肺がんの初期症状は咳?|血痰・息切れ・声のかすれと検診

注目すべき呼吸器のサイン - 呼吸器系がんの症状

日本において、がんは依然として多くの方の命を脅かす疾患です。特に肺がんをはじめとする呼吸器系のがんは、死亡数が高いことが知られています。

しかし、これらのがんは早期に発見し、適切な治療を開始することで、予後を大きく改善できる可能性も秘めています。

この記事では、呼吸器系がんの可能性がある「症状」に焦点を当て、どのようなサインに注意すべきか、そして早期発見のために私たちが何を知っておくべきかを詳しく解説します。

ご自身の体調管理と、大切な方々の健康を守るための一助となれば幸いです。

目次

はじめに – なぜ今、呼吸器系がんを知るべきか

私たちの生活において「がん」という言葉は、非常に重い響きを持っています。その中でも、呼吸器系のがんは特に注意が必要な疾患群です。

自分自身や家族の健康を守るためには、まず正しい知識を持つことが第一歩となります。

がん死亡数の上位を占める呼吸器のがん

統計を見ると、日本におけるがんの死亡数の中で、肺がんは長年にわたり高い位置を占めています。これは、呼吸器系のがんが私たちの健康にとって大きな脅威であることを示しています。

肺がんは、症状が出にくく、気づいた時には進行しているケースも少なくありません。だからこそ、症状が出る前の「検診」や、わずかな「症状」のサインを見逃さないことが重要になります。

早期発見が予後を大きく左右する

すべてのがんに共通することですが、呼吸器系のがんも早期発見・早期治療が極めて重要です。

がんがまだ限られた場所にとどまっている初期の「ステージ」で発見できれば、手術や放射線治療など、根治を目指せる治療の選択肢が広がります。

逆に、発見が遅れると、がんは他の臓器へ転移し、治療は全身に及ぶものが中心となり、体への負担も大きくなりがちです。

呼吸器系がんの全体像 – 肺だけではない「がん」の種類

「呼吸器系のがん」と聞くと、多くの人が真っ先に「肺がん」を思い浮かべるでしょう。

確かに肺がんは最も多い呼吸器系のがんですが、それ以外にも私たちの呼吸に関わるさまざまな臓器にがんは発生します。

最も多い「肺がん」とその分類

肺がんは、気管支や肺胞の細胞から発生するがんです。喫煙との関連が深いことは広く知られていますが、喫煙習慣がない人でも発症することがあります。

肺がんは、がん細胞の見た目や性質によって、主に二つのタイプに大別されます。

小細胞肺がんと非小細胞肺がん

小細胞肺がんは、増殖が非常に速く、早期から転移しやすい特徴があります。一方、非小細胞肺がんは、肺がん全体の約80〜90%を占め、いくつかの種類(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん)に分けられます。

非小細胞肺がんは、小細胞肺がんに比べると、比較的進行がゆっくりしている傾向があります。

肺がんの主な分類

分類特徴主な関連要因
小細胞肺がん増殖が速く、転移しやすい。喫煙(特に強い関連)
非小細胞肺がん進行が比較的ゆっくり。腺がん、扁平上皮がんなどを含む。喫煙、大気汚染、遺伝的要因など

肺以外の呼吸器に発生するがん

呼吸器は、鼻から始まり、咽頭、喉頭、気管、気管支、そして肺へとつながる一連の器官です。これら肺以外の場所にも、がんは発生します。

喉頭がん、咽頭がん、胸膜中皮腫など

喉頭(のどぼとけ)にできる「喉頭がん」は、特に「声のかすれ」が初期症状として現れやすいがんです。

また、アスベスト(石綿)への曝露が強い原因とされる「胸膜中皮腫」は、肺を覆う胸膜に発生するがんで、息苦しい感じや胸の痛みを引き起こします。

がんの広がりを示す「ステージ」とは

がんの「治療」方針を決める上で非常に重要なのが、「ステージ(病期)」です。ステージは、がんの大きさ、周囲のリンパ節への転移の有無、他の臓器への遠隔転移の有無によって決まります。

ステージ分類の基本的な考え方

一般的に、ステージはI(1)期からIV(4)期までに分類されます。ステージIが最も早期のがんで、がんが原発巣にとどまっている状態を示します。

ステージが進むにつれて、がんは周囲の組織やリンパ節、さらには遠くの臓器へと広がっていきます。呼吸器系のがんでは、このステージ診断のためにCTなどの「検査」が用いられます。

