「最近、食欲がわかない」「特に運動もしていないのに体重が減ってきた」といった体の変化を感じていませんか。
これらは多忙な日常や加齢のせいにしてしまいがちな「なんとなくの不調」かもしれません。
しかし、こうした症状の裏には、がんをはじめとする重大な病気が隠れている可能性もあります。
この記事では、体重減少や食欲不振がなぜがんのサインとなり得るのか、どのような場合に医療機関を受診すべきか、そして早期発見の重要性について、がん専門メディアとして詳しく解説します。
最近、食欲がない・体重が減ったと感じる方へ
日々の生活の中で、自分の体が発する小さな変化に気づくことはとても大切です。特に「食欲」と「体重」は、健康状態を反映する重要なバロメーターです。
これらの変化を「一時的なもの」「年のせい」と片付けず、少し立ち止まってご自身の体と向き合ってみましょう。
「なんとなくの不調」が示すこと
私たちが感じる「なんとなくの不調」は、体が発する初期の警告サインであることが少なくありません。
食欲が落ちる、体重が減るという現象は、体がエネルギーの摂取と消費のバランスを崩していることを示しています。
その背景には、単純な疲労やストレスだけでなく、体の内部で何らかの異常が起きている可能性も考えられます。
体重減少・食欲不振と倦怠感の関係
体重減少や食欲不振は、しばしば「倦怠感」を伴います。これらは互いに関連しあい、悪循環を生むことがあります。
倦怠感とは何か
倦怠感とは、単なる疲れとは異なり、休息をとっても回復しにくい、体全体がだるく重い感覚を指します。日常生活や仕事への意欲が低下し、集中力が続かなくなることも特徴です。
この倦怠感が長く続く場合、注意が必要です。
続く疲労感(倦怠感)の裏にある可能性
食欲不振によって栄養摂取が不足すれば、体はエネルギー不足となり倦怠感を感じやすくなります。また、体重減少(特に筋肉量の減少)は体力を奪い、倦怠感を増強させます。
逆に、病気が原因で倦怠感が生じ、その結果として食欲が低下することもあります。がん細胞が放出する物質が、体に倦怠感を引き起こすことも知られています。
なぜこの記事を読むべきか
この記事は、ご自身の、あるいはご家族の「体重減少」や「食欲不振」という症状に不安を感じている方々へ、正確な知識を提供するために作成しました。
がんの可能性におびえるだけでなく、どのような場合に受診すべきか、どのような病気が考えられるのかを知ることで、冷静に、そして迅速に行動するための一助となることを目指しています。
体重減少と食欲不振 – なぜ注意が必要なのか
体重減少と食欲不振は、ありふれた症状のように思えるかもしれませんが、医療の現場では「非特異的症状」として重要視されます。
つまり、多くの病気に共通してみられる症状でありながら、時には重大な病気の存在を示唆する重要なサインとなるからです。
体が発する重要なサイン
私たちの体は、異常が起きるとさまざまな方法でサインを送ります。
痛みや発熱のように分かりやすいサインもあれば、体重減少や食欲不振のように、ゆっくりと現れる分かりにくいサインもあります。
意図しない体重減少の定義
医学的に注意が必要とされるのは「意図しない体重減少」です。これは、ダイエットや運動量の増加といった明確な理由がないにもかかわらず、体重が減り続ける状態を指します。
一つの目安として、過去6ヶ月から12ヶ月の間に、元の体重の5%以上が減少した場合は、その原因を調べる必要があります。
食欲不振が体に及ぼす影響
食欲不振が続くと、体に必要な栄養素やエネルギーが不足します。これにより、体力や免疫力の低下、筋肉量の減少、貧血などを引き起こし、体調不良がさらに悪化するという循環に陥りやすくなります。
体が病気と闘う力を維持するためにも、食欲の状態は重要です。
症状が示す病気の可能性
これらの症状は、必ずしもがんだけが原因ではありません。しかし、がんの可能性を念頭に置いておくことは、早期発見のために重要です。
