酒さにおすすめのスキンケアは？市販やドラッグストアではどんなものを選ぶべき？

自宅でのスキンケア方法は、酒さの改善と悪化に深く関わっています。

酒さの改善には「刺激の少ないスキンケア」が大切であることは周知されてきているものの、どのようなスキンケア剤を選べばいいかわからないと相談を受ける機会がまだまだ多い印象を受けます。

そこで本記事では、酒さのスキンケア剤にはどのようなものを選べばいいのか、逆に避ければいいのか、具体的なスキンケアルーティンについて詳しく解説しています。

酒さとは？症状の特徴と原因

初期の酒さは、一時的な皮膚の赤みや火照りが主な症状ですが、悪化していくと赤みの慢性化や刺激感、プツプツとした丘疹や膿をともなうものに変化していきます。

症状の特徴と種類

酒さの主な症状は皮膚の赤み、毛穴まわりの盛り上がり（丘疹）、膿、毛細血管の広がりなどです。

また、火照り、かゆみ、ピリピリとした刺激感、皮膚の乾燥、むくみを感じることも。稀な症状としては、目の充血や炎症が報告されています。

酒さの症状	詳細
皮膚の赤み	顔面の中央部分が赤くなる。酒さの赤みは広範囲に及ぶのが特徴。
毛穴周りの盛り上がり、膿	小さな吹き出物ができ、膿をともなうものも見られる。ニキビとの違いは面皰があるかないか。酒さでは毛穴の周りが盛り上がる。（ニキビは毛穴が盛り上がる）
毛細血管の広がり	細い網目状の血管が皮膚の下に透けて赤くみえる。頬や小鼻の脇など、皮膚の薄い場所によく見られる。
火照り、乾燥、むくみ	毛細血管の血流が増加すると火照りやすくなる。また、炎症や熱により乾燥しやすくなる。血流が増えると水分が溜まってむくみやすくなる。
かゆみ、刺激感	酒さでは皮膚に刺激を感じやすくなるため、かゆみや刺激をともなう。
目の充血やかゆみ	酒さの症状のなかには、まぶたの腫れや目の充血、かゆみをともなうケースがある。

これらの症状は、一時的な場合もあれば慢性的にあらわれる場合もあり、酒さの症状が重くなるほど慢性化しやすいです。

酒さの種類は4タイプ

酒さは主に4つの症状タイプに分けられ、単体で発症している場合もありますが、複数のタイプの酒さが混在しているケースも見られます。

紅斑毛細血管拡張型（こうはんもうさいけっかんかくちょうがた）	顔の中央部分に赤みが見られる。小鼻の脇や頬などにチリチリとした毛細血管の広がりや、火照りやかゆみが見られることも。
丘疹膿疱型（きゅうしんのうほうがた）	赤みのある毛穴の周りにブツブツとした盛り上がり（丘疹）ができる。丘疹は膿をともなう場合も。
鼻瘤腫型（びりゅうがた）	酒さが長期化して鼻の皮膚がゴツゴツと厚くなり団子鼻のようになる。こぶのように膨らんだ鼻では毛穴が開き皮脂が出やすくなる。
眼型（がんがた）	比較的稀なタイプの酒さ。目の充血や腫れなど結膜炎のような症状が見られる。