長引く咳 – 他の風邪症状との違い

「咳」は、風邪やインフルエンザなど、日常的な疾患で最もよくみられる症状の一つです。

しかし、その咳が「呼吸器系がんの症状」である可能性もゼロではありません。特に注意すべきなのは、長引く咳です。

注意すべき「咳」の特徴

風邪による咳は、通常1〜2週間程度で改善に向かいます。しかし、2週間以上たっても咳が続く、あるいは悪化する場合には、他の原因を考える必要があります。

2週間以上続く咳

長引く咳は、がんだけでなく、咳喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)など、他の呼吸器疾患のサインでもあります。

いずれにせよ、自己判断で「風邪が長引いているだけ」と放置せず、一度「病院」で相談することが賢明です。

咳の性質の変化

これまでとは明らかに違う種類の咳が出始めた場合も注意が必要です。例えば、乾いた咳が続いていたのに、急に痰が絡む湿った咳に変わった、あるいはその逆の場合などです。

風邪や気管支炎との比較

呼吸器系のがんによる咳と、風邪などによる咳を見分けるのは容易ではありませんが、いくつかの傾向があります。

症状による比較の目安

症状風邪・気管支炎呼吸器系がんの可能性
咳の期間通常1〜2週間で軽快2週間以上持続・悪化
随伴症状発熱、鼻水、喉の痛みを伴うことが多い発熱などを伴わない咳だけのことも
黄色や緑色の痰が出ることがある血痰(血が混じる)ことがある

咳と喫煙の関係性

「喫煙」習慣のある方の中には、日常的な咳や痰を「いつものこと」と見過ごしてしまうケースがあります。いわゆる「タバコ咳」です。

しかし、その咳が肺がんの初期症状である可能性も否定できません。喫煙者の方こそ、咳の性質が少しでも変わったら、積極的に「検診」や医療機関の受診を検討すべきです。

呼吸器系がんに特徴的な症状とは

長引く咳以外にも、呼吸器系のがんが進行するにつれて、体にさまざまなサインが現れることがあります。

これらの症状は、がんが気道や肺、あるいはその周辺の組織に影響を及ぼし始めたことを示している可能性があります。

呼吸に関するサイン

呼吸は生命維持の基本です。ここに異常を感じた場合は、速やかな対応が求められます。

息苦しい感じ(呼吸困難)

以前は問題なかった階段の上り下りや、少し早歩きしただけで「息苦しい」と感じるようになった場合、注意が必要です。

がんが大きくなって気道を塞いだり、肺の機能が低下したり、あるいは胸水(肺の外に水がたまる状態)が原因で起こることがあります。

喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音)

気道が狭くなると、呼吸のたびに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった音がすることがあります。

これは喘息でよく聞かれる症状ですが、気管支のがんによって気道が狭められた場合にも生じることがあります。

痰や声の変化

気道からの分泌物である痰や、発声に関わる声帯周辺の変化も、重要なサインです。

血痰(痰に血が混じる)

痰に血が混じる「血痰」は、呼吸器系がんの比較的特徴的な「症状」の一つです。

鮮やかな赤色の場合もあれば、錆びたような暗い赤色のこともあります。一度でも血痰が出た場合は、量にかかわらず「病院」を受診してください。

声のかすれ(嗄声)

