血尿・腰痛は泌尿器がんのサイン?|前立腺・膀胱・腎臓の初期症状

泌尿器系がんの症状 - 早期発見につながる体のサイン

泌尿器系のがんは、早期に発見すれば治療の選択肢が広がり、体への負担も軽減できる可能性があります。しかし、初期症状が分かりにくい、または他の病気と似ていることも少なくありません。

この記事では、腎臓、膀胱、前立腺など、泌尿器系のがんで見られる主な症状や体のサインについて詳しく解説します。

自分や家族の健康を守るため、正しい知識を身につけ、変化に気づいたら早めに行動することが大切です。

目次

「他人事ではない」泌尿器系のがん – 基礎知識

泌尿器系のがんとは、尿の通り道(腎臓、尿管、膀胱、尿道)や、男性の生殖器(前立腺、精巣)に発生するがんの総称です。

これらのがんは、特に中高年の男性に多いというイメージがあるかもしれませんが、腎臓がんや膀胱がんは女性にも発生します。

自分には関係ないと思わず、基本的な知識を持つことが早期発見の第一歩です。

泌尿器系がんの種類とリスク

泌尿器系のがんには複数の種類があり、それぞれに特徴があります。代表的なものに腎臓がん、膀胱がん、前立腺がんがあります。

これらの発生には、生活習慣や遺伝的要因が関わっていると考えられています。

主なリスク要因

リスク要因関連する可能性のあるがん補足
喫煙膀胱がん、腎臓がん最も重要なリスク要因の一つです。
加齢前立腺がん、膀胱がん多くのがんは年齢と共にリスクが上昇します。
家族歴前立腺がん、腎臓がん血縁者に患者がいる場合、注意が必要です。

早期発見の重要性

他のがんと同様に、泌尿器系のがんも早期に発見し治療を開始することが非常に重要です。初期段階で見つかれば、手術や放射線治療などで根治を目指せる可能性が高くなります。

また、治療法も体への負担が少ないものを選択できる場合が多くなります。

相談先としての「泌尿器科」

血尿や排尿トラブルなど、気になる症状があれば「泌尿器科」を受診してください。「恥ずかしい」と感じる人もいるかもしれませんが、泌尿器科は尿と生殖器の専門家です。

ためらわずに相談することが、健康を守るために必要です。

泌尿器系がんとは – 腎臓・膀胱・前立腺・精巣の特徴

一口に泌尿器系がんといっても、発生する場所によって性質や症状は異なります。ここでは、主な4つのがん(腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がん)の基本的な特徴を紹介します。

泌尿器系がんの主な種類

がんの種類主な特徴好発年齢層
腎臓がん尿を生成する腎臓に発生。初期症状が出にくい。50代以降、男性に多い
膀胱がん尿を溜める膀胱の粘膜に発生。血尿が出やすい。60代以降、男性に多い
前立腺がん男性のみにある前立腺に発生。進行は比較的遅い。50代以降、高齢になるほど増加
精巣がん男性のみにある精巣に発生。若年層に多い。20代~30代がピーク

腎臓がん

腎臓がんは、腎臓の細胞ががん化するもので、初期には自覚症状がほとんどありません。

そのため、健康診断や人間ドックの超音波(エコー)検査やCT検査で偶然発見されるケースが増えています。症状が出る頃には進行していることも少なくありません。

膀胱がん

膀胱がんは、尿を一時的に溜めておく袋である膀胱の内側を覆う粘膜から発生します。

最も多い初期症状は「血尿」です。特に、痛みを伴わない血尿は膀胱がんを疑う重要なサインです。喫煙との関連が非常に強いがんとして知られています。

前立腺がん

前立腺は男性だけにある臓器で、膀胱のすぐ下にあります。前立腺がんは、近年日本でも急速に増加しているがんです。

初期は症状が出にくく、進行すると排尿困難や頻尿といった症状が出ることがあります。早期発見にはPSA検査という血液検査が役立ちます。

精巣がん(睾丸がん)

精巣がんは、他のがんと異なり20代から30代の比較的若い男性に多いのが特徴です。

自分で触って「痛みのないしこり」や「精巣の腫れ」に気づくことが発見のきっかけになることが多いです。

進行が速いタイプもありますが、化学療法などが効きやすく、比較的治りやすいがんとされています。

注意すべき共通のサイン – 血尿・排尿トラブル

泌尿器系のがんには、いくつかの共通した初期症状があります。

これらはがん以外の病気(膀胱炎、尿路結石、前立腺肥大症など)でも見られますが、「たかが排尿の悩み」と軽視せず、がんの可能性も念頭に置くことが大切です。

最も重要なサイン「血尿」

血尿は、泌尿器系のがん(特に膀胱がんや腎臓がん)で最も多く見られる症状です。尿に血が混じる状態で、見た目で判断できるものと、検査でしかわからないものがあります。

目で見てわかる血尿(肉眼的血尿)

