原因不明の発熱や、シーツを交換するほどの寝汗が続く場合、それは単なる体調不良ではなく、体が発する重要なサインかもしれません。
これらの症状は、感染症や他の疾患だけでなく、「がん」の初期症状として現れることもあります。
この記事では、なぜ発熱や寝汗ががんの症状として現れるのか、風邪との違い、特に注意すべきがんの種類、そして症状が続いた時に取るべき行動について詳しく解説します。
ご自身の体調変化に気づき、早期発見につなげるための一助としてください。
発熱と寝汗 – なぜ今注目すべき症状なのか
発熱や寝汗は、日常生活でよく経験する症状です。そのため、「ただの風邪だろう」「少し疲れているだけかもしれない」と見過ごしてしまうことも少なくありません。
しかし、これらが特定の「がん」の重要なサインである可能性も認識しておくことが大切です。特に、明らかな原因がないにもかかわらず症状が続く場合には、注意深い観察が求められます。
見過ごされがちな体のサイン
多くの場合、発熱はウイルスや細菌による感染への防御反応として起こります。寝汗も、室温が高い、厚着をしている、あるいは解熱時にかくことがあります。
これらは一時的なものであり、原因が解消すれば症状も治まります。しかし、がんに関連する発熱や寝汗は、こうした分かりやすい原因なしに現れ、持続する傾向があります。
この「原因不明の持続」こそが、見過ごしてはならない重要なポイントです。
がんの「初期症状」としての側面
すべてのがんで見られるわけではありませんが、特定の種類のがん、特に「血液のがん」などでは、発熱や寝汗が比較的早い段階の「初期症状」として現れることがあります。
これは、がん細胞そのものや、がん細胞に反応する体の免疫系が特定の物質を産生し、体温調節や発汗の中枢に影響を与えるためと考えられています。
初期症状として認識することで、より早い段階での医療機関への「受診」につながる可能性があります。
症状が「続く」ことの意味
風邪による発熱であれば、通常は数日から長くても1週間程度で解熱傾向に向かいます。
しかし、がんに関連する症状の場合、解熱剤を飲んでも一時的にしか下がらなかったり、薬が切れると再び発熱したりすることを繰り返す、あるいは「微熱」が何週間も「続く」といった特徴が見られることがあります。
寝汗も同様に、毎晩のようにシーツ交換が必要なほどの汗をかく状態が続く場合は、体の異常を示すサインと考え、その「原因」を探る必要があります。
一般的な原因とがんの可能性の比較
| 症状 | 一般的な原因の例 | がんの可能性を示唆する場合の例 |
|---|---|---|
| 発熱 | 風邪、インフルエンザ(通常数日で改善) | 原因不明の微熱が1週間以上「続く」 |
| 寝汗 | 室温、寝具、服装、解熱時 | シーツ交換が必要なほどの大量の汗が毎晩続く |
この表はあくまで一例です。症状が続く場合は、自己判断せずに医療機関に相談することが重要です。
「がん」が引き起こす発熱と寝汗のメカニズム
がん患者になぜ発熱や寝汗が起こるのか、その詳しい理由はまだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関わっていると考えられています。
がん細胞そのものの性質や、それに対する体の免疫反応が深く関係しています。
がん細胞と免疫反応
がん細胞は、正常な細胞にはない異常なタンパク質を作ったり、急速に増殖・壊死したりすることがあります。これらの異常を体が「異物」として認識すると、免疫細胞が活性化します。
免疫細胞は、異物を攻撃・排除しようとする過程で、「サイトカイン」と呼ばれる様々な情報伝達物質を放出します。このサイトカインが、発熱や寝汗の直接的な「原因」の一つとなります。
サイトカインの影響
サイトカインは、感染症の際にも体温を上げてウイルスや細菌の増殖を抑えるために放出されますが、がんの場合、この放出が持続的かつ過剰になることがあります。
