なぜ大人のとびひは治りにくい？長引く原因と正しい治療法を解説

とびひは子供だけの病気ではありません。大人が発症すると、原因菌の違いや基礎疾患の影響により、治りにくく重症化しやすい傾向があります。

ただの皮膚トラブルと放置していると、全身に広がるだけでなく、腎臓への負担など内臓疾患を起こすリスクも潜んでいます。大人のとびひが長引くのには明確な理由があり、原因に基づいた正しい治療選択が重要です。

本記事では、大人のとびひが治らない理由、早期回復のために必要な治療法や生活上の注意点を詳しく解説します。

大人と子供のとびひの違いと特徴的な症状

とびひは正式名称を伝染性膿痂疹と呼び、黄色ブドウ球菌や溶連菌などの細菌が皮膚に感染することで発症します。

子供の病気というイメージが強いですが、大人でも免疫力の低下や皮膚のバリア機能の乱れによって発症することは珍しくありません。大人の場合、子供とは異なる経過をたどることが多く、安易な自己判断が悪化を招く大きな要因となります。

皮膚症状の現れ方と重症化リスク

子供のとびひは、水ぶくれができる水疱性膿痂疹が一般的ですが、大人の場合は厚いかさぶたを伴う痂皮性膿痂疹が多く見られます。痂皮性膿痂疹は、皮膚の深い部分まで炎症が及ぶことがあり、発赤や腫れ、強い痛みを伴うのが特徴です。

また、大人の皮膚は子供に比べて厚みがあるため、一度細菌が入り込んで定着してしまうと、外用薬だけでは薬剤が浸透しにくく、菌を完全に排除するのに時間がかかります。

さらに、大人は社会生活の中で無理をしてしまいがちであり、休息不足から免疫力が上がらず、炎症が慢性化しやすいです。重症化すると、リンパ節が腫れたり、発熱や全身のだるさを伴うこともあり、全身管理が必要になるケースも出てきます。

大人と子供のとびひ比較

比較項目	大人の特徴	子供の特徴
主な症状	厚いかさぶた、痛み、発赤	破れやすい水ぶくれ、痒み
原因菌	溶連菌、黄色ブドウ球菌	主に黄色ブドウ球菌
治癒期間	長引きやすく数週間かかる	比較的早く治ることが多い

原因となる細菌の違い

子供のとびひの多くは黄色ブドウ球菌が原因ですが、大人の痂皮性膿痂疹ではA群β溶血性連鎖球菌（溶連菌）が関与している割合が高くなります。

溶連菌は組織を破壊する力が強く、皮膚の表面だけでなく真皮層に近い部分までダメージを与えることがあります。この菌の違いが、大人のとびひが痛みを伴いやすく、かつ治りにくい大きな理由の一つです。

また、近年では耐性菌の問題も深刻化しており、一般的な抗生物質が効かないMRSA（メチシリン耐性黄色ブドウ球菌）が原因となっているケースも増えています。

原因菌を特定せずに市販薬や手持ちの薬を使用しても効果が得られないばかりか、耐性菌を増やしてしまうリスクがあるため、医療機関での検査が必要です。

合併症への警戒が必要

大人のとびひにおいて最も注意が必要なのは、皮膚症状以外の合併症です。特に溶連菌が原因の場合、感染後数週間経ってから急性糸球体腎炎という腎臓の病気を起こすことがあります。

これは細菌に対する免疫反応が腎臓のフィルター機能に影響を与えるもので、血尿やむくみ、高血圧などの症状が現れ、皮膚の症状が落ち着いたからといって油断はできません。

また、細菌が血液中に入り込むと敗血症という命に関わる状態になるリスクもあり、大人のとびひは単なる皮膚病ではなく、全身の健康に関わる感染症であるという認識を持つことが大切です。

治らない理由としての耐性菌と治療薬の選択

皮膚科を受診して薬を塗っているのに、なかなか良くならない、あるいは一度良くなってもすぐに再発する。こうした悩みを抱える患者さんは少なくありません。

大人のとびひが難治化する背景には、細菌側の変化と治療薬のマッチングの問題が潜んでいます。漫然と同じ薬を使い続けることは、症状を長引かせるだけでなく、治療の選択肢を狭めてしまうことにもつながります。