がん以外の病気
胃潰瘍などの消化器系の病気、甲状腺の機能異常といった内分泌系の病気、あるいは精神的なストレスやうつ病など、多様な原因が考えられます。
まずは、がん以外の原因も多く存在することを知っておきましょう。
高齢の方の食欲不振の原因として、意外と多いのが「口腔内の問題」です。
- 入れ歯が合わない、痛い
- 噛む力が弱くなった
- 飲み込みにくい(嚥下障害)
- 口が乾く(ドライマウス)
これらが原因で食事が億劫になり、体重が減ってしまうことがあります。歯科を受診し、お口のケアをすることで食欲が戻ることも少なくありません。
がんの初期症状としての側面
一方で、特に消化器系のがん(胃がん、大腸がん、膵臓がんなど)や、進行したがんにおいては、体重減少や食欲不振が初期の症状として現れることがあります。
がん細胞が体から栄養を奪ったり、食欲を低下させる物質を放出したりすることが原因と考えられています。
早期発見と早期治療への第一歩
もし、がんが原因であった場合、これらの症状は早期発見の手がかりとなります。
「たかが食欲不振」「少し痩せただけ」と軽視せず、医療機関を受診することが、早期治療への大切な第一歩となります。
がんが原因で起こる体重減少「がん悪液質」とは
がん患者さんに見られる特有の体重減少は「がん悪液質(あくえきしつ)」と呼ばれる病態が原因であることが少なくありません。
これは単なる栄養不足ではなく、がんそのものが引き起こす複雑な代謝異常の状態を指します。
悪液質の定義と特徴
がん悪液質は、がん細胞から分泌される炎症性サイトカインなどの物質が体に作用し、食欲不振、体重減少(特に筋肉量の減少)、全身の衰弱を引き起こす症候群です。
単なる栄養不足との違い
通常の栄養不足(飢餓状態)では、体はまず脂肪をエネルギー源として利用しようとしますが、悪液質では脂肪だけでなく筋肉のたんぱく質も積極的に分解されてしまいます。
そのため、食事を十分に摂取しようとしても、体重減少や筋力低下を止めることが難しいのが特徴です。
悪液質が進行する仕組み
がん細胞が体を「炎症状態」にすることで、エネルギー代謝が亢進し、安静にしていてもエネルギー消費量が増大します。同時に、食欲をコントロールする脳の中枢にも作用し、食欲不振を引き起こします。
この「消費の増大」と「摂取の減少」が同時に起こることで、急速に体が衰弱していきます。
悪液質が引き起こす問題
悪液質は、患者さんの生活の質(QOL)を著しく低下させるだけでなく、がん治療そのものにも大きな影響を与えます。
体力と免疫力の低下
筋肉量が減少することで体力が低下し、日常生活動作が困難になります。また、免疫機能も低下するため、感染症にかかりやすくなるリスクが高まります。
がん治療への影響
体力が低下すると、手術や化学療法、放射線治療といった、がんに対する積極的な治療に耐えられなくなることがあります。治療の継続が困難になったり、治療効果が低下したりする原因ともなります。
悪液質の症状 – 倦怠感や筋力低下
悪液質の主な症状には、著しい体重減少や食欲不振のほかに、強い倦怠感や筋力の低下があります。これらは相互に関連し、患者さんの活動性をさらに低下させます。
悪液質の主な症状
| 症状 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 意図しない体重減少 | 食事を摂っていても、筋肉や脂肪が著しく減少する。 |
| 持続する食欲不振 | 食べ物への関心が薄れ、すぐに満腹感を感じる。 |
| 強い倦怠感・疲労感 | 休息しても回復しない、全身のだるさ。 |
食欲不振を引き起こす可能性のある「がん」の種類
食欲不振や体重減少は、さまざまながんの症状として現れる可能性がありますが、特に消化器系のがんでは、早期からこれらの症状が見られやすい傾向があります。
消化器系のがん
食べ物の通り道である消化管(食道、胃、大腸)や、消化を助ける臓器(肝臓、膵臓、胆のう)にがんができると、消化・吸収機能が直接的に妨げられ、食欲不振につながりやすくなります。
