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甲状腺がん – 特徴と治療法を正しく理解するための基礎知識

甲状腺がん - 特徴と治療法を正しく理解するための基礎知識

甲状腺がんは、他のがんと比較して進行が緩やかで、予後が良いとされることが多いがんです。

しかし、がんであることに変わりはなく、その種類や進行度によって治療法や経過は大きく異なります。

首のしこりなどの症状に気づいたとき、あるいは健康診断で異常を指摘されたとき、正確な知識を持つことが不安を和らげ、適切な治療選択につながります。

この記事では、甲状腺がんの基礎知識から、種類、症状、原因、検査、そして治療法に至るまで、患者さんとご家族が知っておくべき情報を分かりやすく解説します。

甲状腺がんの概要と種類

甲状腺は、首の前側、のどぼとけのすぐ下にある蝶のような形をした臓器です。ここで作られる甲状腺ホルモンは、体の新陳代謝を活発にする重要な役割を担っています。

この甲状腺の細胞から発生する悪性の腫瘍が甲状腺がんです。甲状腺がんはいくつかの種類に分類され、それぞれ性質や進行の速さが異なります。

そのため、自分がどの種類の甲状腺がんなのかを正しく理解することが、治療方針を考える上で第一歩となります。

甲状腺の役割とがんの発生

甲状腺は、血液中のヨウ素を材料にして甲状腺ホルモンを産生し、全身の細胞の働きを調節しています。この甲状腺を構成する細胞が、何らかの原因で異常に増殖することでがんが発生します。

甲状腺がんは、がん細胞の由来や形状によって、主に「分化がん」「髄様(ずいよう)がん」「未分化がん」に大別されます。日本の甲状腺がんの9割以上は、進行が比較的穏やかな分化がんです。

甲状腺がんの主な種類

甲状腺がんの中で最も多いのが、分化がんに分類される「乳頭がん」と「濾胞がん」です。これらは甲状腺ホルモンを作る濾胞細胞から発生し、元の細胞の性質をある程度保っています。

種類によって悪性度や治療法、予後が異なるため、正確な組織型の診断が重要です。

乳頭がんの特徴

乳頭がんは、甲状腺がん全体の約90%を占める最も多い種類です。進行は非常にゆっくりで、多くの場合、生命に影響を及ぼすことは少ないとされています。

しかし、ゆっくりと増殖しながら頸部(首)のリンパ節に転移しやすい性質を持っています。リンパ節への転移があっても、適切な手術を行えば予後は良好な場合が多いです。

濾胞がんの特徴

濾胞がんは、甲状腺がんの約5%を占めます。

乳頭がんと同様に進行は比較的緩やかですが、リンパ節への転移は少なく、代わりに血液の流れに乗って肺や骨などの遠隔臓器へ転移(血行性転移)することがあります。

診断の段階で良性の濾胞腺腫との区別が難しい場合があるのも特徴の一つです。

甲状腺がんの種類と概要

種類頻度特徴
乳頭がん約90%進行が非常に遅い。リンパ節に転移しやすい。
濾胞がん約5%進行は比較的遅い。肺や骨などへ血行性に転移することがある。
髄様がん約1-2%遺伝性のことがある。カルシトニンというホルモンを産生する。
未分化がん約1%未満進行が非常に速く、悪性度が高い。高齢者に多い。

甲状腺がんの主な症状と気づきやすい変化

甲状腺がんの多くは、初期段階では自覚症状がほとんどありません。がんが進行するにつれて、首の周りに変化が現れ始めます。

日頃から自分の体に注意を向け、些細な変化を見逃さないことが早期発見につながります。特に、首のしこりや声の変化は重要なサインです。

初期症状としての首のしこり

甲状腺がんの最も一般的な症状は、首の前面に現れる「しこり」や「腫れ」です。多くの場合、痛みなどの他の症状を伴わないため、自分で首を触ったり、鏡を見たりした際に偶然気づくことが多いです。

また、会社の健康診断などで医師に指摘されて発見されるケースも少なくありません。すべてのしこりががんというわけではありませんが、気になるしこりがあれば専門の病院を受診することが大切です。

声の変化(嗄声)とその原因

がんが大きくなると、甲状腺の裏側にある声帯を動かす神経(反回神経)を圧迫したり、直接浸潤したりすることがあります。これにより神経が麻痺し、声がかすれる「嗄声(させい)」という症状が現れます。