MRSAなどの薬剤耐性菌の存在

抗生物質が効きにくい耐性菌の出現は、現代医療における大きな課題ですが、とびひの治療においても例外ではありません。

MRSA（メチシリン耐性黄色ブドウ球菌）は、多くの抗生物質に対して抵抗力を持っており、一般的な治療薬であるセフェム系やペニシリン系の抗生物質が効かないことがあります。

過去に抗生物質を頻繁に使用していたり、アトピー性皮膚炎などで長期的に皮膚科治療を受けていたりする患者さんの皮膚には、耐性菌が定着している可能性があります。

通常の治療で改善が見られない場合は、細菌培養検査を行い、どの抗生物質が効くのかを調べる感受性検査を行うことが回復への近道です。

外用薬と内服薬の使い分けの重要性

とびひの治療では、塗り薬（外用薬）と飲み薬（内服薬）の併用が基本となりますが、選択と使い方が治療期間を左右します。

軽度であれば外用薬のみで対応できることもありますが、大人のとびひは皮膚の深部まで炎症が及んでいることが多いため、内服薬による全身的なアプローチが必要です。

患者さんの中には副作用を懸念して内服薬を自己判断で中断してしまったり、塗り薬だけで治そうとしたりする方がいますが、これでは菌を完全に叩くことができず、残った菌が再び増殖してしまいます。

医師の指示通りに、決められた期間しっかり薬を使い切ることが、耐性菌を作らせず確実に治すためには重要です。

使用される主な薬剤の種類

薬剤分類	期待される効果	使用時の注意点
外用抗生物質	患部の細菌を直接殺菌する	かさぶたの上からではなく除去して塗る
内服抗生物質	体内から菌の増殖を抑える	症状が消えても飲み切る必要がある
抗ヒスタミン薬	痒みを抑え掻き壊しを防ぐ	眠気が出る場合があるため運転注意

ステロイド外用薬の誤った使用

湿疹や皮膚炎の治療によく使われるステロイド外用薬ですが、とびひの初期段階で使用することには慎重な判断が必要です。

ステロイドには強力な抗炎症作用がある一方で、皮膚の免疫反応を抑える働きもあるため、細菌が繁殖している状態でステロイド単独の塗り薬を使用すると、細菌の勢いを助長してしまい、症状が一気に悪化することがあります。

自己判断で手持ちのステロイド軟膏を塗って悪化させてから来院される患者さんは非常に多いです。ただし、痒みが強すぎて掻き壊してしまう場合には、抗生物質とステロイドを組み合わせることもあります。

このような判断は非常に難しいため、専門医の診断に従うことが大切です。

基礎疾患と生活習慣が治癒を遅らせる要因

薬の選び方が正しくても、受け入れる患者さんの体の状態が整っていなければ、治療効果は十分に発揮されません。大人のとびひが長引く原因の多くは、皮膚そのものではなく、背景にある基礎疾患や日々の生活習慣に隠されていることがあります。

アトピー性皮膚炎との深い関係

大人のとびひ患者さんの多くに、アトピー性皮膚炎の既往や素因が見られます。アトピー性皮膚炎の皮膚は、本来備わっているバリア機能が低下しており、細菌が侵入しやすい状態です。

また、慢性的な痒みによる掻破（ひっかき）行動が、皮膚に微細な傷を作り、細菌の入り口となります。

アトピー性皮膚炎の方は、健康な皮膚の方に比べて黄色ブドウ球菌の保菌率が高いというデータもあり、基礎にあるアトピー性皮膚炎のコントロールが不良のままだと、とびひを繰り返す難治性の状態に陥りやすくなります。

この場合、とびひの治療と並行して、アトピー性皮膚炎に対するスキンケアや炎症抑制治療を行うことが必要です。

糖尿病などの免疫力を下げる疾患

糖尿病などの代謝性疾患を持っている場合も、とびひは治りにくくなります。

高血糖状態が続くと、白血球の機能が低下し、細菌と戦う免疫力が弱まり、さらに、糖分を多く含んだ血液や組織液は細菌にとって格好の栄養源となるため、菌の増殖スピードが速くなります。

糖尿病の患者さんがとびひにかかると、急速に範囲が広がったり、潰瘍化して深い傷になったりするリスクが高いです。

皮膚の症状だからといって皮膚科の治療だけに専念するのではなく、内科的な血糖コントロールを厳格に行うことが、皮膚の治癒を早めることにつながります。ご自身の健康診断の結果を見直し、血糖値に異常がないか確認することも大切です。

