がんは日本人の死因で最も多く、胃がん、肺がん、大腸がんといった主要ながんについては多くの情報があります。しかし、がんができる部位はそれだけではありません。
「頭頸部(とうけいぶ)」、「脳」、「甲状腺」、「骨や軟部組織」など、比較的まれとされる部位のがん(希少がんを含む)も存在します。
これらの部位のがんは、初期症状が風邪や疲れ、肩こりなど、他の一般的な病気の症状と似ていることがあり、見過ごされやすい傾向があります。
この記事では、見落としやすい「その他の部位のがん」に焦点を当て、それぞれの特徴的な症状や早期発見のためのサインについて詳しく解説します。
ご自身の体調変化に気づくための参考にしてください。
見逃さないで-主要がん以外のシグナル
がんというと特定の臓器を思い浮かべがちですが、私たちの体は多くの組織や細胞でできており、様々な場所にがんは発生する可能性があります。
特に発生頻度が低い「希少がん」や、症状が他の病気と紛らわしい部位のがんは、初期段階での「気づき」が遅れることがあります。
日々の生活の中で「いつもと違う」と感じる小さな違和感やサインに注意を払うことが、早期発見の第一歩となります。
ここでは、見逃しやすい部位のがんの兆候に気づくための基本的な視点を紹介します。
体からのサインを正しく理解する
体は様々な方法で不調を伝えようとします。それが、がんの初期症状である可能性も否定できません。
例えば、治りにくい口内炎、原因不明の体重減少、持続する疲労感などは、全身のどこかに異常が隠れているサインかもしれません。
重要なのは、これらのサインを一過性のものと決めつけず、注意深く観察することです。
注意すべき違和感の例
- 持続する(2週間以上治らない)症状
- 徐々に悪化している症状
- これまで経験したことのない種類の痛みや不快感
希少がんとは何か
希少がん(Rare Cancer)は、人口10万人あたりの年間発生数が6例未満のがんを指します。種類が非常に多く、診断や治療に関する情報が限られている場合があります。
頭頸部がんの一部や肉腫(サルコーマ)なども希少がんに分類されるものがあります。発生頻度が低いからこそ、その特徴的な症状を知っておくことが重要です。
主要がん以外の注意すべき症状分類
| 分類 | 主な部位 | 注意すべき初期症状の例 |
|---|---|---|
| 頭頸部がん | 口腔、咽頭、喉頭、鼻腔など | 声がれ、飲み込みにくさ、首のしこり |
| 脳腫瘍 | 脳、脊髄 | 持続する頭痛、めまい、手足の麻痺 |
| 内分泌系のがん | 甲状腺、副腎など | 首の腫れ、動悸、体重変動 |
| 肉腫(サルコーマ) | 骨、筋肉、脂肪組織など | 原因不明の腫れや痛み |
セルフチェックの重要性
すべてのがんをセルフチェックで見つけることはできませんが、体表に近い部位や、自覚症状が出やすい部位のがんについては、日頃からの自己観察が早期発見につながることがあります。
特に頭頸部や甲状腺、皮膚などは、鏡を使ったチェックが有効です。どのような点に注意してチェックすればよいか、具体的な方法を知っておきましょう。
頭頸部がんの兆候-口・鼻・のどの違和感
「頭頸部(とうけいぶ)がん」とは、脳より下、首(鎖骨)より上で、食道以外の領域にできるがんの総称です。
これには、口の中(口腔がん)、のど(咽頭がん、喉頭がん)、鼻(鼻腔・副鼻腔がん)、唾液腺がんなどが含まれます。
頭頸部は、話す、食べる、呼吸するなど、私たちが生きる上で欠かせない機能が集まる場所です。ここの異変は生活の質(QOL)に直結するため、早期の気づきが特に重要です。
口腔がん-口の中のしこりや痛み
口腔がんは、舌、歯茎、頬の内側などに発生します。初期症状は口内炎と似ていることがありますが、2週間以上治らない、あるいは徐々に大きくなる場合は注意が必要です。
口腔内のセルフチェックポイント
- 治りにくい口内炎やただれ
- 赤くなったり白くなったりしている部分
- 硬い「しこり」や「腫れ」
- 原因不明の歯のぐらつき
特に舌の縁や歯茎は、鏡を使って定期的にチェックする習慣をつけましょう。喫煙や過度の飲酒はリスクを高める要因として知られています。
咽頭がんと喉頭がん-声の変化や飲み込みにくさ
