がん治療の選び方ガイド|手術・薬物療法・放射線とセカンドオピニオン

治療選択肢の検討|がんの症状と早期発見

がんと診断された時、あるいはその疑いがある時、多くの方が不安や戸惑いを感じます。

しかし、がんは「知る」ことで向き合い方が変わる病気です。現在の日本では、2人に1人が生涯で何らかのがんに罹患すると推計されており、誰にとっても身近な病気といえます。

この記事では、がんの基本的な知識、早期発見の重要性、そして手術、放射線、薬物療法といった治療の選択肢について、医学的な情報に基づき解説します。

ご自身の状況を理解し、納得のいく治療法を検討するための一助となれば幸いです。

目次

日本における、がんの現状と向き合い方

がんは、長年にわたり日本人の死因の第一位を占めています。医療の進歩により生存率は向上傾向にありますが、依然として多くの人々ががんと向き合い、闘病生活を送っています。

この現状を理解することは、ご自身やご家族の健康を考える上で非常に重要です。

2人に1人が経験する「がん」という病気

国立がん研究センターの統計によると、生涯でがんに罹患する確率は、男性65.5%、女性51.2%(2019年データに基づく)と報告されています。

これは、2人に1人ががんと診断される時代であることを示しています。しかし、がんは「不治の病」ではなくなりつつあります。

治療法の進歩により、早期に発見し適切な治療を行えば、治癒を目指せるケースも増えています。

がん対策の進展と今後の課題

国は「がん対策基本法」に基づき、がん検診の推進、治療法の研究開発、緩和ケアの充実など、多角的な対策を進めています。これにより、がん医療の質は着実に向上しています。

一方で、地域による医療格差や、治療と仕事・生活の両立、AYA世代(若年成人)のがん患者への支援など、取り組むべき課題も残っています。

生活習慣とがんの関連性

がんの発生には、喫煙、飲酒、食生活、運動不足などの生活習慣が深く関わっています。また、過度な心理的ストレスが免疫機能に影響を与える可能性も指摘されています。

全てのがんを予防できるわけではありませんが、生活習慣を見直すことは、がんのリスクを減らす上で大切な取り組みの一つです。

向き合うために必要な「正しい情報」

インターネットや書籍には、がんに関する情報が溢れていますが、その中には科学的根拠の乏しいものも少なくありません。

不確かな情報に惑わされず、公的機関や専門医が発信する信頼できる情報を得ることが、がんと向き合う第一歩です。正しい知識は、不安を和らげ、適切な判断を助けます。

なぜ「早期発見」が重要視されるのか

がん治療において、「早期発見」は極めて重要な鍵を握ります。

がんがまだ小さく、発生した臓器にとどまっている段階で見つけることができれば、治療の選択肢が広がり、体への負担も少なく済む可能性が高まります。

早期発見が治療選択肢を広げる

がんが早期であるほど、治療法の選択肢は多くなります。

例えば、手術においても、がんが小さければ切除範囲を最小限に抑えたり、内視鏡や腹腔鏡といった体への負担が少ない方法を選べたりする可能性が高まります。

進行してしまうと、より複雑な手術や、複数の治療法を組み合わせる(集学的治療)が必要になることが多くなります。

生存率への影響

早期発見は、治療後の生存率にも大きく影響します。多くのがんでは、ステージ(病期)が進むにつれて生存率が低下する傾向があります。

早期のステージで見つけることが、治癒を目指す上でいかに重要かがわかります。

主ながんのステージ別5年相対生存率(例)

