透析のQB(血液流量)とQD(透析液流量)とは?治療効果への影響

透析のQB(血液流量)とQD(透析液流量)とは?治療効果への影響

人工透析治療の質を高めるためには、血液流量であるQBと、透析液の流量であるQDの適切な設定が必要です。

本記事では、これら2つの指標がどのように連携して血液中の老廃物や水分を除去し、患者さんの身体への負担を軽減しながら治療効率を向上させるのかを詳しく解説します。

QBやQDの数値を調整する理由や、得られる体調管理上のメリット、さらには設定値の目安についても触れていきます。

目次

透析治療を支える血液流量QBの基礎知識

血液流量QBは、1分間にダイアライザーの中を通過する血液の量で、透析効率を決定する最も基本的な要素であり、老廃物の除去能力に直接関わります。十分なQBを確保することは、体内の毒素をしっかりと洗い流すことにつながります。

血液流量が果たす役割と老廃物除去の仕組み

透析治療は、血液と透析液をダイアライザーというフィルターを介して接触させ、拡散という原理を利用して老廃物を取り除き、QBを上げることは、単位時間あたりにフィルターを通る血液の総量を増やすことを意味します。

血中の不要な物質を効率よく透析液側へ移動させるために、流量は重要な役割を担い、血液の流れが速ければ速いほど、ダイアライザー内部での物質交換が活発です。

これは川の流れが速い方が、川岸の汚れをより多く押し流していく様子に似ています。十分な流量は、短時間での効率的な清浄化を可能にし、透析時間を有効に活用するために大切です。

さらに、QBを高く維持することは、ダイアライザー内での血液の凝固を防ぐ効果も期待できます。流れが淀むと血栓ができやすくなるため、適切なスピードで循環させることが治療の安定に寄与します。

ダイアライザーの膜表面に老廃物が付着し続けるのを防ぐ効果もあり、フィルターの性能を最後まで引き出すことができます。

心臓への負担と適切なQB設定のバランス

QBを上げれば効率は良くなりますが、無制限に高くすれば良いわけではなく、血液を体外へ引き出し、再び戻すという行為は心臓にとって一定の負荷です。

心機能が低下している場合、急激な血液の移動は血圧低下や心不全のリスクを高める可能性があり、身体の状態を慎重に見極めながら、無理のない範囲で流量を決定します。

医師は患者さん一人ひとりの心機能や血管の状態、年齢、体格を総合的に判断してQBを決定し、一般的には毎分200mlから250ml程度が基準です。

近年では体格の大きな方や活動性の高い方に対し、より高い設定を行うケースも増えていて、若くて体格が大きく、食事から摂取するタンパク質が多い方の場合は、より高いQBが必要とされる傾向にあります。

高齢で心臓への懸念がある場合は慎重な増量が検討され、血圧の推移を数回にわたって観察し、安全を確認した上で段階的に進めるのが一般的です。

シャントの状態と血液流量の密接な関係

安定したQBを維持するためには、血液の取り出し口であるシャントが良好な状態であることが必要で、シャントの血管が細くなっていると、十分な量の血液を吸い出すことができなくなります。

血管に狭窄がある場合、ポンプで強い圧力をかけてもQBを高く設定できず、シャントのトラブルは透析効率の低下に直結するため、日頃からの観察が欠かせません。

穿刺時の抵抗や静脈圧の上昇、脱血不良の警告が頻繁に出る場合は注意が必要で、シャントの再建や拡張術を検討する目安となり、早期の対応が長期的な治療の安定を支えます。

日頃からシャント音を確認し、触診でスリルを感じるなど、自身の血管を守る意識が重要です。些細な変化を見逃さないことが、安定した血液流量の確保に直結します。

また、シャントの血流量そのものが不足している場合、設定したQBに見合うだけの血液を供給できず、静脈圧や脱血圧のアラームが多発することになり、これは治療の質を下げる要因です。

狭窄を放置したままQBを無理に上げようとすると、血管内壁へのダメージを加速させる可能性もあるので、血管を守りながら効率を追うために、定期的なエコー検査が推奨されます。

シャント管理とQB維持のポイント

確認項目理想的な状態注意が必要な兆候
シャント音ザーザーという連続音高音の笛のような音
触覚スリル振動をしっかり感じる拍動のみで振動が弱い
見た目赤みや腫れがない局所的な膨らみや変色

