腎臓透析とは?治療について知っておくべきこと – 基礎から適応まで

腎臓透析とは?治療について知っておくべきこと

身体の健康を支える重要な器官である腎臓が十分に働かなくなると、血液に老廃物や余分な水分が溜まりやすくなります。腎臓透析とは、これらを取り除き、体内環境を整えるために行う治療手段です。

腎機能が低下すると疲労感やむくみが生じ、放置すれば合併症のリスクも高まります。

腎臓病透析に移行する前段階の方も含め、腎機能を守り生活の質を維持するために、透析の基本知識から治療を始めるタイミング、日常生活での工夫までを詳しく紹介します。

目次

腎臓の働きと機能低下が及ぼす影響

腎臓は体内の老廃物を排出し、水分や電解質のバランスを保つうえで重要な役割を担います。腎機能が落ちると血液中に毒素が残りやすくなり、身体全体に影響を与えます。

ここでは、腎臓の基本的な働きや機能が低下した場合に起こりやすい変化について見ていきます。

腎臓が果たす重要なポイント

  • 血液中の老廃物や余分な水分をろ過する
  • 体内の電解質バランスを整える
  • 血圧を調整するホルモンを分泌する
  • 骨の健康を維持するためのホルモン産生を助ける

腎臓は日々絶え間なく働き、身体の内部環境を安定させます。これらの機能が低下すると、検査数値の異常だけでなく、むくみや倦怠感などの症状が出現します。

腎臓の働きと関連しやすい症状

機能機能低下時にみられる症状や影響
老廃物のろ過血液中に毒素が蓄積し、倦怠感や吐き気が強まる
水分バランスの調整体内に余分な水分が溜まり、高血圧やむくみが進みやすい
電解質バランスの維持カリウムやナトリウムの異常で不整脈などの循環器トラブルが生じる
ホルモン分泌血圧上昇や骨密度低下などにつながる可能性がある

腎臓の主な役割

腎臓は左右に1つずつ存在する小さな臓器ですが、身体にとって大切な機能を複数担っています。老廃物や塩分を尿として排出するろ過作用が代表的で、血液をクリーンに保つうえで重要です。

また、血圧コントロールを担うレニンや、赤血球を増やすエリスロポエチンなどのホルモンをつくる働きも持ち、血液や骨の健康管理にも影響を与えます。

こうした多面的な役割を考えると、腎臓が健やかに働くことが日常生活の土台となるといえます。

腎機能が低下すると起こること

腎臓のろ過能力が下がり、老廃物を十分に排泄できなくなると、血液中に毒素が溜まりやすくなります。その結果、倦怠感や吐き気、むくみ、高血圧などの症状が出現しがちです。

電解質バランスの乱れによって不整脈が誘発されることや、赤血球を増やすホルモンの不足によって貧血を起こすリスクも高くなります。

これらの症状はゆっくりと進行する場合も多く、初期段階では気づかれにくいのが特徴です。

腎臓透析につながる状態とは

慢性腎臓病が進み、腎機能が顕著に低下すると、体内に蓄積された老廃物を自然には排出できなくなる場合があります。

その段階で腎臓透析とは切り離せない状況になり、血液を体外で浄化する方法や腹膜を利用する方法が選択肢となります。

腎臓病透析の導入を検討する目安は、クレアチニンや尿素窒素などの検査値の急激な上昇、もしくは日常生活に深刻な支障をきたす症状の出現です。

医師は患者の年齢や合併症の有無、ライフスタイルを総合的に評価し、透析開始のタイミングを判断します。

腎臓透析とは何か

腎臓透析とは、腎臓のろ過機能を機械や腹膜で代行し、血液を浄化して体内環境を整える治療方法です。腎機能が十分に働かず血液中の老廃物が増えた場合でも、透析を取り入れると毒素や余分な水分を除去しやすくなります。

導入のタイミングは血液検査や症状を踏まえて慎重に検討します。

腎臓透析を検討するタイミングの例

  • 慢性腎不全が進行しGFRが極端に低下
  • 著しいむくみや心不全リスクの上昇
  • 尿毒症による倦怠感や吐き気の強化
  • 血液検査でクレアチニンや尿素窒素が大幅に増加

