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生理前のニキビはなぜ?ホルモンバランスと関係?原因と効果的な対策5選

生理前のニキビはなぜ?ホルモンバランスと関係?原因と効果的な対策5選

生理前になると決まって現れるニキビ。「またこの時期か…」と憂鬱な気分になる女性は少なくないでしょう。

この記事では、なぜ生理前にニキビができやすくなるのか、その主な原因であるホルモンバランスの変動を中心に解説します。

さらに、今日から実践できる具体的な対策を5つ厳選して紹介し、生理前の肌トラブルと上手に付き合うためのヒントを提供します。

この記事の執筆者

小林 智子(日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士)

小林 智子(こばやし ともこ)

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長

2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。

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目次

生理前のニキビとは?多くの女性が悩む肌トラブル

生理前のニキビは、月経前症候群(PMS)の一症状として現れることもあり、多くの女性が経験する肌の悩みです。特定の時期に繰り返し発生するため、その原因と特徴を理解することが対策の第一歩となります。

生理周期とニキビの発生時期

女性の体は、約28日周期でホルモンバランスが変動しています。特にニキビが発生しやすいのは、排卵後から生理開始までの黄体期と呼ばれる期間です。

この時期は、皮脂分泌を促すホルモンの影響が強まるため、毛穴が詰まりやすく、ニキビができやすい肌状態になります。生理が始まるとホルモンバランスが変化し、ニキビが改善に向かう傾向が見られます。

生理周期における肌状態の変化

時期主なホルモン肌状態の特徴
卵胞期(生理後~排卵前)エストロゲン(卵胞ホルモン)肌の調子が安定しやすい。うるおいがあり、バリア機能も高まる。
黄体期(排卵後~生理前)プロゲステロン(黄体ホルモン)皮脂分泌が活発化。肌が敏感になりやすく、ニキビや肌荒れが起こりやすい。
月経期(生理中)両ホルモンが低下肌が乾燥しやすくデリケート。血行不良によるくすみも。

生理前にニキビができやすい場所

生理前のニキビは、顔の特定の部分にできやすい傾向があります。特に、皮脂腺が多いTゾーン(額、鼻)や、ホルモンバランスの影響を受けやすいとされるUゾーン(顎、口周り)に集中しやすいのが特徴です。

これらの部位は、男性ホルモンの影響も受けやすく、皮脂分泌が活発なため、毛穴詰まりからニキビへと発展しやすいのです。また、フェイスラインに繰り返しできるニキビも、生理前のホルモン変動と関連が深いと考えられています。

大人ニキビとの違いと共通点

思春期ニキビが主に過剰な皮脂分泌によってTゾーンにできるのに対し、大人ニキビは乾燥やストレス、生活習慣の乱れなど、様々な要因が複雑に絡み合って発生します。

生理前のニキビは、大人ニキビの一種と捉えることができますが、特にホルモンバランスの周期的変動が大きく関与している点で特徴づけられます。

共通点としては、どちらも毛穴の詰まり、アクネ菌の増殖、炎症がニキビの基本的な発生要因であることです。しかし、生理前のニキビは特定の時期に悪化しやすいという点を理解し、その時期に合わせたケアを行うことが重要です。

ニキビの種類と主な特徴

種類好発年齢主な原因
思春期ニキビ10代成長ホルモンによる皮脂過剰
大人ニキビ20代以降乾燥、ストレス、ホルモンバランス、生活習慣
生理前ニキビ月経のある女性黄体ホルモンの増加、ホルモンバランスの変動

なぜ生理前にニキビが悪化するの?主な原因を探る

生理前にニキビが悪化する背景には、いくつかの要因が複雑に絡み合っています。その中でも、女性ホルモンの周期的な変動が最も大きな影響を与えていると考えられています。

ここでは、生理前にニキビができやすくなる主な原因を詳しく見ていきましょう。

ホルモンバランスの変動が最大の要因

女性の体は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2つの主要な女性ホルモンによってコントロールされています。

これらのホルモンは、生理周期に伴って分泌量が大きく変動し、肌の状態にも多大な影響を及ぼします。

プロゲステロン(黄体ホルモン)の影響

排卵後から生理前にかけて分泌量が増加するのがプロゲステロンです。このホルモンには、皮脂腺の働きを活発にする作用があります。皮脂の分泌量が増えると、毛穴が詰まりやすくなり、ニキビの直接的な原因となります。

