住み慣れた自宅で最期を迎えるとき、訪問看護師が行うエンゼルケアは、旅立つ方の尊厳を守り、残されたご家族の心を癒やす大切な役割を持ちます。
死後処置としての技術だけでなく、ご家族と一緒にケアを行うことで、悲しみのプロセスを支えるグリーフケアとしての側面も重要です。
この記事では、訪問看護におけるエンゼルケアの詳細な手順やご家族への配慮について解説します。
訪問看護で提供するエンゼルケアの定義と役割
訪問看護におけるエンゼルケアは、逝去した後に施す処置や化粧、身支度のすべてを指します。生活の場である自宅で行うため、その方らしい姿に戻すことが最大の目的です。
旅立つ方の尊厳を保つ外見の整え
亡くなった後の身体は、時間の経過とともに変化を起こすので、訪問看護師は、死後硬直や乾燥、変色などの生理的変化を予測し、処置を施します。
顔立ちを整え、肌に潤いを与え、穏やかな表情を作ることは、生前のその方らしさを取り戻すために必要です。清潔を保つことはもちろん、周囲から見て安らかな眠りについていると感じてもらえる状態を目指します。
身体の清浄化は、感染症の予防という実務的な側面も持ち合わせていて、衛生管理を行いながら、その方の人生を象徴するような清らかな姿へと整えていきます。
死後硬直は通常、顎から始まり、徐々に四肢へと広がっていくので、この変化が固定される前に、看護師は関節の角度を微調整し、安らかな姿勢を保てるよう配慮します。
皮膚の乾燥も大きな課題です。特に唇や目元は乾燥しやすく、表情が険しく見えることもあり、保湿剤を丁寧に塗り込み、生前の潤いを再現します。
自宅でのケアにおける優先事項
| 項目 | 内容 | 留意点 |
|---|---|---|
| 清潔保持 | 全身の清拭 | 皮膚を傷つけない |
| 容貌管理 | 表情の調整 | 穏やかな顔立ち |
| 衣類着脱 | 好みの服へ着替え | 硬直が始まる前に |
ご家族の心の痛みを和らげるグリーフケア
エンゼルケアはご家族にとっても、大切な方の死を受け入れるための準備期間です。看護師が一方的に処置を進めるのではなく、ご家族に声をかけます。
可能な範囲でケアに参加してもらうことが重要で、一緒に身体を拭いたり、お気に入りの服を選んだりする時間は、言葉にできない悲しみを共有する機会です。
感謝を伝える貴重な場を作ることで、残された方々の心に区切りをつけ、この関わりが、その後の生活において前を向くための力に変わります。
看護師はご家族の表情や反応を細かく観察し、無理のない範囲で参加を促し、思い出話をしながら手を動かすことで、自然な形での惜別を支援します。
長年の介護生活を送ってきたご家族にとって、最後のケアは「やりきった」という実感を得るための儀式でもあり、看護師はその感情を温かく受け止めます。
生活の場に即した柔軟な対応
病院の規程に縛られることなく、自宅ならではの希望を叶えるのが訪問看護の強みです。愛用していた寝具を使い続けたり、好きだった香りを漂わせたりします。
日常の延長線上にあるお別れを演出することで、穏やかな空気が流れ、看護師はご家族の意向を丁寧に聞き取り、伝統的な習慣と衛生管理のバランスを取ることが大切です。
ご家庭にとって意味のあるケアを組み立てる専門性が求められ、形式的な処置に終わらせず、その家独自の文化や価値観を大切にした時間を作ります。
住み慣れた環境だからこそ、リラックスした雰囲気の中で最期を彩ることができ、看護師は黒子として、静かに、確実にご家族の想いを形にします。
例えば、晩酌が楽しみだった方には、最後に唇に少量のお酒を湿らせることもあります。病院では難しいこうした細やかな願いを、看護師は柔軟に受け入れることが可能です。
生活のにおいや思い出の詰まった部屋で行うケアは、故人にとってもご家族にとっても、最も心地よい形での旅立ちとなり、その環境を看護師が支えます。
逝去直後からケア開始までの流れ
主治医による死亡確認が行われた後、訪問看護師は速やかにエンゼルケアの準備に入り、まずはご家族の動揺を受け止め、落ち着いてお別れができる状況を作ることが先決です。ケアを始める前には手順を説明し、同意を得る必要があります。
主治医との連携と死亡診断の確認
