腎臓移植は何年もつ?生着率・寿命と透析との比較について

腎臓移植は何年もつ?生着率・寿命と透析との比較について

腎臓の機能が低下する腎不全の治療法の一つに腎臓移植があります。「腎臓移植はどのくらい長持ちするのだろうか」「透析治療と比べてどうなのだろうか」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、腎臓移植後の移植腎が機能する期間(生着期間)や、腎臓移植の寿命、そして透析治療との比較について、分かりやすく解説します。

目次

腎臓移植とは?基本的な知識

腎臓移植は、末期腎不全の患者さんにとって重要な治療選択肢の一つです。ここでは、腎臓の基本的な働きから、腎臓移植がどのような治療法なのか、その概要と種類、そしてどのような方が移植の対象となるのかを解説します。

腎臓の役割と腎不全

腎臓は、私たちの体の中で生命維持に欠かせない多くの重要な役割を担っています。主な働きは以下の通りです。

  • 老廃物の排泄
  • 体液のバランス調整
  • 血圧の調整
  • ホルモンの産生

これらの機能が著しく低下した状態を腎不全と呼びます。腎不全が進行し、腎臓の機能が正常の10%以下になると、透析治療や腎臓移植といった腎代替療法が必要になります。

腎臓移植の概要

腎臓移植は、機能しなくなった自分の腎臓の代わりに、提供された健康な腎臓を移植する手術です。移植された腎臓が機能することで、透析治療で補っていた腎臓の働きの一部を代替し、より健康に近い生活を送ることが期待できます。

手術では、提供された腎臓を下腹部の腸骨窩(ちょうこつか)という場所に移植し、血管(動脈と静脈)と尿管を吻合(ふんごう)します。多くの場合、機能しなくなった自身の腎臓は摘出せずに残します。

腎臓移植の種類(生体腎移植と献腎移植)

腎臓移植には、大きく分けて「生体腎移植」と「献腎移植」の2種類があります。

生体腎移植

生体腎移植は、健康な方(ドナー)から腎臓の一つを提供してもらい移植する方法です。ドナーとなれるのは、原則として親族(6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族)です。

ドナーの安全が最優先され、医学的・倫理的な観点から慎重な評価が行われます。

献腎移植

献腎移植は、亡くなられた方(脳死または心停止後)から腎臓の提供を受けて移植する方法です。献腎移植を希望する場合、日本臓器移植ネットワークに登録し、待機することになります。

提供される腎臓の数が限られているため、待機期間が長くなる傾向があります。

腎臓移植の種類別特徴

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項目生体腎移植献腎移植
ドナー健康な親族など亡くなられた方
待機期間比較的短い(ドナーがいれば)長い傾向がある
手術予定計画的に行える緊急的に行われる

腎臓移植の対象となる方

腎臓移植は、末期腎不全で透析治療を受けている方、または近く透析治療が必要になると予測される方が対象となります。ただし、移植手術やその後の免疫抑制療法に耐えられる全身状態であることが必要です。

活動性のある感染症や悪性腫瘍がある場合、重篤な心臓病や肝臓病がある場合などは、移植の対象とならないこともあります。最終的には、移植施設の医師が総合的に判断します。

腎臓移植の生着率について

腎臓移植を考える上で、「移植した腎臓がどのくらい機能し続けるのか」という点は非常に気になることでしょう。ここでは、腎臓移植の「生着率」という指標について解説します。

生着率とは何か

生着率とは、移植された腎臓が拒絶反応やその他の原因で機能を失うことなく、透析治療を再開する必要がない状態でいられる割合を示す指標です。「腎生着率」とも呼ばれます。

例えば、「5年腎生着率90%」とは、移植後5年の時点で90%の人の移植腎が機能していることを意味します。この数値が高いほど、移植腎が長期間機能していることを示します。

近年の腎臓移植の生着率の傾向

医学の進歩、特に免疫抑制剤の開発や術後管理の向上により、腎臓移植の生着率は年々向上しています。日本移植学会のファクトブックによると、生体腎移植、献腎移植ともに良好な成績が報告されています。