また、プロゲステロンは角質を厚くする性質も持つため、毛穴の出口が塞がれやすくなることも、ニキビを誘発する一因です。

さらに、体温を上昇させたり、精神的に不安定にさせたりする作用もあり、これらが間接的にニキビを悪化させることもあります。

エストロゲン(卵胞ホルモン)の減少

一方、エストロゲンは、肌のうるおいやハリを保ち、コラーゲンの生成を促すなど、美肌に欠かせないホルモンです。生理前にはこのエストロゲンの分泌量が減少します。

その結果、肌のバリア機能が低下し、乾燥しやすくなったり、外部からの刺激に敏感になったりします。肌の抵抗力が弱まると、わずかな刺激でも炎症を起こしやすくなり、ニキビの発生や悪化につながります。

ホルモンバランスと皮脂・角質の変化

ホルモン生理前の変化肌への主な影響
プロゲステロン増加皮脂分泌促進、角質肥厚
エストロゲン減少バリア機能低下、乾燥促進

皮脂分泌の増加と毛穴の詰まり

前述の通り、生理前はプロゲステロンの影響で皮脂の分泌が活発になります。過剰に分泌された皮脂は、古い角質やメイク汚れなどと混ざり合い、毛穴を詰まらせる「コメド(面皰)」を形成します。

このコメドがニキビの初期段階です。毛穴が詰まった状態が続くと、内部でアクネ菌が増殖しやすくなり、炎症を伴う赤いニキビや、膿を持った黄ニキビへと進行してしまいます。

ストレスや睡眠不足の影響

現代社会において、ストレスは多くの健康問題の原因となりますが、ニキビも例外ではありません。ストレスを感じると、体内でコルチゾールというホルモンが分泌されます。

コルチゾールは、男性ホルモンの分泌を促し、皮脂の過剰な分泌を引き起こすことがあります。また、自律神経のバランスを乱し、免疫力の低下や血行不良を招くことも、肌状態を悪化させる要因となります。

睡眠不足も同様に、肌のターンオーバーを乱し、ホルモンバランスにも悪影響を与えるため、ニキビができやすい状態を作り出します。

食生活の乱れとニキビの関係

食生活の乱れも、生理前のニキビを悪化させる要因の一つです。特に、脂質の多い食事や糖分の過剰摂取は、皮脂の分泌を増やし、ニキビをできやすくすると言われています。

また、ビタミンやミネラルが不足すると、肌の健康を維持する機能が低下し、肌荒れやニキビにつながることがあります。腸内環境の悪化も、肌状態に影響を与えるため、便秘がちな人はニキビができやすい傾向にあります。

ニキビとの関連が指摘される食品群

食品カテゴリ影響の可能性理由(一例)
高GI食品(白米、パン、砂糖菓子など)皮脂分泌を増やす可能性血糖値の急上昇がインスリン分泌を促し、皮脂腺を刺激
乳製品(牛乳、チーズなど)一部の人で悪化の可能性IGF-1(インスリン様成長因子1)を介した影響
脂質の多い食品(揚げ物、スナック菓子など)皮脂の質を悪化させる可能性過剰な脂質摂取は皮脂腺の活動に影響

ただし、食品とニキビの関係には個人差が大きいため、特定の食品を過度に避けるのではなく、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。

生理前のニキビを悪化させないための生活習慣

生理前のニキビはホルモンバランスの影響が大きいため、完全になくすことは難しいかもしれません。しかし、日々の生活習慣を見直すことで、ニキビの悪化を防ぎ、症状を軽減することは可能です。

ここでは、食事、睡眠、ストレス管理の3つの観点から、具体的な対策を紹介します。

バランスの取れた食事を心がける

健康な肌を育むためには、体の内側からのケア、つまり食事が非常に重要です。特に生理前は、栄養バランスの偏りが肌状態に影響しやすいため、意識して食事内容を見直しましょう。

