腎臓がなくなるとどうなる?腎摘出手術後の生活と透析・移植

腎臓がなくなるとどうなる?腎摘出手術後の生活と透析・移植

「腎臓を一つ、あるいは二つとも摘出する」と告げられたとき、多くの方がご自身の体に何が起こるのか、そしてその後の生活がどう変わるのか、大きな不安を抱くことでしょう。

腎臓は私たちの体を健やかに保つために、一日も休むことなく働き続ける重要な臓器です。

この記事では、腎臓が私たちの体で担っている役割から、腎臓を摘出する(とる)場合、手術後の生活、そして腎臓の機能が失われたときの治療法である「透析」や「移植」について、一つひとつ丁寧に解説します。

目次

そもそも腎臓とは?私たちの体で担う重要な役割

腎臓は、腰の少し上あたり、背中側に左右一つずつある、そら豆のような形をした臓器です。大きさは握りこぶしほどですが、生命維持に欠かせない多くの重要な働きを担っています。

もし腎臓が機能しなくなると、私たちの体には様々な不調が現れます。ここでは、腎臓が持つ主な働きについて詳しく見ていきましょう。

体内の老廃物をろ過するフィルター機能

腎臓の最も中心的な働きは、血液をろ過して体内で作られた老廃物や余分な水分を尿として体の外へ排出することです。心臓から送り出された血液の約4分の1は腎臓に流れ込みます。

腎臓の中には「糸球体(しきゅうたい)」という微細な血管の塊が無数にあり、ここで血液がこされます。体に必要なものは再吸収し、不要なものだけを尿として濃縮して排出する、非常に高性能なフィルターです。

体の水分量とミネラルバランスの調整

私たちの体は約60%が水分でできており、その量を一定に保つことが生命活動の基本です。腎臓は、体の状態に応じて尿の量を調整し、体内の水分量を適切にコントロールします。

また、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンといった電解質(ミネラル)の濃度も精密に調整します。これらのバランスが崩れると、むくみや不整脈、筋力低下など、様々な症状を引き起こす原因となります。

腎臓が調整する主な電解質

電解質主な働きバランスが崩れた場合の影響
ナトリウム体液量の調整高血圧、むくみ
カリウム神経や筋肉の働きを正常に保つ不整脈、筋力低下
カルシウム・リン骨や歯の健康維持骨がもろくなる、血管の石灰化

血圧をコントロールするホルモンの分泌

腎臓は血圧の調整にも深く関わっています。血圧が下がると「レニン」というホルモンを分泌し、体内で作られる「アンジオテンシン」という物質の働きを活性化させます。

このアンジオテンシンが血管を収縮させ、副腎からの「アルドステロン」というホルモンの分泌を促すことで、体内に塩分と水分を保持し、血圧を上昇させます。このようにして、腎臓は体全体の血圧を安定した状態に保っているのです。

赤血球を作るホルモンと骨を強くするビタミンの活性化

腎臓はホルモンを分泌する内分泌器官としての一面も持っています。血液(赤血球)を作るように骨髄に指令を出す「エリスロポエチン」というホルモンを分泌します。

腎機能が低下するとこのホルモンの分泌が減少し、貧血(腎性貧血)になりやすくなります。また、食事から摂取したビタミンDを、体内で利用できる活性型ビタミンDに変える働きも担います。

活性型ビタミンDは、腸からのカルシウムの吸収を助け、丈夫な骨を維持するために重要です。

腎臓を摘出する(とる)のはどのような場合か

どのような状況で、大切な腎臓を摘出するという判断に至るのでしょうか。腎臓を摘出する手術(腎摘除術)は、主に腎臓そのものが病気の原因となっている場合や、他の人の命を救うために行われます。

ここでは、腎臓を摘出する代表的な理由について解説します。

腎臓がんなどの悪性腫瘍

腎臓摘出の最も多い理由が、腎細胞がんや腎盂がんといった悪性腫瘍です。がんが腎臓内にとどまっている場合、がんを含めて腎臓ごと摘出することで、根治を目指します。

がんの大きさや位置によっては、がんの部分だけを切除する「腎部分切除術」を選択することもありますが、がんが進行している場合や、技術的に部分切除が難しい場合には、腎臓全体を摘出する方法(根治的腎摘除術)が選択されます。

