腎不全と高血圧の関係|血圧管理の重要性と降圧薬の使い方

腎不全と高血圧の関係|血圧管理の重要性と降圧薬の使い方

腎臓と血圧は、お互いに深く影響を与え合い、高血圧が続くと腎臓の血管が傷つき、腎機能が低下する原因となります。腎機能が低下すると、体内の水分や塩分の調節がうまくいかなくなり、血圧が上昇しやすくなります。

悪循環は、気づかないうちに腎不全を進行させる大きな要因です。

この記事では、腎不全と高血圧の密接な関係を解き明かし、腎臓を守るための血圧管理の重要性、管理方法、そして治療に用いられる降圧薬の正しい使い方まで、分かりやすく解説します。

目次

腎臓と高血圧の切っても切れない関係

私たちの体の中で、腎臓と血圧は常に連携し合って健康を維持していますが、バランスが崩れると、互いに悪影響を及ぼし始め、深刻な健康問題につながることがあります。

腎臓が担う血圧コントロールの役割

腎臓は単に尿を作るだけの臓器ではありません。体内の水分量と塩分(ナトリウム)の量を調節することで、血圧をコントロールする重要な役割を担っています。

体内の塩分が多くなると、薄めるために水分量が増え、血液全体の量が増加し、血液量が増えれば、血管の壁にかかる圧力、つまり血圧が上昇します。

腎臓は、増えすぎた塩分と水分を尿として体外に排泄し、血圧を適正な範囲に保つ働きをしていて、腎臓はレニンという酵素を分泌します。

レニンは、血圧を上げるホルモン(アンジオテンシンII)の生成に関与しており、血圧が下がりすぎた場合には分泌量を増やして血圧を維持しようとし、腎臓は非常に繊細なバランス感覚で血圧を調節する司令塔なのです。

高血圧が腎臓にダメージを与える仕組み

高血圧の状態が長く続くと、全身の血管に常に強い圧力がかかり続けることになります。腎臓は毛細血管の塊である糸球体という組織でできており、血液をろ過するフィルターの役目を果たしていて、高い圧力に非常に弱いことが特徴です。

高血圧によって糸球体の細い血管が常に張り詰めた状態になると、血管の壁が硬く、厚くなる動脈硬化が進行し、この状態を腎硬化症と呼びます。

動脈硬化が進んだ血管はしなやかさを失い、血液の流れが悪くなることで、糸球体は十分に血液を受け取れなくなり、徐々に壊れて機能しなくなります。

壊れた糸球体は元に戻ることはなく、その数が減ることで腎臓全体のろ過能力が低下し、腎機能の悪化につながるのです。

腎機能低下が高血圧を招く悪循環

一度腎機能が低下し始めると、今度はそれが原因でさらに血圧が上がるという悪循環に陥りやすくなります。腎機能が落ちると、本来体外に排泄されるべき塩分と水分が体内に溜まりやすいです。

体内の水分量が増加すれば血液量も増え、血圧は上昇し、また、腎臓への血流が悪いと、腎臓は血圧が下がっていると勘違いし、血圧を上げるホルモンを過剰に分泌してしまうことがあります。

このことにより、さらに血圧が上昇し、高い圧力がまた腎臓にダメージを与えるという負のスパイラルが生まれます。悪循環を断ち切らない限り、腎不全はどんどん進行してしまうため、早期からの厳格な血圧管理が何よりも重要です。

腎臓を守るための血圧の目安

腎臓を守るためには、血圧を適切な範囲にコントロールすることが大切です。目指すべき血圧の値(降圧目標)は、年齢や他に持っている病気(合併症)によって異なります。

特に、慢性腎臓病(CKD)の患者さんや糖尿病を合併している方は、より厳格な管理が求められます。

合併症などを考慮した降圧目標値

対象となる方診察室血圧家庭血圧
75歳未満の成人130/80 mmHg未満125/75 mmHg未満
75歳以上の高齢者140/90 mmHg未満135/85 mmHg未満
糖尿病、慢性腎臓病(CKD)の方130/80 mmHg未満125/75 mmHg未満