がんの種類ステージIステージIV
胃がん95%以上約10%未満
大腸がん95%以上約20%前後
乳がん(女性)100%に近い約40%前後

※数値はがんの種類や統計データにより異なります。あくまで目安としてご覧ください。

体への負担が少ない治療を選べる可能性

早期であればあるほど、臓器の機能や形態を温存できる可能性が高まります。

例えば、早期の胃がんであれば内視鏡治療(ESD)で胃を切除せずに済む場合がありますし、早期の乳がんであれば乳房温存手術が選択できる可能性が高くなります。

これにより、治療後の生活の質(QOL)を高く保つことにつながります。

治療後の生活の質(QOL)の維持

治療による体への負担が少なければ、それだけ早く日常生活や社会生活に復帰できます。治療後も自分らしい生活を続けるために、早期発見の意義は非常に大きいといえます。

知っておきたい、がんの初期症状

がんは早期の段階では自覚症状がほとんどないことが多い病気です。しかし、中には特定のサイン(症状)が現れることもあります。

これらのサインに気づき、早めに医療機関を受診することが早期発見につながります。

全身にあらわれる可能性のある症状

特定のがんだけでなく、様々ながんの初期症状として共通して見られるものがあります。

ただし、これらはがん以外の病気でも起こり得るため、症状があるからといって必ずしもがんであるとは限りません。

  • 原因不明の体重減少(半年で5%以上など)
  • 続く発熱や寝汗
  • 全身の倦怠感、だるさ
  • 食欲不振

部位別の特徴的な症状

がんが発生した臓器によって、特有の症状が出ることがあります。これらの症状が続く場合は、放置せずに医師に相談してください。

部位別に見る初期症状の例

部位考えられる症状 A考えられる症状 B
長引く咳、血痰胸の痛み、息切れ
みぞおちの痛み、不快感食欲不振、黒い便
大腸便に血が混じる、便秘と下痢を繰り返す便が細くなる、腹痛
乳房しこり乳頭からの分泌物、皮膚のひきつれ
皮膚ほくろの形や色の変化治りにくい皮膚のできもの

「いつもと違う」を見逃さない

大切なのは、「普段と違う体調の変化」に敏感になることです。「そのうち治るだろう」と自己判断せず、症状が続く場合は、かかりつけ医や専門のクリニックを受診しましょう。

特に、がんの症状は他の良性の病気と見分けがつきにくいことも多いため、専門家による診断が必要です。

女性特有の症状と注意点

女性は、乳がんや子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなど、女性特有のがんにも注意が必要です。

不正出血(月経以外の出血)、おりものの異常、下腹部のしこりや圧迫感、乳房のしこりなどの症状に気づいたら、ためらわずに婦人科や乳腺外科を受診してください。

症状が出る前に – がん検診の役割と種類

がんの多くは、初期段階では症状が出ません。症状がない健康な時にこそ、定期的にがん検診を受けることが、早期発見のための最も有効な手段です。

がん検診の目的

がん検診の目的は、がんを早期に発見し、適切な治療につなげることで、がんによる死亡率を減少させることです。

症状が出てから受診する「診療」とは異なり、無症状の人を対象に行います。

推奨される主な検診

日本で推奨されるがん検診には、主に「対策型検診(住民検診)」と「任意型検診(人間ドックなど)」の2種類があります。

対策型検診(国が推奨する5大がん検診)

これらは、市区町村が主体となって実施する検診で、科学的根拠に基づき死亡率減少効果が確認されています。公費による補助があるため、安価または無料で受けることができます。

がんの種類対象年齢(目安)主な検診内容
胃がん50歳以上バリウム検査 または 内視鏡検査
大腸がん40歳以上便潜血検査
肺がん40歳以上胸部X線検査、喀痰細胞診(条件による)
乳がん40歳以上(女性)マンモグラフィ
子宮頸がん20歳以上(女性)細胞診

任意型検診(人間ドックなど)