腎臓の悪性腫瘍の種類

腫瘍の種類発生する場所主な特徴
腎細胞がん腎臓の実質(尿を作る部分)腎臓がんの中で最も多い。初期は無症状。
腎盂がん腎盂(尿が集まる部分)血尿が出やすい。尿管や膀胱にも発生しやすい。

機能しなくなった腎臓(無機能腎)

病気やケガによって腎臓が本来の機能を全く果たせなくなった状態を「無機能腎」と呼びます。例えば、長期間にわたる水腎症(尿路の閉塞で腎臓に尿がたまる状態)や、重度の腎硬化症、慢性的な感染症などが原因です。

機能していない腎臓でも、放置すると高血圧や感染症、痛みの原因となることがあり、そのような場合には摘出を検討します。

重度の腎盂腎炎や腎結石

細菌感染による腎盂腎炎が重症化し、腎臓に膿がたまったり(腎膿瘍)、繰り返し感染を起こして腎臓の組織が破壊されたりする場合に、摘出が必要となることがあります。

また、大きな腎結石が腎臓の機能を著しく損ない、他の治療法では改善が見込めない場合も、摘出の対象となる可能性があります。

ただし、これらのケースで摘出に至るのは、抗生物質や内視鏡治療など、他の治療法を尽くしても効果がなかった場合に限られます。

腎臓移植のドナー(提供者)になる場合

ご自身の健康な腎臓の一つを、腎不全に苦しむ家族や親族などに提供する「生体腎移植」の場合も、腎臓摘出手術を受けます。

ドナーとなる方は、二つある腎臓のうち一つを提供しても、その後の日常生活に支障がないことを確認するために、事前に厳密な医学的検査を受けます。提供者の安全を最優先に考え、慎重に判断します。

腎臓摘出手術の流れと体への影響

実際に腎臓を摘出する手術はどのように進められるのでしょうか。手術前後の流れや、体にどのような変化が起こる可能性があるのかを知っておくことは、安心して治療に臨む上で大切です。

手術方法にもいくつかの選択肢があります。

手術前の準備と検査

手術の日程が決まると、安全に手術を行うために全身の状態を詳しく調べる検査を行います。これらの検査結果をもとに、麻酔の方法や手術の計画を立てます。

  • 血液検査・尿検査(腎機能、肝機能、貧血の有無などを確認)
  • 心電図・胸部X線写真(心臓や肺の状態を確認)
  • CT検査やMRI検査(腎臓や周囲の臓器、血管の位置を詳細に把握)
  • 呼吸機能検査(肺活量などを測定)

手術の方法(開腹手術と腹腔鏡下手術)

腎臓摘出手術には、大きく分けて「開腹手術」と「腹腔鏡下手術」の二つの方法があります。どちらの方法を選択するかは、患者さんの状態や病気の種類、がんの進行度などを総合的に判断して決定します。

最近では、患者さんの体への負担が少ない腹腔鏡下手術が主流になりつつあります。

手術方法の比較

項目開腹手術腹腔鏡下手術
傷の大きさ大きい(15~20cm程度)小さい(数か所の小さな穴と、腎臓を取り出す5cm程度の傷)
手術後の痛み比較的強い傾向比較的少ない傾向
回復までの期間比較的長い傾向比較的短い傾向(早期の社会復帰が可能)

手術後の入院期間と回復

手術後の入院期間は、手術方法や患者さんの回復具合によって異なりますが、一般的に腹腔鏡下手術の場合は約1週間から10日、開腹手術の場合はそれよりも少し長くなる傾向があります。

手術後は、傷の痛みをコントロールしながら、できるだけ早くベッドから離れて歩く練習を始めます。早期に体を動かすことは、合併症の予防や腸の動きの回復に繋がります。

手術に伴う合併症のリスク

どのような手術にも、ある一定の確率で合併症が起こる可能性があります。

腎臓摘出手術の場合、考えられる主な合併症には、出血、感染症、腸閉塞(腸の動きが悪くなる状態)、周囲の臓器(腸、脾臓、膵臓など)の損傷、肺塞栓症(足などにできた血の塊が肺の血管に詰まる病気)などがあります。