のどは咽頭(いんとう)と喉頭(こうとう)に分かれます。咽頭がんはできる場所によって症状が異なりますが、共通して「飲み込むときの違和感」や「のどの痛み」が現れることがあります。
喉頭がんは「声帯」の近くにできることが多く、初期から「声がれ(嗄声)」が続くのが特徴です。
声の変化に注意
風邪でもないのに「声」がかすれる状態が2週間以上続く場合は、耳鼻咽喉科の受診を検討してください。これは喉頭がんの重要なサインの一つです。
声の変化セルフチェック
| チェック項目 | 詳細 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 声がれ(嗄声) | ガラガラ声、かすれ声が続く | 2週間以上続く場合 |
| のどの違和感 | 食べ物が飲み込みにくい、何かがつかえる感じ | 持続・悪化する場合 |
| 片側の耳の痛み | のどが痛いのに、片側の耳に関連痛が出ることがある | 持続する場合 |
鼻腔・副鼻腔がん-片側の鼻づまり
鼻腔・副鼻腔がんは、初期症状が慢性的な鼻炎や蓄膿症(副鼻腔炎)と似ているため、発見が遅れがちです。特徴的なのは「片側だけ」の鼻づまりや鼻血が続くことです。
通常の鼻炎は両側に症状が出ることが多いため、片側だけの症状が続く場合は注意が必要です。
首のしこり(頸部リンパ節の腫れ)
頭頸部がんは、首のリンパ節に転移しやすい特徴があります。口やのどに自覚症状がなくても、首の「腫れ」や「しこり」として最初に見つかることも少なくありません。
顎の下や耳の後ろ、首の横などを触り、痛みのない硬いしこりがないかチェックしましょう。
頭頸部がんの種類と主な症状部位
| がんの種類 | 主な発生部位 | 初期にみられるサインの例 |
|---|---|---|
| 口腔がん | 舌、歯茎、頬粘膜など | 治らない口内炎、しこり、ただれ |
| 咽頭がん | 上咽頭、中咽頭、下咽頭 | のどの違和感、飲み込みにくさ、耳の閉塞感 |
| 喉頭がん | 声帯など | 持続する声がれ |
脳腫瘍が疑われる特有のサインとは
脳腫瘍は、頭蓋骨の内部に発生する腫瘍の総称です。良性と悪性(がん)の両方を含みますが、良性であっても発生する場所によっては命に関わったり、重大な後遺症を残したりすることがあります。
脳腫瘍の症状は、腫瘍が大きくなることで頭蓋骨内部の圧力が高まることによる症状(頭蓋内圧亢進症状)と、腫瘍が脳の特定の部分を圧迫・破壊することによる症状(局所症状)に大別されます。
頭蓋内圧亢進による症状-持続する頭痛
脳腫瘍による「頭痛」は、一般的な片頭痛や緊張型頭痛とは異なる特徴を持つことがあります。特に注意が必要なのは、早朝(朝方)に強く現れる頭痛です。
就寝中に頭蓋内の圧力が上がりやすいためと考えられています。
持続する頭痛の特徴
- 朝方に最も強く、日中は和らぐ傾向がある
- 鎮痛剤が効きにくい、または徐々に効かなくなる
- 吐き気や嘔吐を伴う(特に噴射状の嘔吐)
このような頭痛が数週間続く場合は、神経内科や脳神経外科のある病院で相談することが重要です。
局所症状-発生部位による多様なサイン
脳は部位ごとに異なる機能を担っています。そのため、腫瘍ができた場所によって、非常に多様な症状(局所症状)が現れます。
これは、脳腫瘍の発見において重要な「サイン」となります。
脳腫瘍の部位別に見られるサイン
| 腫瘍の発生部位(例) | 対応する脳の機能 | 現れやすい症状(サイン) |
|---|---|---|
| 前頭葉 | 思考、運動、言語(優位半球) | 性格の変化、意欲低下、片側の麻痺、言葉が出にくい |
| 頭頂葉 | 感覚、空間認識 | 片側のしびれ、触覚の低下、左右の認識困難 |
| 側頭葉 | 記憶、聴覚、言語(優位半球) | 記憶障害、言葉の理解困難、幻聴 |
| 後頭葉 | 視覚 | 視野の一部が欠ける(視野欠損)、幻視 |
| 小脳 | 平衡感覚、運動の調節 | めまい、ふらつき、ろれつが回らない |
けいれん発作
成⼈になってから初めて「けいれん発作(てんかん発作)」を起こした場合、脳腫瘍が原因である可能性を考慮し、精密な「検査」を行う必要があります。
脳の神経細胞が腫瘍によって異常に興奮することで発作が誘発されます。
視力や聴力の変化