がんが声帯そのもの(喉頭がん)や、声帯をコントロールする神経(反回神経)に影響を及ぼすと、「声のかすれ」が生じます。

風邪でもないのに声のかすれが続く場合は、耳鼻咽喉科や呼吸器科での「検査」が必要です。

胸の痛み

「胸の痛み」も、呼吸器系がん、特に肺がんや胸膜中皮腫で見られる症状です。

鈍い痛み、持続する痛み

胸の痛みは、心臓の病気などでも起こりますが、呼吸器系のがんでは、持続する鈍い痛みが特徴的なことがあります。

がんが肺の外側にある胸膜や、肋骨、神経にまで広がると痛みを感じるようになります。

見過ごされがちな体の変化 – 呼吸器以外のサイン

呼吸器系がんの症状は、咳や息苦しさといった呼吸器に関連するものだけとは限りません。

がんが進行すると、体全体に影響が及び、一見すると呼吸器とは関係ないような「症状」が現れることがあります。

全身にあらわれる症状

がん細胞は、正常な細胞よりも多くのエネルギーを消費します。また、体ががんと闘うために、さまざまな物質が放出され、全身の倦怠感や食欲の低下を引き起こします。

説明のつかない体重減少

特に食事制限や運動をしていないにもかかわらず、数ヶ月で体重が数キログラム以上減る「体重減少」は、がんの危険なサインの一つです。

がん細胞が体の栄養を奪うことや、食欲不振によって起こります。

倦怠感や食欲不振

十分な休息をとっても回復しない強いだるさ(倦怠感)や、食欲がわかない状態が続く場合も注意が必要です。

ばち指 – 指先の変化

まれな症状ですが、肺がん(特に非小細胞肺がん)の患者さんの中には、「ばち指」と呼ばれる指先の変化が見られることがあります。これは、指先が太鼓のばちのように丸く膨らむ現象です。

はっきりとした理由はわかっていませんが、がんによるホルモンの影響などが考えられています。

【セルフチェック】指先を合わせてみましょう

肺がんなどの呼吸器疾患があると、指先が膨らむ「ばち指」になることがあります。

  1. 左右の人差し指の第一関節同士を、爪が向き合うように合わせます。
  2. 爪の根元に、小さな「ひし形の隙間」が見えますか?

隙間が見えない場合は、ばち指の可能性があります。

痛みはありませんが、肺の状態を知る重要なサインですので、医師に相談してみてください。

肩や背中の痛み

肺がんが肺の先端部分(肺尖部)にできると、肩や腕の神経を圧迫し、頑固な肩の痛みや背中の痛み、腕のしびれなどを引き起こすことがあります。

見過ごされがちな全身症状

  • 理由のない体重減少
  • 持続する倦怠感
  • 食欲不振
  • ばち指
  • 肩や背中の痛み

早期発見が「がん」治療の鍵となる理由

これまで見てきたような「症状」に気づいてから病院を受診することも大切ですが、呼吸器系のがんは、症状が出た時点ではすでにある程度進行している「ステージ」にあることも少なくありません。

だからこそ、「症状」が出る前の「早期発見」が、その後の治療成績を大きく左右します。

ステージごとの治療選択肢

がんの「治療」は、発見されたときのステージによって大きく異なります。

早期ステージでの治療(手術、放射線)

がんが肺や気管支の一部にとどまっている早期のステージ(主にI期やII期)で発見された場合、手術でがんを取り除く治療が第一の選択肢となります。

体力的な理由などで手術が難しい場合でも、放射線治療によって根治を目指せる可能性があります。

進行ステージでの治療(化学療法、免疫療法)

がんが周囲の臓器に広がったり、遠くの臓器に転移したりしている進行ステージ(主にIII期やIV期)では、手術だけでがんを取り除くことは難しくなります。

この場合、抗がん剤(化学療法)や免疫チェックポイント阻害薬(免疫療法)、分子標的薬など、全身に作用する薬物療法が治療の中心となります。

早期発見と生存率の関係

早期発見がどれほど重要かは、がんのステージ別生存率のデータに明確に示されています。

肺がん(非小細胞)のステージ別5年相対生存率(目安)

ステージがんの状態(目安)5年相対生存率(目安)
I期がんが肺内にとどまる80%以上
II期肺門のリンパ節に転移50%前後
III期縦隔のリンパ節に転移20%前後
IV期遠隔転移あり5%前後

※数値はあくまで目安であり、がんの種類や個々の状態によって異なります。

この表からもわかるように、ステージIの早期で発見できれば、5年後の生存率は非常に高くなります。しかし、ステージが進むにつれて、生存率は著しく低下します。

症状が出てからの受診では遅い場合も

呼吸器系のがんは「サイレント・キラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれ、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。

咳や息苦しい感じ、胸の痛みなどの症状が現れたときには、すでに進行していることも多いのが実情です。

だからこそ、症状がないうちから定期的に「検診」を受けることが、早期発見への最も確実な道となります。

私たちが利用できる「がん検診」 – その内容と意義

症状がない段階でがんを早期発見するために、国や自治体は「がん検診」を推奨しています。呼吸器系がん、特に肺がんについては、有効性が確認された検診方法が提供されています。

肺がん検診の対象者と頻度

現在、日本の指針では、40歳以上の男女を対象に、年に1回の肺がん「検診」を推奨しています。

特に「喫煙」歴のある方や、家族に肺がんの方がいるなど、リスクが高いと考えられる方は、積極的に検診を受けることが望まれます。

検診で用いられる「検査」方法

基本的な肺がん検診は、主に二つの検査を組み合わせて行われます。

胸部X線検査

いわゆる「レントゲン検査」です。肺全体の影を撮影し、異常な影(がんの疑い)がないかを確認します。簡便で多くの人が受けやすい検査です。

喀痰細胞診(喫煙者向け)