医療チームは、これらの合併症を予防し、万が一起こった場合にも迅速に対応できる体制を整えています。

腎臓が一つになった後の生活で気をつけること

腎臓がんやドナーとして腎臓を一つ摘出した後、残された一つの腎臓で生活していくことになります。健康な人であれば、腎臓は一つのままでも、二つあったときとほぼ変わらない働きを維持できます。

しかし、その唯一の腎臓を大切に守り、機能を長持ちさせるための工夫が、その後の人生において非常に重要になります。

残った腎臓の機能を守る重要性

腎臓が一つになると、残った腎臓が二つ分の働きを補おうとして、少し大きくなり(代償性肥大)、より多くの血液をろ過するようになります。

この状態が長期間続くと、腎臓に負担がかかり、将来的に機能が低下するリスクがわずかに高まると考えられています。そのため、腎臓に負担をかける生活習慣を避け、定期的に腎機能を確認することが大切です。

食事面での注意点(塩分・タンパク質)

腎臓の機能が正常に保たれている間は、厳しい食事制限は通常必要ありません。しかし、腎臓への負担を軽くするために、バランスの取れた食事を心がけることが基本です。

特に塩分の摂りすぎは、高血圧を引き起こし、腎臓に直接的なダメージを与えるため注意が必要です。タンパク質の過剰な摂取も、体内で老廃物を多く作り出し、腎臓の仕事量を増やすことに繋がります。

腎臓をいたわる食事のポイント

栄養素意識すること具体的な工夫
塩分減塩を心がけるだしや香辛料を活用する、加工食品を避ける
タンパク質適量を守る肉、魚、卵、大豆製品などをバランス良く摂る
カリウム(腎機能低下時)摂りすぎに注意野菜や果物の摂取方法を工夫する(茹でこぼしなど)

適度な運動と体重管理

肥満や運動不足は、高血圧や糖尿病といった生活習慣病の原因となり、これらは腎機能の低下を招く大きな要因です。ウォーキングや水泳などの有酸素運動を定期的に行うことは、血圧を安定させ、体重をコントロールする上で効果的です。

無理のない範囲で、継続できる運動習慣を見つけましょう。ただし、激しい接触プレーのあるスポーツ(ラグビー、柔道など)は、残った腎臓を損傷するリスクがあるため、避けた方が良い場合もあります。主治医と相談してください。

定期的な検査による健康チェック

腎臓が一つになった後は、自覚症状がなくても、定期的に医療機関を受診し、腎機能の状態を確認することが何よりも重要です。

年に1〜2回程度の血液検査(クレアチニン値の測定からeGFRを算出)と尿検査(尿タンパクの有無)を受けることで、腎機能の変化を早期に捉えることができます。また、血圧測定を習慣にすることも、腎臓を守る上で大切です。

腎臓が二つともなくなった場合に必要な腎代替療法

病気の進行などにより、やむを得ず二つとも腎臓を摘出したり、二つの腎臓の機能が著しく低下してしまったりした場合、自分の体の力だけでは生命を維持することができなくなります。このとき、失われた腎臓の働きを補うための治療が「腎代替療法」です。ここでは、なぜこの治療が必要になるのか、その基本的な考え方を解説します。

腎臓の機能が失われた状態とは

腎臓の機能が健康なときの30%以下に低下した状態を「腎不全」と呼びます。さらに機能低下が進行し、15%未満になると「末期腎不全」となり、自分の腎臓だけでは体内の環境を正常に保てなくなります。

この段階になると、体に様々な症状が現れます。

  • 老廃物がたまることによる倦怠感、吐き気、食欲不振(尿毒症症状)
  • 水分が排出できないことによる全身のむくみ、息切れ(心不全)
  • カリウムがたまることによる不整脈、心停止のリスク
  • 貧血の進行による動悸、めまい