尿がピンク色、赤色、あるいはコーラのような濃い茶褐色になります。

膀胱がんの場合、痛みを伴わないことが多く、「一度出たきりで止まった」としても安心はできません。すぐに泌尿器科を受診してください。

「痛くない血尿」こそ危険なサインです

膀胱炎や尿路結石による血尿は、激しい痛みを伴うことが多いため、すぐに病院へ行く人がほとんどです。

しかし、膀胱がんの初期症状である血尿は、痛みが全くないことが多く、しかも1回出ただけで止まってしまうことがあります。

「痛くないし、もう治ったから大丈夫」と放置するのが一番危険です。「痛みのない血尿」が一度でも出たら、必ず泌尿器科を受診してください。

検診でわかる血尿(顕微鏡的血尿)

見た目は正常でも、尿検査で血液の成分が検出される状態です。健康診断や人間ドックの検診で「尿潜血陽性」と指摘された場合は、症状がなくても精密検査を受けることが重要です。

排尿に関するトラブル

排尿に関する症状は、特に前立腺がんや膀胱がんで見られることがあります。前立腺肥大症と症状が似ているため、自己判断は禁物です。

排尿トラブルの例

  • 尿の回数が多い(頻尿)
  • 排尿後も尿が残った感じがする(残尿感)
  • 尿が出にくい、勢いがない
  • 排尿時に痛みを感じる

これらの症状が続く場合、特に50歳以上の男性は前立腺の検査を、女性でも頻尿や排尿痛が続く場合は膀胱の検査を検討する必要があります。

見逃しやすい部位ごとの症状 (##)

血尿や排尿トラブル以外にも、がんの種類によっては特有の症状が出ることがあります。しかし、これらは他の病気による症状とも似ているため、見逃されやすい傾向があります。

腎臓がんのサイン – 腰痛と腹部のしこり

腎臓がんは「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれ、初期症状が乏しいです。がんが大きくなると、腹部にしこりを触れたり、持続的な鈍い痛み(腰痛や背中の痛み)が出たりすることがあります。

また、理由のわからない発熱や体重減少が続く場合も注意が必要です。ただし、腰痛などの症状が出る時点では、がんが進行しているケースも少なくありません。

膀胱がんの特有の症状

膀胱がんの主な症状は血尿ですが、がんが膀胱を刺激することで、頻尿、排尿時の痛み、残尿感など、膀胱炎によく似た症状を引き起こすことがあります。

抗生物質を飲んでも治らない膀胱炎のような症状が続く場合は、泌尿器科で内視鏡検査などを受けることを推奨します。

前立腺がんの進行と症状

前立腺がんも初期症状はほとんどありません。がんが進行して尿道を圧迫するようになると、尿が出にくい、頻尿、夜間に何度もトイレに起きるといった症状が出ます。

さらに進行し、骨に転移すると、腰痛や背中、お尻などに強い痛みが出ることがあります。整形外科を受診して腰痛の検査をしたら、前立腺がんの転移が見つかったというケースもあります。

部位別 – 警戒すべき症状

がんの種類初期症状(または発見契機)進行時の症状例
腎臓がん無症状(検診の超音波など)血尿、腹部のしこり、腰痛
膀胱がん痛みのない血尿頻尿、排尿痛、水腎症
前立腺がん無症状(PSA検査)排尿困難、頻尿、骨の痛み(腰痛など)

精巣がん – 痛みのないしこり

精巣がんの最も重要なサインは、精巣(睾丸)の「痛みのない硬いしこり」や「腫れ」です。

左右の大きさが明らかに違ってきた、硬さが変わってきた、などの変化に気づいたら、すぐに泌尿器科を受診してください。

若い男性でも発症するため、入浴時などに自分で触って確認する習慣が大切です。

女性の泌尿器系がん

女性には前立腺や精巣はありませんが、腎臓がんや膀胱がんは発症します。特に女性の場合、血尿が出ても「月経不順」や「膀胱炎」と思い込み、受診が遅れることがあります。

不正出血なのか血尿なのか判断がつかない場合や、膀胱炎の治療をしても症状が改善しない場合は、泌尿器科と婦人科の両方で相談することも検討してください。

症状に気づいたら – ためらわずに受診を

この記事で紹介したような症状に気づいた場合、最も重要な行動は「医療機関を受診すること」です。「そのうち治るだろう」「忙しいから」と先延ばしにすることが、早期発見の機会を逃すことにつながります。