検査数値や臨床症状を総合的に見て、腎臓透析を導入するかどうかを判断することが重要です。腎機能の段階を把握したうえで早めに準備を始めると、生活に合わせた治療プランを立てやすくなります。

代表的な腎臓透析の手法と特徴

透析の種類特徴
血液透析血管から血液を取り出してダイアライザーでろ過し、老廃物を除去する
腹膜透析腹膜をフィルターとして利用し、透析液を腹腔内に注入・排出して血液を浄化する
血液ろ過透析血液透析に加えて大きい分子の老廃物も除去しやすい方法
持続的血液透析濾過ICUなどで24時間かけてゆるやかにろ過する方法で、急性期治療に取り入れることがある

腎臓透析の目的

腎臓透析の主な目的は、老廃物や過剰な水分を除去し、電解質バランスを保つことです。腎機能が低下すると体内に溜まりやすい不要な物質を透析によって取り除き、身体全体の負担を軽くします。

血圧や水分量の調整により、むくみや高血圧などの合併症を軽減する狙いもあります。透析は単に血液を浄化するだけでなく、食事制限や運動の見直しなどを行う機会にもなります。

腎臓透析と腎臓病透析の関係

「腎臓透析とは腎臓病透析を指す」ことが多く、慢性腎臓病の末期や急性腎不全時の治療として活用されます。

薬物療法や食事管理のみでは対応しきれないほど腎機能が低下したときに導入を考え、血液透析や腹膜透析など複数の選択肢を検討します。

いずれの場合も、定期的な腎機能の評価と専門医の診察が要となり、患者の生活背景や意向を反映させた治療計画を立てることが大切です。

治療開始の判断基準

腎臓透析を始めるかどうかは、クレアチニンや尿素窒素といった血液検査の指標に加え、むくみや倦怠感などの日常症状を考慮します。特に、食欲不振や極端な疲労感で日常生活が難しい段階に至ると、早めの透析導入を検討する流れになります。

医師は患者の年齢や活動状況、社会的サポートの状況などを踏まえ、治療の適切なタイミングを提示します。

血液透析の基礎

血液透析では、血液を体外に導いて透析装置を通し、余分な水分や老廃物を取り除きます。多くの場合、週に数回、医療機関に通い数時間かけて実施するスタイルが一般的です。患者によっては在宅で血液透析を行う選択肢もあります。

血液透析を行う際の準備

  • バスキュラーアクセス(シャントや人工血管)を作成する
  • 治療前の血液検査やバイタルサインを確認する
  • 血圧調整や透析時間を個々の状態に合わせて設定する
  • 医療スタッフが透析中の体調をモニタリングする

血管の確保や事前検査など、血液透析に向けた準備は多段階に及びます。個々の患者に合わせた透析時間と透析液の設定が治療効果を大きく左右します。

血液透析に用いる主な装置と役割

装置名役割
透析装置ダイアライザーへの血液と透析液の流量を管理し、浄化を効率よく進める
ダイアライザー膜を通して血液中の老廃物や余分な水分を除去するフィルター
ポンプ血液を一定量ずつダイアライザーへ送り込み、圧力を安定させる
モニター透析中の血圧や心拍数、酸素飽和度をリアルタイムでチェックする

血液透析の流れ

まず、シャント部位を消毒して2本の針を刺し、血液をポンプで取り出します。血液はダイアライザーというフィルターを通り、透析液との間で老廃物などの交換を行い浄化されたのちに体内へ戻ります。

1回の処置はおよそ4時間前後かかり、週3回ほど実施するケースが多いです。透析日には体力を使いやすいため、休憩や栄養管理も並行して意識すると負担が和らぎます。

シャントの重要性

血液透析では、十分な血液量を確保するために動脈と静脈をつなげる手術を行い、シャントを作成します。血流が増えることで効率的にろ過できるようになり、透析効率の向上につながります。

シャントが詰まると透析が困難になるため、日常的にシャント音を確認し、こまめに血管の状態をチェックします。違和感があれば早めに医療機関へ相談し、トラブルの拡大を防ぐことが大切です。