具体的な数値は施設や条件によって異なりますが、全体として長期的な生着が期待できるようになってきています。

生着率の目安(参考値)

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期間生体腎移植献腎移植
1年約95%以上約90%以上
5年約90%前後約80%前後
10年約70-80%約60-70%

注:上記の数値はあくまで一般的な傾向を示すものであり、個々の患者さんの状態や移植の種類によって異なります。正確な情報は主治医にご確認ください。

生着率に影響を与える要因

移植腎の生着率には、様々な要因が影響します。主なものとして以下のような点が挙げられます。

  • ドナーとレシピエント(移植を受ける人)のHLA型(白血球の型)の適合度
  • レシピエントの年齢や全身状態
  • 免疫抑制剤の適切な使用と管理
  • 拒絶反応の早期発見と治療
  • 感染症や生活習慣病(高血圧、糖尿病など)の管理
  • 喫煙の有無

これらの要因が複雑に絡み合い、移植腎の長期的な機能維持に影響します。

生着率を高めるためにできること

移植腎の生着率を高め、できるだけ長く機能を維持するためには、患者さん自身の積極的な取り組みが重要です。

医師の指示に従い、免疫抑制剤を確実に服用すること、定期的な検査を受けて健康状態をチェックすること、バランスの取れた食事や適度な運動を心がけること、禁煙を続けることなどが求められます。

また、感染症の予防にも注意を払い、体調の変化に気づいたら早めに医療機関に相談することが大切です。

移植腎の寿命は何年くらい?

「腎臓 移植 何年 もつ」という疑問は、腎臓移植を検討している方やそのご家族にとって、最も関心のあることの一つでしょう。

移植された腎臓が永久に機能し続けるわけではありませんが、近年の医療技術の進歩により、その期間は確実に延びています。

移植腎の平均的な持続期間

移植腎が機能し続ける期間、すなわち「移植腎の寿命」は、一概に「何年」と断言することは難しいです。これは、前述の生着率に影響を与える要因が個々の患者さんで異なるためです。

しかし、統計的には、生体腎移植の場合、平均して15年から20年程度機能すると言われています。献腎移植の場合は、生体腎移植に比べてやや短い傾向がありますが、それでも10年から15年程度は期待できるとされています。

もちろん、これらはあくまで平均的な数値であり、20年、30年以上にわたって移植腎が良好に機能している方も少なくありません。

移植腎の機能維持期間の目安

移植の種類平均的な機能維持期間(目安)
生体腎移植15年~20年程度
献腎移植10年~15年程度

注:これらの期間はあくまで目安であり、個人差が大きいです。より長く機能するケースも多数あります。

「腎臓 移植 何年 もつ」という疑問への回答

「腎臓 移植 何年 もつ」という問いに対しては、「多くの要因によって異なり、個人差が大きいですが、適切な管理を行えば長期間機能することが期待できます」とお答えするのが適切でしょう。

大切なのは、移植後の生活習慣や服薬管理を徹底し、定期的な検査を受けることで、移植腎の機能をできるだけ長く保つ努力をすることです。医療チームと連携し、二人三脚で移植腎を守っていく姿勢が重要になります。

移植腎の寿命を延ばすためのポイント

移植腎の寿命をできるだけ延ばすためには、以下の点が重要になります。

  • 免疫抑制剤の確実な服用
  • 定期的な通院と検査
  • 血圧、血糖、脂質の良好なコントロール
  • バランスの取れた食事と適度な運動
  • 禁煙
  • 感染症の予防
  • 早期の異常発見と対応

これらを遵守することで、移植腎への負担を軽減し、長期的な機能維持につながります。

再移植について

残念ながら移植腎の機能が低下し、再び腎不全の状態になった場合でも、再移植という選択肢があります。再移植の成績は、初回の移植に比べてやや劣る傾向がありますが、それでも良好な結果が得られるケースも多く報告されています。

再移植を検討する際には、初回の移植経験や現在の健康状態などを総合的に評価し、医師と十分に話し合うことが必要です。

腎臓移植と透析治療の比較

末期腎不全の治療法には、腎臓移植の他に透析治療があります。透析治療には血液透析と腹膜透析があり、それぞれ特徴が異なります。ここでは、腎臓移植と透析治療を様々な観点から比較し、それぞれのメリット・デメリットを整理します。