特に「インターロイキン6(IL-6)」や「腫瘍壊死因子(TNF-α)」といった炎症性サイトカインは、脳の体温調節中枢に作用して体温を上昇させ(発熱)、また、自律神経系にも影響を及ぼし、発汗(寝汗)や「倦怠感」を引き起こすと考えられています。
炎症性サイトカインの役割
炎症性サイトカインは、本来は体を守るために必要な物質です。しかし、がんが存在することでそのバランスが崩れ、持続的な炎症状態が作られてしまいます。
これにより、体は常に感染症と戦っているような状態に置かれ、エネルギーを消耗し、「微熱」が続くだけでなく、「体重減少」や強い「倦怠感」といった症状も伴いやすくなります。
これらはまとめて「悪液質(あくえきしつ)」と呼ばれることもあります。
症状に関わる主な体内物質
| 物質名の例 | 主な働き(通常時) | がんとの関連で起こりうること |
|---|---|---|
| インターロイキン6 (IL-6) | 免疫応答、炎症の調節 | 過剰産生により発熱、「倦怠感」を引き起こす |
| 腫瘍壊死因子 (TNF-α) | 炎症反応の促進、腫瘍細胞への攻撃 | 発熱、食欲不振、「体重減少」の「原因」となる |
腫瘍随伴症候群(PNS)とは
発熱や寝汗は、「腫瘍随伴症候群(Paraneoplastic Syndrome: PNS)」と呼ばれる現象の一部として現れることもあります。
これは、がん細胞が産生するホルモンやサイトカインなどが、がんが存在する場所から離れた他の臓器や組織に影響を及ぼし、様々な症状を引き起こす状態の総称です。
発熱や寝汗も、このPNSの一症状として捉えられることがあります。がんそのものの大きさや広がり(ステージ)とは必ずしも相関せず、比較的早期のがんでも現れることがあるのが特徴です。
風邪とは違う?警戒すべき発熱・寝汗の特徴
症状が似ているため、がんによる発熱・寝汗を風邪や更年期障害など他の原因と区別するのは容易ではありません。しかし、いくつか注意すべき「違い」があります。
これらの特徴を知っておくことは、自身の健康状態を正しく把握し、適切なタイミングで「受診」するための第一歩です。
症状の「違い」を見極める
最も大きな「違い」は、症状の「持続性」と「程度」です。風邪であれば、通常は喉の痛み、鼻水、咳といった他の上気道症状を伴い、発熱も数日でピークを越えて改善に向かいます。
一方、がんに伴う発熱は、はっきりとした感染兆候がないにもかかわらず「微熱」がダラダラと「続く」ことが多いです。
寝汗も同様で、風邪の解熱時にかく汗とは異なり、理由なく毎晩のようにシーツが濡れるほどの汗をかくのが特徴です。
注意すべき症状のセルフチェック
以下の項目は、医療機関を受診する際に医師に伝えるべき重要な情報となります。ご自身の状態を客観的に「チェック」してみましょう。
警戒ポイント
- 37.5度前後の「微熱」が1週間以上「続く」
- 夜間にシーツや寝間着の交換が必要なほどの寝汗
- ここ数ヶ月で食事制限をしていないのに起こる急激な「体重減少」(例 6ヶ月で5%以上)
- 休息をとっても改善しない強い「倦怠感」や疲労感
- 首や脇の下、足の付け根などのリンパ節の腫れ
これらの症状が複数当てはまる場合、あるいは一つでも強く持続する場合は、早めに医療機関に相談してください。
一般的な風邪との症状比較
| 項目 | 一般的な風邪やインフルエンザ | 注意すべき症状(がんの可能性) |
|---|---|---|
| 発熱のパターン | 急な高熱が出ることが多いが、数日で解熱傾向 | 「微熱」が長く「続く」、解熱剤が効きにくい |
| 寝汗の程度 | 解熱時にかくことがある | 毎晩のようにシーツ交換が必要なほど大量にかく |
| 随伴症状 | 喉の痛み、鼻水、咳、筋肉痛が主 | 原因不明の「体重減少」、強い「倦怠感」、リンパ節の腫れ |
もちろん、これらの症状があるからといって必ずしもがんであるとは限りません。しかし、これらの「違い」は、体が発する重要な「サイン」である可能性があります。
首や脇の下に「しこり」はありませんか?