50歳以上で、喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が一定以上(例 600以上)の方は、胸部X線検査に加えて喀痰細胞診が推奨されます。

これは、採取した痰の中にがん細胞が混じっていないかを顕微鏡で調べる「検査」です。

低線量CT(LDCT)検診の利点

近年、特にヘビースモーカーなどハイリスク群に対しては、通常のX線検査よりも精度の高い「低線量CT(LDCT)検査」が注目されています。

LDCT検診の特徴

  • 通常のX線検査では見つけにくい小さながんを発見しやすい
  • 体の断面(輪切り)画像を撮影するため、心臓や骨と重なる部分のがんも見つけやすい
  • 検査被ばく量を抑えたCT検査である

ただし、LDCT検診はまだ国の指針として一律に推奨されているわけではなく、人間ドックなどで自費診療として提供されていることが多いです。

検診を受ける病院の選び方

自治体のがん検診は、指定された医療機関や検診車で受けることができます。人間ドックなどで受ける場合は、呼吸器科の専門医がいるか、CTなどの設備が整っているかなどを確認するとよいでしょう。

大切なのは、単に「検査」を受けることだけでなく、異常が見つかった場合に精密検査や「治療」へとスムーズにつなげられる「病院」を選ぶことです。

危険因子を知る – 喫煙とそれ以外のリスク

呼吸器系がんの「早期発見」に努めると同時に、そもそもがんになりにくい生活を心がけることも重要です。

そのためには、どのような危険因子(リスク要因)があるかを知っておく必要があります。

最大のリスク要因「喫煙」

呼吸器系のがん、とりわけ肺がんにおいて、「喫煙」は最大の危険因子です。タバコの煙に含まれる多くの発がん物質が、気道や肺の細胞を直接傷つけ、がん化を引き起こします。

喫煙者は非喫煙者に比べて、肺がん(扁平上皮がんや小細胞がん)になるリスクが男性で約4〜5倍、女性で約2〜3倍高くなると報告されています。

受動喫煙の危険性

タバコは、吸っている本人だけでなく、周囲の人の健康にも害を及ぼします。いわゆる「受動喫煙」です。自分の意思とは関係なくタバコの煙を吸い込むことで、肺がんのリスクが高まることがわかっています。

禁煙によるリスク低減効果

しかし、禁煙するのに遅すぎることはありません。禁煙を開始した時点から、がんのリスクは徐々に低下し始めます。

長年喫煙していた方でも、禁煙によってその後の健康リスクを大きく減らすことができます。

喫煙と肺がんリスク

喫煙状況肺がんリスク推奨される行動
現在喫煙中非常に高い直ちに禁煙を開始する(禁煙外来の利用も検討)
過去に喫煙(禁煙)高い(漸減)禁煙を継続し、定期的な検診を受ける
非喫煙者低い(ゼロではない)受動喫煙を避け、定期的な検診を受ける

喫煙以外のリスク要因

喫煙は最大のリスク要因ですが、タバコを吸わない人でも呼吸器系のがんになる可能性はあります。喫煙以外にも、以下のような要因が知られています。

  • アスベスト(石綿)などの職業的曝露
  • 大気汚染(PM2.5など)
  • ラドン(一部地域の土壌や建材に含まれる放射性物質)
  • がんの家族歴(遺伝的要因)
  • 過去の肺疾患(肺結核やCOPDなど)

職業的曝露(アスベストなど)

過去に建設業や解体業などでアスベストを扱っていた方は、数十年を経てから肺がんや特に胸膜中皮腫を発症するリスクが高いことが知られています。

心当たりがある方は、症状がなくても定期的に呼吸器科の「病院」で健康状態をチェックすることが重要です。

症状に気づいたら – ためらわずに病院へ

これまで解説してきたような「症状」が一つでも当てはまる、あるいは「どうもおかしい」と感じることがあれば、決して放置しないでください。

不安を抱えたまま過ごすよりも、勇気を出して「病院」を受診し、専門家による「検査」を受けることが、安心への第一歩であり、万が一の場合の「早期発見」につながります。

何科を受診すべきか

咳、痰、息苦しさ、胸の痛みなど、呼吸器に関連する症状がある場合は、まず「呼吸器内科」を受診するのがよいでしょう。

もし、近くに呼吸器内科がない場合や、どこを受診すべきか迷う場合は、まずはかかりつけの内科医に相談し、必要に応じて専門の病院を紹介してもらうという方法もあります。

受診の目安

主な症状推奨される診療科
長引く咳、痰、息苦しい、胸の痛み、血痰呼吸器内科、一般内科
声のかすれ耳鼻咽喉科、呼吸器内科
体重減少、全身倦怠感一般内科(総合診療科)

