga T. Ultrasonographic appearance of dermoid and epidermoid cysts in the head and neck. Journal of clinical ultrasound. 1991 Oct;19(8):455-61.

Kumar Y, Anand R, Bhagat N, Chakarvarty K, Jaiswal Y. Surgical management of epidermoid cysts of scalp: A case report. Cureus. 2024 Oct 19;16(10).

免責事項

当院の医療情報について

当記事は、医療に関する知見を提供することを目的としており、当院への診療の勧誘を意図したものではございません。治療についての最終的な決定は、患者様ご自身の責任で慎重になさるようお願いいたします。

掲載情報の信頼性

当記事の内容は、信頼性の高い医学文献やガイドラインを参考にしていますが、医療情報には変動や不確実性が伴うことをご理解ください。また、情報の正確性には万全を期しておりますが、掲載情報の誤りや第三者による改ざん、通信トラブルなどが生じた場合には、当院は一切責任を負いません。

情報の時限性

掲載されている情報は、記載された日付の時点でのものであり、常に最新の状態を保証するものではありません。情報が更新された場合でも、当院がそれを即座に反映させる保証はございません。

ご利用にあたっての注意

医療情報は日々進化しており、専門的な判断が求められることが多いため、当記事はあくまで一つの参考としてご活用いただき、具体的な治療方針については、お近くの医療機関に相談することをお勧めします。

大垣中央病院・こばとも皮膚科

  • URLをコピーしました!
目次