腎血管性高血圧(RVHT)

腎血管性高血圧(RVHT)

腎血管性高血圧(RVHT)とは、腎臓へ血液を送る血管が狭くなるなどの異常によって、腎臓が血圧を上昇させる物質を過剰に作り出し、結果的に高血圧が持続・進行する病態です。

放置すると心臓や脳、血管、腎臓など重要な臓器に大きな負担がかかる可能性があります。

高血圧の治療を続けていてもなかなかコントロールできない場合や、急に血圧が上がったり変動したりする場合に疑われることが多いです。

本記事では腎血管性高血圧の病型や原因、検査・治療の方法、治療期間などを解説します。自分の血圧管理を見直すきっかけになれば幸いです。

目次

病型

腎血管性高血圧(RVHT)は、血液が腎臓に十分に流れなくなることが発端となり、腎臓内部の血圧調節システムが誤作動を起こして血圧が過度に上がる仕組みを持ちます。

高血圧全体の中ではそれほど多い病型ではありませんが、治療に対して抵抗性を示すケースや若年層で見られるケースもあるため、正確な理解と診断が重要です。

腎動脈狭窄によるもの

腎臓に通じる動脈の狭窄によって起こる高血圧が代表的です。最も多いのは動脈硬化性の変化による腎動脈狭窄で、中高年や高齢の方に多く見られます。

長期の高血圧や脂質代謝異常など複数の要因が組み合わさり、腎動脈が狭くなる可能性があります。

繊維筋性異形成によるもの

比較的若い女性に多いとされる繊維筋性異形成では、腎動脈の一部が瘤状になったり狭窄したりして高血圧の原因となります。

遺伝的要素やホルモンバランスなど複数の要因が関連するとも考えられており、動脈硬化とは異なる病態を示します。

一次性と二次性の分類

高血圧は大きく一次性と二次性に分類されますが、腎血管性高血圧は二次性高血圧の中でも頻度が高いタイプです。

二次性というのは、腎動脈の病変やホルモン異常など「はっきりした原因」が存在するタイプを指し、原因を特定して治療を行うことで血圧コントロールが改善する可能性があります。

動脈硬化との関連

動脈硬化が進むと血管内腔が狭くなり、腎臓への血流が不足しやすくなります。腎臓が血圧上昇のシグナルを発することで全身の血圧が高くなり、さらに血管に負担がかかる悪循環を起こすので、動脈硬化との関連は深いです。

代表的な腎血管性高血圧の原因と特徴を簡潔に整理します。

原因の分類主な原因特徴
動脈硬化性加齢、脂質異常中高年以降に多い
繊維筋性異形成遺伝的要因など若年女性に多い
その他大動脈炎症候群など全身性炎症の一環で血管狭窄

腎血管性高血圧の病型は原因となる病変と密接に結びついています。高血圧が改善しにくい場合、こうした背景に着目するのが大切です。

この疾患の特徴をより深く理解するために、次の点が手がかりとなります。

  • 通常の降圧薬では十分に血圧が下がらない
  • 血圧が短期間で大きく変動する
  • 若い年代や特定の性別に偏った発症例がある
  • 腎機能の低下を伴うケースが多い

これらのポイントを踏まえて医師に相談すると、診断や治療の精度が高まる可能性があります。

腎血管性高血圧(RVHT)の症状

腎血管性高血圧の症状は、一般的な高血圧と大きく変わらないことも多いですが、腎動脈狭窄の度合いや合併症の有無などによって症状の現れ方が変わります。

頭痛やめまい、耳鳴り、肩こりなどは通常の高血圧と共通の症状です。ただし、腎機能の低下が進むと、尿の変化やむくみ、全身の倦怠感などが強く現れることもあります。

高血圧特有の頭痛やめまい

高めの血圧が続くと、後頭部を中心とした頭痛が起こりやすくなります。めまいを感じる人も多いです。血圧が急激に上がった場合は、脳出血などのリスクも高まるため、すぐに医療機関を受診したほうがいいケースがあります。

腎機能低下による症状

血液をろ過する腎臓の機能が落ちると、老廃物や余分な水分が体内にたまりやすくなります。むくみや尿量の減少といった症状に加えて、貧血や倦怠感を伴う場合もあるため、何らかの異変を感じた際には注意が必要です。