病院で行う精密検査

検診や初診で異常が疑われた場合、がんかどうかを確定させるため、また、がんである場合はその広がり(ステージ)を調べるために、さらに詳しい「検査」(精密検査)が行われます。

CT検査、気管支鏡検査

CT検査は、X線検査よりもはるかに詳細に肺の状態を画像化できます。がんの正確な位置、大きさ、周囲のリンパ節への広がりなどを評価します。

気管支鏡検査は、口や鼻から細いカメラ(気管支鏡)を挿入し、気管支の内部を直接観察する検査です。同時に、疑わしい部分の組織や細胞を採取(生検)することもあります。

確定診断のための組織検査(生検)

がんの最終的な診断(確定診断)は、採取した組織を顕微鏡で調べる病理検査によって行われます。

これにより、がん細胞の有無だけでなく、がんの種類(小細胞がんか非小細胞がんか、腺がんか扁平上皮がんかなど)も特定します。

検査結果と治療方針の決定

すべての検査結果が出そろうと、医師はそれらの情報を総合的に評価し、がんの「ステージ」を決定します。

そして、患者さんご本人の年齢、体力、持病、そして希望を考慮しながら、最も適切と考えられる「治療」方針(手術、放射線治療、薬物療法など)を提案します。

患者さん自身も治療の目的や内容をよく理解し、納得した上で治療に進むことが大切です。

呼吸器系がんに関するよくある質問

咳止めを飲んでも咳が止まりません。がんの可能性はありますか?

市販の咳止めで改善しない咳が2週間以上続く場合は、呼吸器系のがんだけでなく、咳喘息、感染後咳嗽、逆流性食道炎など、さまざまな原因が考えられます。

自己判断を続けず、必ず呼吸器内科などの「病院」を受診してください。特に「血痰」や「息苦しい」感じ、「体重減少」などを伴う場合は、早急な「検査」が必要です。

喫煙したことがないのに、肺がんになることはありますか?

あります。肺がん全体の約7割は「喫煙」が原因とされますが、喫煙習慣のない方でも発症します。特に日本人女性の肺がん(腺がん)は、非喫煙者の割合が高いことが知られています。

受動喫煙、大気汚染、遺伝的要因、ラドンなどがリスクとして挙げられますが、原因がはっきりしない場合もあります。

喫煙歴がなくても、40歳を過ぎたら定期的に「検診」を受けることをお勧めします。

肺がん検診(X線検査)で「異常なし」と言われましたが、安心してもよいですか?

検診で「異常なし」という結果は、その時点での安心材料にはなります。しかし、検診は100%ではありません。

X線検査では、心臓や骨の陰に隠れた小さながんや、ごく早期のがんを見つけられない可能性もあります。

検診を受けた後でも、「長引く咳」や「胸の痛み」などの気になる「症状」が現れた場合は、次の検診を待たず、速やかに医療機関を受診してください。

早期発見すれば、呼吸器系のがんは治りますか?

「早期発見」は、根治(完全に治ること)の可能性を大幅に高めます。

例えば、肺がんがステージIで発見されれば、適切な「治療」(主に手術)によって5年後も元気に過ごされている方の割合は80%を超えます。

しかし、がんの種類や患者さんの状態によっては、早期であっても再発のリスクはゼロではありません。治療後も定期的な「検査」を受け、経過を観察していくことが重要です。

泌尿器系のがん

がんには、発生する部位によってさまざまな種類があります。呼吸器だけでなく、私たちの体にとって重要な「泌尿器系」のがんについても知っておくことは大切です。

泌尿器系のがんには、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がんなどがあり、これらも初期症状が出にくいという共通点があります。

特に血尿や排尿時の違和感などは、見過ごされがちなサインかもしれません。

泌尿器系がんの症状」に関する記事では、どのような症状に注意すべきか、またどのような検査や治療があるのかを詳しく解説しています。

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