積極的に摂りたい栄養素

肌のターンオーバーを整え、炎症を抑える働きのある栄養素を積極的に摂取することが推奨されます。

  • ビタミンB群(B2、B6):皮脂の分泌をコントロールし、皮膚や粘膜の健康を維持します。レバー、魚介類、豆類、緑黄色野菜などに多く含まれます。
  • ビタミンC:コラーゲンの生成を助け、抗酸化作用により肌の老化を防ぎます。また、ストレスへの抵抗力を高める働きもあります。果物、野菜、いも類に豊富です。
  • ビタミンE:血行を促進し、肌のターンオーバーをサポートします。ナッツ類、植物油、アボカドなどに含まれます。
  • 食物繊維:腸内環境を整え、便秘を改善することで、肌荒れの予防につながります。野菜、きのこ類、海藻類、豆類に多く含まれます。

摂取を心がけたい栄養素と主な食品

栄養素主な働き多く含む食品例
ビタミンB2皮脂コントロール、皮膚・粘膜保護レバー、うなぎ、納豆、乳製品
ビタミンB6タンパク質代謝、皮膚炎予防マグロ、カツオ、鶏肉、バナナ
亜鉛皮膚の新陳代謝促進、免疫力向上牡蠣、豚レバー、牛肉、ナッツ類

避けたい食べ物・飲み物

一方で、ニキビを悪化させる可能性のある食品の摂取は控えめにしましょう。脂質の多い揚げ物やスナック菓子、糖分を多く含む甘いもの、刺激の強い香辛料などは、皮脂の過剰分泌を招いたり、炎症を悪化させたりすることがあります。

また、カフェインの摂りすぎは睡眠の質を低下させる可能性があるので注意が必要です。アルコールも、適量を超えると肌の乾燥や炎症を引き起こすことがあります。

質の高い睡眠を確保する

睡眠は、肌の再生と修復に欠かせない時間です。睡眠中に分泌される成長ホルモンは、肌のターンオーバーを促し、日中に受けたダメージを修復する働きがあります。

睡眠不足が続くと、この成長ホルモンの分泌が減少し、肌の再生能力が低下。結果として、ニキビができやすくなったり、治りにくくなったりします。

質の高い睡眠のためには、毎日同じ時間に寝起きする、寝る前にスマートフォンやパソコンの使用を控える、カフェインの摂取を避ける、自分に合った寝具を選ぶなどの工夫が有効です。

特に、入眠後最初の3時間に深い眠り(ノンレム睡眠)を得ることが、成長ホルモンの分泌には重要とされています。

ストレスを上手に解消する方法

ストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂分泌を増加させるなど、ニキビにとって大敵です。日常生活でストレスを完全になくすことは難しいですが、自分なりの解消法を見つけて、上手に付き合っていくことが大切です。

ストレス解消のヒント

  • 適度な運動(ウォーキング、ヨガなど)
  • 趣味の時間を楽しむ(音楽鑑賞、読書、映画など)
  • 親しい友人や家族と話す
  • アロマテラピーや入浴でリラックスする
  • 十分な休息をとる

大切なのは、自分が心地よいと感じる方法で、心と体をリフレッシュさせることです。短時間でも良いので、意識的にリラックスする時間を作りましょう。

効果的なスキンケア対策5選

生理前の肌は非常にデリケートで、普段と同じスキンケアでは対応しきれないことがあります。この時期特有の肌状態に合わせた、効果的なスキンケア対策を5つ紹介します。

これらの対策を実践することで、生理前のニキビの発生を抑え、悪化を防ぐことが期待できます。

丁寧なクレンジングと洗顔

生理前は皮脂分泌が増加するため、毛穴に皮脂や汚れが詰まりやすくなります。そのため、毎日のクレンジングと洗顔で、肌を清潔に保つことが基本中の基本です。

しかし、ゴシゴシと強くこするのは禁物。肌への摩擦はバリア機能を低下させ、かえってニキビを悪化させる原因になります。

肌に優しい洗顔料の選び方

洗顔料は、低刺激性で保湿成分が配合されたものを選びましょう。洗浄力が強すぎるものは、肌に必要な皮脂まで奪ってしまい、乾燥を招くことがあります。

泡で出てくるタイプや、よく泡立てて使うタイプの洗顔料は、肌への摩擦を軽減できるためおすすめです。洗顔時は、たっぷりの泡で顔を包み込むように優しく洗い、ぬるま湯で丁寧にすすぎましょう。

