目の周りのつらい湿疹・かゆみ、どう治す？皮膚科での治療とセルフケア

目の周りのかゆみや赤み、カサカサ感。目の周りの皮膚は顔の他の部分と比べても特にデリケートで、さまざまな要因でトラブルが起こりやすい場所です。

なぜ湿疹ができてしまうのか、放置するとどうなるのか、そして皮膚科ではどのような治療を行うのか。

この記事では、目の周りのつらい湿疹に悩む方へ、症状の原因から皮膚科での治療法、ご自身でできるケアの方法までを詳しく解説します。

なぜ目の周りの皮膚は荒れやすいのか？

顔の中でもトラブルが起こりやすい目の周りの背景には、他の部位とは異なる特有の皮膚構造があります。デリケートな理由を知ることで、なぜケアが必要なのかが見えてきます。

目の周りの皮膚が薄い理由

目の周りの皮膚、特にまぶた（眼瞼）の皮膚は、頬の皮膚と比べるとその薄さが約3分の1から4分の1程度しかありません。これは、皮膚の表面を覆ってバリア機能の役割を担う角質層が非常に薄いためです。

さらに、皮膚のうるおいを保ち、外部の刺激から守る皮脂を分泌する皮脂腺が極めて少なく、薄さと皮脂の少なさが、目の周りの皮膚を乾燥しやすく、外部からの影響を受けやすい状態にしています。

バリア機能がもともと弱い場所である、という認識が大切です。

外部からの刺激（摩擦・花粉・化粧品）

日常生活の中で、目の周りへ多くの刺激があります。花粉症の季節にかゆみで目をこする行為は、薄い皮膚にとって大きな負担です。

また、女性の場合はアイシャドウやアイライナー、マスカラといったアイメイク、落とすためのクレンジングが刺激になることも少なくありません。

クレンジング剤そのものの刺激に加え、コットンや指でこする摩擦が、バリア機能をさらに低下させ、そのほか、空気中の花粉やハウスダスト、黄砂などの微粒子が付着することも、炎症を起こす要因となります。

目の周りの皮膚と他の皮膚の比較

部位	皮膚の薄さ（参考）	皮脂腺の量
目の周り（まぶた）	非常に薄い（約0.6mm）	非常に少ない
頬	普通（約2.0mm）	比較的多い
手のひら・足の裏	非常に厚い	ない

内部からの要因（アレルギー・ストレス・体調）

外部からの刺激だけでなく、体内の状態も目の周りの皮膚に影響を与え、もともとアトピー性皮膚炎などのアレルギー体質の方は、目の周りにも症状が出やすい傾向があります。

また、仕事の多忙や人間関係による精神的なストレス、睡眠不足、栄養バランスの偏った食生活なども、皮膚のバリア機能を正常に保つ働きを乱す原因となります。

体が疲れている時や体調が優れない時に、決まって目の周りが荒れると感じる方は、これらの内部要因が関わっている可能性が高いです。

目の周りに現れる湿疹の主な種類と症状

一口に目の周りの湿疹といっても、原因や見た目の特徴はさまざまです。代表的な皮膚の病気を知っておきましょう。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのある湿疹を特徴とする病気です。遺伝的にアレルギーを起こしやすい体質（アトピー素因）や、皮膚のバリア機能が低下しやすい体質が関係しています。

乳幼児期には頬や頭部に多く見られますが、思春期以降は顔、特に目の周りや首、肘・膝のくぼみなどに症状が出やすくなります。

目の周りでは、まぶたが赤く腫れたり、乾燥してカサカサしたり、皮膚がゴワゴワと厚くなる（苔癬化：たいせんか）といった症状が見られます。

強いかゆみを伴うため、かくことによってさらにバリア機能が壊れるという悪循環に陥りやすいのが特徴です。

接触皮膚炎（かぶれ）

接触皮膚炎は、一般的にかぶれと呼ばれるもので、特定の物質が皮膚に触れることで炎症が起こる病気で、大きく分けて2種類あります。

一つは、物質そのものの刺激によって誰にでも起こりうる刺激性接触皮膚炎で、もう一つは、特定の物質に対してアレルギー反応を持つ人だけに起こるアレルギー性接触皮膚炎です。

目の周りでは、化粧品、シャンプーやリンス、洗顔料、目薬、まつげ美容液、金属（ビューラーのニッケルなど）が原因となることが多く、原因物質に触れた部分に、赤み、かゆみ、細かいブツブツ、腫れなどが生じます。