腎不全とはどのような状態か

腎不全という言葉はよく耳にしますが、これは、腎臓の働きが健康な時の30%以下にまで低下し、体内の老廃物や余分な水分を十分に排泄できなくなった状態を指します。

腎臓の働きと機能低下の影響

腎臓は、私たちの生命維持に欠かせない多くの重要な働きを担っていて、機能が低下すると、体に様々な影響が現れます。

  • 老廃物の排泄
  • 水分量と電解質の調節
  • 血液の酸性・アルカリ性の調節
  • 血圧のコントロール
  • ビタミンDの活性化と骨の健康維持
  • 赤血球を作るホルモンの分泌

腎機能が低下すると、老廃物が体に溜まって尿毒症を起こしたり、むくみや高血圧、貧血、骨がもろくなるなどの症状が現れます。

急性腎不全と慢性腎不全の違い

腎不全には、急激に腎機能が悪化する急性と、数カ月から数年かけてゆっくりと悪化する慢性の2つのタイプがあります。両者は原因や経過、治療法が異なります。

急性腎不全と慢性腎不全の主な相違点

項目急性腎不全慢性腎不全
原因脱水、薬剤、急激な血圧低下など糖尿病、高血圧、慢性糸球体腎炎など
経過数時間から数日で急激に悪化数カ月から数年かけてゆっくり進行
回復の可能性原因を取り除けば回復する可能性がある失われた腎機能の回復は困難

急性腎不全は適切な治療によって機能が回復する可能性がありますが、慢性腎不全は進行性であり、一度失われた腎機能を取り戻すことは難しいのが現状です。

慢性腎不全では、残された腎機能をいかに長持ちさせるかが治療の大きな目標となります。

慢性腎臓病(CKD)のステージ分類

慢性腎臓病(CKD: Chronic Kidney Disease)は、腎臓の障害や腎機能の低下が慢性的に続く状態の総称です。

腎機能の程度は、血液検査で調べるeGFR(推算糸球体ろ過量)という値で評価し、値によって病気の進行度がステージ分けされています。eGFRは、健康な人で約100 mL/分/1.73m²あり、数値が低いほど腎機能が悪いことを示します。

CKDの進行度を示すステージ

ステージeGFR (mL/分/1.73m²)腎機能の状態
G190以上正常または高値(ただし腎障害あり)
G260~89軽度低下
G3a45~59軽度~中等度低下
G3b30~44中等度~高度低下
G415~29高度低下
G515未満末期腎不全(透析や移植が必要)

ステージG3以降になると、腎機能の低下が加速しやすくなり、心臓や血管の病気を発症するリスクも高まるため、専門医による管理が必要です。

腎不全が進行すると現れる症状

腎臓は予備能力が高く、機能がかなり低下するまで自覚症状が現れにくい沈黙の臓器です。しかし、腎不全が進行し、eGFRが30を下回る(ステージG4以降)ようになると、様々な症状が出始めます。

初期には、夜間の頻尿や貧血、だるさなどが現れます。さらに進行すると、むくみ(浮腫)、食欲不振、吐き気、息切れ、かゆみといった尿毒症の症状がはっきりと現れるようになります。

症状は、体内に老廃物や余分な水分が溜まることで起こされ、症状が出た時点では、腎機能はかなり悪化していることが多いため、症状がない段階からの定期的な検査と管理が大切です。

なぜ腎不全で血圧管理が重要なのか

腎機能が低下している方にとって、血圧を厳格に管理することは、治療の根幹をなす最も重要な要素の一つです。

血圧をコントロールすることが、腎臓そのものを守るだけでなく、全身の健康を守り、より良い生活を長く続けることにつながります。

腎機能のさらなる悪化を防ぐ

血圧管理の最大の目的は、残された腎機能を守り、悪化スピードをできるだけ緩やかにすることです。高血圧は腎臓の繊細なフィルター組織である糸球体に直接的なダメージを与え、腎硬化症を進行させます。

