鏡を見るたびにため息が出る、治ったと思ってもまた繰り返すしつこいニキビ。
「どうして私だけ治らないの?」と悩んでいませんか。ニキビがなかなか改善しない背景には、ホルモンバランスの乱れや間違ったスキンケア、生活習慣など、様々な原因が隠れていることがあります。
この記事では、ニキビが治らない主な原因を詳しく解説し、ついやってしまいがちなNGケア、そして今日からできる正しい対処法について、あなたの悩みに寄り添いながら丁寧に説明します。
諦める前に、まずは原因を知り、適切なケアを始めましょう。
この記事の執筆者

小林 智子(こばやし ともこ)
日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・医学博士
こばとも皮膚科院長
2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科入局。同大学大学院博士課程修了後、アメリカノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行う。専門は一般皮膚科、アレルギー、抗加齢、美容皮膚科。雑誌を中心にメディアにも多数出演。著書に『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)など。
こばとも皮膚科関連医療機関
しつこいニキビの悩み いつまで続くの?
多くの女性が経験するニキビの悩み。特に、一度できると治りにくかったり、繰り返し発生したりするニキビは、精神的な負担も大きいです。まずは、ご自身のニキビの状態を正しく把握することが大切です。
ニキビが治りにくいと感じるサイン
ニキビが治りにくいと感じる背景には、いくつかのサインがあります。
例えば、同じ場所に繰り返しニキビができる、炎症が長引いて赤みや痛みが続く、市販薬を試しても効果を感じにくい、といった場合は、単なる一時的な肌荒れではない可能性があります。
また、ニキビの数が増えたり、広範囲に広がったりする場合も、注意が必要です。これらのサインを見逃さず、早めに対処を考えることが、ニキビの長期化や悪化を防ぐ鍵となります。
ニキビの種類と治りやすさの違い
ニキビにはいくつかの種類があり、それぞれ特徴や治りやすさが異なります。自分のニキビがどのタイプかを知ることは、適切なケアを選ぶ上で重要です。
ニキビの主な種類と特徴
ニキビの種類 | 主な特徴 | 治りやすさの目安 |
---|---|---|
白ニキビ(閉鎖面皰) | 毛穴が詰まり、皮脂が白く見える状態。炎症はなし。 | 比較的早期に改善しやすい。 |
黒ニキビ(開放面皰) | 毛穴が開き、酸化した皮脂が黒く見える状態。炎症はなし。 | 白ニキビ同様、比較的早期に改善しやすい。 |
赤ニキビ(炎症性丘疹) | 毛穴の中でアクネ菌が増殖し、炎症を起こして赤く腫れた状態。 | 炎症を伴うため、治るまでに時間がかかることがある。 |
黄ニキビ(膿疱性痤瘡) | 炎症が悪化し、膿が溜まって黄色く見える状態。 | 炎症が強く、跡に残りやすいため、適切なケアが重要。 |
初期段階の白ニキビや黒ニキビは、比較的治りやすい傾向にありますが、炎症を伴う赤ニキビや黄ニキビは、治癒に時間がかかり、場合によってはニキビ跡が残るリスクも高まります。
放置するとどうなる?ニキビ跡のリスク
ニキビを放置したり、無理に自分で潰したりすると、炎症が悪化し、ニキビ跡として残ってしまうことがあります。
ニキビ跡には、赤みが残るタイプ、茶色いシミのようになる色素沈着タイプ、そして皮膚が凹んでしまうクレータータイプなどがあります。
特にクレーター状のニキビ跡は、一度できてしまうとセルフケアでの改善が難しく、治療にも時間と費用がかかることが多いです。ニキビの段階で適切なケアを行い、ニキビ跡を作らないようにすることが何よりも大切です。
ニキビが治らない主な原因を探る
「スキンケアを頑張っているのに、どうしてニキビが治らないんだろう?」そのように感じる方は少なくありません。
ニキビが治らない背景には、単純な肌表面の問題だけでなく、体の内側からの影響や生活習慣が複雑に絡み合っている場合があります。ここでは、ニキビが治らない主な原因について詳しく見ていきましょう。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れは、ニキビの大きな原因の一つです。