接触皮膚炎の原因となりやすい物質

• 化粧品成分（香料、防腐剤、色素など）
• 金属（ニッケル、クロム、コバルトなど）
• 薬剤（目薬の成分、消毒薬など）
• 植物（うるし、ぎんなんなど）

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い場所（脂漏部位）にできやすい湿疹です。

頭皮や顔、特に眉毛、鼻の周り、生え際などに赤みや黄色っぽいフケのようなもの（鱗屑：りんせつ）が現れ、目の周りでは、眉毛やまぶたの縁に症状が出ることがあります。

皮脂の成分を餌にして増殖するマラセチアという常在菌（カビの一種）の関与や、皮脂のバランスの乱れ、ビタミンB群の不足などが関係していると考えられ、かゆみは軽い場合もあれば、やや強く感じる場合もあります。

主な湿疹の症状の傾向

湿疹の種類	主な症状	かゆみの強さ
アトピー性皮膚炎	赤み、乾燥、カサカサ、皮膚が厚くなる	強いことが多い
接触皮膚炎（かぶれ）	赤み、ブツブツ、腫れ、じゅくじゅく	強いことが多い
脂漏性皮膚炎	赤み、黄色っぽいフケ状の付着物	軽度〜中等度

その他の皮膚トラブル（乾燥・加齢）

特定の病気ではなく、単純な乾燥が原因でかゆみやカサカサが起きることもあり、皮脂欠乏性湿疹と呼ばれる状態の一歩手前です。

空気の乾燥する冬場や、洗顔のしすぎで皮脂を取りすぎた場合に起こりやすく、また、加齢に伴い、皮膚の水分保持能力や皮脂の分泌量が低下し、バリア機能が全般的に弱くなることも、目の周りのトラブルを招く一因となります。

危険なサイン？すぐに皮膚科を受診すべき症状

目の周りの症状は、時に深刻な問題のサインであることも。自己判断で様子を見ているうちに悪化したり、目そのものに影響が出たりする危険性もあります。早めに専門医に相談すべきケースを紹介します。

強いかゆみや痛みを伴う場合

単なる乾燥を通り越し、我慢できないほどの強いかゆみがある場合は、皮膚の内部で強い炎症が起きている証拠です。

かゆくてかきむしってしまうと、皮膚が傷つき、そこから細菌が入って二次感染（伝染性膿痂疹：とびひ など）を起こす可能性もあります。

また、かゆみだけでなく、ヒリヒリ、チクチクとした痛みを感じる場合も注意が必要で、これは皮膚のバリア機能が大きく損なわれているサインであり、早急な治療が重要です。

腫れや赤みがまぶた全体に広がっている

まぶたがパンパンに腫れあがり、目が開けにくいほどの状態は、通常の湿疹の範囲を超えている可能性があります。

片方のまぶただけが急激に赤く腫れた場合は、細菌感染による眼瞼炎や麦粒腫（ものもらい）、あるいは蜂窩織炎（ほうかしきえん）という皮膚の深い部分での感染症も疑う必要があります。

このような感染症は、抗生物質の投与など、湿疹とは異なる専門的な治療が必要です。

受診の目安

症状のレベル	推奨される行動	備考
軽い乾燥・カサカサ	保湿ケアを徹底する	数日続くなら受診を検討
赤み・かゆみがある	早めに皮膚科を受診する	市販薬での対処は慎重に
強い腫れ・痛み・ただれ	すぐに皮膚科を受診する	感染症の可能性も考慮

視界のかすみや目の違和感がある

皮膚の症状だけでなく、目そのものに異常を感じる場合は、特に注意が必要で、視界がかすむ、物が二重に見える、目がゴロゴロする、まぶしいと感じる、といった症状です。

炎症が結膜や角膜（黒目）にまで及んでいる可能性、あるいは目薬などによるアレルギー反応、まれではありますが単純ヘルペスウイルスによる角膜炎など、視力に関わる重大な眼科的疾患の兆候かもしれません。

この場合、皮膚科だけでなく、眼科での専門的な診察と連携が大切です。

皮膚科で行う主な検査と診断

皮膚科を受診すると、まず症状の原因を特定するための診察や検査を行います。正確な診断が、適切な治療への第一歩です。

視診と問診の重要性

医師はまず、患者さんの目の周りの皮膚の状態を直接目で見て（視診）、どのような湿疹が出ているか（赤み、ブツブツ、カサカサ、じゅくじゅくなど）、どの範囲に広がっているかを詳細に観察します。

それと同時に、患者さんから詳しく話を聞く問診が非常に重要です。

いつから症状が始まったか、かゆみの強さ、悪化するタイミング、現在使用している化粧品やシャンプー、目薬、新しく使い始めたものがないか、アレルギー歴や既往歴、食生活や睡眠などの生活習慣まで、多角的に情報を集めます。