血圧を目標値までしっかりと下げることで、糸球体にかかる負担を軽減し、破壊されるのを防ぎ、腎機能の低下を抑制し、腎不全の進行を遅らせることが期待できます。

心血管疾患のリスクを低減する

腎不全の患者さんは、心筋梗塞や脳卒中といった命に関わる心血管疾患を発症するリスクが非常に高いことが知られています。

腎機能の低下は、高血圧だけでなく、動脈硬化を促進する様々な要因(脂質異常、酸化ストレス、炎症など)と関連しているためです。高血圧は、心臓や血管に常に大きな負担をかけ、動脈硬化を加速させる最大の危険因子です。

  • 心不全
  • 狭心症・心筋梗塞
  • 脳卒中(脳梗塞・脳出血)
  • 末梢動脈疾患

血圧を管理することは、心血管疾患の発症リスクを大幅に低下させることが証明されています。

透析導入を遅らせる可能性

慢性腎不全が進行し、末期の状態(ステージG5)になると、自分の腎臓だけでは生命を維持できなくなり、透析療法や腎移植が必要になります。

透析療法は命をつなぐための重要な治療ですが、週に数回通院する必要があり、生活に大きな制約が伴うことも事実です。

厳格な血圧管理によって腎機能の低下を遅らせることができれば、それだけ透析導入の時期を先延ばしにできる可能性があります。

全身の健康状態を維持する

血圧の管理は腎臓や心臓だけでなく、全身の健康状態に良い影響を与えます。

脳の血管への負担を減らすことで、認知機能の低下を防ぐ効果も期待でき、また、網膜の血管を守り、高血圧性網膜症による視力障害のリスクを減らすことにもつながります。

血圧管理がもたらす全身への好影響

対象臓器期待される効果具体的な内容
腎臓腎機能の保護糸球体への負担を軽減し、腎不全の進行を抑制する
心臓心臓の保護心肥大の改善、心不全や心筋梗塞のリスクを低減する
脳の保護脳卒中のリスクを低減し、認知機能の維持に貢献する

腎不全における血圧管理の方法

腎不全の方の血圧管理は、降圧薬による治療が中心となりますが、それ以上に日常生活の改善が重要です。薬の効果を最大限に引き出し、腎臓への負担を減らすためには、食事や運動、日々の血圧測定といった地道な取り組みが欠かせません。

生活習慣の改善が基本

薬を飲む前に、まず取り組むべきなのが生活習慣の見直しで、特に食事療法は、血圧管理と腎臓保護の両面から極めて重要です。

食塩制限のポイント

腎機能が低下している場合、塩分の排泄能力が落ちているため、厳格な食塩制限が必要です。一般的に、1日の食塩摂取量を6g未満に抑えることが推奨されます。加工食品や外食には多くの塩分が含まれているため、注意しましょう。

工夫の種類具体的な方法ポイント
調理法香辛料、香味野菜、酸味を利用するだしを効かせ、素材の味を活かすことで薄味でも満足できる
食品選び加工食品やインスタント食品を避ける栄養成分表示を確認し、塩分の少ない食品を選ぶ習慣をつける
外食・中食麺類の汁は飲まない、醤油やソースはかけずにつける減塩メニューを選んだり、注文時に薄味を依頼する

カリウム制限の注意点

腎機能が低下すると、カリウムが体内に溜まりやすくなり、不整脈などの原因となることがあるので、医師や管理栄養士の指導のもと、カリウムの摂取量を制限する必要が出てくる場合があります。

カリウムは生の野菜や果物、いも類に多く含まれます。食材を細かく切って茹でこぼしたり、水にさらしたりすることで、カリウムの量を減らすことができます。

適度な運動のすすめ

ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動は、血圧を下げる効果が期待でき、また、肥満の解消やストレス軽減にもつながり、総合的な健康状態の改善に役立ちます。