ストレスと睡眠不足による免疫低下

現代社会において避けて通れないストレスや睡眠不足も、皮膚の治癒能力に直結します。

睡眠中は成長ホルモンが分泌され、ダメージを受けた皮膚組織の修復が行われますが、睡眠時間が短かったり質が悪かったりすると、修復作業が追いつきません。

また、過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、血流を悪くして皮膚への栄養供給を阻害します。

忙しいからといって休息を後回しにしていると、薬の効果が出にくくなるばかりか、再発を繰り返す悪循環に陥ります。治療期間中は、意識的に睡眠時間を確保し、リラックスできる時間を持つことが、薬と同じくらい重要な治療の一環です。

治癒を遅らせる生活習慣リスト

• 睡眠時間が6時間未満で不規則な生活
• 偏った食事によるビタミンやミネラルの不足
• 過度なアルコール摂取による肝機能の負担
• 入浴をシャワーだけで済ませ体を温めない
• ストレス発散ができておらず常に緊張状態

正しい患部の処置と洗浄方法

病院で処方された薬を使うことと同じくらい、自宅でのスキンケアは重要ですが、「清潔にしなければ」という思いが強すぎて、洗いすぎたり、消毒しすぎたりして、かえって皮膚を傷つけている患者さんが見受けられます。

とびひの患部は非常にデリケートであり、正しい洗い方と処置を知らなければ、細菌を広げてしまうことさえあります。

石鹸の選び方と泡洗顔の徹底

患部を洗う際は、洗浄力の強すぎる石鹸や、スクラブ入りのものは避ける必要があり、弱酸性や敏感肌用の低刺激な石鹸を選び、しっかりと泡立てることが大切です。

手で直接患部をこするのではなく、泡のクッションを利用して、泡を転がすように優しく洗います。かさぶたを無理に剥がそうとしてゴシゴシ洗うのは厳禁です。

かさぶたの下では新しい皮膚が作られていますが、無理に剥がすとその再生組織まで傷つけ、治りを遅くしてしまいます。泡で包み込むようにして汚れや滲出液（ジュクジュクした液）を浮かせ、ぬるま湯で十分に洗い流すのが基本です。

熱いお湯は痒みを増強させるため、体温より少し低めの温度設定が推奨されます。

シャワーと入浴の注意点

とびひがある時の入浴については、湯船に浸かることは避けてシャワー浴にすることが望ましいです。湯船のお湯を介して、家族に感染させてしまったり、自身の他の部位に菌を広げてしまったりする可能性があるからです。

どうしても湯船に浸かりたい場合は、家族が全員入り終わった後に入るか、入浴後にお湯を抜いて浴槽を掃除する必要があります。

また、タオルは共用せず、使い捨てのペーパータオルを使用するか、個人専用のタオルを用意し、使用後はすぐに洗濯・乾燥させることが大切です。

湿ったタオルは細菌の温床となるため、一度使ったら必ず交換するという徹底した管理が求められます。

入浴時の重要チェックポイント

行動	推奨される方法	避けるべき行動
洗浄方法	たっぷりの泡で優しく撫で洗い	ナイロンタオルで擦り洗い
湯温設定	38度〜39度のぬるめのお湯	42度以上の熱いお湯
入浴順序	家族の最後に入るかシャワーのみ	一番風呂や子供との一緒の入浴

ガーゼと被覆材の適切な使用

患部を保護するためにガーゼを当てることは有効ですが、交換頻度と方法には注意が必要です。滲出液がガーゼに染み込んだまま長時間放置すると、細菌の培養地のようになり、症状が悪化します。

滲出液が多い場合は、こまめにガーゼを交換し、常に清潔な状態を保つことが重要です。

また、最近では湿潤療法（モイストヒーリング）用の被覆材も市販されていますが、感染を起こしているとびひの患部に密閉性の高い被覆材を使用すると、菌を閉じ込めてしまい、感染爆発を起こす危険があります。

自己判断で密閉療法を行うことは避け、通気性の良いガーゼを使用するか、医師に指定された処置方法を守ることが大切です。

再発を防ぐための環境整備と感染対策

とびひがようやく治まったと思っても、身の回りの環境に細菌が残っていると、すぐに再発してしまうことがあります。また、自分だけでなく家族やパートナーにうつしてしまうことも避けなければなりません。

治療は、自分の皮膚だけでなく、生活環境全体を清潔に整えることまで含めて完結します。大人は行動範囲が広く、様々な場所で菌に触れる機会があるため、意識的な環境整備が必要です。