発症の原因・しくみ

酒さについての研究は、昔から数多くなされているものの、未だ明確な原因はわかっていないのが現状です。

ただし、酒さの原因はひとつではなくあらゆる発症原因があること、酒さを悪化・誘発させる要因があることはわかってきています。

酒さの症状を改善する働きのある治療方法についても研究が進んでいるため、治療の選択肢もどんどん広がってきています。

酒さケアで避けるべき間違ったスキンケア習慣

酒さの症状に直結する日々の習慣といえば、スキンケアです。

多くの方は、朝と夜1日2回のスキンケアを行われていると思いますが、間違ったスキンケアを毎日続けてしまうと、確実に酒さを悪化に導いてしまいます。

ここでは、酒さの時に気を付けたいスキンケア習慣について解説していきます。

NGな洗顔方法

酒さの方が絶対にしてはいけないのが「肌に刺激をあたえる洗顔」です。ゴシゴシと肌をこするのはもちろん、長時間洗顔料を肌にのせての洗顔もおすすめできません。

また、スクラブやピーリング成分が配合されている刺激的な洗顔料を使用するのも控えてください。

急な温度変化も酒さを悪化させてしまう原因になるため、熱すぎるお湯や冷たすぎる水もNG。30℃前後のぬるま湯で洗顔しましょう。

ゴシゴシこする、刺激的な洗顔料の使用、熱すぎるお湯or冷たすぎる水、長時間の洗顔、シャワーを直接顔にかける

避けるべき製品タイプ

酒さのスキンケアで避けるべき製品は、肌の刺激につながる成分が配合されているもの。具体的には、アルコール、スクラブやピーリング成分が配合されている製品です。

また、香料や界面活性剤などの添加物も肌の刺激となってしまう方がいらっしゃいます。

できる限り、シンプルな成分だけで構成されている製品を選ぶようにしましょう。（後にスキンケア製品の選び方のポイントを詳しく解説しています。）

酒さのスキンケアで重要な成分とその働き

セラミドの重要性

肌のバリア機能で重要な役割を果たしてくれているのがセラミドの存在です。

セラミドはもともと人の肌に存在する成分で、角質層に何枚も重なっている角層細胞の隙間を満たしています。（角質層は角層細胞が層になって構成されています。）

セラミドが角層細胞どうしをぴったりとくつけ、角質層を強固にしてくれている肌は、バリア機能が十分に働いているため、外部からの刺激や侵入を跳ね除けてくれます。

こういった肌は表面が整い、ツヤがありキメも整っています。

逆にセラミドが不足している肌はカサつきや荒れが目立ち、角質層に隙間がたくさんできているため外部からの刺激が侵入し放題。酒さも悪化してしまいます。

肌のバリア機能を強めるためには、セラミドの存在がとても重要です。

抗炎症成分の役割

スキンケア製品に配合されているトラネキサム酸やナイアシンアミドには、肌を整えたり炎症を落ち着かせてくれたりする成分があります。

こういった成分を配合した製品も酒さには有効です。

ただし、酒さは化粧品成分も刺激になる場合があるため、あれこれといろいろな成分が入っているスキンケア剤は避けるようにしてください。

シンプルな成分が基本。取り入れるとすればトラネキサム酸またはナイアシンアミド。

市販スキンケア製品の選び方と使用時のポイント

酒さに適したスキンケア剤は、その人の肌質（乾燥肌or脂性肌）によって変わってくるため一概には言えないものの、シンプルで優しいものを意識して選ぶようにしてください。

ドラッグストアでのスキンケア剤の選び方

刺激にならないようなスキンケア剤を選ぶひとつの目安としては「低刺激・敏感肌用」と書かれたパッケージです。

低刺激・敏感肌用のもの

低刺激・敏感肌用のスキンケア剤は、セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分が多く入っており、肌にあたえる刺激をできるだけ少なくするために使用成分を極力控えているものが多いです。

まさに、セラミドによるバリア機能重視と、シンプル処方を必要とする酒さにぴったりなスキンケア剤と言えます。

弱酸性のもの

弱酸性のスキンケア剤を選ぶのもひとつの方法です。

わたしたちの肌は通常、弱酸性を保つようにできています。

正常な肌では、アルカリ性のスキンケア剤を使ったとしてもすぐに弱酸性に戻るようになっていますが、酒さの方はいったんアルカリ性に傾いてしまうと弱酸性に戻りにくいです。