「腎臓 移植 透析 比較」といったキーワードで情報を探している方にも参考にしていただけるでしょう。

透析治療(血液透析・腹膜透析)の概要

血液透析

血液透析は、体内の血液を一度機械に取り出し、ダイアライザー(人工腎臓)を通して老廃物や余分な水分を除去し、浄化された血液を再び体内に戻す治療法です。通常、週に2~3回、1回あたり3~5時間程度の通院が必要です。

シャントと呼ばれる、腕などの血管を手術でつなぎ合わせた部分に針を刺して行います。

腹膜透析

腹膜透析は、自分のお腹の中にある腹膜を利用して血液を浄化する方法です。お腹にカテーテルという細い管を埋め込み、そこから透析液を注入し、一定時間貯留することで腹膜を介して老廃物や水分が透析液に移動します。

その後、透析液を排出します。通常、1日に数回、自宅や職場で患者さん自身が行います。

透析治療の主な特徴

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項目血液透析腹膜透析
治療場所主に医療機関主に自宅・職場
治療頻度・時間週2~3回、1回3~5時間毎日、1日数回交換
日常生活通院による時間的制約比較的自由度が高い

生活の質(QOL)の違い

一般的に、腎臓移植は透析治療に比べて生活の質(QOL)が大幅に向上すると言われています。

移植腎が良好に機能すれば、透析治療に伴う時間的な制約や食事制限、水分制限などが大幅に緩和され、より自由な日常生活を送ることが可能になります。仕事や学業への復帰、旅行なども楽しむことができるようになります。

一方、透析治療を継続する場合でも、自己管理を徹底し、医療スタッフと連携することで、QOLを維持・向上させることは可能です。

身体的負担と合併症のリスク

腎臓移植は外科手術であり、手術に伴うリスク(出血、感染など)があります。

また、移植後は拒絶反応を防ぐために免疫抑制剤を生涯にわたって服用する必要があり、これによる副作用(感染しやすくなる、糖尿病、高血圧など)のリスクも考慮しなければなりません。

透析治療では、血液透析の場合、シャントトラブルや不均衡症候群、長期的には心血管系の合併症などが起こりえます。腹膜透析では、腹膜炎やカテーテル出口部感染などが主な合併症です。

どちらの治療法も、それぞれ特有の身体的負担や合併症のリスクがあり、個々の患者さんの状態やライフスタイルに合わせて慎重に選択する必要があります。

治療法による主な身体的影響

治療法主な身体的負担・リスク
腎臓移植手術、免疫抑制剤の副作用、拒絶反応
血液透析シャント関連、透析中の不快症状、心血管系合併症
腹膜透析腹膜炎、カテーテル関連合併症

治療期間と通院頻度

腎臓移植の場合、移植手術後は拒絶反応や感染症のチェック、免疫抑制剤の調整などのために、当初は頻繁な通院が必要です。状態が安定すれば、通院頻度は徐々に減っていきますが、生涯にわたる定期的な受診が欠かせません。

血液透析の場合、前述の通り週に2~3回の通院が基本となります。腹膜透析の場合は、月に1~2回程度の定期受診が一般的です。

治療法によって通院の頻度や拘束時間が大きく異なるため、ご自身の生活スタイルや通院の負担などを考慮して選択することが大切です。

腎臓移植後の生活で重要なこと

腎臓移植手術が成功した後も、移植腎を長持ちさせ、健康な生活を送るためには、いくつかの重要な注意点があります。これらを理解し、実践することが、移植後のQOL向上につながります。

免疫抑制剤の継続的な服用

移植された腎臓は、自分自身の体にとっては「異物」と認識されるため、体が拒絶反応を起こそうとします。これを抑えるために、免疫抑制剤を毎日欠かさず服用する必要があります。

免疫抑制剤は、移植腎が機能している限り、生涯にわたって飲み続けなければなりません。自己判断で薬の量を変えたり、服用を中止したりすると、急性の拒絶反応が起こり、移植腎の機能を失う危険性があります。