血液透析で注意する点

透析中には血圧が急激に下がる、心拍数が乱れるなどの変化が生じる場合があります。特に体内の水分を一度に多く取り除くと、筋けいれんや頭痛、吐き気などの症状が起こりやすくなります。

透析後は疲労感を訴える方も多いため、無理せず休息を取りつつ体調を整えることが望ましいです。医療スタッフに体調変化を伝えて設定をこまめに調整することで、苦痛を減らしつつ治療を継続できます。

腹膜透析の基礎

腹膜透析では、患者自身の腹膜を利用して血液中の老廃物や余分な水分を透析液へ移動させます。体外に血液を出す必要がないため、在宅での実施がしやすい点が特徴です。

腹膜という天然のフィルターを活用することで、比較的ゆるやかな速度で浄化できるメリットがあります。

腹膜透析が好まれる主な理由

  • 医療機関へ通う回数が少なく、生活に取り入れやすい
  • 血液透析ほど血圧変動が大きくなく、身体への負担が比較的少ない
  • 日常活動を維持しやすく、自分のペースで透析を実施できる
  • カテーテルを使った透析液交換がシンプルで、慣れやすい

腹膜への負担が長期で蓄積すると、腹膜機能が低下するリスクがあり、適切な管理と定期検査が重要です。患者の状態に合わせた透析液の選択や交換回数の設定によって、より良い透析効率を得られます。

腹膜透析で使う主な用具と特徴

用具名特徴
腹膜透析カテーテル腹腔内に透析液を注入・排出するための管
透析液ブドウ糖などを含む液体で、濃度の違いに応じて水分や老廃物の除去量を調整できる
交換バッグ透析液を保管し、排出後の廃液を受け取る役割を持つ
自動透析装置寝ている間に交換を自動で進めるなど、生活の自由度を高める工夫がある

腹膜透析の方法

留置カテーテルを介して腹腔内に透析液を注入し、一定時間そのまま保持して老廃物などを吸着させ、あとで排出する流れです。血液自体を体外に出すことなく浄化するため、心血管への急激な負担が少ない傾向があります。

連続携行式の場合は日中に数回交換を行い、自動腹膜透析では夜間に機械が自動で交換する仕組みです。

腹膜透析のメリットとデメリット

腹膜透析は通院頻度を減らせること、血圧の急変が少ないことなどが利点です。一方で、腹膜炎などの感染症リスク、長期使用による腹膜機能の低下などデメリットも存在します。

ライフスタイルや職業、合併症の有無などを検討しながら、医師や看護師、管理栄養士などと相談して最適な方法を選びましょう。

安全に続けるためのポイント

腹膜透析では、衛生管理が特に大切です。カテーテルの挿入口を常に清潔に保ち、定期的に洗浄と消毒を実施すると腹膜炎の発症率を抑えやすくなります。

また、定期検査によって腹膜透析の効率や腹膜の状態を調べ、必要があれば透析液の濃度や交換回数を変更するなど柔軟な対応が必要です。自己管理の割合が高いため、疑問や不安は医療スタッフに相談して解決しながら継続することが望ましいです。

食事療法と生活習慣のポイント

腎臓透析の有無にかかわらず、食事や生活習慣の見直しは血液の状態や身体のコンディションを安定させるうえで非常に重要です。

透析の種類や頻度によって制限や注意点は異なりますが、基本的には塩分、たんぱく質、カリウム、リンなどの摂取量を管理していきます。

日常生活で気をつけたい項目

  • 食品や調味料の塩分量をチェックし、必要に応じて減量を心がける
  • 必要なたんぱく質を確保しつつ、過剰な摂取を避ける
  • カリウムやリンを含む食品を把握し、調理法も工夫する
  • 医師や管理栄養士の指導に沿った水分量を意識する

日常の食生活を見直すと、血圧や体重、血中の電解質バランスを整えやすくなります。特に味つけは濃くなりがちなので、薄味でもおいしく食べられるレシピを探して楽しむことが続けやすさにつながります。