自宅での看取りでは、看護師が立ち会う場合もあれば、ご家族からの連絡で駆けつける場合もあり、主治医による死亡診断が完了していることを確認します。
診断が済まなければ、どのような処置も開始できません。死亡診断書の発行がスムーズに行われるよう、看護師は医師に経過を報告し、必要な書類の準備をサポートします。
法的および医学的な確認が済んで初めて、身体のケアへと移行し、待ち時間は、ご家族が故人と静かに対面するための大切な時間としても機能します。
看護師は状況を整理し、次に何をすべきかを提示し、また、医師との円滑な連携が、ご家族の不安を取り除く第一歩です。
ケア準備の確認事項
| 準備品 | 使用目的 | 備考 |
|---|---|---|
| 温湯とタオル | 全身の清拭用 | 肌に優しい素材 |
| 保湿剤・綿棒 | 各部位の保護 | 乾燥を防ぐため |
| 詰め綿・包帯 | 漏出防止 | 状況に応じて使用 |
ご家族への配慮と説明
大切な人を失った直後のご家族は、深い悲しみの中にいるので、看護師は静かに寄り添い、これから行うエンゼルケアの意味と内容を伝えます。
無理に何かを決めていただくのではなく、選択肢を提示し、ケアを自分たちの手でしたいか、看護師に任せたいか、意思を尊重します。
落ち着ける場所を確保し、水分を促すなどの細やかな配慮も欠かせません。ご家族の心身の疲労を考慮し、休息のタイミングを見計らうことも看護師の職務です。
悲しみの中にあっても、ご家族が主体性を持って故人を送り出せるよう導き、言葉を選び寄り添う姿勢を示すことで、信頼関係を再確認します。
ご家族の動揺が激しい場合は、ケアを急がず、まずは一緒に座って呼吸を整える時間を持ちます。
備品と環境の整備
ケアを始める前に、必要な物品を整え、プライバシーを守るための環境を作り、自宅にあるタオルや洗面器、お湯などを拝借しつつ、ケアセットを展開します。
室温の調整は遺体の保存状態に直結するため、冷房を強めるなどの対策を講じ、お別れに集まる親族の動線を考え、家具の配置を少し変える工夫も大切です。
空間全体を葬儀や安置に適した形に整えていくことで、厳かな雰囲気が醸成されます。物理的な準備を整えることは、心の準備を整えることにも繋がります。
使用する物品の配置を工夫し、ケアが滞りなく進むようにし、ご家族の負担にならない範囲で、必要な協力をお願いしながら環境を構築します。
身体の清潔と死後処置の実際
エンゼルケアの中心となるのが、全身の清拭と医療器具の抜去、排泄物などの漏出防止処置で、衛生面での安全を確保するだけでなく、遺体の腐敗を遅らせる効果もあります。
全身清拭とスキントラブルへの対処
闘病生活で負担がかかった皮膚を、温かいタオルで丁寧に拭き上げ、床ずれや傷がある場合は、洗浄した後に保護剤を用いて外見を整えます。
死後は肌の弾力が失われやすいため、摩擦を避けるように優しく扱う技術が必要です。
温かな触れ合いを促すために、皮膚の質感や温度にも気を配ります。清潔な身体は、旅立つ方の品位を保つために欠かせない要素です。
細部まで注意を払い、汚れを完全に取り除き、清拭が終わった後の身体は、驚くほど穏やかで清らかな印象をご家族に与えます。
末期癌などで痩せてしまった身体を拭くときは、骨の突出部分を傷つけないよう注意します。
「お疲れ様でした」「ゆっくりお風呂に入っているみたいですね」といった声掛けをしながら進めることで、清拭が単なる作業ではなく、癒しの儀式になります。
ケアにおける配慮事項
- 身体の露出を最小限に抑えながら、素早く丁寧な清拭を心がけます
- 浮腫がある部位は体液が漏れやすいため、特に優しく扱い保護します
- 指先や足の先など、末梢の汚れも丁寧に取り除き、血色を整えます
医療器具の抜去と穿刺部位の保護
点滴の針やカテーテル、胃瘻などの医療器具は、医師の指示に基づき慎重に抜去し、抜去した後の部位からは体液が漏れやすいため、圧迫止血を確実に行います。
目立たないパッチやテープで保護し、不自然な傷跡を残さないよう細心の注意を払います。病院での処置よりも時間がかかる場合もありますが、丁寧さが重要です。
チューブ類から解放された身体は、ご家族の目にも本来の自由を取り戻したように映り、器具を外す作業一つひとつに、労いの気持ちを込めます。