問診でよく聞かれること

• 症状が始まった時期と経過
• かゆみや痛みの程度、時間帯による変化
• 使用中の化粧品、スキンケア用品、シャンプー、目薬
• アレルギー歴（花粉症、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎など）
• 最近の生活環境の変化やストレスの有無

アレルギー特定のための検査（パッチテストなど）

問診や視診から、化粧品や金属などによるアレルギー性接触皮膚炎（かぶれ）が疑われる場合、原因物質を特定するためにパッチテストを行うことがあります。

原因として疑わしい物質の試薬を背中や腕の内側の皮膚に貼り、48時間後、72時間後（または96時間後）に皮膚の反応（赤み、腫れ、ブツブツなど）を確認する検査です。

血液検査で分かること

アトピー性皮膚炎が疑われる場合や、花粉やダニなどの環境アレルゲンへの関与が考えられる場合には、血液検査を行うことがあります。

血液検査では、IgE抗体というアレルギー反応に関わるタンパク質の全体的な量（総IgE値）や、特定のアレルゲン（スギ、ダニ、ハウスダスト、食物など）に対するIgE抗体の量（特異的IgE値）を調べます。

この検査は、アレルギー体質の有無や程度、何に対してアレルギー反応を起こしやすいかを知るための参考になります。

ただし、検査結果が陽性でも、それが直接現在の皮膚症状の原因とは限らないため、診断は問診や視診と合わせて総合的に行います。

皮膚科での目の周りの湿疹治療

診断がついたら、療を開始します。目の周りは非常にデリケートなため、皮膚科医の指導のもと、薬剤の選択や使用方法に注意を払いながら慎重に進めます。

基本となる外用薬（塗り薬）の使い方

目の周りの湿疹治療の基本は、炎症を抑えるための外用薬（塗り薬）で、最も大切なのは、医師の指示通りの量を適切な回数、使用することです。

量が少なすぎると十分な効果が得られず、逆に多すぎたり、必要以上に長く使い続けたりすると副作用のリスクが高まります。目の周りは薬剤の吸収率が高いため、自己判断での使用は禁物です。

塗る際は、清潔な指で優しく、こすらずに薄く伸ばすように塗布します。

ステロイド外用薬の役割と注意点

ステロイド外用薬は、皮膚の炎症を強力に抑える作用があり、湿疹治療において中心的な役割を担う薬です。

目の周りに使用することに不安を感じる方もいますが、皮膚科医は、皮膚の薄さや症状の強さに応じて、ステロイドの強さ（ランク）を適切に選択しています。

目の周りには、通常、比較的ランクの弱い（マイルド、ウィーク）ステロイドを短期間使用し、症状が改善したら速やかに減量・中止します。

長期間、自己判断で強いランクの薬を使い続けると、皮膚が薄くなる、血管が浮き出るなどの副作用や、まれに眼圧が上がる（緑内障）などのリスクがあるため、必ず医師の指示を守ってください。

主な外用薬の種類と特徴

薬剤の種類	主な作用	使用上の注意点
ステロイド外用薬	強い抗炎症作用	強さのランクがあり、部位や症状で使い分ける。長期連用には注意。
免疫抑制外用薬	炎症を抑える（ステロイドとは異なる仕組み）	長期的なコントロールに用いる。塗布開始時に刺激感が出ることがある。
保湿剤	皮膚の水分保持、バリア機能の補助	炎症がない時も継続。湿疹部位には炎症を抑える薬と併用。

非ステロイド外用薬（免疫抑制薬）の選択

ステロイドの使用に抵抗がある場合や、症状が改善した後も再発を繰り返し、長期的なコントロールが必要な場合などには、ステロイドを含まない非ステロイド系の外用薬が選択されることがあります。

代表的なものは、タクロリムス軟膏（プロトピック軟膏など）やデルゴシチニブ軟膏（コレクチム軟膏）です。

免疫の働きを部分的に調整し、炎症を抑え、ステロイドで問題となるような副作用（皮膚が薄くなるなど）の心配が少ないため、目の周りのようなデケートな部位の長期的な管理に適している場合があります。

ただし、使い始めにヒリヒリとした刺激感やほてりを感じることがあります。

ステロイド外用薬の強さ

ランク	強さ	主な使用部位（一般例）
1群 (Strongest)	最も強い	（顔や目の周りには通常用いない）
2群 (Very Strong)	かなり強い	体幹、手足など
3群 (Strong)	強い	体幹、手足など
4群 (Mild)	おだやか	顔、首、目の周り
5群 (Weak)	弱い	顔、首、目の周り