視神経や聴神経の近くに腫瘍ができると、視力低下、視野が狭くなる、耳鳴り、難聴などの症状がゆっくりと進行することがあります。
これらの症状が片側だけに現れる場合は、特に注意が必要です。
甲状腺・内分泌系の異変-体調不良に隠れた可能性
甲状腺は、のどぼとけの下にある蝶のような形をした臓器で、体の新陳代謝を活発にするホルモン(甲状腺ホルモン)を分泌しています。
甲状腺がん(甲状腺癌)は、比較的進行がゆっくりなタイプが多いことが知られていますが、早期に発見し、適切に対処することが大切です。
また、副腎や下垂体など他の内分泌系臓器にも腫瘍ができることがあり、ホルモンバランスの乱れによる全身の不調として現れることがあります。
甲状腺がんの主な症状-首のしこり
甲状腺がんの最も一般的な症状は、首(甲状腺のある場所)の「しこり」や「腫れ」です。多くの場合、痛みはありません。進行すると、周囲の神経や臓器を圧迫し、症状が出ることがあります。
甲状腺がんの症状チェックポイント
| 症状 | 詳細 |
|---|---|
| 首のしこり・腫れ | のどぼとけの下あたりに硬いしこりが触れる。多くは無痛性。 |
| 声がれ(嗄声) | 腫瘍が声帯を動かす神経(反回神経)を圧迫すると生じる。 |
| 飲み込みにくさ | 腫瘍が食道を圧迫することで生じる。 |
鏡を見ながら、つばを飲み込む動作をすると、甲状腺は上下に動くため、腫れやしこりを見つけやすくなります。定期的なセルフチェックを心がけましょう。
甲状腺ホルモンの異常との違い
甲状腺の病気には、がん以外に甲状腺機能亢進症(バセドウ病)や機能低下症(橋本病)などがあります。
これらは甲状腺ホルモンの分泌異常によるもので、がんとは異なる全身症状(動悸、体重減少、発汗、むくみ、倦怠感など)を引き起こします。
ただし、これらの病気とがんが併存することもあるため、甲状腺の腫れに気づいたら専門医の診察を受けることが重要です。
その他の内分泌系腫瘍
副腎や下垂体といった他の内分泌臓器に腫瘍(良性・悪性を含む)ができると、ホルモンの過剰分泌や不足により、高血圧、肥満、糖尿病、体毛の変化など、多彩な症状が現れることがあります。
原因のはっきりしない体調不良が続く場合は、内分泌系の異常も視野に入れた「検査」が必要となるケースがあります。
内分泌系の異変による体調変化
- 急激な体重の増減
- コントロールが難しい高血圧
- 異常な喉の渇きや多尿
- 原因不明の倦怠感や筋力低下
骨や軟部組織の肉腫-原因の分かりにくい痛みや腫れ
「肉腫(にくしゅ、サルコーマ)」は、骨や、筋肉・脂肪・神経・血管といった体を支える組織(軟部組織)から発生する悪性腫瘍(がん)です。
いわゆる「がん(癌腫)」が臓器の表面(上皮細胞)から発生するのに対し、肉腫は体の深部から発生することが多く、希少がんの一つに分類されます。発生部位が全身にわたるため、症状も様々です。
骨肉腫のサイン-持続する痛み
骨に発生する肉腫(骨肉腫など)は、10代の若年層に発生しやすいという特徴があります。初期症状は、運動後の筋肉痛や成長痛と間違えやすい「痛み」です。
安静にしていても痛む、夜間に痛みが強くなる、痛む場所が徐々に腫れてくる、といったサインが見られたら注意が必要です。特に膝や股関節、肩の周辺に多い傾向があります。
軟部肉腫(軟部腫瘍)-痛みのない「しこり」や「腫れ」
筋肉や脂肪組織などに発生する軟部肉腫は、初期段階では「痛み」がない「しこり」や「腫れ」として現れることがほとんどです。
そのため、単なる脂肪の塊(脂肪腫)や良性のこぶだと思い込み、放置されがちです。
しかし、このしこりが徐々に大きくなる場合や、体の深い部分に硬く触れる場合は、肉腫の可能性も考えて専門の「病院」で診察を受けることが重要です。
骨肉腫と軟部肉腫の比較
| 特徴 | 骨肉腫(骨の肉腫) | 軟部肉腫(筋肉・脂肪などの肉腫) |
|---|---|---|
| 主な発生部位 | 膝、股関節、肩周辺の骨 | 太もも、腕、お腹の中(後腹膜)など全身 |
| 初期症状 | 持続する「痛み」、運動時痛、安静時痛 | 「痛み」のない「しこり」や「腫れ」 |
| 注意点 | 成長痛やスポーツ障害との区別が必要 | 良性腫瘍(脂肪腫など)との区別が必要 |
「脂肪の塊」と自己判断していませんか?