医療の痕跡を消していく際は、傷跡が目立たないよう、最大限の工夫を凝らします。抜去後は皮下出血が起こりやすいため、しっかりと圧迫し、必要であれば止血剤を併用します。
長い間鼻からチューブを入れていた方の鼻腔を整えたり、腹部の胃瘻の跡を塞いだりする処置は、その方が自由になったことを象徴する重要なステップです。
漏出防止処置と詰め綿の判断
口、鼻、耳、肛門などからの体液漏出を防ぐため、必要に応じて高分子吸収材や綿を使用しますが、自然な外見を優先し、状況に合わせて最小限にとどめます。
顔回りの詰め綿は表情を変えてしまうため、吸収シートを活用するなどの工夫が求められ、外見の自然さと、衛生的な管理を両立させる判断力が必要です。
処置を行った後は、その部分が目立たないか何度も確認し、ご家族が安心して寄り添えるよう、清潔で安定した状態を保ちます。
詰め綿をする際も、ご家族には「体液が漏れないように整えますね」と目的を説明します。
外見を整える整容と更衣の技術
身体の内部処置が終わった後は、その方らしい姿に戻すための整容を行い、髪を整え、ひげを剃り、ご家族が選んだ服に着替えさせます。訪問看護でのエンゼルケアは、生前の趣味やこだわりを最も反映できる場面です。
衣類の選択と着替えの工夫
死後硬直が始まる前に、希望の衣類への着替えを済ませますが、着物、スーツ、あるいは普段好んでいたパジャマなど、ご家族の想いを優先します。
関節が硬くなり始めている場合は、無理な力を加えずに衣類をカットしたり、着せやすい方法を選択したりし、手際よく着せ替えます。
お気に入りの服をまとうことは、その方の個性を表現する行為です。看護師は服のしわを伸ばし、最も美しい状態で見送れるよう尽力します。
「この服はお父さんの自慢でしたね」と、衣類にまつわるエピソードをご家族から引き出し、場の雰囲気を温かく保ちながら作業を進めます。
整容の役割
| 項目 | 目的 | 配慮点 |
|---|---|---|
| 更衣 | 社会的な姿の復元 | その人らしさを尊重 |
| 整髪 | 清潔感の創出 | 生前の髪型を再現 |
| メイク | 血色の改善 | 自然な仕上がりを重視 |
髪型と顔立ちのケア
髪を洗い、ブラシで整えることで、清潔感と品位を高めます。男性の場合はひげを剃り、女性の場合は産毛を整えるなど、普段の身だしなみに近づけます。
眉の形を整えたり、開いた口を自然に閉じたりする微調整が、表情の印象を大きく変え、整髪料を使用したり、お気に入りのヘアアクセサリーをつけたりすることも、ご家族には喜ばれます。
髪の毛にドライシャンプーを使用したり、温タオルで蒸らしたりして、汚れを落とします。
エンゼルメイクの役割と手法
死後の肌は蒼白になったり、黄疸が出たりすることがあるので、健康的な血色を再現するために専用の化粧品を使用します。
頬や唇に薄く色を差すだけで、病的な印象が消え、穏やかな眠りの表情になります。メイクはご家族にも参加してもらいやすい工程です。
自然な仕上がりを目指し、光の当たり方を考慮し、ファンデーションは、死後特有の変色をカバーできる専用のものを選びます。耳たぶにも少し赤みを差すことで、血が通っているような温かみが生まれます。
安置環境の整備と葬儀社への引き継ぎ
ケアが終了した後は、遺体を適切な場所に安置し、ご家族が最期の時間を過ごせる環境を整えます。枕飾りの準備やドライアイスの配置、室温管理など、遺体の状態を維持するためのアドバイスも看護師の役目です。
安置場所の設定と室温の管理
遺体を安置する部屋は、直射日光を避け、風通しの良い場所を選びます。夏場は特に注意が必要で、冷房を最強設定にするようご家族に伝えます。
布団の敷き方や、お顔にかける白い布の扱いなど、マナーに基づいたアドバイスを行い、保冷剤が届くまでの間、冷却を維持するための方法を教えます。
遺体の変化を最小限に食い止める責任を持ち、室内の温度だけでなく、湿度や照明の明るさにも配慮し、静謐な空間を保ちます。
安置環境の良し悪しが、その後の対面の時間を左右するので、看護師は衛生管理の専門家として、指示を出します。
特に腹部を重点的に冷却することが、腐敗を防ぐ鍵となり、ご自宅にある保冷剤や氷を使い、適切な位置に配置する方法をご家族に実演して教えます。