内服薬（抗ヒスタミン薬など）によるアプローチ

塗り薬だけでは抑えきれない強いかゆみがある場合、かゆみを起こす物質（ヒスタミン）の働きをブロックする抗ヒスタミン薬の内服（飲み薬）を併用します。

かゆみを抑えることで、夜間に無意識にかきむしってしまうのを防ぎ、皮膚の回復を助ける目的があり、治療の悪循環を断ち切る助けになります。

また、症状や原因に応じて、アレルギー反応を抑える薬や、ビタミン剤、漢方薬などが処方されることもあります。

治療と並行したいセルフケア

皮膚科の治療効果を最大限に引き出し、良い状態を維持するためには、日々のスキンケアや生活習慣の見直しが欠かせません。治療の守りとして、セルフケアに取り組みましょう。

正しい洗顔と保湿の方法

目の周りの皮膚が荒れている時は、洗顔と保湿の方法が非常に重要です。洗顔料は、洗浄力が強すぎるもの（脱脂力の強い固形石鹸やスクラブ入り）を避け、低刺激性で皮膚のうるおいを守りながら洗えるタイプを選びましょう。

洗う際は、洗顔料を手のひらでしっかりと泡立て、その泡で顔全体を包み込むように優しく洗い、目の周りは特にデリケートなため、指で直接こすらないよう注意します。

すすぎは、体温より少し低いぬるま湯（32〜34度程度）で、泡が残らないよう十分に行います。熱いお湯は必要な皮脂まで奪ってしまうため避けてください。

洗顔後は、清潔な柔らかいタオルで、こすらずに優しく押さえるようにして水分を拭き取り、皮膚が乾ききる前、理想的には洗顔後すぐに保湿剤を塗布します。

洗顔時の注意点

NG行動	理由	OK行動
熱いお湯ですすぐ	必要な皮脂を取りすぎ、乾燥を助長する	ぬるま湯（32〜34度）ですすぐ
ゴシゴシこすって洗う	摩擦でバリア機能を破壊する	よく泡立てた泡で優しく洗う
タオルで強く拭く	摩擦刺激になる	柔らかいタオルで押さえるように拭く

刺激を避ける化粧品（メイク）の選び方

湿疹の症状が強く出ている間は、アイメイク（アイシャドウ、アイライナー、マスカラなど）は原則としてお休みするのが理想です。

治療によって症状が落ち着いてきたら、医師と相談の上で再開を検討し、再開する際は、できるだけ皮膚への負担が少ない製品を選びましょう。

選ぶポイントは、アレルギーテスト済み、パッチテスト済み、低刺激性、無香料、無着色といった表記のあるものが一つの目安になります。

また、ウォータープルーフなど、落とすために強力なクレンジングが必要な製品は避け、お湯や石鹸で簡単に落とせるタイプのものが望ましく、新しい化粧品を試す前には、腕の内側などで試してから使う（簡易パッチテスト）と、より安心です。

保湿剤の選び方のポイント

• 低刺激性・敏感肌用
• 無香料・無着色・アルコールフリー
• アレルギーテスト済み（すべての人にアレルギーが起きないわけではありません）
• セラミド、ヒアルロン酸、ヘパリン類似物質など保湿成分配合のもの

日常生活で気をつける点（食事・睡眠・紫外線対策）

皮膚の健康は、体全体の健康と密接に関連しているので、バランスの取れた食事を心がけ、皮膚の再生に必要なタンパク質やビタミン（特にビタミンB群、C、Eなど）、ミネラルをしっかり摂取しましょう。

極端に脂っこいものや甘いもの、刺激物の摂りすぎは、皮脂のバランスを崩したり、炎症を悪化させたりする可能性があるので注意が必要です。

また、睡眠不足は皮膚のターンオーバー（生まれ変わり）を妨げ、バリア機能の低下を招きます。質の良い睡眠を十分にとることも、大切なセルフケアの一つです。

さらに、紫外線は皮膚のバリア機能を低下させ、炎症を悪化させる要因となるので、日傘や帽子、低刺激性の紫外線吸収剤不使用（ノンケミカル）の日焼け止めなどで、優しく紫外線対策を行ってください。

悪化させないための予防策

一度症状が落ち着いても、目の周りは外部からの刺激や体調の影響を受けやすく、再発しやすい場所です。良い状態をできるだけ長く維持するための予防法を、日々の習慣にしましょう。