医師の指示通りに正しく服用することが最も重要です。

定期的な検査と診察

移植後は、移植腎の状態や免疫抑制剤の副作用などをチェックするために、定期的な通院と検査が必要です。

検査では、血液検査や尿検査、血圧測定などを行い、移植腎の機能、免疫抑制剤の血中濃度、感染症の兆候、その他の合併症の有無などを確認します。

これらの検査結果に基づいて、医師は免疫抑制剤の量を調整したり、必要な治療を行ったりします。体調に変化がなくても、指定されたスケジュール通りに受診することが、問題を早期に発見し対処するために大切です。

移植後の主な定期検査項目

検査の種類主な目的
血液検査腎機能、肝機能、免疫抑制剤濃度、貧血、感染症など
尿検査蛋白尿、血尿、尿路感染症など
血圧測定高血圧の管理

食事療法と栄養管理

移植後の食事は、透析中ほど厳しい制限はありませんが、移植腎への負担を軽減し、免疫抑制剤の副作用を考慮した栄養管理が重要です。一般的には、塩分控えめ、タンパク質の摂りすぎに注意し、バランスの取れた食事を心がけます。

免疫抑制剤の影響で血糖値やコレステロール値が上がりやすくなることがあるため、食べ過ぎにも注意が必要です。

また、グレープフルーツなどの一部の食品は免疫抑制剤の作用に影響を与えるため、摂取を避ける必要があります。管理栄養士から具体的な食事指導を受けると良いでしょう。

感染症予防と日常生活の注意点

免疫抑制剤の影響で、感染症にかかりやすくなるため、日常生活での感染予防が非常に重要です。手洗いやうがいを徹底し、人混みを避け、マスクを着用するなどの対策を心がけましょう。

生もの(刺身、生肉、生卵など)の摂取は、食中毒のリスクがあるため、医師や管理栄養士の指示に従ってください。予防接種も重要ですが、生ワクチンは接種できない場合がありますので、必ず事前に主治医に相談してください。

発熱や咳、下痢などの感染症を疑う症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。

腎臓移植の費用と医療制度

腎臓移植には高額な医療費がかかるというイメージがあるかもしれませんが、日本の医療制度には、患者さんの負担を軽減するための様々な支援があります。

ここでは、腎臓移植にかかる費用のおおよその目安と、利用できる医療制度について解説します。

腎臓移植にかかる費用の目安

腎臓移植の手術費用や入院費用、その後の免疫抑制剤の費用などを合わせると、総額は非常に高額になります。生体腎移植の場合、ドナーとレシピエント(移植を受ける人)双方の医療費が必要となります。

献腎移植の場合も同様に高額な費用がかかります。 しかし、これらの費用は健康保険が適用され、さらに後述する公的な助成制度を利用することで、自己負担額を大幅に抑えることができます。

具体的な自己負担額は、所得や加入している健康保険の種類、利用する制度によって異なりますので、医療機関のソーシャルワーカーや市区町村の担当窓口に相談することをお勧めします。

費用の内訳(一般的な例)

費用の種類内容
手術・入院費用移植手術、術前検査、入院中の治療・薬剤費など
免疫抑制剤費用移植後、継続的に必要となる薬剤費
通院・検査費用定期的な診察、血液検査、画像検査など

公的医療保険の適用範囲

腎臓移植手術および関連する治療は、公的医療保険(健康保険や国民健康保険など)の適用対象となります。これにより、医療費の大部分(通常7割または8割)が保険から給付され、自己負担は残りの部分(通常3割または2割)となります。

ただし、個室代や先進医療にかかる費用など、一部保険適用外となるものもあります。

特定疾病療養受療制度などの助成制度

腎臓移植を含む腎不全の治療は、医療費が高額かつ長期間にわたるため、患者さんの負担を軽減するための様々な公的助成制度が設けられています。 代表的なものとして、「特定疾病療養受療制度」があります。

これは、人工透析を必要とする慢性腎不全や、免疫抑制療法を必要とする腎移植後の患者さんなどが対象となり、認定されると医療費の自己負担限度額が低く抑えられます(通常、月額1万円または2万円。所得によって異なります)。