胃がんの症状と食欲不振
胃にがんができると、胃の動きが悪くなったり、早い段階で満腹感(早期飽満感)を感じたりすることで、食欲が低下することがあります。
また、がんからの出血による貧血や、みぞおちの痛みが食欲不振に関わることもあります。
大腸がんの症状と食欲不振
大腸がんでは、便秘や下痢、血便などが主な症状ですが、がんが進行し腸が狭くなる(狭窄する)と、お腹の張りや痛みが生じ、食欲不振につながることがあります。
また、がんからの慢性的な出血による貧血も倦怠感や食欲低下の原因となります。
膵臓がん – 発見が難しく食欲不振を伴いやすい
膵臓は体の深い場所にあり、初期症状が出にくい「沈黙の臓器」と呼ばれます。膵臓がんは、初期から食欲不振や体重減少、背中の痛みなどを引き起こすことが特徴です。
消化酵素を分泌する膵臓の機能が低下することも、食欲不振の一因と考えられています。
消化器系のがんと主な初期症状
| がんの種類 | 食欲不振以外の主な症状 |
|---|---|
| 胃がん | みぞおちの痛み、早期飽満感、胸やけ、黒色便 |
| 大腸がん | 血便、便秘と下痢の繰り返し、腹痛、便が細い |
| 膵臓がん | 背中の痛み、腹痛、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる) |
消化器以外のがん
消化器系以外のがんでも、食欲不振は起こります。
肺がん
肺がんでは、咳や痰、胸の痛みなどが主な症状ですが、がんが進行すると倦怠感や発熱、食欲不振、体重減少(がん悪液質によるもの)が現れやすくなります。
卵巣がんなど
卵巣がんやその他の婦人科系のがんでは、がんが大きくなることで腹部が圧迫されたり、腹水が溜まったりすることでお腹が張り、食欲が低下することがあります。
がん治療(化学療法や放射線治療)による食欲不振
がんそのものだけでなく、がんの治療が原因で食欲不振が起こることもあります。
化学療法(抗がん剤治療)や放射線治療は、副作用として吐き気、嘔吐、口内炎、味覚の変化などを引き起こし、食事が困難になる場合があります。
これらは治療の一環として起こるものであり、多くの場合、治療の終了とともに改善していきます。
がん以外の原因 – 体重減少・食欲不振を招く他の病気
意図しない体重減少や食欲不振を感じたとき、誰もが「がんかもしれない」と不安になるかもしれません。
しかし、実際にはがん以外のさまざまな病気や状態が原因であることも非常に多くあります。冷静に他の可能性も知っておくことが大切です。
消化器系の病気
がん以外にも、消化器の不調は直接的に食欲や体重に影響します。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃や十二指腸の粘膜が傷つく病気です。食事中や食後に腹痛(特にみぞおちの痛み)が起こることが多く、その痛みを避けるために食事量が減り、結果として体重が減少することがあります。
慢性胃炎
胃の粘膜に慢性的な炎症が続く状態で、胃もたれや食欲不振を感じやすくなります。ピロリ菌感染が原因の一つとなることもあります。
内分泌系の病気
ホルモンのバランスが崩れる病気も、体重変動の原因となります。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。このホルモンは体の新陳代謝を活発にするため、食欲はむしろ増進することが多いにもかかわらず、エネルギー消費がそれを上回り、体重が減少するのが特徴です。
動悸や発汗、手の震えなどの症状を伴います。
甲状腺機能亢進症の主な症状
| 症状 | 特徴 |
|---|---|
| 体重減少 | 食欲はあるのに痩せる。 |
| 動悸・頻脈 | 心臓がドキドキする。 |
| 多汗・暑がり | 汗をかきやすく、暑さを感じやすい。 |
精神的な要因
心の問題も体に大きな影響を与えます。