特に女性の場合、生理周期やストレス、睡眠不足などによってホルモンバランスが変動しやすく、それが皮脂の分泌過剰や角質の異常を引き起こし、ニキビの発生や悪化につながります。
生理周期とニキビ
生理前になるとニキビができやすくなる、という経験を持つ女性は多いのではないでしょうか。
これは、排卵後から生理前にかけて黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が増加するためです。黄体ホルモンは皮脂の分泌を促進する作用があるため、毛穴が詰まりやすくなり、ニキビが発生しやすくなります。
また、生理不順や無月経など、ホルモンバランスが大きく乱れている場合は、ニキビが慢性化しやすい傾向があります。
ストレスとホルモン
現代社会において、ストレスは避けられないものかもしれません。しかし、過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、結果としてホルモンバランスにも影響を与えます。
ストレスを感じると、体内で男性ホルモンの一種であるアンドロゲンや副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の分泌が増加します。これらのホルモンも皮脂腺を刺激し、皮脂の分泌を活発にするため、ニキビの原因となります。
また、ストレスは免疫力の低下も招き、ニキビの炎症を悪化させることもあります。
ストレスサインの例
- 寝つきが悪い、途中で目が覚める
- イライラしやすい、気分が落ち込みやすい
- 食欲不振または過食
- 頭痛や肩こりが続く
間違ったスキンケア
良かれと思って行っているスキンケアが、実はニキビを悪化させる原因になっていることもあります。肌質に合わないケアや、過度なケアは、肌のバリア機能を低下させ、ニキビができやすい状態を招きます。
洗顔のしすぎ・不足
ニキビができると、つい皮脂を落とそうとゴシゴシ洗顔したり、一日に何度も洗顔したりしがちです。しかし、過度な洗顔は肌に必要な皮脂まで奪い去り、乾燥を招きます。
肌が乾燥すると、かえって皮脂分泌が過剰になることがあるため、逆効果です。逆に、洗顔不足で古い角質や余分な皮脂、メイク汚れなどが毛穴に残っていると、毛穴詰まりの原因となり、ニキビを誘発します。
正しい洗顔方法で、適度な回数を守ることが大切です。
保湿ケアの誤解
「ニキビ肌だから、保湿は控えめに」と考えている方もいるかもしれませんが、これは大きな誤解です。肌の乾燥はバリア機能の低下を招き、外部からの刺激に弱くなるだけでなく、皮脂の過剰分泌を引き起こすこともあります。
ニキビ肌であっても、適切な保湿は必要です。ただし、油分の多いクリームなどではなく、さっぱりとした使用感で、肌に水分を補給できるような保湿剤を選ぶことがポイントです。
自分に合わない化粧品の使用
化粧品に含まれる成分が肌に合わず、刺激となってニキビを引き起こしたり、悪化させたりすることがあります。特に、油分の多いファンデーションや、毛穴を塞ぎやすい成分が含まれている化粧品は注意が必要です。
新しい化粧品を試す際は、まず腕の内側などでパッチテストを行い、肌に異常が出ないか確認することをおすすめします。
また、ニキビができている時は、できるだけ肌への負担が少ない、ノンコメドジェニックテスト済みの製品を選ぶと良いでしょう。
間違ったスキンケアの例とその影響
間違ったスキンケア | 主な影響 | 考えられる結果 |
---|---|---|
洗浄力の強すぎる洗顔料の使用 | 必要な皮脂まで除去し、乾燥を招く | バリア機能低下、皮脂の過剰分泌 |
保湿を全くしない | 肌の乾燥、バリア機能低下 | 外部刺激に弱くなる、ニキビの悪化 |
毛穴パックの頻繁な使用 | 肌への刺激、角質層の損傷 | 乾燥、毛穴の開き、炎症 |
生活習慣の乱れ
日々の生活習慣も、肌の状態に大きく影響します。不規則な生活や偏った食事、睡眠不足などは、体の内側からニキビの原因を作り出してしまいます。
食生活の偏り