対策型検診以外の検診を指し、個人の希望で受けるものです。人間ドックや、特定の部位を詳しく調べるオプション検査(PET検査、腫瘍マーカーなど)がこれにあたります。

全額自己負担となりますが、対策型検診ではカバーされていない項目も調べることができます。

検診を受ける際の心構えと皮膚科などのかかりつけ医の重要性

検診には「要精密検査」となる場合がありますが、これは「がん=確定」という意味ではありません。異常の疑いがあるため、より詳しい検査が必要だという通知です。

必ず精密検査を受けてください。また、日頃から体の変化に気づいたときに相談できる、かかりつけのクリニック(内科や皮膚科など)を持つことも大切です。

遺伝的要因と検診

一部のがん(乳がん、大腸がん、卵巣がんなど)は、特定の遺伝的要因が強く関わっていることがわかっています。

血縁者に特定のがんに罹患した人が多い場合、通常よりも若いうちから、あるいは頻繁に検診を受けることが勧められる場合があります。

不安な場合は、遺伝カウンセリングを実施している医療機関に相談することも一つの方法です。

そもそも「癌」とはどのような病気か

「がん(癌)」という言葉は知っていても、具体的にどのような病気なのかを正確に理解している人は少ないかもしれません。

がんの基本的な性質を知ることは、治療法を理解する上での土台となります。

正常な細胞とがん細胞の違い

私たちの体は約37兆個の細胞からできており、正常な細胞は、体のルールに従って分裂・増殖し、古くなると自然に死滅(アポトーシス)します。

しかし、がん細胞は、遺伝子(設計図)に傷がつくことでこのルールを破り、無秩序に増殖を続けます。

さらに、周囲の組織に染み込むように広がり(浸潤)、血液やリンパの流れに乗って他の臓器に移動し、そこで新たな塊を作ります(転移)。

がんの「原因」とされる要因

がんの直接的な原因は遺伝子の変異ですが、その変異を引き起こす要因は様々です。

単一の原因ではなく、複数の要因が長期間にわたって複雑に絡み合って発症すると考えられています。

生活習慣と環境要因

がんの発生原因の多くは、生活習慣や環境要因に関連しています。喫煙は最大のリスク要因であり、肺がんだけでなく多くのがんの原因となります。

その他、過度な飲酒、偏った食事(塩分の過剰摂取、野菜不足など)、運動不足、肥満などが挙げられます。

また、長期間にわたる強い心理的ストレスが、免疫系の働きを介して間接的に影響する可能性も研究されています。

ウイルスや細菌の感染

特定のがんは、ウイルスや細菌の持続的な感染が主な原因となることがわかっています。

例えば、肝臓がんはB型・C型肝炎ウイルス、子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)、胃がんはヘリコバクター・ピロリ菌が深く関わっています。

これらは、感染の予防や除菌治療によって、がんのリスクを大幅に減らすことができます。

遺伝的素因

がんの中には、生まれつき特定の遺伝子に変異があり、がんになりやすい体質(遺伝的素因)が関わっているものがあります。

「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」や「リンチ症候群(遺伝性大腸がん)」などが知られています。

浸潤と転移

がん細胞が怖いのは、この「浸潤」と「転移」という性質を持つためです。

浸潤によって周囲の正常な組織を破壊し、転移によって全身の様々な臓器に広がり、機能不全を引き起こします。

良性腫瘍と悪性腫瘍(癌)

「腫瘍」には良性と悪性があります。「がん(癌)」とは悪性腫瘍のことを指します。両者の違いを理解することが重要です。

良性腫瘍と悪性腫瘍の比較

項目良性腫瘍悪性腫瘍(がん)
増殖速度一般的にゆっくり一般的に速い
境界明瞭(被膜があることが多い)不明瞭(周囲に染み込む)
浸潤・転移しないする

がん治療の基本的な考え方と進歩

がん治療は、この数十年間で大きく進歩しました。

かつては画一的な治療が行われることもありましたが、現在ではがんの性質や患者さんの状態に合わせて、様々な治療法を組み合わせる「集学的治療」や、個々の遺伝子情報に基づく「個別化治療」が主流になりつつあります。

がん治療の3つの柱

がん治療の基本は、長らく「手術(外科治療)」「放射線治療」「薬物療法(化学療法)」の3つが柱とされてきました。

これらを、がんの種類、ステージ、患者さんの体力や希望に応じて、単独または組み合わせて行います。

集学的治療とは

集学的治療とは、これら3つの柱や、近年加わった「免疫療法」などを組み合わせ、最も高い治療効果を目指す考え方です。

例えば、手術前に薬物療法でがんを小さくしたり、手術後に放射線治療で残った可能性のある微小ながんを叩いたりします。

標準治療の考え方

「標準治療」とは、現時点で科学的に最も効果が高いと証明されている治療法を指します。「並の治療」という意味ではなく、「最良の治療」として推奨されるものです。

医師はまず、この標準治療を基本として治療計画を立てます。

「標準治療」は「並の治療」ではありません

「標準」という言葉から、「松竹梅の『梅』のような、普通の治療」だと思っていませんか?