血圧コントロール不良と合併症

長期間にわたって高血圧が続くと、心臓や脳、血管に負担が蓄積します。動脈硬化がさらに進みやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な合併症が発生するリスクもあります。腎臓だけでなく全身の血管系に影響が及ぶ点を考慮することが大切です。

狭心症や動悸、胸部不快感

血圧が高くなることで心臓が負担を強く受け、動悸や胸部の圧迫感を感じる人もいます。とくに既に心臓疾患がある場合は注意が必要です。血圧管理が不十分だと、心不全の兆候に至る可能性も否定できません。

腎血管性高血圧(RVHT)で見られる代表的な症状と関連ポイントをまとめます。

症状具体的な状態関連するポイント
頭痛・めまい後頭部の圧迫感、立ちくらみ血圧変動が激しい場合に増強
むくみ足や顔の腫れ腎機能低下で体液貯留
胸部不快感動悸、息切れ心臓への負担増大
全身倦怠感疲労感、だるさ老廃物の排泄機能低下

また、以下のような状態を感じることが多いです。

  • 朝起床時に異常なほど体が重く、血圧も高め
  • 立ち上がった瞬間に目の前が暗くなる
  • 頭痛薬が効きにくい頑固な頭痛
  • 階段の昇り降りなどの軽い運動で動悸を感じる

症状が重なると日常生活が制限される恐れがあります。早期発見のためにも、定期的に血圧測定を行い、少しでも異変を感じたら専門医に相談するのが賢明です。

腎血管性高血圧(RVHT)の原因

腎血管性高血圧の根本的な原因は、腎臓への血流が障害されることです。血流が不足すると腎臓は「血圧を上げる物質」を分泌して血管を収縮させ、全身の血圧を上げようとします。

結果的に異常な高血圧が継続して起こるのです。原因は大きく2つに分けられ、動脈硬化性と繊維筋性異形成が主なものとされています。

動脈硬化性病変

加齢や高脂血症、喫煙、高血圧そのものなどの要因が重なって動脈壁が硬く狭くなる動脈硬化が原因となり、腎動脈が徐々に狭窄していきます。

糖尿病などの生活習慣病があると動脈硬化が進みやすくなり、腎血管性高血圧を引き起こすリスクが高まります。

繊維筋性異形成

若年女性に多いとされ、腎動脈の中に瘤ができたり異常な狭窄が起こったりする病態です。正確な原因は解明されていませんが、遺伝やホルモンが関わる可能性が指摘されています。

患者によっては腎動脈以外の血管にも類似の病変が見られることがあります。

二次性高血圧の位置づけ

腎血管性高血圧は、何らかの基礎疾患により高血圧が生じる二次性高血圧の代表例です。腎臓の血行動態が変化することでレニン–アンジオテンシン–アルドステロン系(RAA系)が活性化し、血圧が過度に上がるのが特徴です。

生活習慣が誘発するリスク

喫煙や過度の飲酒、塩分過多の食事、肥満なども血管に負担を与えるため、腎血管性高血圧の発症リスクを高めます。特に高齢の方やすでに高血圧のある方は、こうした要因が重なると腎動脈が狭窄しやすくなります。

主な原因とリスク要因をまとめたものです。

原因主な背景関連リスク
動脈硬化加齢、高脂血症、高血圧狭窄の進行で血流不足
繊維筋性異形成若年女性に多い、遺伝腎動脈の形態異常
生活習慣要因喫煙、過度な塩分摂取血管への負担増大

原因を正確に特定することが血圧コントロールのカギになります。高血圧が長引く場合や初めての高血圧発症が若年であった場合、腎血管性高血圧の可能性を考慮することが大切です。

以下のようなリスク要因が重なったときは、特に注意が必要です。

  • 高血圧、脂質異常症、糖尿病などの持病を複数もつ
  • 生活習慣の乱れが継続している
  • 家族の中に若いころから高血圧があった人がいる
  • 血圧が一般的な降圧薬にあまり反応しない