脂質の多い食事や糖質の摂りすぎは、皮脂の分泌を増加させ、ニキビを悪化させる可能性があります。また、ビタミンやミネラルが不足すると、肌のターンオーバーが乱れたり、炎症が起こりやすくなったりします。
バランスの取れた食事を心がけ、特に肌の健康維持に役立つビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、亜鉛などを積極的に摂取することが大切です。インスタント食品やファストフード、スナック菓子などの加工食品の摂りすぎにも注意しましょう。
睡眠不足の影響
睡眠中は、肌の修復や再生が行われる大切な時間です。睡眠不足が続くと、成長ホルモンの分泌が減少し、肌のターンオーバーが乱れてしまいます。その結果、古い角質が剥がれ落ちにくくなり、毛穴が詰まりやすくなってニキビの原因となります。
また、睡眠不足はストレスホルモンの増加にもつながり、皮脂分泌を促進させることもあります。質の高い睡眠を十分にとることが、健やかな肌を保つためには重要です。
運動不足と血行不良
適度な運動は、血行を促進し、新陳代謝を高める効果があります。血行が良くなると、肌細胞に必要な栄養素や酸素が届きやすくなり、老廃物の排出もスムーズになります。
逆に、運動不足で血行が悪くなると、肌のターンオーバーが滞り、ニキビができやすくなることがあります。また、運動不足はストレス解消の機会を減らし、間接的にニキビに影響を与えることもあります。
ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で体を動かす習慣を取り入れましょう。
その他の要因
ホルモンバランスやスキンケア、生活習慣以外にも、ニキビの原因となる要因はいくつか存在します。
遺伝的要素
ニキビのできやすさには、遺伝的な体質も関係していると考えられています。
皮脂腺の大きさや数、皮脂の分泌量、角質層の厚さなどは、ある程度遺伝によって左右されるため、両親や兄弟姉妹にニキビができやすい人がいる場合、本人もニキビができやすい傾向があるかもしれません。
ただし、遺伝的要素が全てではなく、適切なケアや生活習慣の改善によって、ニキビの発生を抑えることは可能です。
腸内環境の悪化
腸内環境と肌の状態は密接に関連しています。「肌は腸の鏡」とも言われるように、腸内環境が悪化すると、有害物質が体内に蓄積しやすくなり、それが肌荒れやニキビとして現れることがあります。
便秘がちな人や、お腹の調子が悪い人は、腸内環境が乱れている可能性があります。善玉菌を増やす食事を心がけ、腸内環境を整えることが、ニキビ改善にもつながります。
腸内環境を整えるのに役立つ食品例
- ヨーグルト、納豆、キムチなどの発酵食品
- きのこ類、海藻類、野菜などの食物繊維が豊富な食品
- オリゴ糖
マスクによる摩擦や蒸れ
近年、マスクの着用が日常的になったことで、「マスクネ」と呼ばれるニキビに悩む人が増えています。マスクの内側は、呼気によって湿度と温度が上がりやすく、雑菌が繁殖しやすい環境です。
また、マスクの繊維が肌と擦れることで刺激となり、バリア機能が低下し、ニキビができやすくなります。
長時間のマスク着用は避けられない場合でも、こまめに汗を拭いたり、通気性の良い素材のマスクを選んだり、肌に優しいインナーマスクを使用したりするなどの工夫が大切です。
やってはいけない!ニキビを悪化させるNGケア
ニキビを早く治したい一心で、ついやってしまいがちな行動が、かえってニキビを悪化させたり、治りを遅らせたりすることがあります。ここでは、ニキビがある時に避けるべきNGケアについて解説します。
ニキビを自分で潰す行為
ニキビを見つけると、気になって指や爪で潰してしまう人がいますが、これは絶対に避けるべき行為です。
無理に潰すと、毛穴の周りの皮膚組織を傷つけてしまい、炎症を悪化させるだけでなく、細菌が入り込んでさらに化膿したり、ニキビ跡が残ったりするリスクが高まります。
特に、炎症を起こしている赤ニキビや黄ニキビを潰すのは非常に危険です。ニキビが気になる場合は、触らずに専門医に相談することをおすすめします。
ゴシゴシ洗顔や頻繁なスクラブ
ニキビの原因となる皮脂や汚れをしっかり落としたいという気持ちから、洗顔時に力を入れてゴシゴシこすったり、スクラブ入りの洗顔料を頻繁に使用したりする人がいます。