ストレスやうつ病
強い精神的ストレスや、うつ病などの気分の落ち込みは、食欲を著しく低下させることがあります。
食べること自体への興味や意欲が失われ、体重減少につながります。また、不眠や倦怠感を伴うことも多いです。
その他の原因 – 貧血や感染症
貧血も倦怠感やめまい、食欲不振を引き起こす原因となります。特に女性では月経により鉄欠乏性貧血になりやすいです。
また、結核などの慢性的な感染症にかかると、体が消耗し、発熱や体重減少、食欲不振が続くことがあります。
何キロ減ったら危険信号?受診の目安
「少し痩せた」程度なのか、医療機関を受診すべき「危険な痩せ方」なのか、その判断は難しいものです。ここでは、受診を考えるべき具体的な目安について解説します。
体重減少の具体的な目安
意図していないにもかかわらず、体重が減り続ける場合は注意が必要です。
「6ヶ月で5%以上」の意図しない減少
医療現場で一つの目安とされるのが、「過去6ヶ月間で、元の体重の5%以上が意図せず減少した」場合です。
例えば、体重60kgの人であれば、半年で3kg以上の減少がこれに該当します。短期間で急激に減少した場合も、受診を検討すべきサインです。
体重減少の目安(例)
| 元の体重 | 6ヶ月での減少目安 (5%) |
|---|---|
| 50kg | 2.5kg以上 |
| 60kg | 3.0kg以上 |
| 70kg | 3.5kg以上 |
食欲不振の受診目安
食欲には波があるものですが、その状態が長く続く場合は注意しましょう。
食事量が減った状態が続く場合
一時的な夏バテや疲労とは異なり、「以前と比べて明らかに食事量が減った」「食べたいという気持ちが2週間以上わかない」といった状態が続く場合は、受診の目安となります。
特に、以前は好きだったものが食べたくない、といった変化もサインの一つです。
他に注意すべき随伴症状
体重減少や食欲不振に加えて、他の症状(随伴症状)が現れている場合は、特に注意が必要です。これらの症状は、体に何らかの異常が起きていることをより強く示唆しています。
倦怠感、発熱、痛み、貧血のサイン
以下のような症状が伴う場合は、早めに医療機関に相談してください。
注意すべき随伴症状
- 続く倦怠感(休息しても取れないだるさ)
- 原因不明の発熱(微熱が続くなど)
- 体の特定の部位の痛み(腹痛、背中の痛みなど)
- めまいや立ちくらみ、動悸(貧血のサイン)
医療機関で尋ねられること・行われる検査
いざ受診しようと思っても、何を話せばよいか、どんな検査をするのか不安に感じるかもしれません。ここでは、一般的な内科や消化器内科を受診した際の基本的な流れを紹介します。
事前に知っておくことで、安心して受診に臨めます。
医師による問診 – 伝えるべきこと
診察室では、医師があなたの症状について詳しく尋ねます(問診)。正確な診断のために、できるだけ具体的に情報を伝えることが大切です。
いつから症状があるか
食欲不振や体重減少に気づいたのがいつ頃からか、はっきりと思い出せない場合は「おおよそ○ヶ月前から」という形で伝えます。
体重の変化(具体的な数値)
「○ヶ月前は○kgだったが、現在は○kg」のように、具体的な数値を伝えると非常に参考になります。
定期的に体重を測っていない場合は「ズボンがゆるくなった」など、具体的な変化を伝えます。
他の症状(痛み、倦怠感、発熱など)
体重減少や食欲不振以外に気になる症状(腹痛、背中の痛み、倦怠感、発熱、便通の変化、貧血のサインなど)があれば、すべて伝えてください。
問診で伝えるべきポイント
| 項目 | 具体例 |
|---|---|
| 症状 | 食欲不振、体重減少、倦怠感、腹痛 など |
| 時期 | 約2ヶ月前から食欲がなく、体重が3kg減った。 |
| 既往歴・服薬歴 | 高血圧で薬を飲んでいる。過去に胃潰瘍の経験がある。 |
基本的な検査
問診の後は、原因を探るためにいくつかの基本的な検査を行います。