医学用語における「標準治療(Standard of Care)」とは、「現時点で世界中の科学的データによって、最も効果が高いと証明された治療(ゴールドスタンダード)」のことです。

「先進医療」は「まだ開発中で、効果が確定していない実験的な治療」を指します。

まずは標準治療を受けることが、完治への一番の近道です。

ゲノム医療と個別化治療

がんゲノム医療は、がんの発生や進行に関わる遺伝子の変異を調べることで、個々のがんの性質に合わせた治療薬を選択する医療です。

全てのがんに適用できるわけではありませんが、一部のがんでは治療効果の予測や、従来の治療法が効かなくなった場合の新たな選択肢を見つけるために役立っています。

がん遺伝子パネル検査

項目内容
検査の目的一度に多数(数百)のがん関連遺伝子を調べ、変異に合った薬剤を探す
対象となる可能性のある人標準治療が終了(または見込み)の固形がん患者さんなど(条件あり)

手術、放射線、薬物療法 – 治療法の選択肢

がん治療の3本柱である「手術」「放射線治療」「薬物療法」は、それぞれ異なる特徴を持ち、がんを攻撃します。

どの治療法を選択するか、あるいはどう組み合わせるかは、がんの種類や進行度によって大きく異なります。

外科治療(手術)

がん細胞を物理的に取り除く治療法です。特に、がんが特定の場所に留まっている早期の場合、根治(完全に治すこと)を目指す上で最も基本的な治療法となります。

手術の目的(根治・症状緩和など)

手術の目的は、根治を目指す「根治手術」だけではありません。

がんによって引き起こされる痛みや出血、臓器の閉塞などの症状を和らげるための「症状緩和(姑息)手術」や、診断を確定させるための「検査(生検)手術」もあります。

低侵襲手術(腹腔鏡・胸腔鏡など)

従来の開腹・開胸手術に比べ、小さな切開部からカメラや専用の器具を挿入して行う手術です。

傷が小さく、術後の回復が早いという利点がありますが、全てのがんや患者さんに適用できるわけではありません。

放射線治療

高エネルギーのX線やガンマ線などをがんに照射し、がん細胞の遺伝子にダメージを与えて破壊する治療法です。

手術と同様に、特定の場所にあるがんを治療する「局所療法」です。

体の外から(外部照射)と中から(内部照射)

最も一般的には、体の外から放射線を照射する「外部照射」が行われます。

一方、放射線を出す小さな線源をがん組織の内部やその近くに挿入する「内部照射(組織内照射や腔内照射)」という方法もあります。

薬物療法(化学療法・分子標的薬・免疫療法など)

薬剤(飲み薬や点滴)を用いて、全身のがん細胞を攻撃する治療法です。転移がある場合や、血液のがんなど、全身にがん細胞が広がっている可能性がある場合に中心となります。

化学療法(抗がん剤)とその副作用

化学療法は、細胞分裂が活発な細胞を攻撃する薬剤(抗がん剤)を用います。

がん細胞は分裂が速いため効果が出やすいですが、正常な細胞の中でも分裂が速い細胞(髪の毛の毛根、口の中の粘膜、血液を作る骨髄など)も影響を受けやすく、副作用として現れます。

副作用への対策と改善

吐き気、だるさ、口内炎、白血球減少(感染しやすくなる)、脱毛(薄毛)などが代表的な副作用です。

近年は、吐き気止めなどの副作用を和らげる支持療法が進歩し、多くの副作用は以前よりコントロールしやすくなっています。脱毛(薄毛)は、多くの方が心配する副作用の一つです。

これは頭頂部だけといった特徴はなく、全体的に(びまん性に)生じることがあります。

治療が終了すれば回復することが多いですが、精神的なストレスも大きいため、医療用ウィッグの使用や頭皮ケア(冷却キャップなど)といった様々な対策があります。

担当医や看護師、専門のクリニックに相談し、症状の改善を図ることが大切です。

ホルモン療法(内分泌療法)