衣類や寝具の洗濯と管理

直接肌に触れる衣類やシーツ、枕カバーなどは、毎日交換し洗濯することが基本で、通常の洗濯洗剤で洗えば問題ありませんが、汚れがひどい場合や滲出液が付着している場合は、酸素系漂白剤などを併用するとより効果的です。

また、洗濯物を部屋干しにして生乾きの状態が続くと、雑菌が繁殖しやすくなります。天日干しで紫外線による殺菌効果を期待するか、乾燥機を使ってしっかりと乾かすことが大切です。

特に枕カバーは顔周りのとびひの原因になりやすいため、毎日清潔なものに取り替えるよう心がけましょう。

爪の手入れと手指衛生

とびひの拡大や再発の最大の原因は手、です。痒みを感じて無意識に患部を触り、その手で他の部位を触ることで感染が広がっていきます。これを防ぐためには、爪を短く切り揃え、爪の間まで清潔に保つことが非常に重要です。

爪が長いと、皮膚を傷つけやすく、爪の間に細菌が溜まりやすくなります。また、こまめな手洗いやアルコール消毒も有効です。

患部の処置をした後や、外出から帰った後は、石鹸を使って指の間や手首まで丁寧に洗う習慣をつけることが、自分自身を守ることにつながります。

家庭内で共有を避けるべきもの

• バスタオルやフェイスタオル
• 爪切りや毛抜きなどの衛生用品
• 寝具（特に枕やシーツ）
• 洗面器や入浴用の椅子
• 衣類（洗濯前のもの）

鼻腔内の細菌コントロール

意外に知られていませんが、とびひの原因菌である黄色ブドウ球菌は、健康な人の鼻の穴の入り口付近にも常在しています。鼻をほじる癖や、頻繁に鼻を触る癖がある人は、鼻腔内の菌を指につけて皮膚に運んでしまっている可能性があります。

再発を繰り返す場合、鼻腔内の除菌が必要になることもあります。無意識に顔を触る癖がないか見直し、鼻炎や花粉症がある場合は治療も合わせて行うことで、鼻周りを触る回数を減らすことができます。

鼻の入り口に抗生物質の軟膏を塗布する治療法が行われることもありますので、再発に悩む場合は医師に相談してみるのも一つの方法です。

食事療法と免疫力アップのアプローチ

皮膚を作る材料は、食べたものから作られていてます。薬で菌を殺すことはできても、傷ついた皮膚を修復し、バリア機能を高めるのは栄養の力です。偏った食生活は皮膚の再生を遅らせ、感染症に対する抵抗力を弱めてしまいます。

特定の食品を食べればすぐに治るという魔法のようなものはありませんが、回復をサポートする栄養素を積極的に摂ることは、治療の土台作りとして非常に有効です。

皮膚再生を助ける栄養素

皮膚の主成分であるタンパク質は、新しい皮膚を作るために欠かせない材料で、肉、魚、大豆製品、卵などをバランスよく摂取することが基本です。

また、皮膚や粘膜の健康維持に関わるビタミンA（βカロテン）、コラーゲンの生成を助けるビタミンC、細胞の再生を促す亜鉛なども積極的に摂りたい栄養素で、ビタミンB群は、脂質の代謝を助け、皮膚の炎症を抑える働きがあります。

栄養素をサプリメントだけに頼るのではなく、日々の食事から摂取することで、吸収率が高まり、体全体の調子を整えることにつながります。

積極的に摂取したい食材

栄養素	主な働き	多く含む食材
タンパク質	皮膚細胞の原料となる	鶏肉、魚、納豆、卵
ビタミンB群	皮膚の代謝を促す	豚肉、玄米、カツオ
亜鉛	新しい細胞を作る	牡蠣、牛肉、レバー

糖質とアルコールの制限

甘いお菓子や清涼飲料水、炭水化物の摂りすぎは、血糖値を急上昇させ、炎症を悪化させる要因となります。過剰な糖分は、体内のタンパク質と結びついてAGEs（終末糖化産物）を作り出し、これが皮膚の老化や炎症の慢性化を招きます。

また、アルコールは血管を拡張させて痒みを増強させるだけでなく、肝臓に負担をかけることで解毒作用や栄養の代謝機能を低下させます。

とびひの治療中は、できるだけアルコールを控え、糖質の過剰摂取にも注意することが、早期回復への近道です。辛い香辛料などの刺激物も、血行を良くしすぎて痒みを起こすことがあるため、控えましょう。