原因追究のためには医療機関での精密検査が重要です。

腎血管性高血圧(RVHT)の検査・チェック方法

腎血管性高血圧を疑うとき、医師は複数の検査を組み合わせて診断を試みます。高血圧の背後に腎動脈の狭窄などが潜んでいないかを確かめることが目的です。とりわけ画像検査が鍵を握ります。

血圧測定と既往歴の確認

高血圧であることを前提に、既往歴や家族歴、生活習慣などを問診しながら腎血管性高血圧の可能性を探ります。若年で高血圧を発症した場合や、突然血圧が悪化したケースでは特に慎重に評価します。

腎機能検査

血清クレアチニンや推算GFR(糸球体濾過量)、尿たんぱくなどの検査で腎機能の状態を確認します。腎臓が血液をろ過する能力が低下している場合、腎血管性高血圧との関連を疑いやすくなります。

画像検査での腎動脈評価

CTやMRI、あるいは造影剤を使った血管造影検査によって腎動脈の形状と血流状態を視覚的に確認します。動脈硬化による狭窄や繊維筋性異形成などの異常を特定するために重要な手段です。

レニン–アンジオテンシン系の評価

血液検査でレニンやアルドステロンなどのホルモン値を測定することで、腎臓が血圧を上げるシグナルを過剰に出していないかを推測できます。腎血管性高血圧が疑われるケースでは、RAA系が強く活性化していることがあります。

主な検査項目と目的を整理します。

検査項目目的ポイント
血圧測定高血圧の有無と変動把握若年発症や急激悪化に注意
腎機能検査クレアチニン、GFR、尿たんぱく腎障害の有無と程度
画像検査(CT、MRIなど)腎動脈の形態評価狭窄や異形成の確認
血液ホルモン検査レニン、アルドステロン値RAA系活性度の推定

検査結果を組み合わせると、腎血管性高血圧かどうかをより正確に判断できます。最終的に血管造影で血流を可視化することが決め手となる場合もあります。

以下に、早期発見のために気をつけたいポイントをいくつか挙げます。

  • 血圧手帳などをつけて日々の血圧推移を把握する
  • 年に1回程度は腎機能検査も含めた健康診断を受ける
  • 高血圧治療を行っていても改善が乏しい場合は精密検査を検討する
  • 胃や腸など消化器に問題がなくても動悸や倦怠感が続くときは腎血管性高血圧を疑う

検査に要する期間や種類は、患者の状態や医療機関の設備によって異なりますが、腎動脈の評価をしっかり行うことが大切です。

腎血管性高血圧(RVHT)の治療方法と治療薬について

腎血管性高血圧の治療では、原因となっている腎動脈狭窄などの解消を目指す方法と、高血圧そのものをコントロールする方法を組み合わせます。

重症度によっては、内科的治療だけでなく血管拡張術などの治療を検討することがあります。

内科的治療:降圧薬の使用

高血圧の一般的な治療と同様に、カルシウム拮抗薬やACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、β遮断薬、利尿薬などを適切に組み合わせ、血圧を安定させます。

ACE阻害薬やARBは腎臓の保護作用が期待できる一方で、腎動脈狭窄が強い場合に腎機能が急激に悪化するリスクもあるため、慎重に使います。

血管内治療:経皮的腎動脈形成術(PTRA)

動脈硬化や繊維筋性異形成などで腎動脈が狭まっている場合に、バルーンカテーテルを用いて血管を拡張し、ステントを留置する治療法があります。

特に繊維筋性異形成による腎動脈狭窄では、PTRAで大きな効果を期待できる場合があります。

外科的治療

血管内治療が難しいケースや、狭窄が高度かつ複雑な構造をしている場合は、血行再建手術を行うことも選択肢に入ります。手術の方法は患者の状態や血管の走行などによって異なり、外科医と相談して決定します。

生活習慣の見直し

腎血管性高血圧が動脈硬化によって起こっているケースでは、食事療法や運動、禁煙、節酒などの生活習慣の改善が必要です。たとえ血管拡張術で一時的に改善しても、生活習慣が悪ければ再狭窄を起こすリスクがあります。