発熱や寝汗に加えて、リンパ節の腫れがないか確認してみましょう。以下の場所を優しく撫でてみて、「痛みがないのに、ぐりぐりしたしこりがある」場合は要注意です。
- 首の周り: 耳の下から鎖骨にかけて
- 脇の下: 腕の付け根のくぼみ
- 足の付け根(鼠径部): 太ももの付け根
※風邪でも腫れますが、その場合は「押すと痛い」ことが多いです。「痛くないしこり」が数週間消えない場合は、内科か耳鼻科を受診してください。
これらの症状が出やすい「がん」の種類とは
発熱や寝汗は、すべてのがんに共通する症状ではありません。しかし、特定の種類のがん、特に「血液のがん」では、これらの症状が比較的多く見られることが知られています。
また、固形がんでも、がんが進行した場合や特定の種類のがんでは、全身症状として現れることがあります。
特に注意が必要ながん
発熱、寝汗、体重減少の3つの症状は、特に「悪性リンパ腫」において「B症状」と呼ばれ、診断や病気の進行度を判断する上で重要な指標とされます。
これらの症状は、がん細胞から放出されるサイトカインが全身に影響を及ぼすために起こると考えられています。
血液のがん(悪性リンパ腫・白血病)
「血液のがん」は、血液細胞ががん化する病気の総称です。代表的なものに「悪性リンパ腫」や「白血病」があります。
- 悪性リンパ腫
免疫システムの一部であるリンパ球ががん化する病気です。リンパ節の腫れが主な症状ですが、全身症状として原因不明の発熱、大量の寝汗、体重減少(B症状)が「初期症状」として現れることが少なくありません。 - 白血病
血液細胞を作る骨髄で異常な白血球(がん細胞)が増加する病気です。正常な血液細胞が作れなくなるため、貧血(息切れ、倦怠感)、免疫力の低下(発熱、感染しやすい)、血小板の減少(出血しやすい)などが起こります。この免疫力低下による感染症とは別に、がん細胞自体が「原因」となって発熱することもあります。
これらの「血液のがん」では、がん細胞が全身に広がりやすいため、発熱や寝汗といった全身症状が比較的早い段階から現れやすい傾向があります。
固形がんの場合
肺がん、胃がん、大腸がんなどの固形がんでは、早期の段階で発熱や寝汗が起こることは比較的まれです。
しかし、がんが進行して大きくなったり、他の臓器に転移したりすると、全身の炎症反応や腫瘍随伴症候群(PNS)として発熱や「体重減少」、「倦怠感」が現れることがあります。
発熱・寝汗を伴いやすい主な固形がん
| がんの種類の例 | 症状の特徴や背景 |
|---|---|
| 腎細胞がん | 「発熱」が「初期症状」として現れることがあり、腫瘍随伴症候群の一つと考えられている |
| 肝細胞がん | 腫瘍が大きくなる過程での壊死や、がん細胞によるサイトカイン産生が「原因」で発熱することがある |
| その他のがん(進行期) | がんが進行し、全身の栄養状態が悪化(悪液質)すると、発熱、「体重減少」、「倦怠感」を伴う |
固形がんにおいても、原因不明の発熱や寝汗が続く場合は、体が発する何らかの「サイン」である可能性を考慮し、精密な「検査」を受けることが重要です。
がん以外の可能性 – 発熱と寝汗をもたらす他の疾患
原因不明の発熱や寝汗が続く場合、がんを心配する方も多いかもしれませんが、実際にはがん以外の疾患が「原因」であることの方が多いです。
正確な診断のためには、これらの他の疾患の可能性も慎重に調べる必要があります。自己判断で「がんだ」と決めつけたり、逆に「風邪だ」と放置したりせず、専門家による鑑別診断が重要です。
鑑別が必要な疾患
発熱と寝汗は、体が何らかの異常事態に反応している証拠です。がん以外で特に考慮すべきは、感染症と膠原病(自己免疫疾患)です。
感染症(結核など)
最も一般的な原因は感染症です。風邪やインフルエンザのように短期間で治るもの以外に、長期間にわたって「微熱」や寝汗、「倦怠感」を引き起こす慢性的な感染症があります。
代表的なものに「結核」があります。結核は過去の病気と思われがちですが、現在でも注意が必要な感染症であり、肺だけでなくリンパ節や他の臓器に感染することもあります。
他にも、細菌が心臓の弁に感染する「感染性心内膜炎」や、特定のウイルス感染(HIVなど)も原因となります。
膠原病・自己免疫疾患
膠原病(こうげんびょう)は、本来自分を守るはずの免疫システムが異常をきたし、自分自身の体を攻撃してしまう疾患の総称です(自己免疫疾患)。関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、血管炎などがこれに含まれます。
これらの疾患では、全身で持続的な炎症が起こるため、原因不明の発熱、寝汗、「倦怠感」、関節痛、皮疹など、多彩な症状が現れます。
発熱・寝汗の「原因」となる主な疾患(がん以外)
| 分類 | 具体的な疾患例 |
|---|---|
| 感染症 | 結核、感染性心内膜炎、HIV感染症、慢性ウイルス肝炎 |
| 膠原病・自己免疫疾患 | 関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、血管炎 |