乳がんや前立腺がんなど、特定のホルモンの影響を受けて増殖するタイプのがんに対して行われる治療法です。

例えば、女性ホルモン(エストロゲン)の働きを抑えたり、男性ホルモン(DHT=ジヒドロテストステロンなどのアンドロゲン)の働きを抑えたりすることで、がんの増殖を抑制します。

分子標的薬

がん細胞が持つ特有の「目印」(タンパク質や遺伝子変異)だけを狙い撃ちする薬剤です。

正常な細胞への影響が化学療法より少ないと期待されますが、標的がないタイプのがんには効果がなく、特有の副作用(皮膚障害、高血圧など)が出ることがあります。

免疫チェックポイント阻害薬

がん治療の「第4の柱」とも呼ばれる新しいタイプの薬物療法です。

がん細胞が免疫細胞(T細胞など)にかけているブレーキ(免疫チェックポイント)を外し、患者さん自身が持つ免疫の力でがんを攻撃できるようにする治療法です。

治療法を選ぶ際に大切にしたいこと

がんの治療法を選ぶ作業は、人生における重要な決断の一つです。

医師から提示された情報を理解するだけでなく、ご自身の価値観や生活背景を考慮し、納得して治療に臨むことが重要です。

医師からの十分な説明(インフォームド・コンセント)

まずは、ご自身の病状(がんの種類、ステージ、性質)、提示された治療法の具体的な内容、期待できる効果、そして起こり得る副作用や後遺症について、医師から十分な説明を受ける必要があります。

これが「インフォームド・コンセント(説明と同意)」です。わからないこと、不安なことは遠慮せずに質問しましょう。

自分の価値観と希望を整理する

治療法を選ぶ上で、何を優先したいかは人それぞれです。ご自身の価値観を整理し、医師に伝えることが大切です。

  • 仕事や家庭での役割をどれだけ続けたいか
  • 副作用や後遺症はどの程度まで許容できるか
  • 生活の質(QOL)をどれだけ維持したいか
  • 治療に伴う通院頻度や費用

治療の目的(根治、延命、症状緩和)の確認

その治療が何を目指すものなのかを、医師と共有することが重要です。

がんを完全に治す「根治」を目指すのか、がんの進行を抑えて「延命」を目指すのか、あるいは痛みなどの苦痛を取り除く「症状緩和」を最優先するのか。目的によって、選ぶべき治療は変わってきます。

治療に伴う体への影響

治療は、がんを攻撃すると同時に、少なからず体への負担を伴います。治療中だけでなく、治療後にも残る可能性のある影響(後遺症)について、あらかじめ理解しておくことが必要です。

治療法別の主な副作用や後遺症(例)

治療法主な副作用(治療中)主な後遺症(治療後)
手術痛み、出血、感染臓器摘出による機能低下、リンパ浮腫
放射線治療倦怠感、照射部位の皮膚炎・粘膜炎臓器の萎縮・硬化、二次がんのリスク(稀)
薬物療法吐き気、脱毛、骨髄抑制、倦怠感末梢神経障害(しびれ)、心毒性(薬剤による)

経済的な側面

がん治療には費用がかかります。高額療養費制度など、公的な支援制度について理解し、ご自身の経済状況も踏まえて治療法を検討することも現実的な問題として重要です。

病院のがん相談支援センターなどで相談できます。

情報をどう集め、どう判断するか

納得のいく治療選択を行うためには、信頼できる情報に基づき、冷静に判断することが求められます。情報は力になりますが、同時に情報過多は混乱を招くこともあります。

主治医や医療スタッフとの対話

最も重要で信頼できる情報源は、あなたの病状を最もよく知る主治医や看護師、薬剤師などの医療スタッフです。疑問や不安はメモにまとめておき、診察時に積極的に質問しましょう。

あなたの希望や価値観を伝えることで、医療者はあなたに合った情報提供をしやすくなります。

信頼できる情報源

インターネットで検索する際は、発信元が明確で、科学的根拠に基づいているかを確認することが重要です。

  • 国立がん研究センター「がん情報サービス」
  • がん診療連携拠点病院のウェブサイト
  • 患者会や患者支援団体の情報

専門の相談窓口(がん相談支援センター)