透析液流量QDが治療効率に与える影響

透析液流量QDは、ダイアライザーの外側を流れる透析液のスピードを示し、QBとの組み合わせによって、血液から老廃物を取り出す効率が決定します。

透析液の流れと濃度勾配の維持

老廃物は、濃度の高い方から低い方へ移動する拡散によって除去されます。血液中の老廃物濃度が高いのに対し、透析液側を常に低く保つことが、効率的な拡散を維持する鍵です。

QDを十分に確保することで、汚れた透析液を新しい液と入れ替え、新鮮な状態で血液と接触させることができ、循環を速めることで、物質の移動が促進されます。

もしQDが極端に少ないと、ダイアライザーの中で透析液側の老廃物濃度がすぐに上昇し、拡散の勢いが衰えてしまい、浄化効率が大幅に低下してしまいます。

通常はQBの約2倍程度のQDを設定することが一般的で、標準的な設定では毎分500ml程度が選択されます。

物質除去の選択性とQDの調整

QDの調整は、除去したい物質の種類によっても意味合いが変わります。尿素窒素のような分子量の小さい物質は、QDを増やすことで除去効率が顕著に向上する特性を持っています。

一方で中分子以上の大きな物質は、QDの変化による影響を比較的受けにくいという特徴があり、取り除くには、QDよりもQBや膜の性能が大きく関与します。

患者さんの検査データに基づき、特定の老廃物の数値が高い場合にはQDを増やす選択肢が検討され、効率を上げつつ、使用する透析液の総量を考慮しながら設定値を導き出します。

透析液の節約と効率のトレードオフ

近年では、透析液の作成コストや環境負荷を考慮し、QDをあえて抑える手法も研究されていますが、単純にQDを下げるだけでは透析不足に陥る恐れがあり、注意が必要です。

透析不足を防ぐために、ダイアライザーの高性能化やQBの向上と組み合わせる工夫がなされていて、流量を減らしても治療効果を維持できるような仕組みが整えられています。

体調が安定している場合は、効率と安全性のバランスがうまく保たれている証拠です。スタッフは常に最適な数値を探求しており、安心して治療を任せることができます。

一方で、非常に体格が良く老廃物量が多い患者さんに対して、一律にQDを制限することは推奨されません。個別の必要浄化量を見極めることが大切です。

QD設定による影響の違い

項目QD増量時の変化QD減量時の変化
小分子物質除去効率が向上する効率が低下する
透析液消費量消費量が増えるコストを抑制できる
装置への負荷負担がやや増す安定稼働しやすい

QBとQDの関係性が生む相乗効果

QBとQDは、車のエンジンと燃料のような関係にあり、どちらか一方だけを強化しても、全体のパフォーマンスは最大化されません。

血液と透析液の接触効率を最大化する

ダイアライザーの中では、血液と透析液が逆方向に流れる向流交換が行われていて、この仕組みにより、全行程にわたって濃度差を維持し続けることが可能になります。

QBを増やしたときには、見合うだけのQDを供給する必要があり、そうでなければ、血中の汚れを受け止める透析液側のキャパシティが不足してしまいます。

QBを200mlから300mlに引き上げた場合、QDも相応に増量することで、除去効率の伸びを助けることができます。設定値を連動させて調整することが、時間を有効に使うために重要です。

二つの流れの比率(QB/QD比)が、ダイアライザー内部の物質移動係数に影響を与え、最適な比率を保つことで、フィルターの膜全体をフル稼働させることができます。

もしQBだけが高すぎると、透析液がすぐに飽和してしまい、出口付近では浄化が止まってしまい、QDだけが高すぎると、血液中の老廃物を吸い出す力に対して液が余ってしまい、無駄が生じます。