摩擦を避ける（こすらない）習慣

目の周りの皮膚トラブルを防ぐ上で、最も重要と言っても過言ではないのが摩擦を避けることです。かゆみを感じた時、無意識に手でこすっていないでしょうか。

かくという行為が、皮膚のバリア機能を壊し、さらなるかゆみを引き起こす悪循環を生みます。かゆい時は冷たいタオルなどで優しく冷やす、あるいはかゆみを抑える薬を使うなどして、かく行為を我慢することが大切です。

また、日常生活の中での無意識の摩擦にも注意が必要で、クレンジングや洗顔時、タオルで顔を拭く時、アイメイクをする時など、あらゆる場面で優しく触れること、こすらないことを徹底してください。

日常でできる摩擦対策

• かゆくても目をこすらない（冷やす、薬を塗る）
• タオルは顔に押し当てるようにして水分を吸わせる
• アイメイクは専用リムーバーを使い、擦らず浮かせて落とす
• うつぶせ寝を避け、枕カバーを清潔に保つ

アレルゲン（原因物質）の特定と回避

もし皮膚科での検査によって、特定の化粧品成分や金属、あるいは花粉やハウスダストなど、ご自身のアレルギーの原因がはっきりと分かった場合は、日常生活からできる限り回避することが、最も効果的な予防策となります。

化粧品であればその成分が含まれていない製品を選ぶ、金属アレルギーであればビューラーを金属製でないものに変える、花粉の時期はマスクや眼鏡でガードする、部屋の掃除をこまめに行いハウスダストを減らす、といった対策が可能です。

予防ケアの3つの柱

ケアの柱	具体的な行動	期待できる効果
バリア機能の維持	毎日の正しい保湿ケアを継続する	乾燥や外部刺激に負けない皮膚を作る
刺激の回避	摩擦を避ける。アレルゲンを遠ざける。	炎症の「きっかけ」を減らす
体調管理	バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレス管理	体の内側から皮膚の健康を支える

スキンケアの継続

症状が改善し、赤みやかゆみがなくなった後も、スキンケアは継続することが重要で、特に、保湿ケアは目の周りのバリア機能を維持するために欠かせません。

症状がない時も、低刺激性の保湿剤でしっかりと保護することにより、乾燥やわずかな刺激で再び湿疹が出てしまうのを防ぐことができます。

目の周りは一度荒れるとクセになりやすい場所なので、症状が出た時だけ薬を塗る対症療法から一歩進んで、症状がない時も良い状態を維持する予防的なスキンケアへと意識を切り替えることが、長期的な安定につながります。

目の周りの湿疹に関するよくある質問

最後に、クリニックの診察で患者さんから寄せられることの多い質問にお答えします。

目の周りの湿疹は自分で治せますか？

ごく軽度の乾燥やカサカサであれば、市販の低刺激性保湿剤によるケアで改善することもありますが、赤み、かゆみ、ブツブツなど、明らかに湿疹と呼ばれる炎症が起きている場合は、皮膚科を受診してください。

自己判断で市販の薬（特にステロイド含有のもの）を使うと、症状に合わない強さの薬を選んでしまったり、かえって悪化させたり、あるいは一時的に症状が隠れてしまい、原因の特定が難しくなったりすることがあります。

塗り薬を塗るとしみるのですが、続けても大丈夫ですか？

使用を一旦中止して、処方した医師に相談してください。

しみる原因としては、薬の成分そのものが合わない可能性、皮膚のバリア機能が極度に低下していて（傷ができていて）、薬の基剤（軟膏やクリームのベース）が刺激になっている可能性などが考えられます。

医師が皮膚の状態を再度確認し、薬の変更や使用方法の再指導を検討します。

治療にはどのくらいの期間がかかりますか？

化粧品かぶれ（接触皮膚炎）で原因物質がはっきりし、すぐに中止できた場合は、治療により1〜2週間程度で大きく改善することが多いです。

一方で、アトピー性皮膚炎のように体質的な要因が背景にある場合は、症状をコントロールしながら、良い状態を維持するために長期的なお付き合いが必要になることもあります。

子どもの目の周りにも同じ薬を使えますか？

自己判断で使うのは避けてください。子どもの皮膚は大人よりもさらに薄くデリケートで、薬剤の吸収率も異なります。

特にステロイド外用薬は、大人に処方されたものをそのまま子どもの顔に使うと、強すぎたり、副作用のリスクを高めたりする危険性があります。

子どもの目の周りに湿疹ができた場合は、必ず小児科または皮膚科を受診し、子どもの年齢や症状に合った適切な薬を処方してもらってください。

以上

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