| その他 | 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、薬剤熱(薬の副作用) |
このように、原因は多岐にわたります。症状が「続く」場合は、これらの可能性を一つずつ「チェック」し、原因を特定するための「検査」が必要です。
症状から「がん」を早期発見する意義
もし発熱や寝汗の「原因」が「がん」であった場合、これらの症状を「サイン」として早期に捉え、行動を起こすことには非常に大きな意義があります。
がんの治療成績は、発見されたときの進行度(ステージ)に大きく左右されるためです。
早期発見が治療選択に与える影響
一般的に、がんは早期であるほど、治療の選択肢が多くなります。
例えば、がんが原発巣(最初に発生した場所)に限局している早期の段階であれば、手術や内視鏡治療、放射線治療などで根治(完全に治すこと)を目指せる可能性が高くなります。
治療による体への負担も比較的少なく、治療後の社会復帰も早くなることが期待できます。
しかし、発見が遅れ、がんが周囲の臓器に広がったり、遠くの臓器に転移したりすると、治療はより複雑になり、薬物療法(抗がん剤治療、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など)が中心となることが多くなります。
治療の目的も、根治から延命や症状の緩和へとシフトしていく可能性があります。
体からの「サイン」を受け取る
発熱、寝汗、「体重減少」、「倦怠感」といった症状は、特に「悪性リンパ腫」や「白血病」のような「血液のがん」においては、比較的早い段階から現れることがある「初期症状」です。
これらの「サイン」を見逃さず、早期に「受診」し、適切な「検査」を受けることで、進行する前に治療を開始できるかもしれません。
早期発見の重要性
- 根治を目指せる可能性が高まる
- 手術や内視鏡治療など、体への負担が少ない治療法を選択できる可能性がある
- 治療後のQOL(生活の質)の維持・向上が期待できる
固形がんの場合、発熱や寝汗が「初期症状」として現れることは少ないかもしれませんが、これらの症状がきっかけで医療機関を受診し、別の理由で行った「検査」で偶然早期のがんが見つかるケースもあります。
体調の変化に敏感であることは、どのような病気に対しても重要です。
発見時期によるアプローチの違い(一例)
| 発見時期 | 主な治療方針(傾向) | 体への負担(傾向) |
|---|---|---|
| 早期(限局している場合) | 根治を目指す治療(手術、内視鏡治療、放射線治療など) | 比較的少ない |
| 進行期(転移がある場合) | 全身療法(薬物療法など)や症状緩和ケア | 比較的大きい |
症状が続いたら – 何科を受診すべきか
原因不明の発熱や寝汗が「続く」場合、不安を感じても「何科を受診すればよいか分からない」という方は少なくありません。適切な診療科を選ぶことは、スムーズな診断と治療への第一歩です。
ここでは、受診の目安について解説します。
最初のステップ – かかりつけ医への相談
最も推奨される最初の行動は、かかりつけの内科、あるいは近くの一般内科・総合内科を受診することです。
発熱や寝汗は非常に多くの疾患の可能性を含むため、まずは全身の状態を総合的に診察し、必要な初期「検査」(血液検査、尿検査、胸部X線写真など)を行うことが重要です。
これらの初期「検査」で、感染症や炎症の有無、貧血や肝機能・腎機能の状態など、多くの情報を得ることができます。
症状に応じた専門診療科
かかりつけ医での診察や初期「検査」の結果、特定の疾患が疑われる場合には、専門の診療科へ紹介されます。
例えば、「悪性リンパ腫」や「白血病」といった「血液のがん」が疑われる場合は「血液内科」、結核が疑われれば「呼吸器内科」や「感染症科」、膠原病が疑われれば「リウマチ・膠原病科」となります。
最初から自分で「何科」か判断しようと悩むよりも、まずは内科医に相談し、適切な道筋をつけてもらうのが賢明です。
症状と受診先の目安
| 主な症状 | 最初の相談先(例) | 紹介される専門科(例) |
|---|---|---|
| 発熱、寝汗、「倦怠感」が続く | 一般内科、総合内科 | 血液内科、膠原病科、感染症科 |
| リンパ節の腫れを伴う | 内科、耳鼻咽喉科(首の場合) | 血液内科、耳鼻咽喉科 |
| 咳や痰が続く | 内科、呼吸器内科 | 呼吸器内科(結核や肺がんの精査) |
問診で伝えるべきこと
「受診」の際は、医師に正確な情報を伝えることが迅速な診断につながります。以下の点を整理しておくと良いでしょう。これらの情報は、医師が「検査」計画を立てる上で非常に重要です。
- 症状はいつから始まったか(発熱、寝汗、倦怠感など)
- 発熱の程度(具体的な体温、1日のうちで変動はあるか)
- 寝汗の程度(「シーツ交換が必要」など具体的に)
- 「体重減少」の有無(いつから何kg減ったか)
- 他に気になる症状(痛み、しこり、咳、出血など)