洗顔料が肌に残らないように、髪の生え際やフェイスラインもしっかりすすぐことが大切です。洗顔の回数は、朝晩の2回が基本です。洗いすぎも肌の乾燥を招くので注意しましょう。

十分な保湿で肌のバリア機能を高める

生理前はエストロゲンの減少により、肌が乾燥しやすく、バリア機能が低下しがちです。肌が乾燥すると、角質が硬くなり毛穴が詰まりやすくなるだけでなく、外部からの刺激にも敏感になります。

そのため、洗顔後はすぐに化粧水で水分を補給し、乳液やクリームで油分を補い、水分の蒸発を防ぐことが重要です。

保湿ケア用品は、セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲンなどの保湿成分が配合されたものを選ぶと良いでしょう。特に敏感になっている時期は、アルコールフリーや無香料、無着色といった低刺激処方の製品を選ぶと安心です。

化粧水は手で優しくパッティングするように、肌にじっくりとなじませます。乾燥が気になる部分には重ね付けするのも効果的です。

スキンケアの基本ステップとポイント

ステップ目的ポイント
クレンジングメイクや皮脂汚れを落とす肌に優しいタイプを選び、摩擦を避ける
洗顔余分な皮脂や古い角質を落とすよく泡立て、優しく洗い、丁寧にすすぐ
保湿(化粧水・乳液・クリーム)水分と油分を補い、バリア機能を保つ保湿成分配合のものを選び、しっかりなじませる

ニキビができやすい時期のスペシャルケア

生理前のニキビができやすい時期には、普段のケアに加えて、ニキビ予防に特化したアイテムを取り入れるのも一つの方法です。

例えば、抗炎症成分や殺菌成分が配合されたニキビ用化粧水や美容液を部分的に使用したり、皮脂吸着効果のあるクレイパックを週に1~2回行ったりするのも良いでしょう。

ただし、肌が敏感になっている時期なので、新しい化粧品を試す際は、まず少量でパッチテストを行い、肌に合うか確認してから使用するようにしましょう。刺激を感じた場合はすぐに使用を中止してください。

刺激の少ない化粧品の選択

生理前の肌は、普段よりも刺激に対して敏感になっています。そのため、使用する化粧品はできるだけ刺激の少ないものを選ぶことが大切です。

ファンデーションなどのメイクアップ製品も、ノンコメドジェニックテスト済み(ニキビのもとになりにくいことを確認済み)のものや、石鹸で落とせるミネラルファンデーションなどを選ぶと、肌への負担を軽減できます。

また、化粧用具(パフやブラシ)を清潔に保つことも重要です。汚れた化粧用具は雑菌の温床となり、ニキビを悪化させる原因になります。こまめに洗浄し、清潔な状態を保ちましょう。

低刺激な化粧品選びのチェックポイント

チェック項目説明
ノンコメドジェニックテスト済みニキビの初期段階であるコメドができにくい処方
アレルギーテスト済みアレルギー反応が起こりにくいことを確認(全ての人に起こらないわけではない)
無香料・無着色・アルコールフリー刺激となりうる可能性のある成分を配合していない

紫外線対策の重要性

紫外線は、季節を問わず肌に様々な悪影響を与えます。ニキビにとっても例外ではなく、紫外線を浴びることでニキビが悪化したり、ニキビ跡が色素沈着しやすくなったりします。

生理前で肌が敏感になっている時期こそ、しっかりとした紫外線対策が必要です。

外出時はもちろん、室内でも窓から紫外線は入ってくるため、日焼け止めを塗る習慣をつけましょう。日焼け止めは、SPF値やPA値を確認し、シーンに合わせて適切なものを選びます。

肌への負担を考慮し、紫外線吸収剤フリー(ノンケミカル処方)のものや、敏感肌用の製品を選ぶのも良いでしょう。また、日傘や帽子、サングラスなどを併用するのも効果的です。