ただし、心臓や骨に問題がある場合もあるため、どのような運動をどの程度行うべきか、事前に医師に相談することが大切です。

家庭血圧測定のすすめ

日々の血圧の変動を把握し、治療効果を確認するために、家庭での血圧測定は非常に重要です。診察室での測定だけでは分からない、早朝の高血圧などを見つけることにも役立ちます。

  • 朝と夜の2回測定
  • 朝は起床後1時間以内、排尿後、服薬前、朝食前
  • 夜は就寝前
  • 椅子に座って1~2分安静にしてから測定
  • 測定した値はすべて記録し、受診時に持参

毎日記録を続けることで、自分自身の血圧の状態がよく分かり、治療へのモチベーション維持にもつながります。

定期的な受診と検査

腎不全と高血圧の管理には、定期的な医療機関への受診が欠かせません。

医師は、家庭血圧の記録や診察時の血圧、血液検査(eGFR、電解質など)、尿検査(蛋白尿など)の結果を総合的に評価し、その時々の状態に合わせた最適な治療方針を決定します。

検査によって、薬の効果や副作用、腎機能の推移を客観的に把握することができます。

腎不全で使われる降圧薬の種類と特徴

腎不全の方の高血圧治療では、単に血圧を下げるだけでなく、腎臓を保護する作用を併せ持つ薬が積極的に用いられます。腎機能の状態や合併症の有無によって、使用する薬の種類や組み合わせが変わってきます。

RA系阻害薬(ARB・ACE阻害薬)

レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬は、腎不全を伴う高血圧治療の第一選択薬として位置づけられています。この系統の薬は、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)とアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の2種類です。

RA系阻害薬は、血圧を上げるホルモンであるアンジオテンシンIIの働きを抑えることで血管を広げ、血圧を下げます。

さらに、糸球体の内圧を下げることで腎臓を保護し、蛋白尿を減らす効果も期待できるため、腎機能の悪化抑制に非常に有効です。

ただし、腎機能が著しく低下している場合や、副作用として高カリウム血症を起こすことがあるため、定期的な血液検査でモニタリングしながら慎重に使用します。

カルシウム拮抗薬

カルシウム拮抗薬は、血管の筋肉(平滑筋)にあるカルシウムチャネルをブロックすることで、血管を広げて血圧を下げる薬で、降圧効果が安定しており、高齢者にも使いやすいのが特徴です。

RA系阻害薬と組み合わせることで、より強力な降圧効果と腎保護効果が期待できます。副作用として、顔のほてりや頭痛、歯肉の腫れ、足のむくみなどが現れることがあります。

利尿薬

利尿薬は、腎臓に作用して尿の量を増やし、体内の余分な塩分と水分を排泄することで血圧を下げる薬で、塩分過多による体液量の増加が原因で高血圧になっている場合に効果的です。心不全を合併している場合のむくみ改善にも用いられます。

ただし、腎機能が低下していると効果が弱まる種類もあり、また、脱水や電解質異常(低カリウム血症など)を起こす可能性があるため、使用には注意が必要です。

その他の降圧薬

上記の薬で降圧目標を達成できない場合には、他の種類の降圧薬が追加されることがあります。β遮断薬は、心臓の働きを少し休ませることで血圧を下げ、心拍数を抑える作用があり、狭心症や心不全を合併している場合に有効です。

α遮断薬は、血管を直接広げる作用があります。降圧薬は、個々の患者さんの状態に合わせて、専門医が慎重に選択し、組み合わせて使用します。

主な降圧薬の種類と特徴のまとめ

薬剤の種類主な作用腎不全における特徴
RA系阻害薬 (ARB, ACE阻害薬)血管収縮物質の作用を抑制腎保護作用があり第一選択薬。高カリウム血症に注意。
カルシウム拮抗薬血管を拡張させる安定した降圧効果。RA系阻害薬との併用が多い。
利尿薬体内の余分な塩分・水分を排泄むくみ改善に有効。電解質異常や脱水に注意。