「室温は18度以下が理想です」と具体的な数字を示し、ご家族が寒くならないよう、隣の部屋で過ごすなどの生活上の工夫も提案します。
環境整備のポイント
- 直射日光を遮るためにカーテンを閉め、冷気が逃げないようにします
- 遺体の近くにストーブやヒーターがある場合は、直ちに移動させます
- お顔が見えやすいよう、安置場所の照明を柔らかい暖色系に調整します
枕飾りの準備と宗教的配慮
宗派や地域の慣習に合わせた枕飾りの設営をサポートし、線香、ろうそく、花、水など、必要なものを一緒に準備します。
特定の宗教的なこだわりがある場合は、儀礼を尊重し、お手伝いを申し出ます。伝統的なしきたりに従うことは、ご家族にとって一つの区切りとなります。
心の整理をつける助けになる儀式を、看護師も静かに見守り支援し、地域の習慣に詳しい看護師がいれば、ご家族の不安をより早く解消することが可能です。
形式を整えることで、家全体に喪に服す実感が生まれ、その実感が、無理のないお別れの第一歩として機能していきます。
特定の習慣がある地域では、その準備についてご家族に尋ね、必要であればサポートします。こうした小さな儀式が心を繋ぐことになります。
四十九日までの供養についても簡単に触れ、これからの流れをイメージできるようにし、ご家族が戸惑わないよう、情報提供を行うことも大切なステップです。
葬儀社への専門的な引き継ぎ
葬儀社の担当者が到着したら、看護師としての視点から情報を共有し、皮膚の状態、出血や体液漏出の有無、医療処置の跡を伝えます。
感染症の有無なども含め、葬儀社側でのさらなる防腐処置やメイクが適切に行われるよう協力し、プロ同士の連携によって、安心な体制を構築します。
ご家族が最後まで信頼して任せられるよう、バトンを繋ぐ意識を持ち、看護師が立ち会うことで、専門的な内容の伝達ミスを防ぐことが重要です。
葬儀社の担当者に対しても、情報を正確に提供し、引き継ぎが完了して初めて、訪問看護師の現場での役割が一段落します。
もし体液が漏れやすい部位があれば、葬儀社に重点的なケアをお願いし、また、ご家族が特にこだわっていた整容のポイントも伝達します。
葬儀社の到着まで時間がかかる場合は、看護師がその間、ご家族に寄り添い続け、一人きりにしないという配慮が、大切です。
看取り後のご家族への継続的な関わり
エンゼルケアが終わった後も、訪問看護師の仕事は完全に終わるわけではなく、これから直面する喪失感や、手続きの忙しさに備えるアドバイスを行います。後日死亡後訪問を行い、ご家族の健康状態や心のケアを継続することもあります。
ケア直後の声掛けと精神的サポート
エンゼルケアを終え、葬儀社に引き渡すまでの時間は、看護師がご家族と深く対話できる場面です。故人がどれだけ大切にされていたかを言葉にします。
お別れを前向きに捉えるための言葉を贈りmご家族が尽くされた日々を肯定し、努力を称えることで、心の重荷を少しだけ軽くします。
静かに耳を傾け、溢れ出す想いを受け止め、短い時間であっても、この対話がのちに思い出になることもあります。
「本当によく頑張られましたね」「お父様も感謝されていますよ」という言葉は、介護という長い戦いを終えたご家族にとって、最高のねぎらいです。
家族へのサポートの種類
| 支援の種類 | 内容 | 実施時期 |
|---|---|---|
| 精神的支援 | ねぎらいの言葉掛け | 逝去直後 |
| 情報提供 | 手続きの案内 | ケア終了後 |
| 継続支援 | グリーフ訪問・連絡 | 数週間〜数ヶ月後 |
実務的な手続きへのアドバイス
葬儀の準備や役所への届け出など、これから始まる実務について、優先順位を示し、混乱しているご家族のために、情報を整理して伝えます。
メモを残したり、パンフレットを渡したりし、ご家族自身の体調不良についても注意を促し、睡眠や食事の確保を強く勧めます。
具体的な助言は、不安を軽減させる実用的なケアとなり、何から手をつけてよいか分からない状況で、道標を示すことが看護師の優しさです。
親族への連絡のタイミングや、葬儀の打ち合わせでの注意点なども伝えます。経験豊富な看護師のアドバイスは、ご家族にとって大きな支えとなります。