紫外線対策のポイント

  • 日焼け止めは年間を通して使用する
  • 2~3時間おきに塗り直す
  • 肌に優しいタイプを選ぶ
  • 物理的な遮光(帽子、日傘など)も活用する

生理前のニキビと上手に付き合うために知っておきたいこと

生理前のニキビは、ホルモンバランスという自分ではコントロールしにくい要因が絡んでいるため、完全に防ぐのは難しい側面もあります。

しかし、正しい知識を持ち、適切な対処をすることで、症状の悪化を防ぎ、ニキビ跡などのトラブルを最小限に抑えることができます。

ニキビを自分で潰すのはNG

ニキビができると気になってしまい、ついつい手で触ったり、潰したりしたくなるかもしれません。

しかし、ニキビを自分で潰すのは絶対にやめましょう。指や爪には雑菌が多く付着しており、ニキビを潰すことで雑菌が毛穴に入り込み、炎症を悪化させる可能性があります。

また、無理に潰すと皮膚組織を傷つけてしまい、クレーターのようなニキビ跡や色素沈着を残す原因にもなります。

ニキビが気になる場合は、触らずに、適切なスキンケアを行い、自然に治癒するのを待つか、症状がひどい場合は皮膚科医に相談しましょう。

基礎体温の記録とニキビの関連性

基礎体温を毎日記録することは、自分の生理周期やホルモンバランスの状態を把握するのに役立ちます。基礎体温は、排卵を境に低温期と高温期に分かれます。

一般的に、プロゲステロンの分泌が増える高温期(黄体期)にニキビができやすくなるため、基礎体温のグラフを見ることで、ニキビができやすい時期を予測しやすくなります。

ニキビができやすい時期が事前に分かれば、その期間は特に念入りなスキンケアを心がけたり、生活習慣に気を配ったりするなど、早めの対策をとることができます。

基礎体温の記録は、婦人体温計を使って毎朝同じ時間に舌の下で測定するのが基本です。最近では、記録やグラフ化を簡単に行えるスマートフォンアプリも多数ありますので、活用してみるのも良いでしょう。

ピルによるニキビ治療の可能性

低用量ピル(経口避妊薬)は、避妊目的だけでなく、月経困難症や子宮内膜症の治療、そしてニキビ治療にも用いられることがあります。

ピルには、卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれており、服用することで体内のホルモンバランスを安定させ、排卵を抑制する効果があります。

これにより、プロゲステロンの急激な増加を抑え、皮脂の過剰な分泌を抑制し、ニキビの改善が期待できる場合があります。

ただし、ピルには血栓症などの副作用のリスクもあり、誰にでも適しているわけではありません。また、ニキビ治療を目的としてピルを使用する場合でも、医師の診断と処方が必要です。

生理前のニキビがひどく、他の治療法でなかなか改善しない場合は、一度婦人科医や皮膚科医に相談し、ピル治療が選択肢の一つとなり得るか、メリットとデメリットについて詳しい説明を受けることを検討してみましょう。

それでも改善しない場合は?皮膚科医に相談する目安

セルフケアを続けていても、生理前のニキビがなかなか改善しない、あるいは悪化してしまう場合は、皮膚科医に相談することを考えましょう。

専門家のアドバイスや治療を受けることで、より効果的にニキビに対処できる可能性があります。

症状が長引く、または悪化する場合

生理が終わってもニキビが改善しない、あるいは生理周期に関わらず常にニキビができている、セルフケアをしても症状が悪化する一方だ、といった場合は、皮膚科医の診察を受けることをおすすめします。

自己判断でケアを続けていると、かえって症状をこじらせてしまったり、ニキビ跡が残ってしまったりする可能性があります。

炎症が強い、痛みを伴うニキビ

赤く大きく腫れ上がったニキビや、触ると痛みを伴うニキビ、膿が溜まっているようなニキビは、炎症が強く進行しているサインです。

このような状態のニキビは、セルフケアだけでは改善が難しく、ニキビ跡も残りやすいため、早めに皮膚科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。

皮膚科では、炎症を抑えるための外用薬や内服薬の処方、面皰圧出(めんぽうあっしゅつ:毛穴に詰まった皮脂や膿を専用の器具で押し出す治療)など、症状に合わせた治療を行います。