透析量Kt/Vを向上させるための戦略

透析の質を評価する指標としてKt/Vが用いられ、Kは浄化能力、tは時間、Vは体液量を示し、このうちKの値を大きく左右するのがQBとQDの設定です。

透析時間を延ばすことが難しい場合、流量を適切に上げることでKを高め、目標とする透析量を確保します。数値の向上は、日々の体調改善に直接的な影響を及ぼします。

十分な透析量を維持することは、長期的な合併症の予防に直結し、皮膚の痒みの軽減や、食欲の改善、不眠の解消など、日々の生活の質を支えることになります。

Kt/Vが目標値(一般的に1.2以上)に届かない場合、まずはQBの増量が検討され、それが難しい場合にQDの増量やダイアライザーのサイズアップなど、多角的なアプローチが取られます。

個別化された設定変更のタイミング

QBやQDの設定は、一度決めたら永久に固定されるものではなく、体重の変化や身体活動量の増減、あるいは検査結果の推移に応じて適宜見直しを行います。

夏場に食欲が落ちて筋肉量が減った場合や、運動を始めて代謝が上がった場合などは、生活スタイルの変化に合わせて柔軟に数値を変更することが重要です。

新しいダイアライザーが導入された際にも、性能を引き出すために設定の見直しが必要になることがあり、また、年齢を重ねるにつれて心機能が変化するため、長期的には数値を下方修正する場合もあります。

治療効率を左右する主な要因

  • ダイアライザーの膜面積と素材の性能
  • 血液と透析液の流量バランスの適正化
  • 透析時間の確保と時間あたりの浄化率
  • シャントの血流量と穿刺位置の安定性
  • 血管アクセスの再循環(シャント内で血液が混ざること)の有無

治療効果への影響と体感の変化

QBやQDを適切に設定し、十分な透析効率を得ることは、患者さんが感じる体調にも大きな影響を与えます。数値上の改善だけでなく、毎日の生活がどれだけ楽になるかという視点は、治療を継続する上での大きなモチベーションです。

老廃物除去による不快症状の改善

透析が不十分だと、体内に毒素が蓄積し、さまざまな不快な症状が現れますが、QBやQDの最適化によって老廃物がしっかりと除去されると、透析後の倦怠感が軽減されます。

体内の環境が改善されることで、体が軽くなったように感じることが多いです。細胞レベルでの浄化が進むことで、慢性的な疲れから解放されることが期待できます。

特に、尿毒症による食欲不振や味覚の変化が改善されると、食事を美味しく食べられるようになり、しっかり食べることは、体力の維持に欠かせない要素です。

これまで「透析の翌日は半日寝ていないと動けなかった」という方が、流量の調整によって「翌朝から買い物に出かけられるようになった」という変化を実感することも珍しくありません。

血中の毒素レベルが低く抑えられると、脳の活動もスムーズになり、思考がクリアになる感覚を得られることがあります。

合併症予防と長期的な予後の向上

高い透析効率を維持することは、長期合併症の発生を遅らせる効果があり、β2-ミクログロブリンといった大きな分子をしっかり取り除くには、QBの確保が大切です。

関節の痛みやしびれといった苦痛を未然に防ぐことが可能になり、長年の治療継続を支えるのは、こうした細かな合併症のコントロールに他なりません。

また、流量設定は心血管系への負担を適正化し、大きな病気のリスク低減に寄与します。

透析アミロイドーシスのような深刻な合併症は、蓄積した老廃物が原因で起こります。QBを維持し、しっかりと濾過・拡散を行うことは、10年後、20年後の歩行機能を守ることに繋がります。

心臓への負担を避けるためにQBを抑えすぎることも、透析不足による心不全リスクを高めるというジレンマがあります。

効率的な透析を受けるための注意点

QBやQDを高く設定して効率を追求することは大切ですが、安全性を無視してはなりません。治療中のトラブルを避け、安定して透析を継続するためには、患者さん側でも注意しておくべきポイントがいくつかあります。

透析中の血圧変動への注意

QBを高く設定すると、血管から血液を取り出すスピードが速くなるため、一時的に循環血液量が変動しやすくなり、血圧低下を招くことがあります。

透析開始直後や中盤に気分が悪くなる場合は、速やかにスタッフへ知らせることが大切です。あくびや生あくびが出る場合も、血圧が下がっている予兆かもしれません。

血圧低下が頻繁に起こる場合は、QBを少し下げて身体への負担を軽減するか、除水スピードを調整します。効率も重要ですが、一番の優先事項は安全に透析を終えることです。

無理に高い流量を維持しようとせず、その日の体調に合わせた調整が必要で、身体の声に耳を傾けながら、無理のない範囲で治療を進めていきます。

また、透析前の血圧が低すぎる日は、開始時のQBをあえて低めに設定し、様子を見ながら上げるという工夫も行われます。体調には波があるため、マニュアル通りの設定が常に正解とは限りません。