降圧薬を正しく使うための注意点

処方された降圧薬は、毎日正しく服用し続けることで初めて効果を発揮します。薬の効果を最大限に引き出し、思わぬ副作用を防ぐためには、患者さん自身が薬についてよく理解し、いくつかの注意点を守ることが大切です。

自己判断で中断・減量しない

血圧が目標値まで下がったり、症状がなくなったからといって、自分の判断で薬の量を減らしたり、飲むのをやめてしまうのは非常に危険です。

薬の効果で血圧がコントロールされているだけなので、中断すれば血圧は再び上昇し、腎臓や心臓に大きな負担をかけてしまいます。薬の変更や中止は、必ず医師の指示に従ってください。

副作用かもしれない症状に気づく

どんな薬にも副作用の可能性があり、降圧薬で比較的みられる副作用には、血圧が下がりすぎることによるものがあります。

  • めまい、立ちくらみ
  • ふらつき、脱力感
  • 頭痛
  • 空咳(ACE阻害薬)
  • 足のむくみ(カルシウム拮抗薬)

このような症状が現れた場合、自己判断で放置せず、早めに処方医や薬剤師に連絡してください。副作用の程度や種類によっては、薬の量を調節したり、他の薬に変更したりすることで対処できる場合がほとんどです。

他の薬や食品との飲み合わせ

降圧薬の中には、他の薬や特定の食品、サプリメントと一緒に摂ることで、効果が強まったり弱まったり、副作用が出やすくなったりするものがあります。特に注意が必要な組み合わせを知っておくことが大切です。

降圧薬と注意が必要な組み合わせの例

降圧薬の種類注意が必要なもの理由
RA系阻害薬カリウム保持性利尿薬、カリウムサプリメント高カリウム血症のリスクが増大する
カルシウム拮抗薬グレープフルーツ(ジュース含む)薬の血中濃度が上昇し、作用が強く出過ぎることがある
多くの降圧薬非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)降圧効果を弱め、腎機能に悪影響を及ぼすことがある

市販の風邪薬や痛み止めを購入する際も、必ず薬剤師に相談してください。また、健康食品やサプリメントを利用したい場合も、事前に医師に確認することが重要です。

よくある質問

腎不全と高血圧の治療を進めるにあたり、多くの患者さんが抱く疑問や不安があります。ここでは、外来でよく寄せられる質問と回答をまとめました。

血圧の薬は一度飲み始めたら一生やめられませんか

多くの場合、高血圧は体質や加齢、生活習慣が原因であり、根本的に治るものではないため、薬を継続して服用する必要がある方がほとんどです。

特に腎機能が低下している場合は、腎臓を保護するために厳格な血圧コントロールが不可欠であり、降圧薬はそのための重要な手段です。

ただし、大幅な減量や徹底した塩分制限など、生活習慣の改善によって血圧が安定し、医師の判断で薬を減らしたり、やめたりできるケースも稀にありますが、自己判断で中断するのは絶対に避けてください。

血圧が目標値まで下がったら薬を減らしてもよいですか

血圧が目標値まで下がっているのは、薬が効いているおかげです。そこで薬を減らしたりやめたりすれば、血圧は再び上昇してしまいます。

血圧の薬は、高い血圧を「治療」するのではなく、薬の力で「管理」していると考えるのが適切です。

現在の処方がご自身の体に合っている証拠だと考え、医師の指示通りに服用を継続することが、長期的に腎臓や心臓を守ることにつながります。

腎臓に良い食事やサプリメントはありますか

腎臓に良い特別な食品やサプリメントというものは、残念ながら存在しません。むしろ、特定の成分を過剰に摂取することが腎臓に負担をかける場合もあります。

腎臓を守るために最も重要な食事療法は、医師や管理栄養士の指導に基づいた「減塩」「たんぱく質制限」「カリウム制限」「リン制限」などを、ご自身の病状に合わせて実践することです。

健康食品やサプリメントの中には、カリウムやリンを多く含むものもあり、腎機能が低下している方には有害となる可能性もあります。利用したい場合は、必ず事前に主治医や薬剤師、管理栄養士に相談してください。

以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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