血液検査 – 貧血や炎症、腫瘍マーカー
採血により、貧血の有無、肝臓や腎臓の機能、体内の炎症の程度(CRPなど)を調べます。
また、特定のがんの存在を示唆する「腫瘍マーカー」を調べることもありますが、これはあくまで補助的な検査です。
尿検査・便潜血検査
尿検査は腎機能や糖尿病のチェックに役立ちます。便潜血検査は、大腸がんなど消化管からの出血の有無を調べるために重要です。
原因を探るための画像検査
体の内部の状態を視覚的に確認します。
X線(レントゲン)検査
主に胸部X線検査で、肺がんや結核などの肺の病気、心臓の状態を確認します。
超音波(エコー)検査
腹部超音波検査は、肝臓、胆のう、膵臓、腎臓などの臓器の状態を痛みなく調べることができます。膵臓がんや肝臓がんなどの発見の手がかりになります。
消化器系を調べるための検査
胃がんや大腸がんが疑われる場合は、より詳細な検査を行います。
内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)
食道・胃・十二指腸(胃カメラ)や大腸(大腸カメラ)の内部を直接カメラで観察する検査です。
粘膜の状態を詳しく確認でき、疑わしい部分があれば組織を採取して病理検査(生検)を行うことで、がんの確定診断が可能です。
主な検査の目的
| 検査名 | 調べる内容 |
|---|---|
| 血液検査 | 貧血、炎症、肝機能、腎機能、腫瘍マーカーなど |
| 腹部超音波検査 | 肝臓、膵臓、胆のう、腎臓などの状態 |
| 内視鏡検査 | 胃や大腸の粘膜を直接観察し、組織を採取する |
早期発見が「がん治療」の選択肢を広げる
体重減少や食欲不振をきっかけに受診し、万が一がんが発見された場合、最も重要になるのが「早期発見」であるかどうかです。
がん治療において、早期発見は予後(病気の見通し)を大きく左右する鍵となります。
なぜ早期発見が重要なのか
がんが早期、つまりまだ小さく、周囲の臓器への広がり(浸潤)や他の臓器への転移がない段階で見つかれば、治療の選択肢が広がり、体への負担も少なく済みます。
治療の負担軽減
早期がんであれば、内視鏡治療や腹腔鏡手術など、体を大きく切開しない低侵襲(ていしんしゅう)治療が可能な場合があります。
これにより、手術後の回復が早くなり、早期の社会復帰が期待できます。
予後の改善
早期に発見し適切な治療を行えば、多くのがんで良好な治療成績が期待できます。がんが進行してから治療を始める場合に比べ、治癒する可能性が高まります。
早期がんと進行がんの治療の違い
がんの進行度(ステージ)によって、治療法は大きく異なります。食欲不振や体重減少は、進行がんのサインであることもありますが、早期がんの段階で現れることもあります。
早期がんと進行がんの治療法の比較(一般例)
| 進行度 | 主な治療法の選択肢 |
|---|---|
| 早期がん(転移なし) | 内視鏡治療、手術(縮小手術含む)が中心。根治を目指す。 |
| 進行がん(転移あり) | 化学療法(抗がん剤)、放射線治療、免疫療法などが中心。がんの進行を抑え、症状を和らげることが目標となる場合もある。 |
「がんかな?」と思ったら – 勇気ある受診
「がんだったら怖い」という気持ちから、受診をためらってしまうことは誰にでもあります。しかし、その不安な時間を過ごしている間にも、病気は進行するかもしれません。
「なんとなくの不調」は、体があなたに休息や点検を求めているサインです。勇気を持って医療機関を受診することが、ご自身の未来を守る最も確実な行動です。
体の変化に気づく – 健やかな毎日のためにできること
重大な病気の早期発見は、医療機関での検査だけでなく、日々の生活の中での「自己管理」と「気づき」から始まります。
ここでは、健やかな毎日を送り、体の変化にいち早く気づくためにできることを紹介します。
自身の体への関心
最も大切なのは、自分自身の体の状態に日常的に関心を持つことです。