なぜ腎代替療法が必要になるのか

腎臓の働きを代替する治療を行わなければ、尿毒症が進行し、最終的には命に関わる事態となります。腎代替療法は、血液中から老廃物や余分な水分を取り除き、電解質のバランスを整えることで、失われた腎臓の役割を肩代わりします。

これにより、尿毒症の症状を改善し、社会生活を送ることが可能になります。

治療法を選択する上での考え方

腎代替療法には、大きく分けて「透析治療」と「腎臓移植」の二つの選択肢があります。

どちらの治療法が適しているかは、患者さんご自身の医学的な状態はもちろんのこと、年齢、合併症の有無、そして何よりもご自身の生活スタイルや価値観、人生設計によって異なります。

医師や医療スタッフと十分に話し合い、ご自身やご家族にとって最も良い治療法を納得して選ぶことが重要です。

腎代替療法の選択肢

治療法主な特徴考慮すべき点
透析治療機械や腹膜を使って血液を浄化する。時間的な制約、食事や水分の管理が必要。
腎臓移植他者から提供された腎臓を移植する。ドナーが必要。手術が必要。免疫抑制剤を生涯服用。

腎代替療法の選択肢 透析治療

透析治療は、末期腎不全の標準的な治療法として広く行われています。人工的な方法で血液を浄化する治療で、「血液透析」と「腹膜透析」の二種類があります。

それぞれの方法に特徴があり、患者さんのライフスタイルに合わせて選択します。

血液透析(HD)の仕組みと特徴

血液透析は、腕の血管に作った「シャント」という専用の出入り口から血液を体外に取り出し、「ダイアライザー」と呼ばれる人工の膜(人工腎臓)を通して老廃物や余分な水分を除去したのち、きれいになった血液を再び体内に戻す治療法です。

一般的に、週に3回、病院やクリニックなどの医療機関に通院し、1回あたり4〜5時間の治療を受けます。

腹膜透析(PD)の仕組みと特徴

腹膜透析は、患者さん自身のお腹の中にある「腹膜」を利用して血液を浄化する方法です。お腹に埋め込んだ細いカテーテルから透析液を腹腔内に入れ、一定時間ためておきます。

すると、腹膜を介して血液中の老廃物や余分な水分が透析液側に移動します。その後、老廃物を含んだ透析液を体外に排出し、新しい透析液と交換します。

この交換作業は、主に自宅や職場などで行うことができ、日中の時間を有効に使えるという利点があります。

血液透析と腹膜透析の比較

項目血液透析(HD)腹膜透析(PD)
治療を行う場所医療機関自宅、職場など
治療の頻度・時間週3回、1回4〜5時間毎日、1日数回(または夜間就寝中)
食事・水分制限比較的厳しい傾向比較的緩やかな傾向

透析治療に伴う生活の変化

透析治療を始めると、生活にいくつかの変化が生じます。血液透析の場合は、決められた曜日に通院する必要があるため、生活が治療スケジュール中心になります。腹膜透析の場合は、自己管理が治療の基本となります。

どちらの方法でも、塩分、水分、カリウム、リンなどの摂取量を管理する食事療法が重要です。また、感染症などの合併症を予防するための注意も必要です。

透析治療のメリットと注意点

透析治療の最大のメリットは、腎臓移植のドナーがいなくても、末期腎不全になった場合に確実に受けることができる治療法である点です。これにより、多くの患者さんが生命を維持し、社会生活を続けることが可能になっています。

一方で、治療に伴う時間的な制約や、継続的な自己管理、食事制限などが負担となることもあります。また、長期的に見ると、心血管系の合併症などのリスク管理も重要になります。

腎代替療法の選択肢 腎臓移植

腎臓移植は、機能しなくなった自分の腎臓の代わりに、他者から提供された健康な腎臓を手術によって移植する治療法です。成功すれば、透析治療から解放され、食事制限も大幅に緩和されるなど、生活の質(QOL)の大きな改善が期待できます。