嗄声は、風邪や声の出しすぎでも起こりますが、原因不明のかすれ声が長く続く場合は注意が必要です。この症状は、がんがある程度進行している可能性を示唆します。

気づきやすい症状のチェックリスト

  • 首の前にしこりや腫れがある
  • 声がかすれる
  • 食べ物や飲み物が飲み込みにくい
  • 首の圧迫感がある
  • 呼吸がしにくい感じがする

進行した場合に見られる症状

がんがさらに進行し、周囲の臓器である食道や気管にまで広がると、食べ物が飲み込みにくい(嚥下困難)、呼吸がしにくい(呼吸困難)といった症状が出ることがあります。

これらの症状は生活の質に大きく影響します。ここまで進行する前に、早期に検査と治療を開始することが重要です。

甲状腺がんの原因と関係がある要因

甲状腺がんが発生する明確な原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、これまでの研究から、いくつかの要因が発症リスクを高める可能性が指摘されています。

特に放射線被曝は、科学的に証明されている最も確実なリスク要因です。遺伝的な要素が関与する特殊なタイプの甲状腺がんも存在します。

放射線被曝との関連性

甲状腺がんの最もよく知られた原因は、放射線への被曝です。特に、成長期である小児期に首の周辺に放射線を浴びると、甲状腺がんを発症するリスクが高まることが分かっています。

これは、過去の原子力発電所の事故や、頭頸部への放射線治療などの事例から明らかになっています。

ただし、医療で用いるレントゲン検査などの放射線量では、リスクが著しく高まることはないと考えられています。

遺伝的要因と家族歴

ほとんどの甲状腺がん(乳頭がんや濾胞がん)は遺伝しませんが、一部のがんでは遺伝が強く関与します。

甲状腺がん全体の1〜2%を占める髄様がんは、その約25%が「多発性内分泌腫瘍症2型」という遺伝性疾患の一部として発生します。

血縁者に髄様がんの患者さんがいる場合は、遺伝子検査を受けることが推奨される場合があります。

甲状腺がんのリスク要因

要因関連性備考
放射線被曝高い特に小児期の被曝がリスクを高める。
遺伝一部のがんで関連髄様がんの約25%は遺伝性。
性別女性に多い女性ホルモンの関与が示唆されるが、明確ではない。
年齢40-60代に多い未分化がんは高齢者に多い。

甲状腺がんの検査方法と診断の流れ

首のしこりなどの症状で病院を受診した場合、がんかどうかを確定させるためにいくつかの検査を行います。

甲状腺がんの診断では、問診から始まり、触診、血液検査、そして画像検査へと進むのが一般的です。最終的な確定診断には、しこりの細胞を直接調べる検査が必要です。

診断までの基本的な流れ

まずは医師による問診で、症状の経過や家族歴などを詳しく伝えます。その後、首のしこりの大きさや硬さ、動きなどを調べる触診が行われます。

これらの診察で甲状腺がんが疑われた場合、より詳しい検査に進みます。一連の検査を通して、がんの有無、種類、広がりを正確に評価します。

超音波検査(エコー検査)の重要性

超音波検査は、甲状腺がんの検査において中心的な役割を果たします。体に害のない超音波を使って、しこりの大きさ、形状、内部の様子などを詳細に観察できます。

しこりが悪性かどうかを推測する上で非常に有用な情報が得られ、触診では分からない小さなしこりも見つけることが可能です。

細胞診による確定診断

画像検査でがんが疑われた場合、確定診断のために「穿刺吸引細胞診」を行います。これは、超音波でしこりの位置を確認しながら、細い針を刺して細胞を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を調べる検査です。

体に負担の少ない検査であり、これによりがんの種類(乳頭がん、濾胞がんなど)もある程度推定できます。

甲状腺がんの主な検査

検査名目的内容
超音波検査しこりの性状評価超音波でしこりの大きさ、形、内部の状態を観察する。
穿刺吸引細胞診確定診断しこりに細い針を刺し、細胞を採取して顕微鏡で調べる。
血液検査甲状腺機能の評価甲状腺ホルモンやサイログロブリン(腫瘍マーカー)を測定する。
CT検査がんの広がり評価リンパ節や他臓器への転移の有無を調べる。

癌としての甲状腺がんの進行度と分類

甲状腺がんの診断が確定したら、次に行うのはがんの進行度(ステージ)を決定することです。ステージは、がんの大きさ、リンパ節への転移の有無、他の臓器への遠隔転移の有無によって決まります。