しかし、これらの行為は肌に必要な角質まで剥がしてしまい、肌のバリア機能を低下させます。
バリア機能が弱まると、肌は外部からの刺激に敏感になり、乾燥しやすくなるため、かえってニキビが悪化したり、新たなニキビができやすくなったりします。
洗顔は、たっぷりの泡で優しく包み込むように行い、スクラブの使用は肌の状態を見ながら週に1~2回程度に留めるのが賢明です。
油分の多い化粧品やファンデーションの厚塗り
ニキビを隠そうとして、油分の多いリキッドファンデーションやコンシーラーを厚塗りすると、毛穴を塞いでしまい、ニキビの悪化を招くことがあります。また、油分の多い化粧品はアクネ菌の栄養源となり、増殖を促す可能性もあります。
ニキビがある時は、できるだけ肌への負担が少ない、オイルフリーやノンコメドジェニックテスト済みの化粧品を選び、薄付きを心がけましょう。ポイントメイクで視線をそらすなど、工夫するのも一つの方法です。
ニキビを悪化させる可能性のある化粧品の選び方と使い方
ポイント | 避けるべきこと | 推奨されること |
---|---|---|
ファンデーション | 油分の多いリキッドやクリームタイプ、厚塗り | パウダータイプ、ミネラルファンデーション、薄付き |
スキンケア製品 | 油分の多いクリーム、毛穴を塞ぐ成分配合製品 | オイルフリー、ノンコメドジェニックテスト済み、保湿重視 |
クレンジング | 洗浄力の強すぎるオイルクレンジングの多用、拭き取りタイプでの摩擦 | 肌に優しいミルクタイプやジェルタイプ、しっかりすすぐ |
髪の毛や寝具の不衛生
意外と見落としがちなのが、髪の毛や寝具の衛生状態です。髪の毛が顔に触れることで、髪についた整髪料や汚れ、皮脂などが肌への刺激となり、ニキビの原因になることがあります。
特に、おでこやフェイスラインにニキビができやすい人は、髪型を工夫したり、寝る時は髪をまとめたりすると良いでしょう。また、枕カバーやシーツなどの寝具は、寝ている間の汗や皮脂、古い角質などが付着しやすく、雑菌が繁殖しやすい場所です。
これらが肌に触れることでニキビを悪化させる可能性があるため、こまめに洗濯し、清潔な状態を保つことが大切です。
ニキビが治らない時の正しい対処法とは?
なかなか治らないニキビに悩んでいるなら、今までのケア方法や生活習慣を見直す良い機会かもしれません。ここでは、ニキビが治らない時に試してほしい正しい対処法を具体的に紹介します。
焦らず、一つひとつ丁寧に取り組むことが改善への近道です。
スキンケアの見直し
毎日のスキンケアは、ニキビケアの基本です。しかし、間違った方法では効果がないばかりか、悪化させることもあります。正しいスキンケア方法を身につけ、肌の状態に合った製品を選びましょう。
正しい洗顔方法
洗顔の目的は、肌表面の余分な皮脂や汚れ、古い角質を落とすことです。しかし、洗いすぎは禁物です。洗顔は朝晩の2回を目安に、以下のポイントに注意して行いましょう。
- 洗顔料をよく泡立てる(きめ細かい泡が理想)
- 泡で顔を包み込むように、優しくマッサージするように洗う(Tゾーンなど皮脂の多い部分は丁寧に)
- すすぎはぬるま湯(32~34℃程度)で、洗顔料が残らないように丁寧に洗い流す
- 清潔なタオルで、押さえるように優しく水分を拭き取る
ゴシゴシこすったり、熱いお湯ですすいだりするのは避けましょう。
自分に合った保湿剤の選択
ニキビ肌でも保湿は重要です。肌が乾燥するとバリア機能が低下し、外部刺激を受けやすくなったり、皮脂が過剰に分泌されたりします。保湿剤は、自分の肌質やニキビの状態に合わせて選びましょう。
オイルフリーやノンコメドジェニックテスト済みの製品、セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分が配合されたものがおすすめです。化粧水で水分を補給した後、乳液やジェルなどで水分が蒸発しないように蓋をします。
ベタつきが気になる場合は、さっぱりとした使用感のものを選びましょう。
ノンコメドジェニック製品の活用
「ノンコメドジェニックテスト済み」と表示されている製品は、ニキビの初期段階であるコメド(毛穴の詰まり)ができにくいように配慮して作られています。