何科を受診すべきか – 泌尿器科

血尿、排尿トラブル、精巣のしこりなど、尿や男性生殖器に関する症状は「泌尿器科」が専門です。腰痛であっても、血尿や排尿の異常を伴う場合は、まず泌尿器科に相談することを検討してください。

受診時に伝えること

医師に症状を正確に伝えることは、適切な診断のために非常に重要です。いつから、どのような症状が、どのくらいの頻度で起きているのかを整理しておきましょう。

医師に伝えるポイント

  • 症状(血尿、排尿痛、頻尿など)
  • 症状が始まった時期
  • 症状の頻度や強さ
  • 他に飲んでいる薬や、過去の病気(既往歴)

「様子を見る」ことのリスク

特に「痛みのない血尿」は、数日で自然に止まってしまうことがあります。しかし、血尿が止まったからといって、がんが治ったわけではありません。

症状が消えたことで安心して受診が遅れ、その間にがんが進行してしまうケースは少なくありません。一度でも血尿が出たら、必ず受診してください。

早期発見が「がん治療」の鍵となる理由

なぜ、これほどまでに早期発見が重要視されるのでしょうか。それは、がんが発見された時点の「進行度(ステージ)」によって、治療法の選択肢やその後の経過(予後)が大きく異なるためです。

治療の選択肢が広がる

がんが臓器の中にとどまっている早期の段階であれば、手術でがんを取り除く「根治治療」を目指せます。

例えば腎臓がんなら、がんの部分だけを切除して腎臓の機能を温存する手術(腎部分切除術)が可能な場合があります。

前立腺がんでも、手術支援ロボットを使った体への負担が少ない手術や、放射線治療など、多くの選択肢から選ぶことができます。

体への負担と予後

がんが進行し、他の臓器に転移してしまうと、治療は全身に及ぶ薬物療法(抗がん剤治療や免疫療法など)が中心となり、根治が難しくなるケースが増えます。

治療期間も長くなり、体への負担も大きくなります。早期発見・早期治療は、治療後のQOL(生活の質)を維持するためにも極めて重要です。

進行度による治療方針の違い(一例)

進行度がんの状態治療の主な考え方
早期がんがんが臓器内にとどまっている根治を目指した局所治療(手術、放射線など)
進行がんがんが臓器の外に広がっている根治が困難な場合、全身治療(薬物療法)が中心
転移がんがんが他の臓器に転移しているQOL維持や延命を目指した全身治療

早期発見のための検査 – 何を調べるのか

泌尿器系がんの早期発見には、症状がないうちから定期的に検査を受ける「検診」が有効です。症状が出てから受ける検査とは異なり、自覚症状のない段階でがんを見つけることを目的としています。

基本となる検査

泌尿器科を受診すると、まずは体に負担の少ない検査から行います。

尿検査(尿沈渣)

尿を採取するだけの簡単な検査ですが、多くの情報が得られます。尿に血が混じっていないか(顕微鏡的血尿)、がん細胞が混じっていないか(尿細胞診)などを調べます。

血液検査

全身状態の確認に加え、腎臓の機能が低下していないかを調べます。また、特定のがんを見つけるための「腫瘍マーカー」を測定することもあります。

PSA検査 – 前立腺がんのスクリーニング

PSA(前立腺特異抗原)は、前立腺から分泌されるタンパク質です。前立腺がんになると、血液中のPSA値が上昇する傾向があります。50歳を過ぎた男性は、一度はPSA検査を受けることが推奨されています。

この検査の普及により、早期の前立腺がん発見率が向上しました。

年齢別PSA基準値(目安)

年齢基準値(ng/mL)補足
50~64歳3.0以下前立腺肥大症や炎症でも上昇します。
65~69歳3.5以下
70歳以上4.0以下

画像診断 – 超音波・CT・MRI

体の内部を画像化し、がんの有無や位置、広がりを調べます。検診で取り入れられていることも多い検査です。

超音波(エコー)検査

体に超音波を当て、その反響を画像にします。痛みや被ばくの心配がなく、腎臓や膀胱、前立腺の様子を調べるのに適しています。

検診で腎臓がんが偶然見つかるきっかけの多くが、この超音波検査です。

CT検査・MRI検査

超音波検査よりも詳細に体の断面図を撮影できます。がんの確定診断や、リンパ節や他の臓器への転移がないかを調べるために行います。

主な画像検査の比較

検査方法主な対象特徴
超音波検査腎臓、膀胱、前立腺負担が少ない。検診で多用される。
CT検査腎臓、尿管、膀胱など短時間で広範囲を撮影。X線被ばくあり。
MRI検査前立腺、膀胱骨盤内の詳細な画像化に優れる。時間がかかる。