また、身体障害者手帳(腎臓機能障害)の交付を受けることで、医療費助成(自立支援医療(更生医療))や税金の控除、その他の福祉サービスを利用できる場合があります。

これらの制度を利用するためには申請手続きが必要です。詳しくは、医療機関の相談窓口や市区町村の福祉担当課にお問い合わせください。

医療費控除について

1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、確定申告を行うことで所得税や住民税の還付・軽減を受けられる「医療費控除」という制度があります。腎臓移植にかかった費用や、その後の通院・薬剤費なども対象となります。

領収書などをきちんと保管し、確定申告の際に手続きを行いましょう。医療費控除の対象となる範囲や計算方法については、税務署や税理士にご相談ください。

腎臓移植に関するよくある質問 (FAQ)

ここでは、腎臓移植に関して多くの方が疑問に思う点や、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。ただし、個々の状況によって異なる場合があるため、最終的には主治医や移植コーディネーターにご相談ください。

ドナーになるための条件はありますか?

生体腎移植の場合、ドナーとなれるのは原則としてレシピエントの親族(6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族)で、自発的な提供の意思がある健康な成人です。

医学的な検査(血液検査、尿検査、画像検査、精神医学的評価など)を行い、腎臓を提供しても健康上問題がないか、また、移植に適した腎臓であるかなどを総合的に評価します。

感染症や悪性腫瘍がないこと、重篤な全身疾患がないことなどが条件となります。献腎移植の場合は、ご本人が生前に臓器提供の意思表示をしているか、またはご家族が承諾した場合に提供されます。

移植手術の入院期間はどのくらいですか?

移植手術のための入院期間は、患者さんの状態や手術後の経過によって異なりますが、一般的にはレシピエント(移植を受ける方)で1ヶ月から2ヶ月程度が目安です。

生体腎移植のドナーの場合は、1週間から2週間程度の入院となることが多いです。術後は、拒絶反応や感染症の管理、免疫抑制剤の調整などを行い、状態が安定してから退院となります。退院後も定期的な通院が必要です。

移植後、仕事や運動はできますか?

移植腎が安定して機能すれば、多くの方が仕事や学業に復帰しています。復帰の時期や仕事の内容については、体の状態や回復具合によって異なりますので、主治医とよく相談して決めましょう。

運動についても、体力の回復に合わせて徐々に再開することが可能です。ウォーキングなどの軽い運動から始め、無理のない範囲で行うことが大切です。

ただし、接触の激しいスポーツや、腹部に強い衝撃が加わる可能性のある運動は避けた方が良い場合があります。どのような運動が可能かについても、主治医に確認してください。

移植後の生活で可能なこと(一般的な目安)

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活動目安注意点
仕事・学業体調安定後、多くの方が復帰可能無理のない範囲で、主治医と相談
軽度な運動(ウォーキングなど)体力回復に合わせて可能医師の指示に従う
旅行体調安定後、計画的に可能感染予防、薬剤管理に注意
拒絶反応が起きたらどうなりますか?

拒絶反応は、移植された腎臓を体が異物と認識して攻撃してしまう反応です。拒絶反応には、移植後早期に起こる「急性拒絶反応」と、数ヶ月から数年かけてゆっくりと進行する「慢性拒絶反応」があります。

急性拒絶反応の兆候(発熱、移植腎の痛み、尿量の減少、むくみ、体重増加、血液検査での腎機能悪化など)が見られた場合は、速やかに入院し、免疫抑制剤の増量や変更などの治療を行います。

早期に発見し適切に治療すれば、多くの場合、拒絶反応を抑えることができます。 慢性拒絶反応は、明確な自覚症状がないまま進行することが多いため、定期的な検査で早期に発見し、進行を遅らせるための治療を行うことが重要です。

拒絶反応を完全にゼロにすることは難しいですが、適切な免疫抑制療法と定期的なフォローアップにより、コントロールしていくことが可能です。何か普段と違う症状を感じたら、すぐに主治医に相談することが大切です。

以上

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