全ての人にニキビができないというわけではありませんが、ニキビができやすい肌質の人は、化粧品を選ぶ際の一つの目安にすると良いでしょう。ファンデーションや日焼け止めなど、毎日使うアイテムから取り入れてみるのがおすすめです。
ノンコメドジェニック製品を選ぶ際のポイント
- 「ノンコメドジェニックテスト済み」の表示を確認する
- オイルフリー、または油分が少ないものを選ぶ
- 自分の肌質に合うか、テスターなどで試してみる
生活習慣の改善
スキンケアだけでなく、体の内側からのケアもニキビ改善には大切です。バランスの取れた食事、質の高い睡眠、適度な運動を心がけ、健やかな体と肌を目指しましょう。
バランスの取れた食事
肌を作る栄養素は、食事から摂取します。特定の食品だけを避けたり、極端な食事制限をしたりするのではなく、主食・主菜・副菜を揃え、様々な食品をバランス良く摂ることが基本です。
特に、肌のターンオーバーを整えるビタミンB群(レバー、魚介類、豆類など)、抗酸化作用がありコラーゲンの生成を助けるビタミンC(果物、野菜など)、血行を促進し肌のバリア機能を高めるビタミンE(ナッツ類、植物油など)、皮膚や粘膜の健康維持を助ける亜鉛(牡蠣、肉類など)を意識して摂取しましょう。
脂質の多いものや糖質の多いものの摂りすぎには注意が必要です。
十分な睡眠時間の確保
睡眠は、肌細胞の修復と再生を促す成長ホルモンが最も多く分泌される時間帯です。質の高い睡眠を十分にとることで、肌のターンオーバーが正常化し、ニキビの改善につながります。
理想的な睡眠時間は人によって異なりますが、一般的には6~8時間程度と言われています。寝る前にスマートフォンやパソコンの画面を見るのは避け、リラックスできる環境を整えましょう。
毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい睡眠習慣を身につけることも大切です。
適度な運動の習慣化
適度な運動は、血行を促進し、新陳代謝を活発にします。これにより、肌細胞に栄養が行き渡りやすくなり、老廃物の排出もスムーズになります。また、運動はストレス解消にも効果があり、ホルモンバランスを整える助けにもなります。
ウォーキング、ジョギング、ヨガ、ストレッチなど、自分が楽しめる運動を無理のない範囲で続けることが大切です。週に2~3回、30分程度の運動から始めてみましょう。
ストレスマネジメント
ストレスはホルモンバランスを乱し、皮脂の過剰分泌や免疫力の低下を引き起こし、ニキビを悪化させる大きな要因の一つです。
現代社会でストレスを完全になくすことは難しいかもしれませんが、上手にコントロールする方法を見つけることが大切です。
リラックス方法を見つける
自分に合ったリラックス方法を見つけ、日常生活に取り入れましょう。例えば、趣味に没頭する時間を作る、好きな音楽を聴く、アロマテラピーを楽しむ、ゆっくりと入浴する、瞑想や深呼吸をするなどが挙げられます。
何が自分にとって心地よいか、試しながら見つけていくと良いでしょう。短時間でもリラックスできる時間を持つことで、心身の緊張が和らぎ、ストレス軽減につながります。
専門家のサポートも検討
ストレスが深刻で、自分だけでは対処が難しいと感じる場合は、カウンセラーや心療内科医などの専門家に相談することも考えてみましょう。
専門家のアドバイスを受けることで、ストレスの原因や対処法が明確になり、心の負担を軽減できることがあります。一人で抱え込まず、適切なサポートを求めることも、ニキビ改善に向けた大切な一歩です。
ニキビの種類別に見る効果的なアプローチ
ニキビは、その進行段階によって見た目や性質が異なり、それぞれに適したケア方法があります。自分のニキビがどのタイプなのかを理解し、適切なアプローチをすることで、より効果的な改善が期待できます。
白ニキビ・黒ニキビ(コメド)
白ニキビ(閉鎖面皰)は毛穴が詰まり、皮脂が内部に溜まっている状態です。黒ニキビ(開放面皰)は、毛穴の入り口が開いており、溜まった皮脂が酸化して黒く見えます。これらは炎症を起こす前の初期段階のニキビ(コメド)です。
この段階では、毛穴の詰まりを解消することが主なケアとなります。ピーリング効果のある洗顔料や化粧水を使用したり、角質ケアを取り入れたりするのも良いでしょう。