食事で配慮したい主な栄養素と目的

栄養素配慮する理由
塩分血圧や体液貯留をコントロールし、むくみなどを抑えるため
タンパク質老廃物の増加を防ぎながら、筋肉量維持に必要な摂取量を確保する
カリウム不整脈や筋力低下のリスクを下げる
リン骨や血管のダメージを抑え、骨密度低下を防ぐ
水分適正量を守り、心臓や血管への負担を減らす

塩分管理の重要性

塩分を取りすぎると高血圧やむくみを招きやすく、透析を行う際に余分な水分を除去しなければならない負担が増えがちです。外食や市販の加工食品は塩分が多い傾向があるため、栄養成分表示をチェックする習慣が大切になります。

しょうゆやソースなどを使うときは計量を心がけ、レモンや香味野菜などを活用して風味を加えると、自然な味わいを楽しめます。

タンパク質とカリウムの制限

タンパク質は筋肉や臓器を維持するうえで欠かせない要素ですが、摂取量が多すぎると腎臓や透析への負担が大きくなる可能性があります。

カリウムも、バナナやメロン、オレンジジュースなどに多く含まれており、過剰になると心臓に負担がかかりやすいです。野菜を茹でてから調理したり、果物の摂取量を決めたりしてコントロールを図ります。

フォスフォラス(リン)管理

リンは骨を形成するうえで重要ですが、腎臓が低下した状態では排泄しきれなくなります。リンが上昇しすぎると骨や血管に悪影響が及ぶため、チーズや加工肉、インスタント食品などリンを多く含む食品は量や頻度に注意が必要です。

リン吸着剤を処方される場合もあるため、医師や薬剤師の指導をもとに上手に付き合うことが大切です。

合併症と注意すべき症状

腎臓透析を続ける中で、時間の経過とともに合併症が見つかるケースがあります。体調の変化を早めに捉えれば、症状の進行を抑える対応がしやすくなります。普段と異なる兆候を感じたら、速やかに医療スタッフへ相談しましょう。

合併症のサインになりやすい変化

  • 血圧が常に高い、または低すぎるなど変動の幅が大きい
  • 透析後の強い疲労感で日常生活に支障が出る
  • 皮膚のかゆみや乾燥が強まる
  • 食欲が落ち、体重が徐々に減少する

合併症のリスクは、長期間の腎機能低下とホルモン異常、栄養バランスの乱れなどが複合的に関わると考えられています。小さな変化を見逃さないことが、重篤な状態を避ける近道です。

代表的な合併症と対処の概要

合併症主な症状や特徴対処の概要
心血管系トラブル高血圧、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞などが生じやすい血圧管理や定期的な心臓検査、適度な運動を組み合わせる
骨ミネラル代謝異常骨がもろくなったり関節が変形するなど骨格に影響が出る食事でリンやカルシウムを調整し、必要なら薬物療法を取り入れる
貧血エリスロポエチン不足などでヘモグロビン値が低くなるエリスロポエチン製剤や鉄剤を組み合わせて改善を図る
皮膚のかゆみ尿毒素やミネラルバランス異常で肌の刺激感が強くなる保湿剤や適切な服薬、リン管理で症状を和らげる
感染症リスクの増大シャント部位やカテーテル部位からの細菌感染が起こりやすい消毒を徹底し、赤みや痛みなどの変化があれば早めに受診を考える

心血管疾患との関係

腎機能が低下していると血圧や電解質のコントロールが難しくなり、動脈硬化が進むリスクが高くなります。心臓への負担が増加し、狭心症や心筋梗塞を発症する恐れも高まるため、定期的な心電図やエコー検査が推奨されます。

適度な運動を取り入れることや、食事で塩分や脂質を抑えることも心血管リスク低減につながります。

骨や関節への影響

腎臓で活性化されるビタミンDが不足すると、カルシウムやリンの代謝が乱れ、骨が脆くなる場合があります。結果的に骨折リスクが高まり、関節痛や変形が進むことも考えられます。

骨密度の測定や血液検査を通じて、必要に応じて活性型ビタミンD製剤やリン吸着剤などの薬を使いながら、食事指導と合わせてケアしていくことが望ましいです。

日常生活での感染予防

シャント部や腹膜透析カテーテルの挿入口が汚染されると、細菌感染が拡大するリスクが高まります。シャワーや入浴時には丁寧に洗いつつ、傷つけないよう注意を払いましょう。