主な治療手段と特徴をまとめました。

治療手段概要注意点
降圧薬カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬など腎機能を見ながら投与量を調整
血管内治療(PTRA)カテーテルによるバルーン拡張ステント留置が必要な場合も
外科的治療バイパス手術などの血行再建高度狭窄や複雑病変で検討
生活習慣改善禁煙、減塩、適度な運動再狭窄を防ぐ意味でも大切

治療方針は、狭窄の度合いや患者の年齢、合併症の有無などによって変わります。医師としっかり相談して自分に合った治療を選択することが重要です。

以下のようなアクションが治療効果を高めるうえで不可欠です。

  • 食事の塩分量を確認し、必要に応じて管理栄養士の指導を受ける
  • 禁煙や節酒を心がけ、血管への負担を軽減する
  • 運動療法の導入にあたっては医師と相談し、無理のない範囲で継続する
  • 血管内治療や外科手術を受けた後も定期検診を怠らない

治療の主眼は、腎臓への血流を正常化しながら全身の血圧を安全にコントロールしていくことです。

腎血管性高血圧(RVHT)の治療期間

治療期間は腎血管性高血圧の原因や重症度、患者さんの体力や合併症の有無によって大きく変わります。内科的治療のみの場合と、血管内治療や外科的手術を含む場合とでは大きな差があります。

また、再狭窄や合併症の発症などによって治療期間が延びることも少なくありません。

内科的治療のみの場合

降圧薬を中心とした内科的治療を続けるケースでは、腎機能と血圧が安定するまで数カ月から数年単位で外来フォローを行います。腎動脈の状態そのものを劇的に変えられない場合、長期的な投薬が必要です。

血管内治療や外科的治療を行った場合

PTRAやステント留置などを行った場合、術後の経過観察が欠かせません。術後数日から数週間の入院が必要になることもありますが、術式や合併症の有無によって入院期間は変動します。

その後の外来通院期間も含めると、数カ月以上のフォローが一般的です。

生活習慣改善の継続

たとえ血圧が落ち着いても、生活習慣の改善は継続が大切です。動脈硬化の進行を抑え、再狭窄を予防する意味でも長い目で見たケアが必要になります。

再発や再狭窄のリスク

特に動脈硬化がベースにある場合やコントロール不良の糖尿病などを併発している方は、再狭窄が起こるリスクが高まります。症状の再燃が疑われた際には、早めに追加検査を行い、必要なら再度血管拡張術を検討することもあります。

治療期間の目安と要因を簡単に整理しました。

治療内容期間の目安要因
内科的治療のみ数カ月~数年投薬反応、合併症
血管内治療(PTRAなど)術後数日~数週間入院+外来数カ月術式、再狭窄の有無
外科的手術術後数週間~数カ月入院+外来数カ月~重症度や術式

治療期間は個人差が大きいため、主治医の説明をしっかり理解し、自分のペースで焦らずに進めていくのが大切です。

以下のポイントを踏まえることで、よりスムーズな治療を期待できます。

  • 定期検診をきちんと受けて腎機能や血圧を確認する
  • 治療法のメリット・デメリットを医師と話し合い、納得の上で選択する
  • 適切なタイミングで職場や家族にも治療計画を共有し、サポートを得る
  • 生活習慣の見直しを続けながら、再発防止につなげる

治療期間を短縮するためというより、確実に血圧と腎機能を安定させる意識をもつことが重要です。

副作用や治療のデメリットについて

腎血管性高血圧の治療薬には一般的な降圧薬と同様に、さまざまな副作用が存在します。さらに血管拡張術や手術には合併症や再狭窄のリスクがつきまといます。デメリットを理解しながら治療に臨むことが、長期的な成功の鍵を握ります。

降圧薬の副作用

カルシウム拮抗薬やACE阻害薬、ARB、β遮断薬、利尿薬などは、高血圧全般の治療に用いられます。めまいやほてり、空咳、電解質異常などが起こる可能性があります。

ACE阻害薬では特に咳の副作用がみられることがあり、気になる場合は医師に相談して薬を変更することも検討できます。

腎機能への影響

腎動脈狭窄がある状態でACE阻害薬やARBを使うと、腎臓への血流がさらに減ってしまい、急激に腎機能が悪化するケースがあります。腎血管性高血圧の治療では、腎機能をこまめにチェックしながら投薬を調整することが重要です。