ただし、肌に刺激を与えすぎないように注意が必要です。皮脂の分泌を抑えるビタミンC誘導体配合のスキンケア製品も役立ちます。この段階で適切にケアすることで、炎症性のニキビへの進行を防ぐことができます。
赤ニキビ(炎症性ニキビ)
赤ニキビ(炎症性丘疹)は、コメドの中でアクネ菌が増殖し、炎症を起こして赤く腫れ上がった状態です。触ると痛みを感じることもあります。この段階では、炎症を鎮めることが最優先です。
抗炎症成分(グリチルリチン酸ジカリウムなど)や殺菌成分(サリチル酸、イソプロピルメチルフェノールなど)が配合されたニキビ用化粧品や市販薬を使用します。
刺激の強いスキンケアは避け、肌を清潔に保ち、優しくケアすることが大切です。自分で潰すと炎症が悪化し、ニキビ跡の原因になるため、絶対に触らないようにしましょう。
炎症が強い場合や数が多い場合は、皮膚科を受診することを検討してください。
黄ニキビ(化膿性ニキビ)
黄ニキビ(膿疱性痤瘡)は、赤ニキビの炎症がさらに進行し、毛穴の中に膿が溜まって黄色く見える状態です。ここまで進行すると、ニキビ跡として残りやすくなるため、特に慎重な対応が必要です。
基本的には赤ニキビと同様に、抗炎症・殺菌作用のあるケアを行いますが、自己判断でのケアには限界があります。膿を無理に出そうとすると、周囲の組織を傷つけ、クレーター状のニキビ跡になるリスクが高まります。
黄ニキビができてしまった場合は、速やかに皮膚科を受診し、専門医の指示に従うことが最も重要です。医師による排膿処置や、抗生物質の内服・外用などが必要になることもあります。
ニキビの種類とケアのポイント
ニキビの種類 | 主な状態 | ケアのポイント |
---|---|---|
白ニキビ・黒ニキビ | 毛穴の詰まり(炎症なし) | 毛穴ケア、角質ケア、皮脂コントロール |
赤ニキビ | 炎症、赤み、腫れ | 抗炎症、殺菌、刺激を避ける |
黄ニキビ | 化膿、膿が溜まる | 速やかに皮膚科受診、自己判断での処置は避ける |
ニキビ跡(色素沈着・クレーター)
ニキビが治った後に残るニキビ跡には、主に色素沈着タイプとクレータータイプがあります。色素沈着は、炎症によってメラニン色素が過剰に生成されたり、ヘモグロビンが沈着したりして、赤みや茶色いシミとして残るものです。
このタイプは、美白有効成分(ビタミンC誘導体、トラネキサム酸など)配合のスキンケアや、ターンオーバーを促すケアである程度改善が期待できます。
一方、クレータータイプは、炎症が真皮層にまで及び、皮膚組織が破壊されて凹んでしまった状態です。残念ながら、セルフケアでの改善は難しく、美容皮膚科などでの専門的な治療が必要となります。
レーザー治療やピーリング、ダーマペンなどが選択肢として挙げられます。ニキビ跡を作らないためには、ニキビの初期段階で適切にケアし、炎症を悪化させないことが最も大切です。
それでもニキビが治らない場合に考えること
セルフケアを続けてもなかなかニキビが改善しない、あるいは悪化してしまう場合は、皮膚科専門医に相談することを強くおすすめします。
専門医は、あなたのニキビの種類や原因を正確に診断し、適切な治療法を提案してくれます。
皮膚科専門医への相談のタイミング
以下のような場合は、早めに皮膚科を受診することを検討しましょう。
- 市販薬を1ヶ月程度使用しても改善が見られない、または悪化する
- 炎症が強く、痛みを伴うニキビ(赤ニキビ、黄ニキビ)が多い
- ニキビが広範囲に広がっている
- ニキビ跡が心配な場合
- 自分で原因が特定できず、どう対処して良いか分からない
自己判断でケアを続けるよりも、専門医のアドバイスを受ける方が、結果的に早く確実にニキビを改善できることが多いです。
ニキビ治療薬の種類と特徴
皮膚科では、ニキビの状態や原因に合わせて様々な治療薬が処方されます。主な治療薬には以下のようなものがあります。
皮膚科で処方される主なニキビ治療薬
薬剤の種類 | 主な作用 | 代表的な薬剤(一般名) |
---|---|---|
外用レチノイド(アダパレンなど) | 毛穴の詰まりを改善する | ディフェリンゲル |
過酸化ベンゾイル | 抗菌作用、角質剥離作用 | ベピオゲル、デュアック配合ゲル(抗菌薬配合) |