食事の直後などは血液が消化器に集まるため、一時的に血圧が下がりやすくなり、こうしたタイミングでの急な流量変更は避け、穏やかに調整することが治療の質を保つコツです。

穿刺部位のトラブルと脱血の状態

高いQBを実現するには、針の太さや穿刺位置も関係し、細い針で無理に速いスピードを出そうとすると、針先に強い負荷がかかり、血管を傷める原因になります。

QBに見合った適切なサイズの針を使用することが求められ、針の選択はクリニックの基準によりますが、痛みの強さや脱血の状態をスタッフに伝えておくことが大切です。

また、穿刺位置が不適切だと、透析済みのきれいな血液を再び吸い込んでしまうことがあり、いくらQBを上げても、血液の浄化は一向に進みません。

確実な脱血と返血ができる穿刺技術と、それを支える血管の状態が重要です。自身のシャントを大切に扱い、穿刺のたびに状態を共有することがトラブル回避に繋がります。

針の太さもQBの限界に関わります。太い針は痛みを伴いますが、それによって高いQBを安定して出せるようになり、身体が楽になることもあります。

装置の警告音とその意味の理解

透析中に装置がアラームを発することがありますが、これは安全を守るための大切な機能です。

静脈圧の上昇や回路の折れ曲がりなど、わずかな異常も見逃さずチェックしていて、警告音は安全を確保するためのサインであり、過度に不安がる必要はありません。

スタッフはアラームの内容を確認し、必要に応じて流量を調整したり、回路を修正したりします。自分でもアラームの種類を少しずつ覚えていくと、状況が把握しやすくなります。

腕の角度を少し変えるだけで、脱血圧のアラームが止まることがあり、これは血管の入り口をスムーズに確保できた証拠です。こうした小さな工夫が安定したQBに寄与します。

アラームが鳴った際に「なぜ鳴ったのか」をスタッフに尋ねてみるのも良いでしょう。「針先が壁に当たっていました」という説明を聞けば、次からの注意点が見えてきます。

トラブル防止のためのセルフチェック

  • 透析開始前の血圧が低すぎないか確認する
  • 穿刺部付近に痛みや違和感がないかスタッフに伝える
  • 透析中の気分の変化(吐き気、冷や汗など)を我慢せずに早めに申告する
  • 前日までの体重増加を抑え、急激な除水を避ける
  • 穿刺している方の腕を動かしすぎないように注意する

最新の透析療法と流量設定の動向

透析医療は日々進歩しており、QBやQDの設定思想も変化しています。より多くの老廃物を除去しつつ、身体への優しさを両立させるための新しい試みが、実際の臨床現場で導入され始めています。

オンラインHDFと流量設定の進化

現在、多くの施設で導入されているオンラインHDFは、通常の透析に濾過という工程を加えたもので、大量の置換液を使用するため、QBの設定がさらに重要です。

高いQBを維持できることが、オンラインHDFのメリットを最大限に引き出す条件となり、流量が十分に確保されることで、より高度な浄化が実現されます。

オンラインHDFでは、QDの設定も特殊な役割を持ちます。透析液を置換液として利用するため、QDの一部を血液中に注入する形をとるためです。

これにより、通常の透析では除去しきれない大きな老廃物も効率よく取り除けるようになり、関節痛の予防などに大きな効果を発揮し、多くの患者さんの助けとなっています。

さらに、置換液の量(希釈量)を増やすほど浄化効率は上がりますが、そのためには250ml/min以上の安定したQBが強く推奨されます。QBが低いまま濾過量を増やすと、血液が濃縮しすぎてトラブルの元です。