発熱や腫れ、痛みを伴う場合は、自己判断で様子見を続けるよりも医療機関に早めに相談したほうが安全です。

透析治療のQOL向上につなげる工夫

腎臓透析は生活の一部となる長期治療であり、身体的・精神的ストレスを抱えやすくなります。それでも、日々の暮らしを楽しみ、自分の目標を維持しながら前向きに過ごすための方法は多く存在します。

生活の質を高めるための心がけ

  • 少しの時間でも運動やリハビリを取り入れる
  • 医療スタッフや家族と情報をこまめに共有する
  • 透析以外の時間帯にやりたいことを計画的に実行する
  • 自己管理でチェックした内容をノートやアプリで記録する

自分の身体の調子を把握し、好調な日は外出や趣味を楽しむなどバランスを取りながら暮らすと、モチベーションを維持しやすくなります。特に精神面へのケアを大切にすると、長期間におよぶ治療生活での負担を軽くできます。

QOLを意識した取り組みの例

取り組みの種類具体的なアクション
運動・リハビリウォーキングや軽度の筋トレなど、無理のない範囲で継続する
情報共有・サポートの活用医療スタッフとの定期面談やオンラインでの患者コミュニティに参加する
食生活の工夫素材の風味を生かしつつ塩分を抑えるレシピを試し、楽しみながら調理する
メンタルケアストレス発散できる趣味やリラクゼーション法を取り入れる

運動とリハビリ

適度な運動は血行を促進し、筋力や体力を保つために有用です。ただし透析患者は体調の変動が激しいケースもあるため、医師や理学療法士と相談し、無理のないメニューを選ぶことが不可欠です。

ウォーキングやストレッチなどの軽度な活動から始めて、自分のペースをつかんでいくと継続しやすくなります。

心のサポート

透析治療に伴い、心理的な負担や不安を抱えることは自然なことです。同じ治療を受けている患者との情報交換や、ソーシャルワーカーへの相談が大きな助けになります。

自分だけがつらいのではないと実感し、具体的な対処法を共有することで気持ちを落ち着かせる効果も期待できます。

生活リズムの安定

透析日や体調によって生活リズムが乱れやすい傾向があるため、起床時間や就寝時間をできるだけ一定に保ち、規則正しい生活を目指します。

休むタイミングや食事のスケジュールを工夫して、疲労の蓄積を軽減することがポイントです。少しずつでも安定したリズムを続けると、身体の調子が整いやすくなります。

受診と支援の活用

腎臓透析を継続するうえで、定期受診は治療状況や合併症リスクを把握するために欠かせない機会になります。さらに、公的支援や地域のサービス、患者会などを活用すると、経済的・精神的な面での負担を軽くできる場合があります。

医療機関との連携

主治医や看護師、薬剤師、管理栄養士など多職種でチームを組み、患者の検査データと生活状況を共有します。血圧や検査数値に変動があればその原因を探り、必要に応じて治療内容を修正します。

受診時に疑問や心配事を積極的に伝えることで、より納得感のある治療プランを築きやすくなります。

公的支援制度の利用

腎臓透析には医療費がかさむ傾向がありますが、高額療養費制度や障害年金などを組み合わせると負担を抑えやすくなります。医療ソーシャルワーカーに相談すると、申請手続きや条件を確認するサポートを受けられる場合があります。

さらに自治体によっては交通費の助成や医療費の減免など独自のサービスを提供しているケースもあるため、情報を集めて活用すると安心です。

患者会やコミュニティ

同じ腎臓病や同じ透析方法を選んだ仲間との交流は、孤独感の軽減や実用的な情報共有につながります。患者会では学習会や講演会を開き、治療方法の理解を深められる機会も用意される場合があります。

透析に関する日常の悩みや成功例を共有することで、モチベーションを維持しやすくなる点も大きな魅力です。

以上

透析センター(人工透析) | 大垣中央病院(医療法人社団豊正会 )

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大垣中央病院・こばとも皮膚科

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