全国の「がん診療連携拠点病院」には、「がん相談支援センター」が設置されています。

ここでは、看護師やソーシャルワーカーなどの専門スタッフが、がんに関する様々な相談(治療、療養生活、費用、心のケアなど)に無料で対応してくれます。患者さん本人だけでなく、ご家族も利用できます。

セカンドオピニオンの活用

セカンドオピニオンとは、現在の主治医とは別の医療機関の専門医に、診断や治療方針について意見を求めることです。

主治医を変えることではなく、現在の診断や治療法が最善であるかを確認し、納得して治療に臨むために役立ちます。

希望する場合は、まず主治医にその旨を伝え、紹介状や検査データを提供してもらう必要があります。

情報に惑わされないために

特に、「絶対に治る」「副作用がない」といった、極端な表現や体験談のみを根拠とする情報には注意が必要です。

標準治療を否定し、高額な自由診療のみを勧めるような情報にも警戒しましょう。

情報を見極めるポイント

確認点信頼できる情報注意が必要な情報
発信元公的機関、大学病院、学会個人ブログ、体験談のみ、発信元不明
根拠科学的データ、臨床試験の結果「奇跡的」「〇〇さんだけが知る」
内容効果とリスク(副作用)を併記効果のみを強調、標準治療の否定

治療選択肢の検討と早期発見に関するよくある質問

がんの早期発見や治療法の検討に関して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。

症状がないのに検診は必要ですか?

必要です。多くのがんは、早期の段階では自覚症状がありません。症状が出てからでは、がんが進行している可能性があります。

症状がない健康な時にこそ、定期的に検診を受けることが、がんを早期に発見する最も確実な方法です。

がんの「原因」はストレスや遺伝が全てですか?

全てではありません。がんの原因は複雑で、喫煙、飲酒、食生活などの生活習慣、ウイルス感染など、様々な要因が関わっています。

ストレスは免疫力に影響を与え、間接的な要因になる可能性はありますが、直接的な原因とは言い切れません。

また、遺伝的要因が強く関わるがんは、全体の一部です。過度に心配せず、まずはご自身の生活習慣を見直すことが大切です。

びまん性の脱毛(薄毛)は治療後、改善しますか?

化学療法(抗がん剤)による脱毛(薄毛)は、薬の種類や量によって程度が異なりますが、多くの場合、治療が終了してから数ヶ月〜1年程度で再び生え始め、改善します。

ただし、髪質や色が変わることもあります。治療中の精神的な負担を和らげるため、ウィッグの利用や頭皮ケアなどの対策を医療スタッフと相談してください。

女性特有のがんについて、どのクリニックや皮膚科に相談すればよいですか?

乳房のしこりや異常に気づいた場合は「乳腺外科」、不正出血やおりものの異常、下腹部の不快感などがある場合は「婦人科」が専門の窓口となります。

まずはかかりつけのクリニックに相談し、適切な専門医を紹介してもらうことも可能です。皮膚の変化(ほくろの変化など)が気になる場合は「皮膚科」を受診してください。

DHT(ジヒドロテストステロン)とがんは関係がありますか?

DHTは強力な男性ホルモン(アンドロゲン)の一種で、主に「前立腺がん」と関連があります。

前立腺がんの多くは男性ホルモンを栄養源として増殖するため、治療としてDHTなどの働きを抑える「ホルモン療法(内分泌療法)」が行われます。

また、DHTは男性型脱毛症(AGA)の主な原因物質としても知られています。

セカンドオピニオンを検討しませんか?

治療法について主治医から説明を受けたものの、迷いや不安を感じている場合、他の専門医の意見を聞く「セカンドオピニオン」という選択肢があります。

これは、現在の主治医との信頼関係を保ちながら、ご自身の病状や治療方針について多角的な視点から確認し、最も納得のいく治療を選択するための大切な権利です。

当メディアでは、セカンドオピニオンの基本的な流れや、受ける際の心構え、病院の探し方について詳しく解説した記事もご用意しています。

ご自身の治療選択に確信を持つために、ぜひご活用ください。

▶ がんの早期発見のサインとセカンドオピニオン活用の道しるべ

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