皮膚科受診を検討するニキビの状態

ニキビの状態主な特徴受診の目安
炎症性の赤いニキビが多い赤く腫れ、触ると少し痛む数が増えたり、治りにくかったりする場合
化膿した黄ニキビがある中心に黄色い膿が見える1つでもできたら早めの受診が望ましい
しこりのある硬いニキビ皮膚の深い部分で炎症、治りにくい跡に残りやすいため、早期の相談を推奨

ニキビ跡が心配な場合

ニキビが治った後に、シミのような色素沈着や、クレーターのような凹凸が残ってしまうことがあります。これらはニキビ跡と呼ばれ、一度できてしまうとセルフケアで完全に消すのは難しい場合が多いです。

ニキビ跡を予防するためには、まずニキビを悪化させないこと、そして炎症が強いニキビは早めに治療することが重要です。

すでにニキビ跡ができてしまい悩んでいる場合も、皮膚科で相談することで、ケミカルピーリングやレーザー治療など、状態に合わせた治療法の提案を受けられる可能性があります。

よくある質問 (Q&A)

生理前のニキビに関して、多くの方が疑問に思うことや不安に感じる点をQ&A形式でまとめました。ご自身の状況と照らし合わせながら、参考にしてください。

生理前のニキビはいつ頃治まりますか?

一般的に、生理前のニキビは生理が始まるとホルモンバランスが変化するため、徐々に改善に向かうことが多いです。プロゲステロンの分泌が減少し、エストロゲンの影響が相対的に強まることで、皮脂の分泌が落ち着き、肌の状態が安定してくるためです。

しかし、個人差があり、生理が終わってもすぐには治まらない場合や、生活習慣の乱れなど他の要因が絡んでいる場合は、改善に時間がかかることもあります。

数日~1週間程度で軽快することが多いですが、長引く場合は他の原因も考えられます。

生理前のニキビ対策はいつから始めるべきですか?

生理前のニキビ対策は、ニキビができやすい時期(黄体期)に入る少し前から意識して始めるのが効果的です。基礎体温を記録している場合は、排卵後、体温が高温期に入ったタイミングを目安にすると良いでしょう。

具体的には、生理予定日の1週間~10日前くらいから、食事内容に気を配ったり、スキンケアをより丁寧に行ったり、十分な睡眠を心がけたりするなどの対策を始めると、ニキビの発生や悪化を抑えるのに役立ちます。

日頃からバランスの取れた生活を送ることが、最も基本的な対策と言えます。

食生活以外で気をつけることはありますか?

食生活以外では、質の高い睡眠の確保、ストレスを溜め込まないこと、適切なスキンケアが重要です。睡眠不足は肌のターンオーバーを乱し、ホルモンバランスにも影響します。

ストレスは皮脂分泌を促進し、免疫力を低下させるため、自分なりのリフレッシュ方法を見つけることが大切です。スキンケアでは、肌を清潔に保ち、しっかりと保湿することが基本です。

また、無意識に顔を触る癖がある人は、手に付着した雑菌がニキビを悪化させる原因になるため、注意が必要です。枕カバーやタオルなど、肌に直接触れるものを清潔に保つことも心がけましょう。

ニキビができにくいファンデーションはありますか?

ニキビができやすい時期や、ニキビが気になる場合は、肌への負担が少ないファンデーションを選ぶことが大切です。「ノンコメドジェニックテスト済み」と表示のある製品は、ニキビのもと(コメド)ができにくいように配慮されているため、一つの目安になります。

また、油分の少ないパウダーファンデーションや、石鹸で落とせるミネラルファンデーションなども、比較的肌への負担が軽いとされています。

リキッドタイプやクリームタイプを使用する場合は、厚塗りにならないように注意し、クレンジングでしっかりと落とすことが重要です。自分の肌質やニキビの状態に合わせて、最適なものを選びましょう。

ファンデーション選びのポイント

ポイント説明
ノンコメドジェニックテスト済みニキビの発生リスクを低減するよう設計
ミネラルファンデーション天然鉱物主成分で、比較的肌に優しいとされる
パウダータイプ油分が少なく、さっぱりとした使用感
薄付きでカバーできるもの厚塗りは毛穴を塞ぎやすいため避ける

以上

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参考文献

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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