体重の定期的な測定
特別な理由がない限り、体重は比較的安定しているものです。週に一度、あるいは月に一度でも構いませんので、決まった時間に体重を測定する習慣をつけましょう。
意図しない体重減少にいち早く気づくことができます。
食事日記(食欲の変化を記録)
食欲不振が気になる場合は、簡単な食事日記をつけてみるのも良い方法です。
「何を食べたか」だけでなく、「食べたいと感じたか」「量はどのくらいだったか」を記録すると、食欲の変化を客観的に把握でき、受診の際に医師にも伝えやすくなります。
がん検진の重要性
症状がなくても、定期的にがん検診を受けることは、がんの早期発見において非常に重要です。
症状がなくても受ける検診
多くのがんは、初期段階では自覚症状がほとんどありません。症状(食欲不振、体重減少、痛みなど)が出てから見つかるがんは、進行していることも少なくありません。
症状がない健康なうちに検診を受けることで、早期がんを発見できる可能性が高まります。
主な対策型がん検診
国が推奨するがん検診(対策型検診)は、対象年齢になったら積極的に利用しましょう。
- 胃がん検診(バリウム検査、内視鏡検査)
- 大腸がん検診(便潜血検査)
- 肺がん検診(胸部X線検査、喀痰細胞診)
不安を抱え込まない
体の不調やがんへの不安は、一人で抱え込むと大きくなるばかりです。信頼できる家族や友人に話す、あるいは医療機関で相談するだけでも、心は軽くなります。
不安を適切に管理することも、健康維持の大切な要素です。
よくある質問
ここでは、体重減少や食欲不振に関して、多くの方が抱く疑問についてお答えします。
- ダイエットをしていないのに体重が減るのは、すべてがんが原因ですか?
-
いいえ、がんだけが原因ではありません。
本文の「がん以外の原因」で解説したように、胃潰瘍などの消化器の病気、甲状腺機能亢進症のような内分泌の病気、あるいは精神的なストレスやうつ病など、さまざまな原因が考えられます。
がんを心配しすぎる必要はありませんが、原因を特定するために一度医療機関で相談することをお勧めします。
- 食欲不振と夏バテの違いは?
-
期間と他の症状の有無が目安です。夏バテによる食欲不振は、通常、暑さが和らげば自然に回復します。
しかし、季節に関係なく食欲不振が2週間以上続く場合や、体重減少、倦怠感、発熱、痛みなどを伴う場合は、夏バテ以外の原因を考え、受診を検討してください。
- どの診療科を受診すればよいですか?
-
まずはかかりつけ医や一般内科、消化器内科への受診をお勧めします。
症状を総合的に判断し、基本的な検査を行ってくれます。もし専門的な検査や治療が必要と判断された場合は、適切な専門診療科を紹介してくれます。
腹痛や便通異常など、消化器の症状がはっきりしている場合は、最初から消化器内科を受診するのも良いでしょう。
- 悪液質とはどのような状態ですか?
-
がん細胞が出す物質により、体が衰弱していく状態です。
「がん悪液質」は、がん細胞から分泌される物質が原因で、体内の代謝が異常になり、食欲不振や体重減少(特に筋肉の減少)が起こる複雑な状態です。
単なる栄養不足とは異なり、食事を摂っても体重減少が止まりにくい特徴があります。
体重減少や食欲不振とともに、多くの人が悩む症状に「倦怠感」があります。
「しっかり寝ているはずなのに疲れが取れない」「何もする気が起きない」といった持続する疲労感は、体からの重要なサインかもしれません。
倦怠感は、貧血や内分泌の異常、もちろんがんや「がん悪液質」によっても引き起こされます。
もし、食欲不振や体重減少と同時に、説明のつかない倦怠感が続いている場合は、『「たかが疲れ」と放置しないで – 持続する疲労感とがんの症状』も併せてお読みください。
倦怠感の原因や、隠れている可能性のある病気について詳しく解説しています。
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