手足や背中にできた柔らかいしこりを、「脂肪の塊(脂肪腫)だろう」と放置していませんか?
確かに良性の脂肪腫は多いですが、悪性の「肉腫」も初期は痛みがなく、見た目が似ていることがあります。
「5cm以上ある」「急に大きくなってきた」「深い場所にある気がする」 このような場合は、整形外科(腫瘍専門医)や皮膚科で、超音波検査やMRI検査を受けることを強くお勧めします。
発見が難しい部位の肉腫
お腹の中(後腹膜)や胸の中(縦隔)など、体の深部に発生した軟部肉腫は、外から触れることができず、症状が出にくいのが特徴です。
腫瘍がかなり大きくなってから、腹部の張り(膨満感)や圧迫感、原因不明の体重減少などで気づかれることもあります。健康診断の画像検査などで偶然発見されるケースもあります。
眼やその他の稀な「癌」-知っておきたい症状
これまで述べてきた部位以外にも、がんは発生します。特に発生頻度が極めて低い「希少がん」は、情報が少なく、診断が難しい場合があります。
ここでは、眼のがんや、その他のまれながんについて、知っておきたい症状の例を紹介します。
眼のがん(眼内腫瘍)
眼球の内部に発生するがん(悪性黒色腫や網膜芽細胞腫など)や、まぶた(眼瞼)に発生するがんがあります。症状は発生部位によって異なりますが、視覚に直接影響することがあります。
眼のがん(希少がん)の例
| 種類(例) | 主な症状 | 特徴 |
|---|---|---|
| ぶどう膜悪性黒色腫 | 視力低下、視野欠損、飛蚊症(黒い点が見える) | 成人の眼内腫瘍で最も多い。初期は無症状のことも。 |
| 網膜芽細胞腫 | 白色瞳孔(瞳が白く光って見える) | 乳幼児に発生することが多い。早期発見が重要。 |
| 眼瞼がん | まぶたの治りにくいしこり、ただれ | 皮膚がんと同様、高齢者に多い。 |
お子さんの写真を撮った際に片方の瞳だけが白く光る、あるいは成⼈になってから急に視界がおかしくなった、などの場合は、放置せずに眼科を受診してください。
その他の希少がんの例
ほかにも、心臓の腫瘍、胸腺がん(胸の中央)、消化管間質腫瘍(GIST、消化管の壁)など、多岐にわたる希少がんが存在します。
これらの多くは特有の初期症状に乏しく、健康診断や他の病気の「検査」中に偶然見つかることも少なくありません。
これら多様な「がん」の早期発見に向けた共通の視点
頭頸部がん、脳腫瘍、甲状腺がん、肉腫、そして希少がん。これら多様ながんの早期発見には、個別の症状を知ることと同時に、共通するいくつかの重要な視点があります。
体に起きた「いつもと違う」変化を見逃さず、適切な行動につなげることが何よりも大切です。
「続く症状」は重要なサイン
風邪や疲れによる症状は、通常1~2週間程度で改善に向かいます。
しかし、「2週間以上続く声がれ」、「数週間にわたる持続的な頭痛」、「治らない口内炎」、「徐々に大きくなるしこり」など、症状が「持続する」あるいは「悪化する」場合は、がんを含む重大な病気の「サイン」である可能性を考えます。
症状が出た「場所」と「左右差」に注目する
症状が出ている場所もヒントになります。特に「片側だけ」の症状には注意が必要です。
例えば、片側の鼻づまり(鼻腔がんの可能性)、片側の手足の麻痺(脳腫瘍の可能性)、片側の首の腫れ(頭頸部がんの転移や甲状腺がんの可能性)など、左右非対称な異変は、全身性の病気よりも局所的な異常(腫瘍など)を示唆することがあります。
不安を感じたら「病院」へ-適切な診療科の選択
セルフチェックで異常を感じたり、持続する症状に不安を覚えたりしたら、迷わずに医療機関を受診してください。
どの診療科に行けばよいか迷う場合は、まずはかかりつけ医に相談するか、症状に応じた専門科を選ぶことが第一歩です。
早期発見のための行動指針
| 症状の例 | 推奨される診療科(例) | ポイント |
|---|---|---|
| 治らない口内炎、舌のしこり、声がれ | 耳鼻咽喉科、歯科口腔外科 | 頭頸部がんの領域です。 |