血管内治療のリスク

バルーン拡張やステント留置を行う際には、穿刺部からの出血や血栓形成、ステント内再狭窄といったリスクがゼロではありません。術前に医師から十分な説明を受け、メリットとデメリットを天秤にかけて意思決定を行う必要があります。

外科的手術の負担

高度の狭窄や複雑な動脈病変を抱える場合は外科的手術を選択することもありますが、身体的な負担が大きくなる可能性があります。

入院期間が長引く場合もあり、手術のリスクや術後の回復に時間と労力を要することがあるため、慎重な判断が求められます。

代表的な副作用・リスクとその対策案をまとめます。

副作用・リスク具体的な内容対策案
降圧薬の副作用めまい、咳、電解質異常医師と相談し薬の種類を調整
腎機能の急激な悪化ACE阻害薬使用時などこまめな血液検査で早期発見
血管内治療の合併症出血、血栓、再狭窄抗凝固薬投与や定期フォロー
外科手術の負担術後痛、入院長期化術前の検査とチーム医療の連携

治療のデメリットを完全に避けることは難しいですが、専門家と連携しながらマネジメントすればリスクを低減できます。以下のような対策も有効です。

  • 術後や投薬中の体調変化を記録し、疑問点は早めに医師へ伝える
  • 定期的に血圧と腎機能を検査し、早期に異常をキャッチする
  • 血液サラサラの薬を処方された場合は内服管理に注意し、飲み忘れを防ぐ
  • 手術を検討する際はセカンドオピニオンも取り入れて慎重に判断する

リスクと効果を理解したうえで治療を選択することが、長期的な健康維持に役立ちます。

腎血管性高血圧(RVHT)の保険適用と治療費

腎血管性高血圧の診断と治療は、多くの場合、健康保険の対象となります。投薬治療から血管内治療、外科手術まで、医師の判断で必要とされる医療行為には公的保険が適用されることが一般的です。

ただし、先進的な医療技術や入院環境の選択によっては費用が変動することがあります。

入院加療の費用

血管内治療や外科手術を受ける場合、入院にかかる費用は手術代やベッド代、検査費、食事代などを合わせた金額になります。高額療養費制度を利用すると、収入に応じて自己負担額が一定の上限を超えないようにする仕組みがあります。

長期入院や高額治療となる場合は早めに医療ソーシャルワーカーなどに相談しておくと安心です。

外来診療の費用

投薬治療の場合は、通院時の診察料、薬剤料、検査費用が主な負担項目になります。高血圧の治療は長期にわたることが多く、月ごとの医療費が積み重なるため、家計管理を意識することが大切です。

血管内治療や外科手術の保険適用

腎動脈の狭窄に対する血管内治療(PTRAやステント留置)は、公的保険の適用範囲です。外科的な血行再建手術も保険の対象となります。

ただし、入院のグレードや個室使用などによって差額ベッド代が発生するケースもあるため、事前に担当医療機関と相談しておきましょう。

民間保険の活用

民間の医療保険に加入している場合、入院費や手術費に対する給付金を受け取れる可能性があります。契約内容により補償の範囲が異なるため、保険証券をよく確認するとよいでしょう。

特約や先進医療オプションなどを付加している場合、自己負担を軽減できる可能性があります。

治療費と保険適用に関する主なポイントを一覧にまとめました。

治療形態適用される保険費用負担の目安
投薬治療公的健康保険診察料や薬剤費が中心
血管内治療公的健康保険高額療養費制度で上限あり
外科手術公的健康保険入院期間や術式で変動
民間保険利用医療保険や特約契約内容により給付あり

治療費への不安を軽減するために、次の点も押さえておくと役立ちます。

  • 入院や手術の見込みが出た時点で高額療養費制度について情報を集める
  • 自分や家族が加入している保険の給付条件を確認する
  • 差額ベッドや先進医療を希望する場合は、追加費用の予測を立てる
  • 医療費控除など税制上の優遇も視野に入れる

経済的な面も含めて治療計画を立てれば、より落ち着いて治療に専念できるでしょう。

以上

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