肌のアルカリ状態はバリア機能を低下させる原因になるため、あらかじめ弱酸性成分を使用したものを選ぶとよいでしょう。

その他選び方のポイント

洗顔料を選ぶ際には、比較的肌に優しいアミノ酸系洗浄成分を使用しているものを選ぶようにします。

また、酒さ改善に上手く働きかけてくれる成分（セラミド・ナイアシンアミド・トラネキサム酸）が配合されたスキンケア剤を選ぶというのもよいでしょう。

使用時のポイント

スキンケア剤を使用する際も、できるだけ肌の刺激にならないよう、優しく手早く行います。

化粧水や美容液を塗る際は、ゴシゴシと塗りこんだり激しくパッティングしたりすると肌の刺激に繋がるため厳禁です。

掌でやさしくハンドプレスしながら、スキンケア剤成分を肌内部ににそっと押しだすイメージです。

ただし、しつこく何度もしてしまうと刺激になってしまうおそれがあるため、ほどほどにしておきます。

おすすめスキンケアルーティーン

酒さの方におすすめなスキンケアルーティーンを朝・夜それぞれご紹介します。

朝のケア手順

夜のケア手順

継続的なケアのポイント

日常生活での注意点

ここまでの解説をふまえ、日常生活での酒さの際に気を付けたい習慣やケアのポイントについてまとめてみます。

酒さ時のスキンケアポイント	詳細
やさしい洗顔	ぬるま湯でへたらない泡を使う。摩擦は厳禁。低刺激・敏感肌用・弱酸性のスキンケア剤を使用。
しっかり保湿	乾燥は極力避ける。低刺激・敏感肌用・弱酸性のスキンケア剤を選ぶ。セラミド・ナイアシンアミド・トラネキサム酸も有効。
紫外線対策	日焼け止めは通年使用。しっかりと塗布する。刺激の少ないものを選ぼう。

酒さの悪化因子	対策
紫外線	日焼け止めだけでなく帽子や日傘を使用する方法も有効。
食べ物	アルコール、香辛料、熱い食べ物は酒さを悪化させるためほどほどに。
激しい運動、サウナ	血流が良くなりすぎると酒さが悪化するためほどほどに行う。
ストレス	ストレスは酒さに悪影響を及ぼすとされているため、気分転換や趣味の時間を設けるなどする。
ホルモンバランスの乱れ	月経時期のホルモンバランスの乱れは酒さを悪化させる場合があるため、必要に応じて婦人科へ相談する。

経過観察の方法

酒さの治療法や対策には、自宅で行うスキンケア・悪化因子の回避・病院での治療の3つが主なものです。

できれば、まず病院に行って顔の赤みが本当に酒さによるものなのかを医師に判断してもらうのが望ましいですが、すぐに病院にいけない場合は、まずはスキンケアでの刺激を極力減らし悪化因子を避けて生活してみてください。

スキンケアと悪化因子の回避で良くならない場合は、皮膚科で診断してもらいましょう。

プツプツと皮膚が盛り上がる丘疹膿疱型タイプは比較的短期間で治まっていくものの、紅斑毛細血管拡張型タイプの快方には時間がかかる傾向にあります。

そのため、一時的な顔の赤みや血管の拡張にお悩みの方の場合は、生活を見直しても思うような変化があらわれるまでに時間がかかってしまうかもしれません。

できるだけ早く改善したい方は、病院での専門的な治療をプラスした方がよい場合もあるため、そういったことも踏まえながら経過を観察してみてください。

酒さの治療を詳しく見る（名古屋のこばとも皮膚科） 

参考文献

尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン 2023

田邉洋, et al. ニキビダニ症の 1 例. 天理医学紀要, 2023, 26.2: 123-131.

マルホ皮膚科セミナー　｢酒皶の発症メカニズムとその最新知見:自然免疫機構の皮膚疾患に与える影響｣

山﨑研志. 赤ら顔と自然免疫. 日本香粧品学会誌, 2016, 40.1: 20-23.

中村健一. VI. 内科医が心得るべき皮膚疾患の落とし穴. 日本内科学会雑誌, 2021, 110.12: 2560-2566.

第11回 日本痤瘡研究会学術大会 記録集「酒皶治療のupdate 日本版」

MSDマニュアル家庭版-酒さ-

MSDマニュアル家庭版-にきび（ざ瘡）-