腸内環境と皮膚の関係

「肌は腸の鏡」と言われるほど、腸内環境と皮膚の状態は密接に関係しています。腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が増えると、有害物質が発生し、血液に乗って全身を巡り、皮膚トラブルを起こします。

反して、善玉菌が優勢な状態であれば、免疫機能が正常に働き、感染症に対する抵抗力も高まります。

発酵食品（ヨーグルト、納豆、漬物など）や食物繊維（野菜、海藻、きのこ類）を意識して摂取し、腸内環境を整えることは、遠回りのようでいて、皮膚の健康を取り戻すための確実な方法です。

便秘がちな人は、まずその解消に取り組むことも、とびひ治療の一助となります。

自己判断による治療中断の危険性

治療を開始して数日が経ち、皮膚のジュクジュクが乾いてきたり、痛みが和らいできたりすると、「もう治った」と判断して通院や服薬をやめてしまう患者さんがいますが、最も危険な落とし穴です。

表面上はきれいに見えても、皮膚の奥深くに細菌が潜んでいる場合があり、完全に死滅していない状態で治療を止めると、生き残った強い菌が再び増殖を始めます。

見かけの治癒と細菌学的治癒の違い

症状が消える臨床的治癒と、原因菌が完全にいなくなる細菌学的治癒にはタイムラグがあります。医師が処方する抗生物質の期間は、細菌学的治癒までを見越して設定されています。

「5日間飲みきってください」と言われた場合、3日目で症状がなくなっても、残りの2日間分を飲み切ることが大切です。

中途半端な服用は、耐性菌を生み出す温床となり、将来的に自分が感染症にかかった時に使える薬がなくなってしまうという深刻な事態を招きかねません。

医師が「治療終了」と告げるまでは、自己判断で薬を減らしたり中断したりしないよう強く意識する必要があります。

通院の継続と医師との連携

とびひの治療経過は人によって様々で、順調に良くなる人もいれば、薬の変更が必要になる人もいます。定期的に通院し、医師に皮膚の状態を確認してもらうことは、治療の軌道修正を行う上で非常に重要です。

もし処方された薬を使っていて違和感があったり、症状が悪化したりした場合は、次の予約を待たずに早めに受診し相談してください。

また、仕事が忙しくて通院が難しい場合でも、その事情を医師に伝えれば、処方日数を調整するなどの対応が可能なこともあります。

大人のとびひに関するよくある質問

仕事に行っても大丈夫でしょうか？

基本的には可能ですが、職種によっては休む配慮が必要です。

患部をガーゼなどで完全に覆えて、他人に直接触れる機会がないデスクワークなどであれば出勤は可能ですが、飲食店で食品を扱う業務や、接客業、介護・保育など人と密接に関わる仕事の場合は、感染を広げるリスクが高いです。

また、自身の体調が悪く発熱がある場合などは、無理をせず休息をとることが回復を早めます。

家族と同じタオルを使ってもうつりませんか？

うつる可能性が高いため、共有は避けてください。とびひの原因菌は接触によって容易に感染します。見た目に汚れがなくても、タオルには目に見えない細菌が付着している可能性があります。

治療期間中は家族とタオルを分けるか、使い捨てのペーパータオルを使用するのが最も安全です。洗濯に関しては、洗剤を使って洗えば一緒に洗っても問題ありませんが、乾燥機や天日干しでしっかりと乾かすことが大切です。

痒みがひどくて眠れません。冷やしてもいいですか？

冷やすことで痒みを一時的に和らげることは可能です。保冷剤を清潔なタオルやガーゼで包み、患部に優しく当てることで、炎症による熱感を抑え、痒みの神経伝達を鈍らせることができます。

ただし、直接氷を当てたり、冷やしすぎたりすると凍傷のリスクや皮膚への刺激になるため注意が必要です。

また、あくまで対症療法ですので、抗ヒスタミン薬の内服など、医師による痒み止めの処方を併用することをお勧めします。

市販薬で治すことはできますか？

軽度であれば治ることもありますが、推奨はできません。市販の抗生物質軟膏も販売されていますが、原因菌に合っていない成分であったり、強さが不十分であったりすることが多くあります。

大人のとびひは治りにくく、市販薬で様子を見ている間に悪化・拡大してしまうケースが後を絶ちません。また、ステロイド成分が含まれている市販薬を誤って使用すると急激に悪化することもあります。

以上

参考文献

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