死亡届の提出期限や、介護保険証の返却など、具体的な事務手続きの一覧を渡し、また、相続関係の相談が必要な場合の窓口なども教えます。
ご家族に、一つずつ順番に進めれば大丈夫であることを伝え、混乱を整理する手助けを、看護師が最後に行います。
グリーフケアとしての再訪問
数週間から一ヶ月ほど経った頃、状況を確認するために再訪問したりします。この時期は、孤独感が押し寄せるタイミングです。
看護師として、最期の様子を一緒に振り返ることで、ご家族の心の整理を促します。訪問看護の役割は、生命の終わりだけでなく、残された生命の再生を支援することにもあり、温かい関係性を維持し、孤立させない工夫をします。
ご家族が新しい日常を歩み始めているかを確認し、何か困りごとがあれば相談に乗るなど、支援を継続することが大事です。
初七日や四十九日の節目に合わせて連絡を取ることもあります。ご家族が悲しみを語れる場を継続的に持つことが、回復への鍵となります。
Q&A
訪問看護におけるエンゼルケアについて、多く寄せられる質問にお答えします。
- エンゼルケアにかかる時間はどのくらいですか?
-
身体の状態やご家族の希望によって変わりますが、一般的には1時間から1時間半程度を見込んでおくとよいでしょう。全身の清拭、医療器具の処置、お着替え、メイクといった一連の流れを丁寧に行うために必要な時間です。
ご家族が一緒にケアに参加される場合や、思い出話をしながらゆっくり進める場合は、2時間近くかかることもあります。看護師はご家族のペースを尊重しつつ、身体の変化が始まらないよう適切な速度で進めます。
また、特別な着付けが必要な場合や、広範囲の処置が必要な場合は、さらに時間がかかることも想定されます。看護師は事前に「これくらいのお時間をいただきます」と目安を伝え、ご家族を待たせすぎないよう調整します。
- 自宅にあるもので用意しておくべきものはありますか?
-
看護師が専用のキットを持参しますが、ご自宅にあるものを使わせていただけると、よりその方らしいケアになります。具体的には、お顔を拭くための新しいタオル数枚、洗面器、お湯、石鹸などです。
また、着替えさせたいお洋服や、愛用していた化粧品、ブラシなどがあれば、あらかじめ出しておいていただけるとスムーズです。
何を準備すればよいか迷う場合は、看護師が駆けつけた際にご相談いただければ、適宜アドバイスします。
故人が大切にしていた香水や、愛用していたヘアアクセサリーなどがあれば、ぜひ教えてください。生活の場にある馴染みのある品々を使うことで、より安らかな空間が作られます。
- 感染症がある場合でも自宅でケアできますか?
-
感染症がある場合でも、防護策を講じれば自宅でエンゼルケアを行うことは可能です。訪問看護師は、標準予防策に基づき、手袋やガウン、マスクなどを着用して処置にあたります。
感染の拡大を防ぐための処置を施した上で、ご家族が安全にお別れできるよう配慮します。ただし、体液への接触を避けるなど、ご家族にもいくつか注意点をお願いすることがあります。
状況に合わせて安全な方法を提案しますので、看護師に安心してお任せください。
結核などの飛沫感染の恐れがある場合は、処置中のみ一時的に部屋を離れていただくこともあります。安全を第一に考え、ご家族が安心して触れ合えるタイミングを見極めます。
- お別れに集まる親戚が来るまでケアを待ってもらえますか?
-
基本的には死亡確認後、なるべく早い段階でケアを始めることが推奨されます。これは、時間の経過とともに身体の硬直が進み、着替えや整容が難しくなるためです。
ただし、どうしても立ち会いたいご親族がいる場合は、到着を待ってから開始することも検討できます。
看護師は遺体の変化の状況を観察しながら、いつまで待てるかを判断します。ご家族の希望を伺い、最大限尊重したスケジュールを組み立てますので、まずは率直な思いをお聞かせください。
もし到着が大幅に遅れる場合は、先に最低限の衛生処置だけを済ませ、お着替えやメイクをご親族の到着に合わせて行うといった二段階のケアも可能です。
以上
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