- 現在治療中の病気や、服用中の薬
あなたを守る行動 – がん検診と専門医への相談
発熱や寝汗といった症状は、体が発する警戒「サイン」かもしれません。これらの症状に気づいたとき、そして症状がない平時においても、ご自身の体を守るためにできる行動があります。
それは、不安を抱え込まずに専門家に相談すること、そして定期的に「検査」(がん検診)を受けることです。
症状がなくても「検査」を受ける意味
多くのがん、特に固形がん(胃がん、大腸がん、肺がんなど)は、「初期症状」がほとんどないまま進行します。症状が出てから「受診」したのでは、すでに進行しているケースも少なくありません。
だからこそ、症状がない健康なうちから定期的に「がん検診」を受けることが、早期発見のために極めて重要です。
発熱や寝汗が「血液のがん」のサインである可能性について述べましたが、がん検診は主に固形がんを対象としています。
症状をきっかけに医療機関を受診することと、無症状のうちに検診を受けること。この両輪が、がんから命を守るために必要です。
不安を抱え込まない
原因不明の体調不良が続くと、「もしかしたら重い病気かもしれない」と不安になるのは当然です。
しかし、インターネットで情報を検索し、自分で「チェック」するだけでは、不安が増すばかりで解決には至りません。
症状が「続く」場合は、憶測で判断せず、勇気を出して医療機関を「受診」してください。
自己判断の落とし穴
「このくらいの症状なら大丈夫だろう」「忙しいから様子を見よう」といった自己判断が、早期発見の機会を逃す最大の「原因」となります。
特に、発熱、寝汗、「体重減少」、「倦怠感」といった症状は、多くの疾患に共通するため、専門家による診察と「検査」なしに「原因」を特定することは不可能です。
「悪性リンパ腫」や「白血病」などを心配する場合も、血液検査などを行わなければ何も分かりません。不安を解消する唯一の方法は、専門家による正しい診断を受けることです。
発熱・寝汗とがんに関するよくある質問
ここでは、発熱や寝汗とがんに関して多く寄せられる質問にお答えします。
ただし、これは一般的な情報提供であり、個別の診断に代わるものではありません。具体的な症状については必ず医療機関でご相談ください。
- 発熱や寝汗があると、がんでしょうか?
-
いいえ、すぐに「がん」と決まるわけではありません。発熱や寝汗の最も一般的な原因は感染症(風邪など)です。
しかし、他の症状(原因不明の微熱が続く、シーツを交換するほどの寝汗、急激な体重減少、強い倦怠感)が伴う場合や、症状が長く続く場合は、注意が必要です。
不安な場合は医療機関を受診してください。
- 「悪性リンパ腫」や「白血病」だと、必ず発熱しますか?
-
必ずしも全員に現れるわけではありませんが、発熱、寝汗、体重減少は「血液のがん」(悪性リンパ腫や白血病)の代表的な初期症状(B症状と呼ばれることがあります)の一つです。
これらの症状が続く場合は、血液内科など専門医への相談を検討することが重要です。
- どのくらいの期間、症状が「続く」と受診すべきですか?
-
明確な基準はありませんが、例えば「1〜2週間以上、原因のわからない微熱や寝汗が続く」場合や、「倦怠感」や「体重減少」が明らかに進行している場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
特に風邪薬などを飲んでも改善しない場合は注意が必要です。
- 「何科」を受診すればよいか分かりません。
-
まずは、かかりつけの内科や総合内科を受診するのが一般的です。
そこで症状を詳しく伝え、初期の診察や検査を受けます。
医師が専門的な検査や診断が必要と判断した場合、血液内科、膠原病科、感染症科など、適切な専門診療科へ紹介されます。
- がん検診を受けていれば、「血液のがん」も見つかりますか?
-
一般的な市区町村や職場で実施されるがん検診(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん検診など)は、主に固形がんを対象としています。
「悪性リンパ腫」や「白血病」といった「血液のがん」は、これらの検診で見つけることは困難です。
血液のがんは、健康診断などの血液「検査」の異常や、発熱・寝汗・リンパ節の腫れといった症状をきっかけに「受診」して見つかることが多いのが実情です。
発熱や寝汗と同様に、体からの重要なサインの一つに「痛み」があります。がんにおける痛みは、発生する場所や進行度によって様々に変化します。
「がんの痛み」がどのように現れるのか、その特徴や「痛みの変化」にどう気づき、対処すればよいのかを知ることは、ご自身の体を守るために非常に重要です。
もし、原因不明の痛みが続いたり、痛みの性質が変わってきたりした場合には、どのような対応が必要なのでしょうか。
詳しくは、こちらの記事『痛みの「変化」に着目した、がんの症状と早期発見のポイント』で解説しています。
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