長時間透析や頻回透析における数値の意味

週3回、4時間の標準的な透析だけでなく、5時間以上の長時間透析を選択する方もいて、あえてQBを低めに設定し、時間をかけてゆっくりと浄化を行うことがあります。

心臓への負担を最小限に抑えつつ、トータルの透析量を確保する戦略です。速さよりも丁寧さを重視した治療法として、高い評価を得ています。

時間をかけることで、細胞の中に隠れている老廃物が血液中に移動してくるのを待つことができ、これは、瞬発的な流量の高さよりも、継続的な清浄化を重視した考え方です。

自分のライフスタイルに合わせて、どのような設定がふさわしいかを医師と相談する機会も増えています。多様な選択肢の中から、自分に合う形を見つけることができます。

また、在宅透析などでの頻回透析(週4〜6回)では、一回あたりの負担を減らすためにQBを150ml/min程度に抑える場合もあり、回数でカバーすることで、トータルの浄化量は非常に高くなります。

自動制御システムによる個別最適化

最新の透析装置には、患者さんの状態を検知し、QBや除水量を自動で調整する機能が備わっているものもあり、常に安全な範囲内で最大限の効率を狙うことが可能です。

体調悪化の兆候があれば即座に安全圏へ戻すといった緻密な管理が行われていて、機械の進化が、治療中の安心感をより強固なものにしてくれます。

技術の進歩は、患者さんが数値の管理に神経を尖らせる負担を減らしてくれます。自分にどのような技術が使われているのかを知ることは、治療への納得感を高めます。

最新設備を活かすためにも、基礎知識としてのQBやQDの理解が非常に役立ち、医療の進化を身近に感じながら、前向きに治療を続けていくことが可能です。

多様な透析スタイルと流量の特徴

透析の種類QB設定の傾向主なメリット
標準的透析200〜250ml/min普及しており安定性が高い
オンラインHDF250ml/min以上大きな老廃物の除去に優れる
長時間透析150〜200ml/min心臓への負担が非常に少ない
在宅自己透析個別に柔軟に設定自由度が高く、生活に合わせやすい

透析センター(人工透析) | 大垣中央病院(医療法人社団豊正会 )

よくある質問

血液流量QBを上げると透析時間が短くなりますか?

QBを上げることで単位時間あたりの浄化効率が高まるため、理論上は同じ浄化量を得るための時間を短縮できる可能性がありますが、透析の目的は単に数値を下げることだけではありません。

細胞内から老廃物が血液に移動してくるには一定の物理的な時間が必要です。QBを上げたからといって安易に透析時間を短縮すると、透析不足を招く恐れがあります。

また、急激な浄化は不均衡症候群といって、脳内の老廃物と血中の老廃物の濃度差が開きすぎてしまい、頭痛や吐き気を引き起こすリスクもあります。

短縮を急ぐよりも、身体が順応できるペースで着実に浄化を進めることが、翌日の体調を良くする秘訣です。

自分のQBが他の人より低いのですが大丈夫でしょうか?

QBの設定値は、患者さん一人ひとりの心機能や血管の状態、体格に合わせて個別に決定されるため、他人と比較する必要はありません。

小柄な方であれば、少ないQBでも十分に血液を浄化できる場合がありますし、心臓への負担を考慮してあえて低めに設定していることもあります。大切なのは、設定されたQBで目標とする透析量が得られているかどうかです。

QDを増やすと電気代や水道代が高くなると聞きましたが本当ですか?

透析液流量QDを増やすと、それだけ多くの透析液を作成する必要があるため、施設側での水道代や電気代などのコストは増加します。

しかし、これらは病院やクリニックの運営上の課題であり、患者さん個人が負担する治療費に直接反映されることは通常ありません。

医療スタッフはコスト面も考慮しつつ、患者さんの治療効果が最大になるような設定を検討しています。自身の治療効率を下げてまで節約を心配する必要はありませんので、安心して治療を受けてください。

透析液の流れる向きは血液と同じ方向ですか?

ダイアライザーの中では、血液と透析液はあえて逆方向に流れるように設計されていて、向流交換方式という名前がついています。

もし同じ方向に流してしまうと、出口に近づくにつれて両者の濃度差が小さくなり、老廃物の移動が効率的に行われません。逆方向に流すことで、常に血液の隣にはよりきれいな透析液が存在する状態を作り出せます。

向流交換方式により、血液がダイアライザーを抜ける最後の瞬間まで、透析液側との濃度差を保つことができ、血液中の老廃物を限界まで絞り出すことが可能になります。

以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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