外用抗菌薬(クリンダマイシンなど) | アクネ菌の増殖を抑える | ダラシンTゲル、アクアチムクリーム |
内服抗菌薬(ミノサイクリンなど) | 炎症を抑え、アクネ菌を殺菌する(重症例に使用) | ミノマイシン、ビブラマイシン |
漢方薬 | 体質改善、ホルモンバランス調整など | 荊芥連翹湯、清上防風湯など |
これらの薬剤は、医師の指示に従って正しく使用することが大切です。副作用が現れることもあるため、気になる症状が出た場合はすぐに医師に相談しましょう。
美容皮膚科での治療選択肢
通常の皮膚科治療に加えて、より積極的にニキビやニキビ跡を改善したい場合は、美容皮膚科での治療も選択肢の一つです。美容皮膚科では、以下のような専門的な治療を受けることができます。
- ケミカルピーリング(薬剤を使って古い角質を除去し、ターンオーバーを促す)
- イオン導入(微弱な電流を使って、ビタミンCなどの有効成分を肌の奥に浸透させる)
- レーザー治療(ニキビの炎症を抑えたり、ニキビ跡の凹凸や色素沈着を改善したりする)
- ダーマペン(微細な針で肌に穴を開け、自然治癒力を利用して肌再生を促す)
- 光治療(IPL)(特殊な光を照射して、アクネ菌の殺菌や赤みを改善する)
これらの治療は、自由診療となるため費用がかかりますが、セルフケアや保険診療では改善が難しい症状に対して効果が期待できます。治療内容や費用、リスクなどを医師とよく相談し、納得した上で治療を受けることが大切です。
根気強い治療の重要性
ニキビ治療は、すぐに効果が現れるものではありません。肌のターンオーバーの周期(約28日~)を考えると、効果を実感するまでにはある程度の時間が必要です。
焦らず、医師の指示に従って根気強く治療を続けることが、ニキビ改善への最も確実な道です。治療中に不安なことや疑問点があれば、遠慮なく医師に相談し、二人三脚で治療を進めていきましょう。
また、治療によってニキビが改善した後も、再発を防ぐために適切なスキンケアや生活習慣を継続することが重要です。
ニキビに関するよくある質問
ここでは、ニキビに関して多くの方が疑問に思うことや、よく寄せられる質問についてお答えします。
- ニキビはうつりますか?
-
いいえ、一般的にニキビは人にうつるものではありません。ニキビの主な原因は、皮脂の過剰な分泌、毛穴の詰まり、アクネ菌の増殖などであり、これらは感染症のように空気感染したり接触感染したりするものではありません。
ただし、ニキビを触った手で他の人の肌に触れるなど、衛生的に問題のある行為は避けるべきです。
- 食事制限だけでニキビは治りますか?
-
食事内容がニキビに影響を与えることはありますが、食事制限だけで完全にニキビが治るとは限りません。
脂質の多い食事や糖質の摂りすぎは皮脂分泌を増やす可能性があるため控えることが推奨されますが、極端な食事制限は栄養バランスを崩し、かえって肌の状態を悪化させることもあります。
バランスの取れた食事を基本とし、スキンケアや生活習慣の改善、必要であれば専門医の治療を組み合わせることが大切です。
- ニキビができやすい肌質は遺伝しますか?
-
ニキビのできやすさには、ある程度遺伝的な要素が関与していると考えられています。皮脂腺の活発さや肌のターンオーバーの特性などは、親から子へ受け継がれることがあります。
そのため、ご両親や兄弟姉妹にニキビが多い場合、ご自身もニキビができやすい体質である可能性はあります。
しかし、遺伝が全てではなく、適切なスキンケアや生活習慣の改善によって、ニキビの発生を抑えたり、症状を軽減したりすることは十分に可能です。
- 化粧はしない方が良いですか?
-
ニキビがあるからといって、完全に化粧を避ける必要はありません。
しかし、化粧品の選び方や使い方には注意が必要です。油分の多いファンデーションや毛穴を塞ぎやすい製品は避け、ノンコメドジェニックテスト済みのものや、肌に優しいミネラルファンデーションなどを選ぶと良いでしょう。
また、化粧をする際は薄付きを心がけ、帰宅後はすぐに丁寧にクレンジングして、肌を清潔に保つことが重要です。ニキビの炎症がひどい場合や、医師から指示があった場合は、それに従ってください。
以上
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