このステージ分類は、治療方針を決定し、今後の見通し(予後)を予測する上で重要な指標となります。

TNM分類によるステージング

がんの進行度を示す世界共通の基準として「TNM分類」が用いられます。Tは腫瘍(Tumor)の大きさや広がり、Nはリンパ節(Node)への転移の有無、Mは遠隔転移(Metastasis)の有無を表します。

これらの組み合わせによって、ステージがI期(早期)からIV期(進行期)までに分類されます。甲状腺がんのステージ分類は、がんの種類と患者さんの年齢も考慮に入れる点が特徴的です。

生存率と予後について

甲状腺がん、特に乳頭がんや濾胞がんは、一般的に予後が良好ながんとして知られています。適切な治療を行えば、5年生存率や10年生存率は非常に高い数値を示します。

ただし、これはあくまで統計的なデータであり、個々の患者さんの状態によって異なります。

未分化がんのように進行が速く予後が厳しい種類もあるため、がんの種類とステージに基づいた正確な理解が必要です。

乳頭がんのステージと予後(55歳未満の場合)

ステージ遠隔転移(M)10年生存率の目安
I期なし(M0)ほぼ100%
II期あり(M1)約70-80%

注:55歳未満では、遠隔転移の有無のみでステージが決まります。55歳以上では、がんの大きさや広がりも考慮されます。

甲状腺がんの治療法と選択の考え方

甲状腺がんの治療法は、がんの種類、進行度、患者さんの年齢や全身の状態などを総合的に考慮して決定します。治療の基本は手術によるがんの切除です。

手術後に、再発のリスクに応じて追加の治療を行うことがあります。担当医と十分に話し合い、納得のいく治療法を選択することが重要です。

手術(甲状腺切除術)

甲状腺がん治療の根幹をなすのが手術です。がんのある甲状腺と、必要に応じて周囲のリンパ節を切除します。手術の方法は、がんの大きさや場所、リンパ節転移の有無によって異なります。

甲状腺葉切除術と全摘術

がんが甲状腺の片側(一葉)にとどまっている比較的小さながんの場合、その葉のみを切除する「葉切除術」が行われることがあります。

がんが両葉に及んでいたり、大きかったり、遠隔転移があったりする場合には、甲状腺をすべて摘出する「全摘術」を選択します。

リンパ節郭清

甲状腺がん、特に乳頭がんはリンパ節に転移しやすいため、手術の際にがんの周囲のリンパ節を切除する「リンパ節郭清」を同時に行うことが一般的です。これにより、再発のリスクを低減させます。

甲状腺がんの主な治療法

治療法対象目的
手術ほとんどの甲状腺がんがんの根治を目指す。
放射性ヨウ素内用療法術後の再発・転移リスクが高い分化がん目に見えないがん細胞を破壊し、再発・転移を抑制する。
甲状腺ホルモン療法手術を受けたほぼ全ての患者甲状腺機能を補い、がんの再発を抑制する。
分子標的薬治療進行・再発した一部のがんがんの増殖を抑える。

放射性ヨウ素内用療法

この治療は、甲状腺細胞がヨウ素を取り込む性質を利用したものです。放射線を出すヨウ素のカプセルを内服すると、ヨウ素が甲状腺がん細胞に集まり、内部から放射線を照射してがん細胞を破壊します。

手術で甲状腺を全摘した後、再発のリスクが高い場合や、肺や骨への遠隔転移がある場合に行います。

治療に伴う副作用と生活への影響

甲状腺がんの治療は、体に様々な影響を及ぼす可能性があります。特に手術後は、声の変化やカルシウム濃度の低下といった合併症が起こることがあります。

また、甲状腺を摘出した場合は、生涯にわたってホルモン剤を服用する必要があります。どのような影響があるかを事前に理解し、備えることが大切です。

手術後の主な合併症

甲状腺の手術で最も注意が必要な合併症の一つが、声のかすれ(嗄声)です。これは、声帯を動かす反回神経が手術の影響で一時的に麻痺するために起こります。

多くは時間とともに回復しますが、まれに永続的な麻痺が残ることもあります。また、甲状腺の裏側にある副甲状腺が傷つくと、血液中のカルシウム濃度が低下し、手足のしびれなどが生じることがあります。