| 持続する頭痛、めまい、手足の麻痺 | 脳神経外科、神経内科 | 脳腫瘍が疑われるサインです。 |
| 首のしこり、腫れ | 耳鼻咽喉科、内分泌科(甲状腺専門医) | 甲状腺がんやリンパ節転移の可能性があります。 |
| 体のしこり、原因不明の痛み | 整形外科(特に腫瘍専門医)、皮膚科 | 肉腫の可能性も考慮し、専門医の診察が必要です。 |
定期的な検診の役割
一般的ながん検診(胃、肺、大腸など)は、対象となるがんの早期発見に有効です。しかし、今回取り上げた希少がんや脳腫瘍などは、通常の検診項目では見つけるのが難しいものも多くあります。
だからこそ、日々の体調変化への「気づき(セルフチェック)」がより重要になります。検診を受けているからと安心せず、自身の体のサインに耳を傾けましょう。
よくある質問
その他の部位のがん症状や、感染症要因によるがんの原因・リスク要因について、よく寄せられる質問にお答えします。
- がんの発生に感染症が関係することはありますか?
-
はい、一部のがんの発生にはウイルスや細菌などの感染症が深く関わっていることが分かっています。
例えば、頭頸部がんの一部(中咽頭がん)はヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が、胃がんはヘリコバクター・ピロリ菌の感染が主な原因となることがあります。
また、B型・C型肝炎ウイルスは肝臓がんの大きなリスク要因です。
ただし、感染した人すべてががんになるわけではなく、他の要因(喫煙、飲酒、遺伝的要因など)と組み合わさることで発がんリスクが高まると考えられています。
- 希少がんのリスク要因は分かっていますか?
-
希少がんは種類が非常に多いため、リスク要因も様々です。一部の肉腫(軟部肉腫など)では、遺伝的な要因(特定の遺伝子変異)が関与する症候群が知られています。
また、過去に受けた放射線治療が、後年になって肉腫の発生リスクとなることも報告されています。
しかし、多くの場合、明確な原因やリスク要因が特定できないケースも少なくありません。
- 感染症が原因のがんは予防できますか?
-
原因となる感染症を防ぐことで、一部のがんのリスクを大幅に減らすことが可能です。
例えば、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の接種は、子宮頸がんだけでなく、HPV関連の中咽頭がんや肛門がんなどの予防にも効果が期待されます。
また、ピロリ菌の除菌治療は胃がんの発生リスクを低下させます。B型肝炎ウイルスにはワクチンがあり、C型肝炎ウイルスは治療薬の進歩により体内から排除することが可能になっています。
- 体の「違和感」ががんかどうか不安です。どうすればよいですか?
-
体に「いつもと違う」違和感や症状が続く場合、最も重要なのは自己判断で放置しないことです。インターネットの情報だけで判断するのは難しく、かえって不安を増大させることもあります。
まずは専門の医療機関を受診し、医師に相談してください。
検査の結果、何も異常が見つからなければ安心できますし、もし何らかの病気(がんを含む)が見つかった場合でも、早期に対応を開始することが最善の策となります。
がんの中でも、胃、大腸、食道、肝臓、膵臓など、食べ物の消化・吸収に関わる臓器に発生する「消化器系のがん」は、発生数が多く、早期発見が重要です。
これらの部位のがんは、初期段階では自覚症状が乏しいことも多いですが、進行すると腹痛、食欲不振、体重減少、下痢や便秘の繰り返し、血便、黄疸などの特有のサインが現れます。
特に膵臓がんなどは発見が難しいとされています。
消化器系のがんの具体的な症状や、早期発見のために有効な内視鏡検査(胃カメラ、大腸カメラ)などについて、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。
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