腎臓の提供者(ドナー)によって、「生体腎移植」と「献腎移植」に分けられます。

腎臓移植とはどのような治療法か

腎臓移植手術は、提供された腎臓を、患者さんの下腹部にある腸骨窩(ちょうこつか)というスペースに置くようにして設置し、腎臓の血管(腎動脈、腎静脈)と患者さんの血管をつなぎ合わせます。

また、腎臓と膀胱をつなぐ尿管も、患者さんの膀胱に吻合します。多くの場合、機能しなくなった自分のもともとの腎臓は、特に問題がなければ摘出せずにそのまま残しておきます。

生体腎移植と献腎移植の違い

生体腎移植は、ご家族や親族など、ご存命の方(生体ドナー)から二つのうち一つの腎臓を提供してもらう方法です。事前に計画を立てて手術を行える利点があります。

一方、献腎移植は、脳死や心停止により亡くなられた方(献腎ドナー)から腎臓の提供を受ける方法です。希望者は、日本臓器移植ネットワークに登録して、提供を待つことになります。

移植の種類と特徴

項目生体腎移植献腎移植
ドナー親族(6親等以内)、配偶者亡くなられた方(脳死・心停止)
待機期間ドナーがいれば比較的短い長い(平均約15年以上)
手術の予定計画的に行える緊急連絡で対応が必要

移植後の生活と免疫抑制剤

移植した腎臓(グラフト)が体内で拒絶反応を起こさないように、手術後は免疫抑制剤という薬を毎日欠かさず飲み続ける必要があります。

免疫抑制剤は、体の免疫力を抑えることで移植腎を守りますが、その結果として感染症にかかりやすくなるという側面もあります。そのため、手洗いやうがいなどの感染対策が非常に重要になります。

食事制限は大幅に緩和されますが、体重管理や血圧コントロールは引き続き大切です。

腎臓移植のメリットと注意点

腎臓移植の最大のメリットは、腎機能がほぼ正常に回復し、透析治療から離脱できることです。

これにより、食事や水分の制限が緩やかになり、通院の負担も減るため、学業や仕事、旅行など、より自由な社会生活を送ることが可能になります。

ただし、そのためには免疫抑制剤の生涯にわたる服用と、拒絶反応や感染症などのリスク管理が重要です。また、ドナーがいなければ受けることができないという大きな課題もあります。

よくある質問(Q&A)

腎臓の摘出やその後の治療に関して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。

腎臓を一つ摘出しても寿命は変わりませんか?

残ったもう一つの腎臓の機能が正常であれば、腎臓が一つになっても、寿命が直接的に短くなることはないと考えられています。実際に、腎臓を提供したドナーの方々も、一般の方と変わらない生活を送っています。

ただし、残った腎臓の機能を長期的に守っていくために、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を予防し、定期的な健康診断を受けることが非常に重要です。

腎臓摘出後、運動に制限はありますか?

手術後の回復期を過ぎれば、ほとんどの運動は可能です。ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動は、健康維持のためにむしろ推奨されます。

ただし、腹部に強い衝撃が加わる可能性のあるコンタクトスポーツ(ラグビー、空手、柔道など)や格闘技は、残った一つの腎臓を損傷するリスクを考慮し、避けるべきかどうかを主治医とよく相談する必要があります。

透析を始めたら一生続けないといけませんか?

慢性腎不全が原因で透析治療を始めた場合、残念ながら腎機能が自然に回復することはほとんど期待できません。そのため、透析治療は生涯にわたって継続する必要があります。

透析治療を中止できる唯一の方法は、腎臓移植を受けることです。腎臓移植が成功すれば、透析治療から離脱することが可能になります。

腎臓移植のドナーになれる条件はありますか?

生体腎移植のドナーになれるのは、原則として成人であり、自らの意思で腎臓の提供を希望していることが大前提です。

その上で、腎臓の機能が正常であること、高血圧や糖尿病、がん、感染症などの全身性の病気がないことなど、厳しい医学的な基準を満たす必要があります。

これは、何よりもドナー自身の安全を確保するためです。献腎移植のドナー登録には、年齢制限などはありませんが、ご本人の提供の意思表示が尊重されます。

以上

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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