治療後の生活で注意すべき点

  • 甲状腺ホルモン剤を毎日決まった時間に服用する
  • 定期的な血液検査と診察を受ける
  • 首の腫れや声の変化など、新たな症状に気づいたらすぐに相談する
  • 体調管理を心がけ、バランスの取れた食事と適度な運動を続ける

甲状腺ホルモン補充療法

甲状腺を全摘した場合は、体内で甲状腺ホルモンを作れなくなるため、甲状腺ホルモン剤を毎日服用する必要があります。

この薬は、不足したホルモンを補うだけでなく、脳下垂体からの甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を抑え、がんの再発を抑制する効果もあります。薬の量は、定期的な血液検査で調整します。

再発や転移を防ぐための経過観察とフォローアップ

甲状腺がんの治療が終わった後も、再発や転移が起こる可能性はゼロではありません。そのため、長期にわたる定期的な検査と診察(フォローアップ)が非常に重要です。

特に進行が緩やかな甲状腺がんは、治療後10年以上経ってから再発することもあるため、根気強く経過観察を続ける必要があります。

定期的な検査の重要性

定期的な検査は、再発や転移を早期に発見し、速やかに治療を開始するために行います。万が一再発しても、早い段階で見つけることができれば、再び根治を目指せる可能性が高まります。

医師の指示に従って、決められた間隔で通院を続けることが、長期的な安心につながります。

経過観察で行う主な検査

フォローアップ期間中には、定期的に血液検査と頸部の超音波検査を行います。血液検査では、甲状腺ホルモンの量をチェックするとともに、「サイログロブリン」という腫瘍マーカーを測定します。

サイログロブリンは、甲状腺の組織が残っていると産生されるため、甲状腺を全摘した後にこの数値が上昇してきた場合は、再発や転移を疑うきっかけとなります。

経過観察の一般的なスケジュール例

期間頻度主な検査項目
術後〜2年3〜6か月に1回血液検査、超音波検査
術後3〜5年6か月〜1年に1回血液検査、超音波検査
術後5年以降1年に1回血液検査、超音波検査

注:上記はあくまで一例であり、個々の病状によってスケジュールは異なります。

よくある質問

ここでは、甲状腺がんの患者さんやご家族からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。治療や生活に関する不安の解消にお役立てください。

甲状腺がんの治療はどの病院で受けるべきですか?

甲状腺がんの治療経験が豊富な、内分泌外科や頭頸部外科のある専門施設を選ぶことが望ましいです。手術件数が多い病院は、合併症のリスク管理などにも習熟していると考えられます。

かかりつけ医や地域の連携病院に相談し、適切な専門病院を紹介してもらうのが良いでしょう。

手術後の傷跡は残りますか?

甲状腺の手術は首の前面を切開するため、傷跡が残ります。通常は首のしわに沿って切開するため、時間が経つと目立ちにくくなります。

近年では、傷がより目立たないように内視鏡やロボットを用いた手術を行う施設も増えています。

甲状腺がんの生存率は高いと聞きましたが本当ですか?

はい、甲状腺がんの大部分を占める乳頭がんや濾胞がんは、他のがんと比較して生存率が非常に高いがんです。10年後の生存率も90%以上と報告されています。

ただし、これは適切な治療を受けた場合であり、まれな種類のがんや進行した状態ではこの限りではありません。

甲状腺がんと食事
質問回答
手術前に食事で気をつけることはありますか?特にありません。バランスの取れた食事を心がけてください。
手術後にヨウ素を制限する必要はありますか?放射性ヨウ素内用療法を行う場合は、治療効果を高めるために一時的なヨウ素制限が必要です。それ以外の場合は、制限の必要はありません。
健康食品やサプリメントは摂取しても良いですか?一部のものは治療に影響を与える可能性があります。摂取する前に必ず担当医や薬剤師に相談してください。
関連情報:副腎がんについて

甲状腺と同じく、私たちの体内で重要なホルモンを産生する臓器に「副腎」があります。副腎は腎臓の上に乗っている小さな臓器ですが、生命維持に欠かせないホルモンを分泌しています。

この副腎にも、まれにがんが発生することがあります。副腎がんは、ホルモンを過剰に産生するタイプと、産生しないタイプがあり、それぞれ症状や治療法が異なります。

ホルモンを分泌する臓器のがんについて、さらに理解を深めたい方は、副腎がんに関する解説記事もあわせてご覧ください。

以上

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