内視鏡検査(膀胱鏡)

血尿の原因を調べる際や、膀胱がんが疑われる場合に行います。先端にカメラがついた細い管を尿道から挿入し、膀胱の内部を直接観察します。小さな膀胱がんも発見することができます。

定期的な検診の重要性

特に症状がないからといって、検査を受けないのは危険です。多くのがんは、症状が出ない早期のうちに発見することが重要です。

自治体や職場の検診を必ず利用し、50歳を過ぎたら、男性はPSA検査、男女ともに腹部超音波検査などを定期的に受けることを検討してください。

自分でできること – 日常のセルフチェック

医療機関での検査が早期発見の基本ですが、日々の生活の中で自分の体の変化に気を配ることも大切です。毎日できる簡単なセルフチェックを紹介します。

毎日の排尿チェック

トイレは、体からの便りを受け取る絶好の機会です。排尿時に「ただ出すだけ」でなく、少し意識して観察する習慣をつけましょう。

尿のセルフチェック項目

  • 尿の色(赤色、茶褐色になっていないか)
  • 尿の濁りや泡立ち
  • 排尿の回数(急に増えていないか)
  • 排尿時の感覚(痛み、出にくさ、残尿感はないか)

精巣のセルフチェック(男性向け)

精巣がんは、自分で触って発見できる数少ないがんの一つです。月に一度、入浴時など皮膚が柔らかくなっているリラックスした状態で行うのが効果的です。

精巣を指で優しく転がすように触り、硬いしこりや、左右の大きさの著しい違い、腫れがないかを確認します。

日常でできるチェック

対象チェック項目頻度
尿(男女共通)色、濁り、回数、排尿時の感覚毎日
精巣(男性)しこり、腫れ、左右差月1回

リスク要因を減らす生活習慣

セルフチェックと同時に、がんのリスク要因を減らす努力も重要です。最も効果的なのは「禁煙」です。膀胱がんや腎臓がんのリスクを大幅に下げることができます。

また、バランスの取れた食事、適度な運動、肥満の解消も、多くのがんの予防につながると考えられています。

泌尿器系がんに関するよくある質問

ここでは、泌尿器系がんのリスクや原因に関して、よく寄せられる質問にお答えします。

質問 膀胱炎を繰り返すと、がんになりますか?

通常の細菌性膀胱炎を繰り返すことが、直接的に膀胱がんの原因になるという明確な証拠はありません。

しかし、膀胱炎の症状(頻尿、排尿痛、残尿感)が、膀胱がんの症状と非常に似ているため注意が必要です。

抗生物質で改善しない、あるいは治療後にすぐ再発する場合は、膀胱がんなど他の病気が隠れていないか、泌尿器科で精密検査を受けることが重要です。

質問 性感染症(STD)は泌尿器系がんの原因になりますか?

一般的な泌尿器系がん(腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん)と性感染症との直接的な関連は、現在のところ強くは指摘されていません。

ただし、ヒトパピローマウイルス(HPV)など一部のウイルス感染は、稀ながんである陰茎がんや、男女ともに発症する可能性のある尿道がんのリスク要因になることが知られています。

質問 家族にがん患者がいるとリスクは高いですか?

はい、一部のがんでは家族歴(血縁者のがん既往歴)がリスク要因となります。特に前立腺がんは、父親や兄弟に患者がいる場合、本人が発症するリスクが通常より高くなることが分かっています。

腎臓がんの一部にも、遺伝しやすい特定のタイプが存在します。

家族に泌尿器系のがんになった人がいる場合は、そのことを医師に伝え、通常よりも早めに検診(例 前立腺がんなら40代からのPSA検査)を開始することを検討してください。

どのような食生活がリスクになりますか?

食生活とがんの関連は複雑ですが、いくつかの傾向が指摘されています。前立腺がんに関しては、動物性脂肪の多い欧米型の食事がリスクを高める可能性が考えられています。

一方、緑黄色野菜や大豆製品の摂取は、リスクを下げる可能性があるとも言われています。腎臓がんのリスクとしては、肥満や高血圧が挙げられ、これらは塩分の過剰摂取やカロリーの高い食事と関連があります。

バランスの取れた食事を心がけることが、総合的ながん予防につながります。

婦人科系がん

がんの早期発見は、性別に関わらず重要です。この記事では泌尿器系のがんについて解説しましたが、女性特有のがんについても正しい知識を持つことが大切です。

婦人科系がん(子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなど)も、初期症状が分かりにくいものがあります。不正出血や下腹部の違和感など、気になるサインがあれば早めに婦人科を受診しましょう。

婦人科系がんの症状

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